津村記久子のレビュー一覧

  • やりなおし世界文学(新潮文庫)

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    もっと海外文学を読みたいけど、何から読んだらいいのか…と思い、手に取った作品。
    津村さんが、今まで読んでこなかった作品を読んで、その感想をまとめています。
    主に海外文学が紹介されています。

    登場人物たちの心情や人生を丁寧に読み解き、深く感動したり楽しんでいる津村さんの書評がとても良い。
    時に「知らんがな」とツッコミながら肩肘張らずに読んでいる様に、あーこんな風な感想を持っても良いんだなぁとホッと安心させてくれます。
    F・W・クロフツのミステリ『樽』について「樽萌えの小説」と評したり、ボリス・ヴィアンの恋愛小説『日々の泡』について「働きたくないという気持ちを書いた小説」と評する津村さんの感性が面白くてとても好きだ。

    恥ずかしながら、紹介されてる作品はほとんど読んだことなかったです。
    読んだことのある作品がもっとあれば、より楽しめたんだろうなぁ。
    紹介されている作品を読んだ後に津村さんの書評と自分の感想とを比べてみたい…!という欲がフツフツと湧いてきます。なので、読みやすそうなものから少しずつ読んでいきたいです。

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    2026年08月02日
  • ポトスライムの舟

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    特に心に残ったのは、併録作『十二月の窓辺』が漂わせる絶妙でどこか切ない空気感です。人はあまりに苛烈な苦痛や生への窮迫に直面した際、他者への配慮や広い視野を失ってしまう。
    作品が浮き彫りにするその悲痛な真理に触れ、如何なる状況においても心に余白を携えて生きるべきなのだと、強く自省させられました。
    表題作・併録作ともに、純文学特有の密度の高い文章美が心地よく、「読ませる」力を持った一冊でした。

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    2026年07月25日
  • サキの忘れ物(新潮文庫)

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    意思がなく流されがちな主人公が一冊の本をきっかけに人生を変える話。他8編

    津村さんはいつも私の思いつかない方向から攻めてくるなぁと思い読んでいる。新しく知らない領域を読める楽しさ。ゲームブックは何度もすぐ死んでしまった笑。常に売れる優秀な短編集

    とりとめのない話を集めた短編集ですが、全部合わさると津村色を物凄く濃厚に感じて不思議です。静かな一歩踏み出すための話が多数

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    2026年07月18日
  • ポトスライムの舟

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    著者の作品は何冊か読んでいるが、この芥川賞をようやく読んだ。純文学ということになるのだろうか

    文章は好き
    芥川賞ゆえに何も起こらず終わる

    併録された作品はパンチ力あり
    こちらも事態が好転することは無いだろうなと思いつつ読み進めて、まさかのホラー展開

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    2026年07月12日
  • 枕元の本棚

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    プロの作家の読書力は素晴らしい。マニアックな本のオンパレードだがどれも読んでみたくなる魅力に溢れた書評エッセイ。

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    2026年06月29日
  • アレグリアとは仕事はできない

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    現在の津村さんの作品とは違う、毒のある生々しい煽るような言葉をあえて使ってる感じだった。
    (私が読んだのはちくま文庫2013年発行のものだから、作品群の中でも「若い」ほうなのかも)
    「地下鉄の叙事詩」はいっそもうホラーのように思えた。

    読んでいる間じゅう、焦燥や怒りや空虚な感情、負の感情でぐるぐるになった。掻き回されて、苦しくつらいと思った。それが最後には少しの救いがあって、状況は変わってないし、これからよくもならないままなのに、一瞬息をつかせてくれる。現実もそうであったならどんなにいいか。

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    2026年06月26日
  • やりなおし世界文学(新潮文庫)

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    難しい古典も難なく読まれている気がする。すごい。この中の本、ほとんど読んでいない私、いつか読めるだろうか。
    もっと、親しみを持って読んでいけたら、楽しそうだと思った。

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    2026年06月24日
  • 浮遊霊ブラジル

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    うどんの話が続いたので連作かと思いきや関係なかった。ほどよい短さの短編集。
    『地獄』が発想がすごくておもしろい。たとえ自我が保てたとしてもやっぱり死ぬのは嫌だ。

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    2026年06月13日
  • 枕元の本棚

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    自分では知りえない本ばかりで、ちょっとマニアックでとても興味深い!作家さんなのでいろんなアンテナを張ってるんですね。
    少しずつ気になる本読んでいきます。

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    2026年06月10日
  • この世にたやすい仕事はない

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    ネタバレ

    仕事に疲れた30代女性が短期の仕事を転々としていく。章ごとの表紙が妙に怖い。見張り、バスのアナウンス原稿作成、お菓子の袋の内容作成、ポスター貼り、公園整備の仕事はどれも初めて聞く仕事内容で社会を知れた気がして面白かった。掴みどころのない不思議な主人公。

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    2026年06月06日
  • ポトスライムの舟

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    こういう温度感の話好きなんだよな〜
    と思ってたけど十二月の窓辺はあまりに前職の自分がチラついて…当時はどこに行ってもダメだと思ってたけど、全然そんなことなかったな。
    こうやって学生時代ぶりに本読んだり音楽楽しむ余裕もなかったな。嫌な環境の職場って害でしかない。やだね〜ほんと。(感想じゃなくて日記になるシリーズ)

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    2026年06月05日
  • この世にたやすい仕事はない

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    働くって何、仕事に没入していてふと立ち止まって考える機会って中々ないが巡り巡ってそうだよねって思える作品とでもいいますか。
    ただ祈り、全力を尽くすだけ。

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    2026年06月04日
  • ポトスライムの舟

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    ネタバレ

    表題作がとても良かった。
    薄給の職場で働いていると、ふとした瞬間に「自分の人生はこれで良いのだろうか」「他の人は立派なのにそれに比べて私は……」みたいな思考に苛まれることは自分もよくあるので、共感できるものがあった。
    ナガセは突発的に「世界一周」という夢に向けて貯金を始めるものの、些細なことで散財してしまう自分に嫌気が差してしまう。
    しかし、それは本当に散財なのだろうか?
    親や友人や職場の人たちと関わる中で、自然に「そうするべきだ」「そうしたい」という気持ちがナガセの心を動かしたのだと思う。
    我慢して貯金することも素晴らしいことだとは思うけれど、今この瞬間の僅かなお金の消費が人生を「豊かに」「幸せに」していることも事実ではないだろうか?
    そんな気持ちになったであろうナガセが、手帳を開くことをやめて、自転車で駆け出すラストが非常に爽やかで好きでしたね。
    読みやすい筆致でありながら、お金や仕事や人生に対しての価値観を再考させられるような、奥深い内容だった。
    『十二月の窓辺』のほうは、パワハラに苦しめられている者のお話で読むのが辛い部分もあったが、『ポトスライムの舟』のナガセの前日譚的なものとして捉えて考えてみると面白いと思った。

    薄給でも居心地の良い職場……良いよね(笑)

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    2026年06月01日
  • 君は永遠にそいつらより若い

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    未読だった津村さんのデビュー作。

    今まで読んだどの津村作品よりも、
    主人公が多面的であまりに人間臭く、とてもよかった。

    個人的に構成が若干わかりづらいところがあったり、河北のつかみどころのなさが理解できなかったりしたので4にしてみたけれど、限りなく5に近い。

    オカノ、好きだなあ。

    p. 153
    魂と肉体の組み合わせは無数にあり、その相性がよくないことに悩むことのなにを責められるというんだろう。両者の間の軋みを感じることができるのは当事者だけなのだ。

    解説が、解説しすぎていてナンセンスに感じて途中読み飛ばしてしまった。
    読み手がどう感じたか、それでいいのに、これはこの社会問題で…みたいに線を引くことに抵抗と不快感を感じた。
    とても気に入りの作品になったからこそ、実写は観たくないと思った。
    自分のなかで大切にしていたい。

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    2026年05月31日
  • ポトスライムの舟

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    「ポトスライムの舟」と「十二月の窓辺」の中編2本が収められている。2つの作品は独立しているが、後者は前者の前日譚であるらしい。なので、後者の主人公ツガワは前者の主人公フカセと同一人物という事になる。確かに人物造形的に繋がりが感じられて、フカセの理解には後者も読んだ方がより理解が深まるだろう。

    解説でも触れられているが、文体が独特で静かな語り口であるのだが、中々にハードボイルドで、主な登場人物がカタカナで表記されている事により客観的に物語に入っていける。
    両作品ともいわゆるロスジェネ世代の女子の人生観や仕事観がよく表現されているように感じるが、僕がそこからかけ離れた世代であるのでどうでしょうか。

    「ポトスライムの舟」では幼稚園の恵奈ちゃんのキャラに惹かれ、「十二月の窓辺」では、V係長のあまりのブラックさに呆れを通り越して恐怖すら覚えた次第ですが、一冊読み終わり「ディス・イズ、ザ・デイ」の読後感にもあったのですが、ほのかな優しさが感じられて、津村さんの他作品も続けて読みたいと思いました。

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    2026年05月30日
  • やりなおし世界文学(新潮文庫)

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    サラサラっと読んだ。
    本のブックガイド的に使っていきたい。
    津村さんの注目する点が面白く感じた。
    読んでない本ってまだまだあるなと感じた。

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    2026年05月27日
  • この世にたやすい仕事はない

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    ありそうでなさそうな仕事が、夢を見ているようで面白い。
    自分もこの主人公に似てると思った。
    淡々としているが慣れてくると好奇心が勝って自分がしんどくなるラインを踏み越えてしまう。

    あとは、路地の話にあった、団塊世代への描写がキレッキレで最高だった。

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    2026年05月25日
  • ポトスライムの舟

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    久しぶりに小説を読んだ。選んだのは、津村記久子さんの『ポトスライムの舟』。
    映画『君は永遠にそいつらより若い』を観て以来、ずっと気になっていた作家さんだ。文芸評論家の三宅香帆さんもお薦めしていたので、「それならまずはデビュー作から」と手に取ってみた。のちに芥川賞受賞作だと知り、そういえば当時ニュースで見聞きした記憶がうっすらと蘇る。

    慣れない関西弁に最初は少し戸惑ったものの、読み進めるうちに、それが逆に主人公・ナガセの思考をダイレクトに脳内へ届けてくれるような感覚に変わっていった。彼女の淡々とした日常の中に、自分も一緒に没入していくような心地よさ。

    読み終えたとき、これはまさにあの映画と同じテイストだ、と腑に落ちた。
    そう言えば、今作の主人公「ナガセ」も、映画の主人公「ホリガイ」も、なぜかカタカナの名前だ。どちらの作品も、彼女たちの地続きの日常を丁寧にたどりながら、ラストには驚くほど前向きな光へと導いてくれる。
    津村さんにとって、小説とは「人を前向かせる役割」を持つものなのだろうか。それとも、執筆を通して自分自身を奮い立たせているのだろうか。

    ナガセがアウトリガーカヌーに乗った男の子に告げたように、私も心の中で呟いてみる。
    「また会おう」
    津村記久子さんの言葉に、再び出会える日を楽しみにしている。

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    2026年06月06日
  • うどん陣営の受難

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    このレーベル(?)、2冊目ですが薄くて気軽に読めて表紙もオシャレでいいなあ。
    久しぶりに小説読みたいな…って層にもおすすめできそう。

    そして安定の津村さん。
    ふざけているのか真面目なのか。よく分からないラインを堅実に歩いていく。
    私は津村さんの会社小説に出てくる登場人物たちに大体好感を持つし、なにより読後感が好きなんですよね。
    なんだろう、謎の爽やかさに少しの切なさが混ざっている。大人、みんな働いて生活してんだな、そうさつまりこういうことなんだよと、背中をポンポンと叩いてくれるような…

    それにしても緑陣営、緩そうで意外と強固な絆が「うどん」なの面白い。うどん好きに悪い人間はいないのか。どん兵衛なら緑はそばだけどね…

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    2026年05月05日
  • この世にたやすい仕事はない

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    ネタバレ

    主人公に世代と境遇が近く、自分も現職を辞めたらこうなりそうだと思いながら読んだ。気がついたら仕事に没頭してしまう性格も似てた。やりようを見出すと没頭してしまう。やりがいではなくやりよう。それで期待以上の成果を出すものの疲弊している。何が起こるかわからない中で大抵のことは受け入れて、ただ全力を尽くし、どうかうまくいきますようにと祈る…というスタンスでしかないのに。箱田さんみたいな憎めない上司がいたらいいな。主人公の性別が途中まで伏せられていたのは構成の妙かな。純文学は苦手な方だけど楽しめた。

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    2026年05月03日