長野まゆみのレビュー一覧
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ネタバレ僕はひつじ、道に迷い、誰かに導かれ。
ああああ、ってなる。すごく長野まゆみ。なぜか西炯子の絵で脳内のキャラクターが動き出す。クセのある人ばかり。でもみんな哀しいほどに優しい。ちょっと周囲の人間関係にご都合主義すぎないか、と思いつつも、それがこういうフィクションのいいところじゃないかと。この鳥貝と百合子(百合子は名字という、これもなんだか長野まゆみ的)がどうなるのか、想像が捗ります。百合子は不器用すぎて、もはやかわいい。洋館の寮ということで、恩田陸『ネバーランド』を思い出しもしました。
鳥貝を象徴するのが「白いひつじ」であること。守られる存在、好奇心、ふわふわ、安心感、さまざまに解釈できそう -
好悪分かれる衝撃作
ひたすら爛れたグロテスクな世界観で、主人公クーランは虐待される側です。
正直、読んでいて何度も吐き気がしましたが、それでも続きが気になって日付が変わっても最後まで読み切り、熱を出した高校生の冬休みをしみじみと思い出します。
近親相姦・同性愛・虐待・性的虐待・死体・腐乱――これらにネガティブ方向に敏感な方は絶対に読まないで下さい。
私はキツい思いをしながらも、非常に中毒性がありました。
まさか、あの美少年がああなってしまうなんて。でも主人公は理想の具現が現れて幸せそう。
テレパシーじゃないんだけど、手のひらに記号を書いたり(対緑)、体に触れたりするだけ(対碧夏)で特定の相手(実質、弟と -
Posted by ブクログ
久しぶりに読みたくなった長野まゆみ。初期書かれていたものから根底に流れるものは変わらないんじゃないかと思うのだけど、扱うテーマが少しずつ移ろっていくのが面白い。心の柔らかいころにデビュー当時の作品にどっぷり浸かったのは今は懐かし思い出。初期作品の中では『よくわからなかった』「魚たちの離宮」の文章の一端を見かけて、今読むとなんか違うかも、と読みたくなった。
最近も読んではいて、「カルトローレ」「箪笥のなか」なんかが好き。
今回の作品は分かりづらいけれど、嫌いじゃない。作者と作中作の入れ子構造、小説とそれを原案としたドラマ、さらに小説家が実在の編集者の名前を作中で使ったせいで同じ名前の人間が別の -
Posted by ブクログ
いきなりのボーイズラブでびっくり。笑
長野まゆみさんがそういう系統のお話を書く作家さんだということは知っていたけれど、背表紙の作品説明を読んでもそんな感じはしなくて、単純に猫好きだから読んでみたのだけど、猫道楽ってそういう意味か(ダブルミーニング?)…と妙に納得。
(ちなみに長野まゆみ作品を読むのは初めて)
大学生の一朗は学生課で紹介された猫シッターのアルバイトをするため、猫飼亭という屋敷を訪れる。
しかし世話をするべき猫は見当たらず、おかしいと思い始める。
そして流されるままに家主とその美しい兄弟たちの奇妙な注文に応えるうちに、彼は不思議な世界を覗くことになる。
言葉の遣い方が美しくて、 -
Posted by ブクログ
少年でも大人でもない、(長野まゆみ作品の中では)不安定な年齢を扱っていたこの「左近の桜」シリーズだが、本書の終わり、つまり高校卒業と同時についに桜蔵も1人の男となった。
柾の魅力がすごすぎてそれ目当てだけでもこの本を読み進められる。流されるままにされる桜蔵もなかなか面白い。現実では、自分に起こる様々なことにこうも淡々としていられない。
再読。
この世ならざるモノたちと交わってしまう桜蔵の短編集シリーズ2作目。美しい文章に隠されてはいるものの、結構際どい描写やそれアリ?と思うような展開。和風モチーフで惹かれはするものの、ちょっと…と思ってしまった。