津村記久子のレビュー一覧
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ネタバレ読んでよかったし、この作品を読んで心から「良かった」と思えることが誇らしい気さえした。
ユーモラスな語りと人間味あふれる人物たちの人間模様はエンターテイメントとしても成立していて、でも、どうしようもなく現実と地続きだ。
女版の童貞・ポチョムキンを名乗る主人公は女性らしさを排した振る舞いをするのだけど、一方で彼女はどこまでも女性であることに自覚的である。男性から性的に求められることはなくとも、彼女は常に「男に殴られれば勝てない女性という肉体の弱さ」を噛みしめている。
そういった原体験による主人公の原動力を安易な男女差に押し込めないことが、本作品最大の魅力だろう。
改題である「君は永遠にそい -
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ネタバレSF(少し不穏)な短編集。
・サキの忘れ物
人生を変えてくれる出会いと一歩踏み出す気持ちが導く素敵な話。千春のことを心から応援したくなります。
・王国
自分も子どもの頃からラッパムシが見えてました。ソノミは生きづらい子ども時代を過ごすのだろうけど、いつかきっと誰かにわかってもらえるはず。
・ペチュニアフォールを知る二十の名所
こういう不穏な話大好き。最近だと坂崎かおるさんの作品にも通じるものがあると思いました。
・喫茶店の周波数
もやもやするやりとりだ終わりそうで最後にあかりちゃんが来て幸せな気分で終われるいい話
・Sさんの再訪
これも不穏なのに最後に一歩踏み出す気持ちをくれるのが好 -
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ネタバレ津村記久子さんの作品をずっと読みたいなと思っていて、やっと読めました。
10年ずつ話は進んでいくんですが、それぞれの登場人物の立場から語られる様子や心情は、どこか冷静で、辛い状況なのに淡々としていたので、ゆっくりじっくり登場人物の気持ちを想いながら物語を追い続けられたかなと思います。
10年経過したとき、登場人物同士の呼び方が変わっていたり、会話のなんとなくで、もしかして今こうなってるのかな?と想像させてくれたところも読んでて急かされない感じがとても心地よかったです。
印象的なのは、主要な登場人物の方々が、多くを相手に伝えすぎないというところ。みんな1つ言葉を伝えるのにも、よく考えている。 -
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とても温かい気持ちになる読書でした。
はじめは18歳の姉が8歳の妹を義父から守るために一緒に家を出て、妹を育てながら新しい地で仕事をしていくハードな内容でした。
この姉妹の母親には腹が立ってしょうがなかったですが、周りの人達の優しさがとても素敵でした。
自分が18歳の頃を考えても、このお姉さんの決断には脱帽です。
学校の先生も卒業しても気にかけてくれるというのがありがたいですよね。
そんな風にみんなに育てられた妹がそれをしっかり認識して、自分が受けた親切を他人にしようと考えながら歩んでいるのが素敵でした。さらにそれを受け取った人が他人に親切にしているのがまたいいですね。
みんながそんな風に -
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津村記久子さんの小説を読むのはこれで3作目。面白かった。以前に読んだ作品の表紙や挿絵が『ポテン生活』でお馴染みの木下晋也さんだったのですが、本作も文字どおり『ポテン』なお仕事・生活の話を中心に、タイトル作の『とにかくうちに帰ります』でも人間ってなんかいいなと思わせてくれる素敵な話ばかりでした。
田上さんの
・どんな扱いを受けても自尊心は失わないこと。またそれを保っていると自分が納得できるように振る舞うこと。
・不誠実さには適度な不誠実さで応えてもいいけれど、誠実さに対しては全力を尽くすこと。
は自分も壁に貼って毎日復唱したい。
しばらく自分の中で津村記久子ブームが続きそうです。 -
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心温まる小説でとても良かった。日常的なストーリーで単調そうではあるけど、10年ごとに場面が変わることもあり、先を楽しみにしながら読み進められた。第一話(1981年)はほんま辛い。。。お姉ちゃんまじで頑張った。
時代とともに環境は変わる。去り行く人がいて、来たる人がいて、そこに居続ける人がいる。受けた御恩を、また誰かに与えて、繋いでいく。そんな人達の周りには、同じように徳のある人が集まっていくような。
藤沢先生の言葉も好き
「誰かに親切にしなきゃ、人生は長くて退屈なものですよ」
人生なんてあっという間やし、みんな一生懸命生きてるんに。心の在り方を正された気がする。