津村記久子のレビュー一覧
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「人間と機械は違うでしょう」
「同じですよ」
アレグリアというコピー機は大事なところで動かなくなる。
機械に本気で腹を立てる女子社員の主人公と、
いつも涼しい顔でおだやかな先輩と、
アレグリアを通じて恋する修理屋とその他いろいろ。
一台の機械をはさんでここまで人間関係を克明に描けるのか。見せかけじゃない。本気で生きている人間の感情が動いているからずっと読んでしまうし緊迫したシーンとくだらないシーンのメリハリがわし掴んで離さない。
同時収録の「地下鉄の叙事詩」は
正直退屈だと思った。さいしょ。
でも痴漢された女子高生の章を読んで、これは
「それでも僕はやってない」ばりに映画にできる、と思っ -
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ネタバレ表題作が特に面白かった。
津村さんの小説の中でも好きなタイプの話。
友人の結婚式の当日に、上司の父親の通夜に行かなくてはならなくなり結婚式をキャンセルして……というストーリー。小さな会社に勤める立場の会社員のままならなさが、真面目なんだけれどユーモア混じりに描かれている。
通常、身内でもなければ「結婚式>葬式」だろうと思うが、社員18人しかいなくて、しかも全員参加が余儀なくされている状況なら断れるのかどうか……、と本人でなくても真剣に悩むところだろうと、フィクションながら気の毒に思う。
参列した通夜での人間関係や、キャンセルした結婚式に出席している大学時代の友人達が、それぞれ個性的なキャラクタ -
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本書には、「婚礼、葬礼、その他」と「冷たい十字路」の短編2作品が所収されている。
「婚礼、葬礼、その他」は、1日の間に、友人の婚礼(2次会の幹事を依頼されている)と会社の上司の父の葬儀が重なってしまって、さあ大変、という状況での主人公の行動や、人間観察、人間関係の機微、そこでの主人公の心の移ろいが描写されている。
一方、「冷たい十字路」では、自転車通学の高校生達による傍若無人な自転車の乗り方から起こるべくして起こった事故を題材に、その事故の周辺の人びとの生活や思いなどが粛々と綴られた作品。
いままで、津村さんの作品では、どちらかというと20歳代後半から30歳代の働いている女性達を主人公に -
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母親とその彼氏のもとから逃げるように出てきた18歳と8歳の姉妹が田舎で優しい人たちに囲まれて生活を始める。その後40年ほどが飛ばし飛ばしに語られるのだが、蕎麦屋の水車小屋に住むヨウムのネネを中心にしてみんなの「良心」がつながり、人の輪が広がっていく…という話。
前半は次から次へと憎たらしい毒親たちが登場してきて常に暗雲を感じながらのもやもやいらいらした読書だったけど、姉妹や周りの人たちが成長して毒親たちの影響が遠くなってくると一転してなんだか退屈に感じてきてしまった。自分にはたんたんとしすぎていたのか、感受性が死んでいるのか…。考えてみれば、私は「苦しい時には助けてくれる人がいる」とか「人生な -
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ネタバレ津村さんはいちいち言葉遣いが好き!!
「その時はどうしても自然に手が出て、目の前の律の頭をなでた。まだ小さな、子供の頭だった」
理佐だって子供と言ってもいい年齢なのに…
自分に下がいないからお姉ちゃんお兄ちゃん役をしてきた人は本当にえらいと思うしこの歳ではもう2度と矯正できないことに絶望
「老けたな、と思った。父親と別れてから、苦労して自分たちを育てたのは知ってる。だから今になって男に寄りかかりたくなったのかもしれない。それはもう本能なんだと言われたら、自分は否定はしない、と理佐は思う。」
津村さんの本に書いてあったけど、この人はこうやって理解できない親を、肉身だけではない自分以外の他人とし -
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前作エッセイより大人しい感じ。
淡々としてていい。
ただやはり、津村さんの、物事一つ一つへの解像度が恐ろしく高い。それもは例えば、会社での裏紙の利用方法などといった、モノに対しても。
大量に溜まってゆく裏紙を何とかしようとしてあぶらとり紙、雑巾、保水オブジェクトなどを試したとあったりですごいなー。
私だったら裏紙はメモとしてしか使用法が思いつかないや。
おそらくエッセイだけでなく雑誌連載を本書にまとめたのだろう、途中から美術展レポートがいくつか掲載されていてそれも面白い。全然知らない画家や器の展覧会に行っても「これぞ」的なものを見つけて描写してくれる。
さらに販売されているグッズまで毎回記述