長野まゆみのレビュー一覧

  • カムパネルラ版 銀河鉄道の夜

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    初出 2017〜18「文藝」

    デビュー30周年記念小説と銘打たれているが、
    小説の形をとった『銀河鉄道の夜』の創作過程と背景の分析と、それに関わる中原中也論と言うべきか。
    ジョバンニは生還するのに、なぜカムパネルラは帰らなかったのか、その理由を知りたいというのが動機で、銀河通信の記者松本がカムパネルラにインタビューするのだが、時にカムパネルラを遮って自分の意見を述べ、中原"宙"也が割り込んでくる。ジョバンニは少年期の賢治で、カムパネルラは青年期の賢治なのだという。
    それにしても「銀河鉄道の夜」の原稿が第1次〜第4次まで残っているとは知らなかった。

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    2019年02月15日
  • 改造版 少年アリス

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    少年が成長していく過渡期にありそうな冒険譚。植物、鳥、鉱石。星の巡り、色彩の表現。宮沢賢治的な匂いが漂ってきます。少年二人が主人公であるところも「銀河鉄道の夜」を連想させます。 夜にしか見えない質感や色合いを思い浮かべながら読みたい。

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    2019年02月04日
  • 咲くや、この花 左近の桜

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    ネタバレ

    前作ほど抵抗感なく読めた。
    父親は理解できない。自分が親になったけんやとおもうけどほんっっとに理解できない。意味がわからない。次のも読むと思うけど、本当の父ではありませんでしたとゆーおちを期待するほどあの父親の姿勢には嫌悪感を覚える。納得できるような説明があるだろうか。
    まあ高校卒業したからな。主人公は少年じゃなくなったってことやし関係性もかわるかもしれん。化生からの見られ方もかわるんかもしれん。


    3巻読んだあとの追記
    マサキはやっぱり実の父やなかったやんか。

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    2019年07月13日
  • メルカトル

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    地図収集館で働く孤児院育ちの主人公のもとに、メルカトルという人物から手紙が届いてことがきっかけで、次々に不可解なことが起こる。
    一つずつ話が進むたびに、少しずつ謎が解けて行くのだが、「地図」という冒険に使うアイテムが主人公の進む道を示すアイテムになっていて、謎解きと冒険が合わさったようなストーリー。
    よくある長野まゆみの世界観とは少し違う、ファンタジー。

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    2018年12月31日
  • 三日月少年漂流記

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    うーん、文章もきれいだし描いている場面なんかもとてもきれいだし、ストーリーもそんなに悪くないんだけどなあ。この人の作品はそのきれいさだけが目だってしまって、いつも読み終わったあとにグッとくるような印象がないんだよな。この辺が僕の言うところの、女性における少年的せつなさの欠如なのだろうか?

    再読 19970315

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    2018年10月15日
  • クリスマスの朝に

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    挿絵も著者による。
    最近は見ないけど、前は挿絵も自分で描いてるのが多かったよね。

    ペットの黒うさぎシルヴェスタがぬいぐるみになってクリスマス旅行に連れて行くことが出来た。

    クリスマスが終わったら、サンタクロースだろうチッカディさんが戻ってきたら、生きたうさぎに戻してもらえるのか。
    今の著者ならウサギに戻れなさそうだけど。
    当時なら、甘いハッピーエンド、本当に絵本してそう。

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    2018年09月29日
  • 兄と弟、あるいは書物と燃える石

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    ネタバレ

    現実と虚構が混ざる話も双子の話も好きで、これもすごく面白かった。話なかなか進まんなと思いよったけど最初から進んでなかったんやなー。状況説明しよるだけやのに、話進んでないのに先が気になった。
    誰の頭の中なのか分かったところで、でもよくわからん謎も残っとるけど、伏線(?)を読み返すのも探すのもたいへんやけんこのままでいいわい。『野ばら』の夢現どっちか分からん感もこんな感じやった気がする。いや長野まゆみこんなんばっかか。
    しかし、この手記?一体誰の文章の体で書いとるのや、くどくて読みにくいな、と思いながら読んでた。最近の長野まゆみの文体がこんなんてわけではないよね?????

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    2018年09月17日
  • デカルコマニア

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    誰が誰で誰が親で子なのー?!
    家系図を作ろうと試みた少年と一緒に、
    読めば読むほど混乱して迷子になって、
    最後にそっと道を示してくれた感じです。
    たくさんの少年が出てきたけど、たくさんじゃなかった。
    もう一度読んで家系図つくろうかな。(笑)

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    2018年09月11日
  • 銀木犀

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    最初から最後まで、主人公の見た目も年齢もわからないまま、夏の蒸し暑さや、熟れすぎた果物の半分腐ったような感触が物凄く印象に残る作品。

    物語自体も短く、短編ずつ区切られているのでさらりと読めるかと思ったけれど内容が割と重くて、読み終わった後も作品の雰囲気にしばらく引き摺られてしまう。

    『銀木犀』というタイトル通り、銀木犀を中心に進む物語だけれど、途中から現れる不思議な少年に主人公の日常が掻き乱されてしまう。死んだ鳥の卵や、巣から落ちたヒナだったり、扱い方がわからずに投げ出してしまった小さな命の罪悪感にひたすら囚われてしまって苦しんでいる姿と、泥に沈んでしまいたいといった自虐が混ぜこぜになって

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    2018年08月21日
  • デカルコマニア

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    この人の本は読むのに時間がかかる。
    なんとなくおもしろいのだがはまれない。
    解説に少女漫画と。なんか納得。独特の魅力と裏腹な拒絶感はまさに少女漫画ぽい。

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    2018年08月09日
  • メルカトル

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    地図収集館というところに魅かれる。それが当り前にあって、それを普通に使っている様子に、これこそがこの館の役割だろうなと、ちょっとうらやましくある。

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    2018年08月05日
  • 兄と弟、あるいは書物と燃える石

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    その家とその本は、何を隠しているのか──?猫の住む家に集う人々とカルト的人気の小説を幾重にも取り巻く甘美な罠。謎に満ちた物語。

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    2018年07月26日
  • 野川

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    両親の離婚により転校することになった音和。野川の近くで、彼と父との二人暮らしがはじまる。新しい中学校で新聞部に入った音和は、伝書鳩を育てる仲間たちと出逢う。そこで変わり者の教師・河合の言葉に刺激された音和は、鳥の目で見た世界を意識するようになり…。ほんとうに大切な風景は、自分でつくりだすものなんだ。もし鳥の目で世界を見ることが、かなうなら…伝書鳩を育てる少年たちの感動の物語。

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    2018年07月26日
  • 新装版 夜啼く鳥は夢を見た

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    少年は夢見るように微笑みながら沼の中へと消えた……従兄の草一を訪ねた紅於と頬白鳥の兄弟。彼らの瑠璃色の愛を描いた初期傑作!

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    2018年07月05日
  • 猫道楽

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    あらすじも読まず、猫の話だと思って読んだら違うネコの話でびっくり(笑)
    今まで読んだ長野作品はさらっとしている感じだったけれど、これは割とガッツリ書かれているので読む人を選ぶかもしれない。
    提灯の話が好きです。

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    2018年05月17日
  • 咲くや、この花 左近の桜

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    左近の桜、続編2巻目。
    なんだか段々桜蔵くんが不憫に思えてきてしまったけれど、変わらず綺麗な情景描写と妖しげな世界観が好きです。
    気になる終わり方だったので続編も読みたい。

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    2018年05月02日
  • メルカトル

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    地図を巡る不可解な事件と、それを取り巻く人物たち。
    だけど読み進めていくと、あの人とあの人がこんなところで繋がっていて…あの人とこの人も知り合いで…そうこうしているうちに意外な結末に辿り着いてしまい、主人公のリュスと同じくらい呆気に取られてしまった。だけど読み終わった後は何だか心がすっきりする。まるでお洒落な洋画を観ているような気分でした。

    でも、終始翻弄されて振り回されっぱなしだったリュスがやっぱり気の毒だなぁ……

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    2018年03月29日
  • メルカトル

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    昔のようなそれほど昔でもないような不思議などこにあるのかわからない街とそこに住む不思議な人々の紡ぎ出すお話し。読み進んでいくほどに広がっていきそうな展開がパタパタと内側に向かって倒れて一つの焦点にあつまってくるような不思議な感覚を覚える筋書き。

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    2018年03月17日
  • メルカトル

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    行きつけの本屋さんにお目当ての本が置いてなかったので代わりにこの本買って帰る。

    中学校(?)で習った地図の図法。メルカトル、モルワイデ、グード、ボンヌ、ランベルト…、色々あって試験にも出たけど、今やどれがどんなとか分からないや。

    さて、この本、救済院で育ち学資を稼ぐために地図収集館で働くリュスのもとにメルカトルなる人物から一通の手紙が届いた時から、彼の周りには変わった人々が現れ、次々と変わったことが起こる。

    う~ん、読み終わってみて分かるけれど、何とも面倒くさいお話しね。
    ああいう理由でわざわざああいうことしなくてもいいんじゃないっていう気がするけど、それじゃあ、お話にならないってか。

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    2018年03月10日
  • メルカトル

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    11年も前の単行本が今文庫化されるとは!(喜)
    文庫化につき再読。
    次々と現れる女性たちと少年に翻弄される青年リュス。
    とはいえ、クールでどこかズレてるリュスに、 みんな手応えを感じず?(笑)
    最後に謎解きがあって、スッキリ終われた。
    (長野作品には珍しく・笑)
    地図収集館という設定が好き。

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    2018年03月08日