【感想・ネタバレ】つまらない住宅地のすべての家のレビュー

あらすじ

とある住宅地に、刑務所を脱獄した女性受刑者がこちらに向かっているというニュースが飛びこんでくる。路地をはさむ10軒の家の住人たちは、用心のため夜間に交代で見張りを始めることに。事件をきっかけに見えてくるそれぞれの家庭の事情と秘密。だが、新たなご近所づき合いは知らず知らず影響を与え、彼らの行動を変えていく。生きづらい世の中に希望を灯す、ささやかな傑作。

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Posted by ブクログ

脱獄犯がやってこないか住宅地の住人が交代で見張りをする話というと、津村さんの作品の中では比較的派手な設定ではないかと思われるけど、内容はあくまでも十軒の家+αの事情を丹念に描いたもので、期待通り。さすがの職人芸。
それぞれの家の事情は結構ヘビーで、前半は読んでいて気が滅入るほどだった。ラスト、それぞれの生活に差し込む光はほんのわずかなのだけど、登場人物たちが抱くささやかな希望のいじらしさに、全然御涙頂戴ではないどちらかと言えばドライな筆致にも関わらず、泣きそうになる。
津村作品を読むと、好きでも嫌いでもない関係だからこそ、煮詰まった家族関係の差し水となれる時がある、と思う。ご近所付き合いなんて面倒と感じたりもするけれど、無駄から生まれる楽しみも、案外人生には多いのかもしれない。

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2025年06月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

高度成長期あたりに開発されたであろう戸建て分譲地に建つ10軒の家に住む家族と、その近くに出没する脱獄した女刑囚。

それぞれの家族にも囚人にも欠けている事情があって、その背景が判明していくとともに有機的に絡んでいく構成が見事。ミステリーみたいに謎が解けていく感じじゃなくて、要素が影響しあって物語を構築していく感じが面白い。

過剰な振れ幅を抑制するような津村記久子の文体で丁寧に構築されていく物語。特に大きなハッピーエンドはないけど、彼らの明日にが昨日よりマシっぽい明るさが、これまた良いのだ。

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2024年12月22日

Posted by ブクログ

登場人物の各視点での話が徐々〜〜にどんどん進んでいくのが読んでて最高だった〜!最初の方は何度も登場人物を見直したけど、最後の方は各登場人物の人生応援してた 一つの事件を多面的に喋る小説好き!もっと読みたい!結末もとっても私は好き!

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2024年08月31日

Posted by ブクログ

刑務所を脱獄した女性受刑者が向かった先のとある住宅地で、それぞれ事情を抱えた10軒の家の住人たちが交代で見張りをするという、「ご近所付き合い」という言葉が死語になっている都会ではまずあり得なさそうな展開なんだけど、不思議と違和感なくすらすら読めてしまう。
この設定であれば、例えばエンタメ系の作家が扱う場合だといかに派手に盛り上げるかが勝負所になりそうなんだけど、本作はラストに向けての盛り上げ方はかなり抑制的で、静かな中に浮かび上がってくるものを味わう作品だと理解した。
自分の中ではこれまであまり読んだことのない新鮮さがあって意外なほど楽しめたし、よくよく考えると相当な筆力が無いと成立しない描き方のような気がするんだけど、軽々とクリアしているように見えるのは結構凄いことなのでは。
津村作品は随分前に『ポトスライムの舟』を読んだっきりで、もはや全く内容を覚えておらず、作風や筆致に関する先入観を排した状態で読めたのも良かったかもしれない。掘り出し物を引き当てた気分で何だか嬉しくなった。

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2024年08月21日

Posted by ブクログ

群像劇のため登場人物がよくわからなくなりがちだが、冒頭に宅地構成と人物の説明があり読みやすかった。

登場人物はみなどこにでもいそうだけどちょっと癖があり、でもその考え方、感情もわかるなと思い違和感なく読めた。

著者の作品は初めてだったが他にも読みたいと思った。

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2025年10月22日

Posted by ブクログ

とにかく登場人物が多くて、海外長編ミステリーでも読んでるのか?という気持ちになった。
しかも、苗字で出てくる時と下の名前で出てくる時とがあり、余計に混乱。
だが、巻頭に登場人物達の名前が書き出されているので、それを何度も確認しながら読み進めていくと半分くらいでやっと顔と名前(?)が一致してくる感覚があった。

ストーリー自体はあまり出会ったことのないシチュエーションで面白かったし、最初は登場人物のほとんどがうっすらと嫌な人で鬱々と読んでいたが、話が進むうちにその人たちが互いの交流を通して違う側面が見えてくるのも、人間味があっていいなと思った。

元々好きな作家さんだったのもあり、数時間でサクサク読めた。

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2025年09月26日

Posted by ブクログ

隣人って不思議だ。あそこのおばあさんが亡くなったらしいとか、そこの旦那さんはどこそこに勤めているらしいとか。噂を聞けば近所ですれ違ったときの顔と聞いた情報をくっつけてみるが、それ以上の印象はなく特別な感情は湧かない人。
それでもたまに大喧嘩をしてる声が聞こえるとか、植えている植物の枝がこちらの敷地に突き出しているとか、前を通ると飼っている犬が吠えてくるとか。そんなちょっと嫌だけど、文句を言うほどのことでもない不満が積もっていたりする。なぜなら毎日すぐ近くで生活しているから。

近くで生活しているにも関わらず、ちゃんと顔を見て話したことは少ないから、そのちょっとした不満が隣人の印象の大部分を占めてしまう。
だから各家庭の内情を知らずとも、本作の登場人物たちのように、変化の少ない町に住んでいるというだけで「つまらない住宅地の人たち」とひと括りにできたりする。

しかしそんな隣人たちと共に、本作のように逃亡犯から身を守るために交代で見張りをするというのは、少し楽しそうで羨ましく思った。
短い時間でも同じ目的のために集まれば、食事したりゲームしたりしながら話をする。話をすれば自然と各家庭の内情もうっすら見えてくる。そうすれば抱いていた不満も「まぁしょうがないか」と思えたり、やんわりと指摘したりできる。
人間関係の問題の多くはコミュニケーション不足が原因だと言うが、一理ある。隣人は全くの他人ではなく、何か問題が起きれば互いに影響が及ぶほど近くで生活している人だから、尚さらコミュニケーションが重要になる。いざとなれば助け合おうと思えるくらいの距離感でいるのが一番よい気がする。


私は小さい頃マンションに住んでいた。隣は中年夫婦。いつすれ違ってもしずかな笑顔をたずさえて挨拶をしてくれる人たちだった。余計な話はお互いせず、ただそれだけの関係だった。
わが家は私が小学生のときに違う町に引っ越して、それ以来あの隣人と20年近く会っていない。それでもあのマンションでの生活を思い出すとき、隣人のことも思い出すことがある。元気だろうか、まだあそこでしずかに暮らしているのだろうか。この心の距離感はやはり全くの他人ではないと感じる。

本作は子ども達が大活躍していてとてもよかった。
恵一や亮介、ゆづきや千里、博喜。一人一人の行動によって、この町の長らく動かなかった歯車がようやくかみ合って動き出した。将来この町を出ていく子もいるだろうが、隣人たちにとってはいつまでも大切な町の一員であり続ける気がする。


最後に私の本作の読み方を紹介すると、あまりに登場人物が多かったため、名前と特徴をメモしながら読み進めた。始めに地図と人物紹介が載っているが、それだけでは混乱してしまう自信があったので(笑)
「丸川亮太/父:母と別居中。父にうんざりしてる息子。料理が上手くしっかり者の父。」
みたいな。
ストーリーのなかで分かりやすく特徴が書き分けられていたため、メモをせずとも訳が分からなくなることはないが、たまに誰これ?となることはあるので書いていてよかったと思う。参考まで。

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2025年05月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

登場人物がかなり多く、入れ替えが多いので途中まで読むのが辛い。しかし、最後は一気に解決まで読めて楽しかった。


一見古臭いつまらない住宅地の近くに、つまらない犯罪で捕まった女性脱獄犯が逃げてくる。
その住宅地の町内会で見張りを行うってことになったのだが、住宅地の色々な家の住民がそれぞれ主人公目線になって少しづつ話が済む。色々な人がいること、その人たちの性格から見たその人たちなりの目線、考えがあることをよく感んじさせるストーリー。 ただこの人誰だっけってなってしまうけど、最後は中心人物が限られてきて引き込まれた

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2025年05月20日

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とある住宅地の一区画に住んでいる住民と刑務所を脱獄した当婆飯だけが登場する話。
最初のページに区画図と住人の名前と人となりのみ書かれていて、読み進めるためにはどこにいる人、を度々確認する必要がある。
でも慣れてくると、あ、角の大きな家の子のことなんだな、あの家のお父さんのことか、などとまるでそこの住人になって近所の家のことを知っていくように住人について把握できていきます。
それも面白い。
逃亡犯からの防災予防のために夜通し見張ることになって知らない住人同士が知り合いになっていくところも面白かった。

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2025年05月16日

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途中まで「めっちゃ陰鬱としてるな、、、津村記久子ってこんなダウナーな感じやったか…?」とハッピーを求めていた私は若干面食らったが、2階で見守りが始まったくらいからハッピーがじんわり押し寄せてきてコレコレェ!の気持ち
松山さんは幸せになってほし〜、と書いてから思ったけど松山さんのこと勝手に幸せじゃない認定してる私ってなんなのか、でもフィリピンの彼女との話を最初にさらっと出されると否が応でも考えちゃうんだよなあ、難しい

劇的に何かが変わったり問題が一件落着めでたしめでたし、となるわけじゃないけど、それぞれが以前より少しだけ未来に体を向けられるようになる感じ、最近見るのリタイアした対岸の家事と似てるようで読後感(向こうはドラマだが)が違うのは、その変化が相互作用的に起こってるからだろうか
対岸の方はフラストレーションがすごいのにその後のカタルシスがあまりにも微弱なんだよなあ、なんも解決してなくね?的な
こっちでは人と人が問題そのものに触れ合うわけではなくても世間話とかちょっとだけ隣のことを意識する、という関わりを通してゆっくり物事が動き始めるみたいなのが良かったのかもしれない

しかしまあただでさえ登場人物が多いのに、Aから見たら娘さんなのがBから見たら妙齢のおばさんだったりするので名前から人物をロードするのに時間のかかる作品だった、最初に脳内で適当に役者の顔を当てはめといた方が読みやすそう

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2025年04月28日

Posted by ブクログ

4.5評価
とある住宅街に住んでいる9人の住人たちが脱走犯の女性のニュースを観て交代で見張りをすることにした。それぞれの家庭に物語があって展開が面白い。

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2025年03月16日

Posted by ブクログ

ご近所同士の人間たちがある逃亡犯をきっかけに関係しだす物語。最後は沢山の登場人物すべてに親しみを持つほどに入り込まされ一気読み。

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2025年03月03日

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「この地域の人」というカテゴリにはめこまれたのっぺらぼうの人たちに、次々と顔が描かれていくお話。
だれがだれやねんと混乱し、住宅地図を見返しながら読み進めるうちに、自然と見返さなくてもくっきり人物が浮かび上っていくのがすごい!

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2025年01月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とある路地を挟む住宅地に住む様々な家族や単身者。濃密なご近所づきあいがあるわけでは決してなく、かといって全くの無関心でいるというわけでもない。
ある時、刑務所を脱獄した女性受刑者のニュースが飛び込んでくる。近辺にやってくるかもしれないと警備のため見張りを始めることに。


読破に時間がかかってしまいました。
一つ一つのお話は短くて難解ではないけれど、いかんせん登場人物が多過ぎて、尚且つ、誰の話かということを冒頭で明らかにしない書き方のため、これは誰だっけ?どんな人だったっけ?とお話が始まるたびに住宅図や少し前の話に戻る、の繰り返しでした。
後半はもう諦めてどんどん読み進め、人物がごっちゃになりつつもなんとか読み終えました。
決して面白くないわけではないけれど、誰が誰かすぐ分からなくなるところや、読みながらこの人の話だったっけ?と余計な推理が入ってしまうところが私の好みではなかったです。

最初はとても遠くに感じていた受刑者がじわじわと近づいて来て、ある時を境にグッと近くにきた感覚がありました。
表向きだけでは分からない、それぞれの家の事情が入り乱れているのだなあと読んでいて思いました。

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2024年12月09日

Posted by ブクログ

点が線になる展開の鮮やかさで、ぐいぐい読み進めたくなるだけでなく、細やかでリアリティある描写が、とても良かった。
フィクションだからこその、ゆるやかで、しかし確かな変化を垣間見ることが叶って、心に灯りをともしてくれたような読後感になりました。

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2024年10月21日

Posted by ブクログ

登場人物多くて混乱したけど笑
それぞれの家の事情もあるけど、同じような日常だけど少の変化がターニングポイントになっていく感じがよかった。閉じ込められたり、犯罪者にならなくてよかった。

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2024年10月11日

Posted by ブクログ

随分前に放映された井ノ原快彦主演のドラマの原作だというので手にしたが、推理小説のように登場人物が多く、見開きの「住宅地地図」の10軒の住人紹介を確認しながら読み進めた。刑務所から脱獄中の36歳の女が彼らの住宅に近づいていく過程と、それぞれに抱えている家庭事情と秘密を絡ませながら、どうなるのかハラハラしたが、ほっとできるエンディングになっていて良かった。今までは疎遠だった家同士の関係が、だんだんにほぐれていくのは、孤独がちな現代社会に希望を灯すようだ。タイトルでもある「つまらない住宅地」の住人たちの人生が、平凡でつまらないと思っていても、実はさまざまな思いや感情が詰まっていることを、他者と関わるうちにわかってくる様子が、ドタバタ劇のようなストーリーから見えてきた。個性あふれる登場人物の設定も面白かった。ドラマ、見たかったな。著者の作品を久しぶりに読んだが、細かい描写と温かな結末、また読んでみたくなった。

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2025年12月20日

Posted by ブクログ

なんていうか、地味な設定なんだけど、ニュースの背景ってこういうことかも。
行動した昭子、未遂の望と三橋夫婦。
彼氏が転がり込んできてないから暴力は振るわれてないものの、育児放棄状態の矢島家。
お互いに近所の住民と付き合いがないけど、それぞれ抱えてる問題がある。
今の日本の国民の、普通の家の普通の人間が、犯罪者になり得る現実が地味に怖く、少しの交流で人間は変われることの凄さもあり、娯楽本のようた読後スッキリ感はないけど面白い。

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2025年11月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

傍から見ると順風満帆そうなあの家も、実は嵐の中にいたりして。

自分のことに精一杯でリアルな繋がりを面倒くさいと思ってしまう世の中だけど、そのハードルを越えて対話することで知れる一面もある。往々にして私たちは悪い部分だけが脳裏に残りがちだけど、良い一面を知れるのはやっぱ対話だよね。

全く知らないのも怖いし、知られすぎるのもいや。生活の大部分を占めるご近所は、特に適度な距離感が大事なのかも。 

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2025年10月11日

Posted by ブクログ

津村さんは『水車小屋のネネ』が良かったので、こちらを購入した。読み始めて3週間程と何度も挫折しかけた。逆コの字の住宅地に10軒の住宅と24人の住人。冒頭に住宅地地図と住人全員の名前が掲載されていて、住人が登場する度に何度も見返した。住人達はまともな人達がおらず、訳あり家族が多く、暗い気持ちにさせられる。暴れる子供を隔離して縛りつけようとする夫婦、少女を誘拐しようと企てる独身男性、何やら曰く付きで金持ちとなった家族、等々。
これが脱獄した女性受刑者のニュースで、住人達が嫌々ながら交代で見張り番をする事に。纏まりが無い住宅地で唐突な提案が受け入れられてしまう。この展開も予想外。親が出ない家は子供が見張り番に。
次々と更に登場人物が増え、女性受刑者の事件も住宅地に展開して行く。実はこの受刑者と色々な住民の繋がりが複雑に絡み合っていた。ここに来て俄然と面白くなってくる。停滞していた読みのスピードが速くなって行く。最後はハッピーエンドのようになり、何となく大団円。我慢して読んで良かったというところ。

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2025年05月24日

Posted by ブクログ

とにかく登場人物が多い?
10軒分なので...
最初のページの
住宅地の見取り図、登場人物の紹介が ありがたかった
視点が変わるたび、それそれの家庭の事情も 描かれていて
なかなかの事情
自警によって
疎遠だったご近所付き合いが
すこーしづつ動きだしていく
脱獄犯含め
関係ないかと思いきや
実は まあまあ絡み合っていて
ここ繋がって.?
はっ!ここも繋がったー!
級密で小さなパズルのピースがはまっていくような感覚 は、とても面白かった
それぞれの家庭の事情は
かなり重いのだけど
脱獄犯の自警の関わり合いで
なんとなくゆる~っとほどけていく過程が
初めて読むタイプの小説で新鮮でした

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2025年05月10日

Posted by ブクログ

誰が誰かわからないのに、最後まで読むと人物が勝手に出来上がってしまっている。
まさか津村さんでミステリー感の強い作品読めるとは思わなかった。

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2025年02月16日

Posted by ブクログ

面白かったー。この手の小説は引力が弱いと、すぐ読むのを放棄したくなっちゃうから。
結局は、津村さんの視線が良いのだと思う。神様目線で、誰のことも裁かない。それぞれに言い分があるよね、というスタンスである。

構成的には、少しだけ作り込みすぎかな、という気もした。路地を囲む家のどこかに一軒くらい、のんきな、健やかな家庭があっても良かった。ま、タイトルが「すべての家」だもんね……。

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2025年01月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

活気がなく、不便で、つまらない住宅地。そこの住人も変わり映えのない日常を送っているが、単調ながらも小さなデコボコはある。
ある日、逃走犯をきっかけにそれぞれの日常のデコボコが干渉しあって大きな波を生んでいく、そんな物語である。

最終的にすべてのデコボコがぴったりハマる感覚が爽快だった。
ある地域の一区画の住人がまるっと登場人物なので読む方もけっこう大変だけど、そんな彼らのいろいろな想い・行動のパズルを完成させた津村さん、すごすぎる。


この小説を読んで印象に残ったのは2つ。
ひとつは、千里の祖母の覚悟と孤独。
逃走犯の事件をきっかけに、人とのつながりを新たに生んだ人、閉鎖的で暗い未来から抜け出そうとしている人がたくさん生まれた。
他人と干渉しないようにしよう、波風立てないようにしようと生きてきた人たちが、ある事件をきっかけに一歩踏み出すきっかけを得たのである。
その中で、改めて孤独に生きる覚悟を強め、変わらないままでいる千里の祖母の姿が相対的に浮かび上がってくることとなり、かなり強い印象が残った。

2つめは、ご近所付き合いってめんどくさいけどやっぱり楽しそうだなということ。
私自身小さい頃はご近所さんとの付き合いもあり、果物やお菓子を分けあったり、困ったことがあれば助け合って生活してきた。
今となってはお隣さんの顔もわからない。
小説の中で描かれた住人同士のやり取りに懐かしさを覚えた。

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2024年11月16日

Posted by ブクログ

路地に面したご近所さんたちの話し。
登場人物が多くて、最初に書いてある地図と、そこに住む人たちの詳細を何度も見直しながら読み進めた。

登場人物が丁寧に描かれている。
自分の家のお隣さんにはお隣さんの、全くつまらなくない人生と事情がある。
当然のことなんだけど、しばしば見失っている感覚。

たまたま起こったきっかけから、近所の人と関わりを持ち、あるいは、持たざるを得なくなり、繋がる。
繋がることで、思いもよらぬ自分の家族の思いを知ったりする。
人は、人と繋がることでしか知り得ないこともあるんだろうなあ。

でも、自分には難しいかもしれない。
繋がるって、ちょっと怖い。

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2024年10月27日

Posted by ブクログ

登場人物が多くて序盤はなかなか物語に入り込めなかった。この本を購入したときは結構ポップなお話かなと思ってた、ドタバタ逃走劇!てきなね。だけどなかなかにシリアスなところもある感じ。中盤になると段々キャラクター達も馴染んできて少し読みやすくなる。
最後変に綺麗に収まりすぎな気がして、フォーカスする住人を絞ってエピソードを深くすればとも思ったけど、群像劇ってこういうものかとも思う。
普段何気なく生活してるけど、すれ違う人達にはそりゃあ家があって家族がいて物語があるんだなって感じた。

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2024年09月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

中盤くらいまでは、登場人物が変わる度に最初のページに戻ってどこに住んでる誰?といちいち確認していた。(正直少し読みづらかった。)

10人以上の人物が主要キャラになっているのに、全部きちんと片付いて綺麗にまとまっていた。
ただ、うまくまとまっているけど、まとまり過ぎ感もある。
そんな何もかもうまいこといかないでしょとはやっぱり思う、、、。

あと、登場人物の子供達は何故か逃亡犯に捕まってほしくないと思っていて、逃亡犯に同情?しているけど、
読んでいて、やはり犯罪者は犯罪者だなーという感想。
一度道を誤ったからなのか、協力してくれた人から無理やり財布奪ったり、人の家の事情も考えずに洗濯物を取ったり。
生い立ちに同情の余地はあっても、犯罪に手を出す程のこととも思えなくて、後半は憤ってしまった。

全体的には、ハラハラもあって楽しめた。

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2024年09月23日

Posted by ブクログ

とにかく登場人物が多い!

とある住宅地に住む人々
そんな住宅地に住んでいた人が横領で捕まり、さらに刑務所から脱獄した

普段、人との関わりなんて全然ないのに脱獄犯が帰ってくるかもしれないと見張りをするために団結する

訳ありっぽい人が多いけど、少しずつ理解し合えるのはいいなと思う

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2024年09月11日

Posted by ブクログ

ドラマや映画化されるほどかな〜?
それぞれの背景が次第に組み合わさっていく感じは面白いけど、少し不自然なお話でした。

ネネの方が断然好き!

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2024年09月04日

Posted by ブクログ

横領の罪を犯して
刑務所を脱獄した日置昭子
ある住宅地に向かっているとニュースがとびこむ
10軒の家の住人達は夜間に交代で見張りを始める

誘拐を密かにたくらむ25歳の男
父と中3男子の2人暮し
12歳の息子を部屋に一時的に閉じ込める夫婦
祖母と母は気が向く時だけ家事をする家の小学生の姉妹達など
あり家族が非日常がおこり
交流をもつことで少しずつ世界が変わる

海外文学なみに登場人物が多くて
最初は登場人物を追うことに必死だったが
読み進めると非常に面白い小説

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2024年08月17日

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