津村記久子のレビュー一覧
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いやぁ、またまた津村ワールド 楽しめた
まったくつながらない短編9つ。
たやすくない日常にところどころやってくる、人からの小さな毒を払いつつ、聞こえなかったふりをしたり、流しながら、本当に小さなあたたかさを見つけたり、出会ったりの物語。どうも見つからないのもある(笑)
表題の「サキの忘れ物」が一番よかった。
「喫茶店の周波数」はタイトルが秀逸。ちょっと
”むらさきのスカートの女”の世界も思い出させる。
「とにかくうちに帰ります」の懐かしの人を連想させる登場人物もちょろっと出てきて、にやにやしてしまった。
「河川敷のガゼル」の少年も良かったなあ。まるで、理想的な親みたいだった。
他にも「 -
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短くて1時間もかからずに読めてしまう、くだらなくも真剣な社内派閥問題をつづった物語。
シニカルでそっと笑えて、けれどさりげなく働く人々の打算や本音も練り込んであるのは、作者のお仕事小説ならでは。初期の「アレグリアとは仕事ができない」や「ワーカーズダイジェスト」の風味を懐かしく漂わせつつ、うどんさながらにつるっとすすり上げるように滑らかに楽しめました。
うどんをキーアイテムに持ってきたり、陣営を色で判別したり、やりすぎるとコメディになりすぎる要素をちりばめていても、そこは会社のお仕事模様の描写が巧い作者ならではで、変に浮いていないのはさすがです。パソコンの買い替えに関してのエピソード回りなん -
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ネタバレ老朽化した雑居ビルを舞台に、そこに通う人々のあれこれを書いた話だけれど、こういうテーマで想像する小説とは手触りが違った。
トラブルが起きてもあくまでも地味で、湧き起こる興奮もなく、主人公三名はいつも頭の中で静かに考えるタイプだし、盛り上がりそうな場面でも作者は決して盛り上げる様子がない。最後まで何もない小説と言ったら語弊があるかもしれないけれど、あえて平静に描かれる日常は自分の日常にも近くて、無理なく馴染んでくる。これはとても高度なことが行われている気がする。
ヒロシ視点の時は特に、ハッとするようなことが書いてあり、彼に教わることが沢山あった。まだ子どもだけれど大人の部分があって、それは両親が -
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他の方も書かれているが、タイトルが圧倒的に素晴らしい。だけど、タイトルの意味はわからぬままダラダラと読み進める。
大学時代のダラダラとしたやるせない日々の物語りはなかなか面白い。本題はなかなか提示されない。
「雨のように降ってくるトラブルを、僕たちは夢中になって拾い集め、ポケットに詰め込んだ。」
たまたま並行して読んでる関係のない小説の一節だが、そんな無意味にも見えるけど愛おしい日々。だけどそんな日々のトラブルの中に、雷のような悪意が潜んでいた。
かつてはやり過ごすしかなかった理不尽な悪意に対し、今でも解決出来るかは判らないけれど、それでも前向きに進んでいく、そんな主人公に寄り添いたくなる小説 -
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ネタバレ表題作は1ページ目から面白かった。アレグリアを罵倒する言葉のバリエーションの豊かさに笑ってしまった。
まともにコピーもできないなんて、文句の一つも言いたくなるのは分かる。分かるけど、あまりに細かいのでそうイライラせかせかするなよと言いたくなってくる。そこへ来て先輩の冷ややかな一言で凍えそうになった!
たった二年とはいえ一緒に仕事をしてきた二人の仲が、こんな機械ひとつで亀裂が入るのは悲しかった。仲直りできて良かったけれどもう一緒に仕事をすることはないのが切ない。
ただの複合機の話なのになんでこんなに面白いんだろうと不思議だった。
二作目は電車の痴漢の話で気持ちが沈んだ。
人は見たいものしか見な -
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うーん、なんというか津村記久子のいいところ無しでネガティヴな部分だけが際立った一冊かな。彼女の良さって世の中の窮屈さや生きづらさや会社での苦しさをベースにしながら、その中での人の気持ちの触れ合いとかを上手に描くとこかと思ってたんだけど、この本の二編にはそれがない。ひどい複合機で辛いだけ。地下鉄の中でみんな殺伐としてて辛いだけ。救いがないよ。特にアレグリアの方は過去プリンタの保守をやっていた自分としては全く感情移入出来ないし笑えもしなかった。地下鉄の方は言いたいことわかるし俺も尊大やら無礼な奴らには辛辣だけど、ここまでじゃないなあと冷めて読んでた。
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芥川賞作家の津村記久子さんが、独自の感性でセレクトした58冊の読書案内。
津村記久子さんの本の紹介本、あるいは読書エッセイ。
自分の思い出や感じたことに絡めて、この本はこういうところが好き。こういうところが面白い。こういうところが素晴らしいと紹介しているのがとても良いです。
本当に好きな本なんだなぁと思えて、普段の趣味から外れた本でもぜひ読んでみたくなる。例えば、私はオリンピックやワールドカップ、WBCなどの時期でもほぼ中継やニュースを見ないくらい普段スポーツに関心がないのですが、「スポーツの本」の章を読んでいると何だかとても楽しそうに思えてきます。新しいものに興味が湧くのは、なんだかとって -
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ネタバレ様々な人生のドラマを描いた7つの短編集。
特に『地獄』が好みで何度も笑ってしまった。「物語消費しすぎ地獄」だなんて、物語を食い散らかす人生もいいじゃないと思えてしまった。
でも地獄のタスクを見ていると、それぞれに合わせた地獄が待ち受けているので精神力を削ってくるのが分かる。重要なページを破られた小説を読まされるだとか、鬼に恋愛相談をされるくだりは本当に面白くて。業が深い。
表題作の『浮遊霊ブラジル』は良い話だった。
自らの執着を捨てて自らの成仏を目指すという幽霊目線の話だが、成仏するために必死で人に取り憑いて乗り移ろうとする姿が滑稽で悲しくて。死んでからこんな苦労をしていたら。一発で成仏した