長野まゆみのレビュー一覧
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いきなりのボーイズラブでびっくり。笑
長野まゆみさんがそういう系統のお話を書く作家さんだということは知っていたけれど、背表紙の作品説明を読んでもそんな感じはしなくて、単純に猫好きだから読んでみたのだけど、猫道楽ってそういう意味か(ダブルミーニング?)…と妙に納得。
(ちなみに長野まゆみ作品を読むのは初めて)
大学生の一朗は学生課で紹介された猫シッターのアルバイトをするため、猫飼亭という屋敷を訪れる。
しかし世話をするべき猫は見当たらず、おかしいと思い始める。
そして流されるままに家主とその美しい兄弟たちの奇妙な注文に応えるうちに、彼は不思議な世界を覗くことになる。
言葉の遣い方が美しくて、耽美な雰囲気ってこういうことを言うのかな、と。
根強いファンがいる理由は分かる気がする。“和”な感じで綺麗というか。
同性愛者であるという背徳感を背負いながらも普通の顔をして生きている青年たちが、何の因果か誘われるようにして猫飼亭を訪れ、美しき兄弟たちによってその背徳感を拭い去るきっかけを与えられる。
四つの短編の主題は恐らくそういうことなのだけど、重くはなく、さらっと読める。
知らないで読めば私のように面食らうだろうけど。笑
猫も出てくるには出てくるけど、そんなに重要な役割ではない…かな。
でも作品に色っぽさを与えるためにすごく役立ってるとは思う。これは多分、犬ではなく猫じゃなきゃ駄目だ。
綺麗な日本語がたくさん使われている小説で、そこだけ切り取ってみても楽しめるかも、と思った。 -
Posted by ブクログ
少年でも大人でもない、(長野まゆみ作品の中では)不安定な年齢を扱っていたこの「左近の桜」シリーズだが、本書の終わり、つまり高校卒業と同時についに桜蔵も1人の男となった。
柾の魅力がすごすぎてそれ目当てだけでもこの本を読み進められる。流されるままにされる桜蔵もなかなか面白い。現実では、自分に起こる様々なことにこうも淡々としていられない。
再読。
この世ならざるモノたちと交わってしまう桜蔵の短編集シリーズ2作目。美しい文章に隠されてはいるものの、結構際どい描写やそれアリ?と思うような展開。和風モチーフで惹かれはするものの、ちょっと…と思ってしまった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレとにかく謎の多いお話で、何がどうなっているのか理解が追いついていません、、。
いくつかの観点から感想を書いたのですが、読後からしばらく時間が経っているため、まとまりのない文章になってしまいました。
生徒たちのコードを当てはめると下記のとおり。
シルル:ML-0021754、イーイー:ML-0021234、アナナス:MD-0057654、ジロ:MD-0057864
コードから推測するに、本来はML、MDどうしでセットにならないといけないのに、アナナスはそのルールを破ってイーイーとセットになっているようですね。
それは異常ではあるけれど、AVIANが計画して仕組んだ故意の異常ということのようです。
途中、イーイーがアナナスに「失うのなら体と心どちらがいいか?」を尋ねます。
精油を飲むと体は失われるわけですが、その際に浮いた心はセットであるどちらか一方(名称から考えるとレシピエントの方)に吸収されてしまうのかもしれません。
シルルとジロは正式なセットではない上に、こちらも正式なセットでないアナナスとイーイーがセットであるかのように振る舞っているため(多分«クロス»)、浮いた心が収まるべき体に収まらず、消滅してしまったのかもしれません。
最後、イーイーの体が失われたとき、彼らと同じようにならなかったのは、AVIANが彼らを«コンビネェション»=セットと同じようなもの見なしたため、イーイーの心がアナナスにうつり、消滅を免れたから、、、でしょうか。
ただし、セットとは違うので、アナナスの中で2人が共存できるのか、より優秀であるイーイーがアナナスを食ってしまうのかはわからない…とのことでしたが。
途中、とっても面白い記述があって、P407のイーイーの言葉ですが、
「形を遺すものがなければないほど、失くすものが少なければ少ないほど、始末がいいように思うだろう。制御しやすいし、目が届く。
エネルギイもいらない。(中略)今ではもう捨てるモノが見当たらない。でも捨てたい。捨てるという衝動を抑えられない。(以下略)」
「(略)身のまわりに捨てるモノがなくなったとき、最後に捨てるのはボディとスピリット、・・・・・どちらを先に手放すか、今は誰もがそれを悩んでる。」
という部分です。昨今の物を捨てるブーム、何もない部屋で自分の体一つで生活するというのは、わたしにはとても恐ろしいことのように思えます。
というのも、特にこの国は生活するうえで必要なほとんどのものを多くの人がすでに手に入れているにも関わらず、わたしたちはまだ何かを手に入れたくて、もうあとは自己承認欲求くらいしか残ってないからこうやって必死にSNSでアピールをしていると思うんです(笑)
しかし、自己承認欲求さえ満たしてしまい、もう他に何も手に入れるモノがなくなったとき、捨てたいという新たな欲求を見つけてしまうのかもしれません。
断捨離とかミニマリスとという言葉が流行するほど、「欲しい」でなく「捨てたい」という思いを満たすことで充実感を得られる、「何かを捨てる」ことが新たな欲求として理解され、浸透し始めていることを恐ろしく感じます。
あと、「世にも奇妙な物語」で以前見た作曲家の話も思い出しました。
作曲のために静かな環境を探し、防音室にこもった作曲家がまだ音が聞こえる、とペンを自分の心臓に刺して鼓動を止める、という話です。
(※ここからメモのようなものをまとめた内容になるので一層まとまりがなくなります・・)
アナナスが憧れている「アーチィの夏休み」はイーイー…の元になった人間のその記憶でしょうか。
彼は溺れた犬を救おうとして亡くなり、その人格を元にイーイーが形成された・・?だから自分が死ぬ原因となった犬をよく思っていない。
アナナスは特に最後の方はよく海のイメージを頭に描いていますが、それはイーイーが«クロス»をしてアナナスに自分が持つ記憶のイメージを流し込んでいるから?
イーイーがアナナスに記憶をもたらすことをよくないとしているAVIANはピパを用いて別の記憶を流し込んで矯正しようとするけれど、うまくいかない。
イーイーからもたらされる記憶と、Serviceで行われる矯正によってアナナスは記憶障害を起こしている・・・のかなあ?
AVIANは浄化の後、また生徒をつくり、同じことを繰り返すのでしょうね。けれど、AVIANの管理下を離脱したアナナスをAVIANは操ることができない。
浄化後のアナナスは浄化前のアナナスとはまた違うである上に、イーイーの心(というか人格というか‥)も付加されている。イーイーは消えてしまったので、浄化後の世界には存在しない。
こう考えると、髪をピンクに染めた少年(これは浄化後のアナナスと思います)が砂浜を歩いていく描写とイーイーの行動が一致するんですよね~。
この話が特にややこしいのが最後の「南国の島」という章ですが、数種類の世界線のようなものが入り混じっているように思えます。
ロケットでテレヴィジョン・シティを脱出しようとするアナナス、カナリアン・ヴュウで休暇を過ごしそのまま島に留まったアーチィ、浄化後のアナナスの3種類かと推測します。
テレヴィジョン・シティはAVIANというコンピュータが管理・作動しているわけですが、すべてはこのAVIAN内での話であり、生徒たち、家族についての概念、鐶の星、青い惑星に対するあこがれもすべては実体として存在しないのかもしれません。 -
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お菓子を中心とした著者の自伝的エッセイ
長野作品の魅力の一つにはお菓子があると思います。中でも蜂蜜のイメージが私は強いのですが。
そんな長野さんですから、さぞかし素敵なお菓子を沢山食べてきたのだろうな、と。
さすがに脱脂粉乳は飲んだことが無いですが、懐かしいお菓子がたくさん出てきました。ハイクラウン!あー好きだったなぁ、そう言えば妖精を描いたようなカードが、確かに入ってました。ああいうパッケージ今は無いですよね。
味もそうですが、パッケージにも強いこだわりがあったというのも知ることができました。長野さんは美大だったんですね。長野作品には、常々色が感じられると思ってましたが、こういう所からなんだろうなと、納得しました。 -
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ネタバレ残酷なこの世界は、とても美しくて。
主人公・一(はじめ)は、田舎町の医者の末息子。双子の姉と兄とは年が離れている。地域の力関係が反映する学校では優等生を演じている。ある日、七月(なつき)が転校してきたことで、一の日常が変わり始める。
長野まゆみ的な、というのか。夏なのにからっとした潮風の爽やかさを感じる。主人公は美しい「未青年」であり、彼を取り巻く登場人物たちも、実際には居ない美しさを持つ。フィクションを思う存分に味わえる、薄荷菓子のような色気に満ちた世界。この物語は思春期女子には効くだろう。
自分の性的志向にコンプレックスを持つ。幼い頃自分を女だと信じ、またそのように振舞っていたのは双子の兄・十(みつる)と姉・百(もも)のせいで、彼らに今も振り回されていると思っていた一は、とあることから真実と彼らの愛情を知る。敵意を向けられ、体調を崩すまでに自分の世界を犯してきた七月とも、数々のすれ違いを繰り返し、距離を縮め、彼の想いを知る。変わったような、変わらないような、地元の有力者の息子であり教室の支配者である健との関係。一時はひび割れ崩れたかと思いきや、前と同じではないけれど穏やかなところに着地した令哉との関係。頼る人である従兄の亜細亜。どの登場人物も、一を愛している。そこがどうしようもなく、この世界に浸ってしまう。 -
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夏なので、夏っぽい長野まゆみ作品を再読しようキャンペーンそのいち。
以前読んだのはちょうど10年前くらい。そんくらいの頃に長野まゆみをまとめて読み漁ったので、1冊1冊の印象が薄くてどれがどの話かよく分からんなっとるのが多いので、再読してちゃんとレビューを書かねばと思っていたのでした。
あとがきによるとこれは子どものためと銘打ったものらしいけど、成長途中の少年が不思議な男の子に出会って謎体験するっていういつものパターンなのよね。
成長途中といっても、弟史の場合は性の目覚めが強調されとるように思うが。
いたのかいなかったのかも分からない、もうひとりの兄との交流もほとんどなくて、彼は何で今このタイミングで出現したんだろうね。
昭和な生活環境が覗けて、鈴の音が聞こえてくるなんとも風通しのいい涼しげなお話でした。
そうそう、あとがき読んで思ったけどこの人も梨木香歩と同じで、エッセイぽいのになると途端に苦手な感じになる。 -
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昭和初期の匂いを持つ耽美小説
閉鎖的な集落の名門の素封家で何があったのか。
二重人格である哉と玲。
彼らを愛する学校の教師や画家…BLというより
背徳小説の感じ。
この少年の多重人格と、彼の血縁で過去の世界に
精神を飛ばして生きている寧子おば。
彼女がかつて亡きものにした御幸。
この三人と、この集落で行われる宵祭の晩の
少年の死が軸になって、解決されない狂気が
雨に閉じ込められた世界で綴られていきます。
薄くてすぐ読み終わってしまいますが、これが長かったら途中で読み疲れてやめたろうから、これで良かったのでしょう。
事件の真相や多重人格は解決されていませんが、解決や手の内を見せることを狙ったお話ではないので、雨に降り込まれて、周囲の人々のように
「こうだったのではないか」
と朧に考えてページを閉じるのが正解だと思いました。
ちょっとヘルマン・ヘッセの小説を思い出したのは
私だけかな? -
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「つまりね、ホンモノかレプリカかということが、なぜ重要なのかということだよ。」(p.154)
本人と区別がつかないほど精巧に作られたレプリカキットが出回る世界。従弟の葡萄丸と暮らす百合彦と、彼の友人野茨を中心としたSF風のお話。
野茨とレプリカの区別がつかない百合彦は本物の野茨を探すうちに、一体、何が野茨を本物と証明することになるのかと考え始める。
一方、本物の野茨はレプリカの百合彦と会っていたらしく、自分の気付かないうちに自分のレプリカが作られ、動いている。それも、1つではなく無数に存在するとなるともう本物がどれだったのかさえわからなくなる。
案外、友人のレプリカに戸惑う百合彦本人がレプリカだった…なんてことも考えられる。
ラストで新たなレプリカが登場したことにより、いなくなった人の埋め合わせとして、すぐに入れ替わりのレプリカが送られてくるのかもな…と思った。そうやってレプリカにどんどん交代させていくと、もう生身の人間が1人もいなくなるのかもしれないなぁ……結構怖い。 -
Posted by ブクログ
★宇宙百貨活劇
かわいい双子の少年ミケシュとロビンに終始癒される。ほのぼのとしていてファンシーな短編集。2人はいつも何処へ行くにも一緒。時々喧嘩もするけれどすぐにお互い反省して仲直りできてしまう。ひっそりと探偵社を営むお父さんが少年たちの無理難題に頭を悩ます姿も良かった。
個人的に第九話の「スノー・スノー・ボーイ」がお気に入り。実は寒さに弱いロビンがミケシュに手伝ってもらわないと着替えも出来なかったり、外出したくなくて愚図る姿が意外で可愛らしかった。凍えてしまったロビンの躰を暖めようと抱きついたミケシュと、頬同士をくっつけて微笑む姿はとっても微笑ましかったです。
今回も、ロケット壜のストロベリィ味ソォダ水、ショコラマシュマロ入りのシュウクリイム、夜天から降る流星(ドロップ)など美味しそうな食べ物がてんこ盛りでした!
★ことばのブリキ罐
長野作品に登場する食べ物、鉱物、鳥など様々な単語の意味や由来が登場した作品と共に紹介される作者お手製の辞典。実物を見に行ったり、写真を探して見たり、活字やルビからどんな物かと想像するのも愉しいです。『少年アリス』や『魚たちの離宮』などの初期作品に出てくる物の紹介が多かったけれどもっと色んな作品に出てくる小物の辞典も見てみたいなぁ〜