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とある住宅地に、刑務所を脱獄した女性受刑者がこちらに向かっているというニュースが飛びこんでくる。路地をはさむ10軒の家の住人たちは、用心のため夜間に交代で見張りを始めることに。事件をきっかけに見えてくるそれぞれの家庭の事情と秘密。だが、新たなご近所づき合いは知らず知らず影響を与え、彼らの行動を変えていく。生きづらい世の中に希望を灯す、ささやかな傑作。
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Posted by ブクログ
脱獄犯がやってこないか住宅地の住人が交代で見張りをする話というと、津村さんの作品の中では比較的派手な設定ではないかと思われるけど、内容はあくまでも十軒の家+αの事情を丹念に描いたもので、期待通り。さすがの職人芸。 それぞれの家の事情は結構ヘビーで、前半は読んでいて気が滅入るほどだった。ラスト、それぞ...続きを読むれの生活に差し込む光はほんのわずかなのだけど、登場人物たちが抱くささやかな希望のいじらしさに、全然御涙頂戴ではないどちらかと言えばドライな筆致にも関わらず、泣きそうになる。 津村作品を読むと、好きでも嫌いでもない関係だからこそ、煮詰まった家族関係の差し水となれる時がある、と思う。ご近所付き合いなんて面倒と感じたりもするけれど、無駄から生まれる楽しみも、案外人生には多いのかもしれない。
登場人物の各視点での話が徐々〜〜にどんどん進んでいくのが読んでて最高だった〜!最初の方は何度も登場人物を見直したけど、最後の方は各登場人物の人生応援してた 一つの事件を多面的に喋る小説好き!もっと読みたい!結末もとっても私は好き!
刑務所を脱獄した女性受刑者が向かった先のとある住宅地で、それぞれ事情を抱えた10軒の家の住人たちが交代で見張りをするという、「ご近所付き合い」という言葉が死語になっている都会ではまずあり得なさそうな展開なんだけど、不思議と違和感なくすらすら読めてしまう。 この設定であれば、例えばエンタメ系の作家が扱...続きを読むう場合だといかに派手に盛り上げるかが勝負所になりそうなんだけど、本作はラストに向けての盛り上げ方はかなり抑制的で、静かな中に浮かび上がってくるものを味わう作品だと理解した。 自分の中ではこれまであまり読んだことのない新鮮さがあって意外なほど楽しめたし、よくよく考えると相当な筆力が無いと成立しない描き方のような気がするんだけど、軽々とクリアしているように見えるのは結構凄いことなのでは。 津村作品は随分前に『ポトスライムの舟』を読んだっきりで、もはや全く内容を覚えておらず、作風や筆致に関する先入観を排した状態で読めたのも良かったかもしれない。掘り出し物を引き当てた気分で何だか嬉しくなった。
群像劇のため登場人物がよくわからなくなりがちだが、冒頭に宅地構成と人物の説明があり読みやすかった。 登場人物はみなどこにでもいそうだけどちょっと癖があり、でもその考え方、感情もわかるなと思い違和感なく読めた。 著者の作品は初めてだったが他にも読みたいと思った。
とにかく登場人物が多くて、海外長編ミステリーでも読んでるのか?という気持ちになった。 しかも、苗字で出てくる時と下の名前で出てくる時とがあり、余計に混乱。 だが、巻頭に登場人物達の名前が書き出されているので、それを何度も確認しながら読み進めていくと半分くらいでやっと顔と名前(?)が一致してくる感覚が...続きを読むあった。 ストーリー自体はあまり出会ったことのないシチュエーションで面白かったし、最初は登場人物のほとんどがうっすらと嫌な人で鬱々と読んでいたが、話が進むうちにその人たちが互いの交流を通して違う側面が見えてくるのも、人間味があっていいなと思った。 元々好きな作家さんだったのもあり、数時間でサクサク読めた。
隣人って不思議だ。あそこのおばあさんが亡くなったらしいとか、そこの旦那さんはどこそこに勤めているらしいとか。噂を聞けば近所ですれ違ったときの顔と聞いた情報をくっつけてみるが、それ以上の印象はなく特別な感情は湧かない人。 それでもたまに大喧嘩をしてる声が聞こえるとか、植えている植物の枝がこちらの敷地に...続きを読む突き出しているとか、前を通ると飼っている犬が吠えてくるとか。そんなちょっと嫌だけど、文句を言うほどのことでもない不満が積もっていたりする。なぜなら毎日すぐ近くで生活しているから。 近くで生活しているにも関わらず、ちゃんと顔を見て話したことは少ないから、そのちょっとした不満が隣人の印象の大部分を占めてしまう。 だから各家庭の内情を知らずとも、本作の登場人物たちのように、変化の少ない町に住んでいるというだけで「つまらない住宅地の人たち」とひと括りにできたりする。 しかしそんな隣人たちと共に、本作のように逃亡犯から身を守るために交代で見張りをするというのは、少し楽しそうで羨ましく思った。 短い時間でも同じ目的のために集まれば、食事したりゲームしたりしながら話をする。話をすれば自然と各家庭の内情もうっすら見えてくる。そうすれば抱いていた不満も「まぁしょうがないか」と思えたり、やんわりと指摘したりできる。 人間関係の問題の多くはコミュニケーション不足が原因だと言うが、一理ある。隣人は全くの他人ではなく、何か問題が起きれば互いに影響が及ぶほど近くで生活している人だから、尚さらコミュニケーションが重要になる。いざとなれば助け合おうと思えるくらいの距離感でいるのが一番よい気がする。 私は小さい頃マンションに住んでいた。隣は中年夫婦。いつすれ違ってもしずかな笑顔をたずさえて挨拶をしてくれる人たちだった。余計な話はお互いせず、ただそれだけの関係だった。 わが家は私が小学生のときに違う町に引っ越して、それ以来あの隣人と20年近く会っていない。それでもあのマンションでの生活を思い出すとき、隣人のことも思い出すことがある。元気だろうか、まだあそこでしずかに暮らしているのだろうか。この心の距離感はやはり全くの他人ではないと感じる。 本作は子ども達が大活躍していてとてもよかった。 恵一や亮介、ゆづきや千里、博喜。一人一人の行動によって、この町の長らく動かなかった歯車がようやくかみ合って動き出した。将来この町を出ていく子もいるだろうが、隣人たちにとってはいつまでも大切な町の一員であり続ける気がする。 最後に私の本作の読み方を紹介すると、あまりに登場人物が多かったため、名前と特徴をメモしながら読み進めた。始めに地図と人物紹介が載っているが、それだけでは混乱してしまう自信があったので(笑) 「丸川亮太/父:母と別居中。父にうんざりしてる息子。料理が上手くしっかり者の父。」 みたいな。 ストーリーのなかで分かりやすく特徴が書き分けられていたため、メモをせずとも訳が分からなくなることはないが、たまに誰これ?となることはあるので書いていてよかったと思う。参考まで。
とある住宅地の一区画に住んでいる住民と刑務所を脱獄した当婆飯だけが登場する話。 最初のページに区画図と住人の名前と人となりのみ書かれていて、読み進めるためにはどこにいる人、を度々確認する必要がある。 でも慣れてくると、あ、角の大きな家の子のことなんだな、あの家のお父さんのことか、などとまるでそこの住...続きを読む人になって近所の家のことを知っていくように住人について把握できていきます。 それも面白い。 逃亡犯からの防災予防のために夜通し見張ることになって知らない住人同士が知り合いになっていくところも面白かった。
途中まで「めっちゃ陰鬱としてるな、、、津村記久子ってこんなダウナーな感じやったか…?」とハッピーを求めていた私は若干面食らったが、2階で見守りが始まったくらいからハッピーがじんわり押し寄せてきてコレコレェ!の気持ち 松山さんは幸せになってほし〜、と書いてから思ったけど松山さんのこと勝手に幸せじゃない...続きを読む認定してる私ってなんなのか、でもフィリピンの彼女との話を最初にさらっと出されると否が応でも考えちゃうんだよなあ、難しい 劇的に何かが変わったり問題が一件落着めでたしめでたし、となるわけじゃないけど、それぞれが以前より少しだけ未来に体を向けられるようになる感じ、最近見るのリタイアした対岸の家事と似てるようで読後感(向こうはドラマだが)が違うのは、その変化が相互作用的に起こってるからだろうか 対岸の方はフラストレーションがすごいのにその後のカタルシスがあまりにも微弱なんだよなあ、なんも解決してなくね?的な こっちでは人と人が問題そのものに触れ合うわけではなくても世間話とかちょっとだけ隣のことを意識する、という関わりを通してゆっくり物事が動き始めるみたいなのが良かったのかもしれない しかしまあただでさえ登場人物が多いのに、Aから見たら娘さんなのがBから見たら妙齢のおばさんだったりするので名前から人物をロードするのに時間のかかる作品だった、最初に脳内で適当に役者の顔を当てはめといた方が読みやすそう
4.5評価 とある住宅街に住んでいる9人の住人たちが脱走犯の女性のニュースを観て交代で見張りをすることにした。それぞれの家庭に物語があって展開が面白い。
ご近所同士の人間たちがある逃亡犯をきっかけに関係しだす物語。最後は沢山の登場人物すべてに親しみを持つほどに入り込まされ一気読み。
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