長野まゆみのレビュー一覧

  • いい部屋あります。

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    ネタバレ

    僕はひつじ、道に迷い、誰かに導かれ。

    ああああ、ってなる。すごく長野まゆみ。なぜか西炯子の絵で脳内のキャラクターが動き出す。クセのある人ばかり。でもみんな哀しいほどに優しい。ちょっと周囲の人間関係にご都合主義すぎないか、と思いつつも、それがこういうフィクションのいいところじゃないかと。この鳥貝と百合子(百合子は名字という、これもなんだか長野まゆみ的)がどうなるのか、想像が捗ります。百合子は不器用すぎて、もはやかわいい。洋館の寮ということで、恩田陸『ネバーランド』を思い出しもしました。

    鳥貝を象徴するのが「白いひつじ」であること。守られる存在、好奇心、ふわふわ、安心感、さまざまに解釈できそう

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    2018年01月07日
  • いい部屋あります。

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    クセモノ揃いの男子寮の面々に翻弄される物語かと思いきや、あたたかい展開にびっくりした。
    泣きたくないのに泣いてしまう鳥貝がかわいい。愛されキャラでした。

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    2017年11月14日
  • 夏至南風

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    15年程前に読んだことのある作品ですが、再読。
    当時は若かったので「いやらしいわ、これ~」という
    印象だけが強かったのですが
    あらためて読んでみると、長野さんの筆力に脱帽します。

    どのページを開いても、
    湿り気を帯びた熱風が体にまとわりつくような臨場感と
    熟れた果実から溢れ出る腐臭が感じられます。

    丹念に語彙を選び抜いているのだなとつくづく考えさせられました。

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    2017年08月15日
  • 猫道楽

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    耽美はよしとして、頭を空にして、謎掛けとリズムを楽しむべき。連作と言うにも繋がりの薄い短編集なので、物語性や物事の意図を考えても回答は得られない。端的に言うと中身はないがさらっと軽く読めるし文面はとにかく美しいので酒の肴として薦めたい一冊です。

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    2017年07月18日
  • 夏至南風

    好悪分かれる衝撃作

    ひたすら爛れたグロテスクな世界観で、主人公クーランは虐待される側です。
    正直、読んでいて何度も吐き気がしましたが、それでも続きが気になって日付が変わっても最後まで読み切り、熱を出した高校生の冬休みをしみじみと思い出します。
    近親相姦・同性愛・虐待・性的虐待・死体・腐乱――これらにネガティブ方向に敏感な方は絶対に読まないで下さい。
    私はキツい思いをしながらも、非常に中毒性がありました。
    まさか、あの美少年がああなってしまうなんて。でも主人公は理想の具現が現れて幸せそう。
    テレパシーじゃないんだけど、手のひらに記号を書いたり(対緑)、体に触れたりするだけ(対碧夏)で特定の相手(実質、弟と

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    2017年07月10日
  • あのころのデパート

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    長野まゆみさんの作品が好きなので読んでみたが、長野さんってこういうキャラだったのかと以外に思った。思っていたよりこだわりが強そう。
    子供の頃のデパート、自分が働くようになった頃のデパート、今のデパートと、ちょいちょい脱線しながらつらつらと語っており、デパートの魅力や裏事情だけでなく、時代背景やお中元豆知識までわかって面白かった。

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    2017年06月09日
  • 時の旅人

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    3つの短編でできている。
    どの作品の主人公も、時空を超え、今いる世界とは違う時代を覗き見る。
    そしてまた現実へと引き戻されていく。

    なんとも言い表しがたい不思議な世界。
    レトロな雰囲気が、読んでいてとても心地よかった。

    なかでも「リュウグウノツカイ」が好きでした。

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    2017年07月06日
  • チマチマ記

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    家族の健康にこだわったおいしそうなメニューが数々登場。最近だだ下がっていた料理するモチベーションに自然と活が入るwカガミくん尊敬の眼差しだけど、カロリー計算や料理の講釈はちょっとうざったかったなw
    マキマキ兄弟やチビッコたちにも大人からのさり気ない気遣いが紛れていて、長野さん特有の捻った家族構成でありながら、穏やかな時間や関係が心地いい。
    読みながら舌も楽しめて猫の観察力と仕草に和む…あ~なんて贅沢。

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    2017年04月04日
  • 兄と弟、あるいは書物と燃える石

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    不思議なタイトルに惹かれて手に取った。
    最初の何章かまで読んで、読むのをやめようかと思ったけど、途中まで行くと先が気になってやめられなくなった。
    途中から、語り手が誰であるかが気るようになり、これは現実なのか小説の中なのか、ドラマの中なのか混乱していく。

    最後にあー!っとすっきりはしなかった。もう一度読むべきか…

    2017.3.18…8

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    2017年04月29日
  • 鳩の栖

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    ネタバレ

    全部で五篇併録されている。四章と五章に関しては、全編・後編という形になっており、主人公は全員、中学生である。舞台は昭和中期あたりで、独特の泥臭さを出しているが、文体が旧文字を中途半端に使い、科白の結尾に句読点を利用し、疑問文なのか分かりかねる文章が多々登場し、非常に読みづらい内容であった。私は浅学なため、こういった文体に初めて触れたのだが、好めなかった。作品の構成としては、面白い内容ではある章もある。

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    2017年03月07日
  • となりの姉妹

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    ☆3.5ってところかな。
    長野さんらしさを期待していると長野さんっぽくない。
    梨木さんみたいな感じで、普通に面白いんだけど、せっかく長野さん借りたのになって気もしないでもない。
    異世界と現世界のきわどいラインを生きている人たちの話、という意味では長野さんらしいか。
    でも、美少年が出てこない。

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    2017年01月27日
  • 兄と弟、あるいは書物と燃える石

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    久しぶりに読みたくなった長野まゆみ。初期書かれていたものから根底に流れるものは変わらないんじゃないかと思うのだけど、扱うテーマが少しずつ移ろっていくのが面白い。心の柔らかいころにデビュー当時の作品にどっぷり浸かったのは今は懐かし思い出。初期作品の中では『よくわからなかった』「魚たちの離宮」の文章の一端を見かけて、今読むとなんか違うかも、と読みたくなった。
    最近も読んではいて、「カルトローレ」「箪笥のなか」なんかが好き。

    今回の作品は分かりづらいけれど、嫌いじゃない。作者と作中作の入れ子構造、小説とそれを原案としたドラマ、さらに小説家が実在の編集者の名前を作中で使ったせいで同じ名前の人間が別の

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    2017年01月25日
  • 天然理科少年

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    不思議な感覚の読み物でした。
    何がどうなっているやらはよくわかんないけど
    なんとなく納得してしまう、
    そんな摩訶不思議なストーリー。

    気張って読まなくていいので、
    サラリとしたものを所望しているときに有効。

    ただ「ぢ」は「じ」でいいぢゃねーの。
    (`皿´)ウゼーと思っちまった。

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    2016年12月27日
  • あのころのデパート

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    長野さんが今時のデパートにもの申すめんどくさいおばちゃんにならず嬉しい。働く側として少しでも関わったことがあると、さらに面白く読めるかもしれません。

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    2016年12月23日
  • 三日月少年漂流記

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    漂流記と聞いて真っ先に十五少年漂流記を思い出したのは解説の野上氏と全く一緒。笑
    どこかわからないけれど、飛行船に乗ってどこかへ、漂流を始める三日月少年たち。そして、彼らの跡をつけて、いつもと違う、少し冒険(漂流?)する水蓮と銅貨2人の少年。
    この構図が、長野作品を見る私たちを見ているようで面白い。つまり長野ワールドが三日月少年たち側で、それを垣間見るのが私たち読者といったような…。

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    2016年12月05日
  • 賢治先生

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    宮沢賢治自身を銀河鉄道に乗せ様々な宮沢作品の人物たちと乗り合わせて話しは進んでいく。
    宮沢賢治を敬愛している長野まゆみらしい一冊。
    しかし私自身かれの作品はそれこそ学生時代の教科書レベルの作品と銀河鉄道の夜しか知らないので、この本の魅力をおそらく半分も理解できていないだろうと思う。
    長野まゆみファンならば、やはり宮沢賢治と稲垣足穂も読むべきなのだろうな。

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    2016年12月03日
  • 少年アリス

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    青春の狭間、夏と秋の狭間で少年たちが非日常を体験し、「包帯」から解放され、成長する物語。
    卵の球形と兄で円環するというメタファー、と解説で指摘されていたのはなるほどと思った。

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    2016年11月26日
  • 猫道楽

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    いきなりのボーイズラブでびっくり。笑
    長野まゆみさんがそういう系統のお話を書く作家さんだということは知っていたけれど、背表紙の作品説明を読んでもそんな感じはしなくて、単純に猫好きだから読んでみたのだけど、猫道楽ってそういう意味か(ダブルミーニング?)…と妙に納得。
    (ちなみに長野まゆみ作品を読むのは初めて)

    大学生の一朗は学生課で紹介された猫シッターのアルバイトをするため、猫飼亭という屋敷を訪れる。
    しかし世話をするべき猫は見当たらず、おかしいと思い始める。
    そして流されるままに家主とその美しい兄弟たちの奇妙な注文に応えるうちに、彼は不思議な世界を覗くことになる。

    言葉の遣い方が美しくて、

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    2016年11月11日
  • 改造版 少年アリス

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    美しいんだけど、なぜだろう。ちょっと怖い。
    ひやっとしたものを押し当てられているような感じ。つるんとした陶器に触れた時の感触に似ている。
    男の子がお人形のように精巧だった。

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    2016年10月28日
  • 咲くや、この花 左近の桜

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    少年でも大人でもない、(長野まゆみ作品の中では)不安定な年齢を扱っていたこの「左近の桜」シリーズだが、本書の終わり、つまり高校卒業と同時についに桜蔵も1人の男となった。
    柾の魅力がすごすぎてそれ目当てだけでもこの本を読み進められる。流されるままにされる桜蔵もなかなか面白い。現実では、自分に起こる様々なことにこうも淡々としていられない。

    再読。
    この世ならざるモノたちと交わってしまう桜蔵の短編集シリーズ2作目。美しい文章に隠されてはいるものの、結構際どい描写やそれアリ?と思うような展開。和風モチーフで惹かれはするものの、ちょっと…と思ってしまった。

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    2025年11月27日