【感想・ネタバレ】アレグリアとは仕事はできないのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2023年12月17日

仕事がうまく進まない感じがリアルに伝わってくるというか
心境的にはそんな感じっていう
そしてアレグリアみたいなやつに対する苛立ちとか
こんな極端なシチュエーションではないけど、なんか分かるな、みたい
そしてウッカリしちゃったこととか
別にやる気がないとかそんなのではないんだけど、嫌なんかダルいなって...続きを読むいう
なんも考えたくなくて「あー」しか言えない気分を、言語化できてるというか
そして同僚がおなじくOA機器に愛着持ってるシーンとか、なにか得も言えない感動がある
孤独な世界に、同族を見つけたような
案外近くに、仲良くなれそうな人がいたんだっていう
あと営業の人とかに見下されていたりとか
ナチュラルにダルいなって気持ちがわかり味深い
こういう小説が読みたかったな、ていう感じ

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年02月18日

仕事ができて、他の人の仕事の仕方についてもしっかり見極めて評価していそうな職場の同僚が貸してくれて読みました。
「仕事というもの」「仕事への向き合い方」を考えさせられる物語です。”アレグリア”は事務職に就く主人公の女性(ミノベ)の職場にある複合機。ただのコピー機ではなく、データを受信してかなり大きな...続きを読むサイズの紙で出力する機械のようだ。それがすぐに調子が悪くなる。ミノベはその機械”アレグリア”に対して、かなり感情的になりながら対応する。それに対して、いつもクールで仕事ができる先輩は、「相手は機械なんだからそんなに感情的にならなくても・・・。」と、ドライな対応。アレグリアの不調に悩まされているのは同じなのに態度が全然ちがう。
どちらが仕事人として、正しい態度なのだろう?ミノベの目線で書かれているので、読者はミノベに感情移入し、ミノベの気持ちを理解しない他の男性社員や、先輩に対してちょっと腹が立ってくる。
終盤、アレグリアの不調に耐えきれなくなったミノベと先輩が行動を起こす。ミノベは本当にアレグリアをぶっ壊すつもりだったが、より究極的に、破壊的な行動をしたのは意外にもそれまでクールだった先輩のほうだった。アレグリアのせいで、これまでちゃんとこなしていたことができず、しかもそれを男性社員にネチネチと叱責されたためだった。
私は仕事で、あまり頑張りすぎないことを心がけている。いや、いつも頑張ってはいるが、「持続可能な程度に頑張る」ことを心がけている。仕事の手加減、どれくらい頑張るか、というのは、一つの仕事を長く続けていくにはとても大切なことなのだ。
ミノベとアレグリアとの攻防を描いた物語、ただそれだけでも十分面白く読み応えがあったが、意外な展開で「仕事に対する姿勢」というものを考えさせられる内容だった。
併せて収録されている「地下鉄の叙事詩」は、都心の満員電車内での複数人の心模様を描いている。
私は地方に住んでいて車で通勤しているが、満員電車というものがいかに恐ろしい空間なのか、ドキドキしながら読んだ。3人目までは、満員電車で心の中で悪態をついている人々それぞれの物語だが、4人目からそれがつながり、最後には一番若い女の子に感情移入して泣きそうになる。まじで痴漢死ねばいいと思う。
2020年、コロナで時差出勤や在宅勤務が取り入れられるようになり、人との距離を取ることが提唱されるようになった。今、通勤通学ラッシュというものはどうなっているのだろう?こんな殺人的な、非人道的なものは、もう二度となくなっていればいいな、と自分には関係ないのに心から思った。

0

Posted by ブクログ 2016年01月17日

一見、大事ではないがおかしいだろってことをまわりはわかっていて何事もないようにしているように見えるとき、自分だけが考えすぎなのかと言い出せずモヤモヤと膿がたまっていくような感覚がリアルに描かれている。

登場人物にとっては辛いことなんだけど頭のいいユーモアを持って描かれているためおもしろく、読みやす...続きを読むい。

自分が言葉に出して叫びたいことを代弁してくれてるようで心が浄化された感じがして気持ちがいい。この感覚は津村さんの本に共通している。これを味わうために津村さんの著書を読みまくっている最中。

0

Posted by ブクログ 2015年11月30日

二つとも、題名や最初の流れからドタバタ喜劇だと思っていたが、そんな事はなかった。真面目な小説。津村記久子って凄いなぁと感心せざるを得なかった。

0

Posted by ブクログ 2014年03月07日

初めて読んだ津村さんの作品でした。

大好きです。
ひねくれてるよなあ、と思いつつ
笑ってしまいます。

ひねくれてる、ってネガティブイメージですが
津村さんの場合はポジティブになります。
文体がそうさせるのか、
ストーリーがそうさせるのか。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年08月23日

表題作は1ページ目から面白かった。アレグリアを罵倒する言葉のバリエーションの豊かさに笑ってしまった。
まともにコピーもできないなんて、文句の一つも言いたくなるのは分かる。分かるけど、あまりに細かいのでそうイライラせかせかするなよと言いたくなってくる。そこへ来て先輩の冷ややかな一言で凍えそうになった!...続きを読む
たった二年とはいえ一緒に仕事をしてきた二人の仲が、こんな機械ひとつで亀裂が入るのは悲しかった。仲直りできて良かったけれどもう一緒に仕事をすることはないのが切ない。
ただの複合機の話なのになんでこんなに面白いんだろうと不思議だった。

二作目は電車の痴漢の話で気持ちが沈んだ。
人は見たいものしか見ないのかもしれない。男の目に映っているものと、女の目に映っているものが違うかもしれないと思った。
特に大学生のイチカワ視点だと、隣の人が痴漢に遭っていても気づきもしないのが現実、と思うと悲しくなる。
同じ場にいた四人それぞれの視点に切り替わっていくのが良かった。

0

Posted by ブクログ 2023年07月20日

うーん、なんというか津村記久子のいいところ無しでネガティヴな部分だけが際立った一冊かな。彼女の良さって世の中の窮屈さや生きづらさや会社での苦しさをベースにしながら、その中での人の気持ちの触れ合いとかを上手に描くとこかと思ってたんだけど、この本の二編にはそれがない。ひどい複合機で辛いだけ。地下鉄の中で...続きを読むみんな殺伐としてて辛いだけ。救いがないよ。特にアレグリアの方は過去プリンタの保守をやっていた自分としては全く感情移入出来ないし笑えもしなかった。地下鉄の方は言いたいことわかるし俺も尊大やら無礼な奴らには辛辣だけど、ここまでじゃないなあと冷めて読んでた。

0

Posted by ブクログ 2022年03月03日

ミノべのキャラクターが一貫している。当たり前だけど同性同士だからといって何から何まで共感できるとは限らない、当たり前だけど。頼りにしていた存在との相容れなさに気づく過程が切ない。

『地下鉄の叙事詩』一つの朝を多面的に描いていて面白かった。みんな勝手なこと思ってる。周囲を負け組と見なし、自分だけは特...続きを読む別だと多かれ少なかれ思い込んでしまうあの感じ。それを読み手の中に呼び起こす描写に冷や汗です。あと痴漢する奴は死んじまえよな。

0

Posted by ブクログ 2020年12月17日

電車に乗ってる知らん人ってだいたいキモく見えちゃうけど(ごめんなさい)、それぞれ色々考えてて各々の人生があるんですねとキモさマシなったもののやっぱりどう足掻いても自分が世界の中心ではあってしまうのでキモく見えちゃうねえ
特に態度デカめの中年おっさんおばさんやムカつく顔の大学生とイラチっぽい人間は健や...続きを読むかなる時も病める時もほんま……

0

Posted by ブクログ 2020年11月27日

「アレグリア〜」
私の部屋はスマホしすぎると、インターネット回線が悪くなる。ネットしすぎないの!って怒られてるのかな〜って思う。
「地下鉄の〜」 
SNSとかもそうだけど、なんてことないアイコンの向こう側に変わらない自我が存在すると思うと気持ち悪くなる。

0

Posted by ブクログ 2020年07月22日

魂は万物に宿る。ミノベはそう思っている。
だからこそ、やたらとウォームアップに時間がかかり、1分動いては2分止まり、もうダメェ〜とばかりに8秒間もエラー音を鳴らして黙り込むアレグリア(A1サイズのコピーができる複合機)に対して『怠けている』と思えて、苛立って仕方がない。

わーかーるー!!!

急い...続きを読むでいる時に限って何度も紙詰まりを起こすプリンタ、フリーズするPC、何故か文字化けするファイル、果ては消えるデータ!
相手が機械とはいえ、悪意を持って邪魔してきているのかと思うことは起こる。忙しくて時間がない時を狙いすましたように、それは起こる。

津村記久子さんはお仕事小説の人、というイメージが強いのですが、この本は仕事をする上で日常的に感じる苛々に、それがあまりにも日常的に起こり続けるが故に精神が削られていく様子がリアルに描かれています。

通勤(通学)の満員電車の殺気だった様子を、乗客それぞれの視点から描いた『地下鉄の叙事詩』もまた、あまりにもリアル。

登場人物たちそれぞれのイライラが読んでいるこちらにもうつりそうになりますが、どちらにもちゃんと小さなカタルシスがあるので大丈夫。

面白かったです。


0

Posted by ブクログ 2017年08月27日

「おまえなあ、いいかげんにしろよ!」と叫びたくなるほどの性悪女、アレグリア。男に媚ばかり売って、すぐ疲れたと言っては休み、ふて腐れて動かなくなる。ミノベの怒りはとどまるところを知らないのだが、まわりの反応はいまひとつ。コピー機に文句を言ってもねぇ、と先輩は言うが……。


裏表紙を読んで、コピー機は...続きを読む単に言い回しかと思いきや、アレグリアは本当にコピー機である。正確には複合機。

0

Posted by ブクログ 2016年01月10日

2つの短編集。
アレグリアの方はすぐ壊れる、まったく言うことをきかない複合機アレグリアと主人公との仁義なき戦い。
うちの複合機も時々腹立つ動きをするので主人公の怒りがすごいよくわかるし面白かった!
もうひとつは地下鉄に乗り合わせた人物を視点を変えながらただ自らの人生と重ねつつ批評していく話。
こちら...続きを読むも電車あるある満載で面白かった。
世間にいるマナーの悪い嫌な人々に本気で死んでくれと願ってるような人が出てくるけど、これもわからなくもない。
みんなの愚痴を集めたような話で最後はちょっとすっきりで終わった。

0

Posted by ブクログ 2015年12月09日

 読んでいて辛くて泣きそうになった。すごく重々しい描写はされていないのだけど、不平不満を抱えていたり、自分や社会に対して諦めや限界を感じていたり、自分の立場を守るために他人を見下したりしながら生きている登場人物たちがどうしようもなく孤独に感じられたから。でも決して悲観的なだけではなく、特に「地下鉄の...続きを読む叙事詩」のラストではなんとか前向きに生きていけそうだと思うことができて、また違った意味で涙が出そうだった。

0

Posted by ブクログ 2015年09月03日

短編が2つ収録。表紙のイメージや語りの軽快さから軽く読める感じの話なのかな?と思って読み進めるけど、意外とそうでもない。

<アレグリアとは仕事はできない>
 文句を垂れながらも、なぜだかうまくやっていく主人公は、同著者のほかの小説同様健在。ややバイオレンスな傾向はあるかもしれないが。
 バイオレン...続きを読むスなだけに、もう一人の中心人物「トチノ」は主人公とは対照的。蹴りを食らわせるも大慌てで足跡を消す主人公「ミノベ」と、突然ケーブルをぶった斬る「トチノ」。
 「だからどうしてそれを口に出してくれなかったんですか。」(p.89)の言葉はもっともだし、私自身そう心がけているつもりではいる。しかし、「ミノベ」のように生きるべし、というほど単純なものでもない。そこには孤独との戦いもある。でも、何より、取り返しのつかないことが、起きてしまっている。
 ではどうすればいいんだろう?なんて聞いたところで明確な答えがあるものでもないし、だからこうした小説があるのかとも思う。笑いを誘う文体やきれいな終わり方に救われる感じはするが、結構重い。
 ただ、この話を重いと捉えるのも、よくないことなのかも。

<地下鉄の叙事詩>
 小説を読むのは難しいな、と感じた。
 大学生イチカワのいかにもな斜に構えた態度は、若き日の過ちというか、みっともないな、くらいには思っていた。しかし、語り手が変わってからの徹底的な叩かれっぷりは想像をはるかに超えていた。
 (余談ながら、先日読んだ平山瑞穂『ラス・マンチャス通信』も、語り手と周囲の認識の差が特徴的で、本作を読んでから、いろいろ気付くことになった)
 小説を読み始めたころ、登場人物の心理描写をしっかり見ていこう!と意気込んでいたけど、字面に頼りすぎていたのかもしれないなぁ・・・と、何百と読んできて今更ながらに気が付いた。読んでよかったと思う。

0

Posted by ブクログ 2015年08月28日

表題作は、コピー機をめぐる会社員小説・・・と書くと、地味すぎる物語に思えるかもしれませんが、やはりそこは芥川賞作家による作品、やっぱり読ませます。機械と人間に対するモヤモヤした気持ちが交錯しながら物語は進みます。きっと一気に読ませます。

同書に収録されている「地下鉄の叙事詩」では、電車という機械と...続きを読む乗客という人間に対するモヤモヤした思いが増幅されていきます。その意味で、表題作の延長にあります。

0

Posted by ブクログ 2015年05月01日

面白い!!
表題作はよくPCのエラーに悩まされる私には、共感の嵐。読後のなんともいえない爽快感も良い感じ。
そして併録作のリアリティが素晴らしい。
満員電車ってああだよね。

0

Posted by ブクログ 2014年07月02日

表題作は、アレグリアという性悪な?複合機を通して、会社の中の歪みを浮き彫りにしていく。詳細なアレグリアの仕事に対する描写が滑稽でもあり、ただそれによって暗鬱なリアルな感情が浮かび上がる。不機嫌が不機嫌のままに過ぎていく。所々に自分が感じられる感情が散りばめられていて物語に引き込まれていく。

地下鉄...続きを読むの方は、まあ藪の中、といった感じで構成的には新鮮味はないかなと。

0

Posted by ブクログ 2014年05月29日

「人間と機械は違うでしょう」
「同じですよ」

アレグリアというコピー機は大事なところで動かなくなる。
機械に本気で腹を立てる女子社員の主人公と、
いつも涼しい顔でおだやかな先輩と、
アレグリアを通じて恋する修理屋とその他いろいろ。

一台の機械をはさんでここまで人間関係を克明に描けるのか。見せかけ...続きを読むじゃない。本気で生きている人間の感情が動いているからずっと読んでしまうし緊迫したシーンとくだらないシーンのメリハリがわし掴んで離さない。

同時収録の「地下鉄の叙事詩」は
正直退屈だと思った。さいしょ。
でも痴漢された女子高生の章を読んで、これは
「それでも僕はやってない」ばりに映画にできる、と思った。
やられた側の耐えがたい心情と、痴漢男への憎悪と、一部始終と、わかってくれたひとができる範囲の現実と、そういったことがただのフィクション・作り話ではない、とおもった。
ほんとうに殺したいとおもったって、殺せないから。
殺しちゃうひとはやっぱちょっと私たちと生きてる世界が違うから。
ミステリーとか、事件ものとは違う、一見地味なんだけど、すごくすごく、わたしたちが通過していること。

ここにはわたしたちのわかる(理解・共感できる)世界のことが、ちゃんと書いてある。

0

Posted by ブクログ 2014年01月26日

収録作はどれも、他者に理解してもらえない主人公のディスコミュニケーションの孤独さがよく表れていた。表題作よりかは2作目の方が、4人の人物にそれぞれ焦点をあて、場面を丁寧に描いたところがとても良かった。著者持ち味であるユーモア溢れる表現は少なかったように思う。

0

Posted by ブクログ 2013年12月23日

私も今使っている複合機が本当にとろくて鈍くて、そのくせインクは大量に喰うのでイライラします。気持ちがよーく分かります。「地下鉄の~」は少し物足りなかったです。けれどどちらもラストが良かった。

0

Posted by ブクログ 2013年08月31日

表題の「アレグリアとは仕事はできない」と「地下鉄の叙情詩」の2編が所収されている。

「アレグリアとは仕事はできない」:アレグリアとは、コピー・スキャナー・プリンターの機能を備えた複合機の俗称。しかし、肝心のコピー機としての機能は最悪。このコピー機を否が応でも毎日使わざるを得ない女性社員のいらだちと...続きを読むはいかばかりか。にも関わらず、取り替え、買い換えられることもないアレグリア。そもそも、何故、このアレグリアは、この会社に設置されることになったのか。。。

「地下鉄の叙事詩」:通勤客で混んだ身動きさえままらない電車の一車両。そこに偶然だか必然だか居合わせた人たちが、車両内の人たちの動きや立ち居振る舞いなどを、どのように観察し、感じ、想像し、思いを巡らしているのか。同じ車両に居合わせたそれぞれの人の視点から、綴られた短編。

0

Posted by ブクログ 2013年08月06日

解説の千野帽子氏の推薦により購入。一読、感心する。なんとまあこれは。
表題作は、アレグリアという名のコピーFAXスキャナー複合機を巡るミステリー仕立ての人間模様。はじめは面食らう。小説の「文法」といったら言いすぎかもしれないが、よく言えば約束事、悪く言えば紋切り型の定型句が通用しない。正面からガツン...続きを読むと否定するのではなく、いなし肩すかしひっかけ。
それを面白いと思うかは別。私は半分は驚き楽しみ、半分はいらつきいぶかしんだ。さらに、書かれてあることを読み取れたのか自信がない。チャレンジ精神を呼び起こす未征服感ではなく敗北感。
キャラにもストーリーにも分かりやすさはない。思わせぶりな謎もない。理解や共感を拒むような難解さもない。奥行きがあることすらわからない。
武道の達人が、単なる好々爺にしか見えないのに殴ろうが蹴ろうが空振りし、気がつくと床に転がされていた、というあの感じ。
私のような乱読多読人間は、書物の約束事に頼って先読み飛ばし読みしているところがあって、それがことごとくツボを外されたような疲労感が抜けない。
著者に実力があって、それに甘んじることなくチャレンジしている証左だとは思うが、本当のことを言えば「もう少し手加減して下さい」です。

0

Posted by ブクログ 2013年06月22日

気難しいコピー機「アレグリア」をめぐる人間たちの悲喜こもごもを描いた表題作。

コピー機に振り回される女と、コピー機の秘密を知る男の二つの視点から見えてくる問題児「アレグリア」の不気味さと、コピー機が上手く作動しない苛立ちが、こちらまで痒くなるくらい丹念に描写されている。

同時収録されている「地下...続きを読む鉄の叙事詩」も、一つの事象を多角的に描いている点で面白い。

0

Posted by ブクログ 2023年08月08日

大型複合コピー機のアレグリア対女子社員ミノベの対決譚。これで話を広げられる作者のクレバーさが好きだ。

0

Posted by ブクログ 2023年03月07日

この本の登場人物は、みんな怒っている。その理由に初めは共感するけれども、だんだん「そんなに?」と思ってしまうほど、怒っている。でも、不思議と不快ではない。言いたいことを言ってくれているから。そして、それが過剰な表現になる程、読んでいる側は冷静になる。怒りのデトックスになる本である。

0

Posted by ブクログ 2021年11月20日

アレグリアを苦手な同僚(人間)と読み替えるのが自分的正解読み方!
いらつく対象に自分しかいらついていない状況って本当にいらいらを増大させるんだよなぁ

0

Posted by ブクログ 2019年12月02日

表題作よりも「地下鉄の叙事詩」の方が面白かったように思える。満員電車内における人間のせせこましいマウントの取り方などが滑稽だと感じた。著者は女性のようだが、よくイチカワのような妄想を描けるな...と感嘆。

0

Posted by ブクログ 2017年05月25日

アレグリアってなんやねん!と思ってたけど、あーアレグリアってそいつねー。
職場の様子・空気感がリアルでした。先輩との最後の会話がとてもよかった。
地下鉄の叙事詩のほうは ちょっと読みにくかったけど、つくりは好きでした。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年03月05日

タイトルの意味をはかりかねていたが、それは読み始めてすぐに氷解。複合コピー機に付けられた愛称だった。その一方、主人公で物語の語り手でもあるミノベを、暫くの間は男性社員だとばかり思って読み進めていた。なにしろ、ミノベの最初のセリフが「おまえなあ、いいかげんにしろよ!」だったものだから。それとも、女性社...続きを読む員も独白する時にはこんな口調が普通なのだろうか。さて、小説はアレグリアを基軸にしながら、ミノベや先輩のトチノさん、その他の登場人物たちを翻弄してゆく。たかが1台の機械でも、その後の人生だって左右しかねないのだ。

0

「小説」ランキング