津村記久子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
もっと海外文学を読みたいけど、何から読んだらいいのか…と思い、手に取った作品。
津村さんが、今まで読んでこなかった作品を読んで、その感想をまとめています。
主に海外文学が紹介されています。
登場人物たちの心情や人生を丁寧に読み解き、深く感動したり楽しんでいる津村さんの書評がとても良い。
時に「知らんがな」とツッコミながら肩肘張らずに読んでいる様に、あーこんな風な感想を持っても良いんだなぁとホッと安心させてくれます。
F・W・クロフツのミステリ『樽』について「樽萌えの小説」と評したり、ボリス・ヴィアンの恋愛小説『日々の泡』について「働きたくないという気持ちを書いた小説」と評する津村さんの感性が面白くてとても好きだ。
恥ずかしながら、紹介されてる作品はほとんど読んだことなかったです。
読んだことのある作品がもっとあれば、より楽しめたんだろうなぁ。
紹介されている作品を読んだ後に津村さんの書評と自分の感想とを比べてみたい…!という欲がフツフツと湧いてきます。なので、読みやすそうなものから少しずつ読んでいきたいです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ表題作がとても良かった。
薄給の職場で働いていると、ふとした瞬間に「自分の人生はこれで良いのだろうか」「他の人は立派なのにそれに比べて私は……」みたいな思考に苛まれることは自分もよくあるので、共感できるものがあった。
ナガセは突発的に「世界一周」という夢に向けて貯金を始めるものの、些細なことで散財してしまう自分に嫌気が差してしまう。
しかし、それは本当に散財なのだろうか?
親や友人や職場の人たちと関わる中で、自然に「そうするべきだ」「そうしたい」という気持ちがナガセの心を動かしたのだと思う。
我慢して貯金することも素晴らしいことだとは思うけれど、今この瞬間の僅かなお金の消費が人生を「豊かに」「幸せに」していることも事実ではないだろうか?
そんな気持ちになったであろうナガセが、手帳を開くことをやめて、自転車で駆け出すラストが非常に爽やかで好きでしたね。
読みやすい筆致でありながら、お金や仕事や人生に対しての価値観を再考させられるような、奥深い内容だった。
『十二月の窓辺』のほうは、パワハラに苦しめられている者のお話で読むのが辛い部分もあったが、『ポトスライムの舟』のナガセの前日譚的なものとして捉えて考えてみると面白いと思った。
薄給でも居心地の良い職場……良いよね(笑) -
Posted by ブクログ
未読だった津村さんのデビュー作。
今まで読んだどの津村作品よりも、
主人公が多面的であまりに人間臭く、とてもよかった。
個人的に構成が若干わかりづらいところがあったり、河北のつかみどころのなさが理解できなかったりしたので4にしてみたけれど、限りなく5に近い。
オカノ、好きだなあ。
p. 153
魂と肉体の組み合わせは無数にあり、その相性がよくないことに悩むことのなにを責められるというんだろう。両者の間の軋みを感じることができるのは当事者だけなのだ。
解説が、解説しすぎていてナンセンスに感じて途中読み飛ばしてしまった。
読み手がどう感じたか、それでいいのに、これはこの社会問題で…みたいに線を引くことに抵抗と不快感を感じた。
とても気に入りの作品になったからこそ、実写は観たくないと思った。
自分のなかで大切にしていたい。 -
Posted by ブクログ
「ポトスライムの舟」と「十二月の窓辺」の中編2本が収められている。2つの作品は独立しているが、後者は前者の前日譚であるらしい。なので、後者の主人公ツガワは前者の主人公フカセと同一人物という事になる。確かに人物造形的に繋がりが感じられて、フカセの理解には後者も読んだ方がより理解が深まるだろう。
解説でも触れられているが、文体が独特で静かな語り口であるのだが、中々にハードボイルドで、主な登場人物がカタカナで表記されている事により客観的に物語に入っていける。
両作品ともいわゆるロスジェネ世代の女子の人生観や仕事観がよく表現されているように感じるが、僕がそこからかけ離れた世代であるのでどうでしょうか。
「ポトスライムの舟」では幼稚園の恵奈ちゃんのキャラに惹かれ、「十二月の窓辺」では、V係長のあまりのブラックさに呆れを通り越して恐怖すら覚えた次第ですが、一冊読み終わり「ディス・イズ、ザ・デイ」の読後感にもあったのですが、ほのかな優しさが感じられて、津村さんの他作品も続けて読みたいと思いました。 -
Posted by ブクログ
久しぶりに小説を読んだ。選んだのは、津村記久子さんの『ポトスライムの舟』。
映画『君は永遠にそいつらより若い』を観て以来、ずっと気になっていた作家さんだ。文芸評論家の三宅香帆さんもお薦めしていたので、「それならまずはデビュー作から」と手に取ってみた。のちに芥川賞受賞作だと知り、そういえば当時ニュースで見聞きした記憶がうっすらと蘇る。
慣れない関西弁に最初は少し戸惑ったものの、読み進めるうちに、それが逆に主人公・ナガセの思考をダイレクトに脳内へ届けてくれるような感覚に変わっていった。彼女の淡々とした日常の中に、自分も一緒に没入していくような心地よさ。
読み終えたとき、これはまさにあの映画と同じテイストだ、と腑に落ちた。
そう言えば、今作の主人公「ナガセ」も、映画の主人公「ホリガイ」も、なぜかカタカナの名前だ。どちらの作品も、彼女たちの地続きの日常を丁寧にたどりながら、ラストには驚くほど前向きな光へと導いてくれる。
津村さんにとって、小説とは「人を前向かせる役割」を持つものなのだろうか。それとも、執筆を通して自分自身を奮い立たせているのだろうか。
ナガセがアウトリガーカヌーに乗った男の子に告げたように、私も心の中で呟いてみる。
「また会おう」
津村記久子さんの言葉に、再び出会える日を楽しみにしている。 -
Posted by ブクログ
このレーベル(?)、2冊目ですが薄くて気軽に読めて表紙もオシャレでいいなあ。
久しぶりに小説読みたいな…って層にもおすすめできそう。
そして安定の津村さん。
ふざけているのか真面目なのか。よく分からないラインを堅実に歩いていく。
私は津村さんの会社小説に出てくる登場人物たちに大体好感を持つし、なにより読後感が好きなんですよね。
なんだろう、謎の爽やかさに少しの切なさが混ざっている。大人、みんな働いて生活してんだな、そうさつまりこういうことなんだよと、背中をポンポンと叩いてくれるような…
それにしても緑陣営、緩そうで意外と強固な絆が「うどん」なの面白い。うどん好きに悪い人間はいないのか。どん兵衛なら緑はそばだけどね…