津村記久子のレビュー一覧

  • 水車小屋のネネ

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    心の物語。
    手放せば減っていくものも多いのに、想いだけは違うと感じられる。
    与えれば与えるほど、むしろ自分の中にあたたかく積もっていく。

    どれだけ優しさに触れられるか。
    そして、自分はどれだけ優しさを渡せるだろうか。

    そんな問いを静かに投げかけてくれる一冊でした。
    読み終えたあと、胸の奥が少し柔らかくなるような本でした。

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    2025年12月01日
  • 浮遊霊ブラジル

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    津村記久子さんの描く世界が好きだなと思った。
    主人公は定年退職したおじさんだったり、疲れたOLだったり、なんと幽霊だったりする。
    おじさんの悲哀ではなく、しみじみとした情感を描くところだったり、普通のOLが人気店の店主にキレる爽快さがあったり、幽霊が人に乗り移ってブラジルまで行くけれど、最後は無事に成仏する安堵さがあったり、愉快な展開をする世界がおもしろかった。

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    2025年11月28日
  • 水車小屋のネネ

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     周りの人の良心が自分の心を育み人間として成長させてくれています。受けた恩を未来の子どもたちにつなぎ、良心のバトンがたくさんの笑顔を作ってくれるとうれしいです。

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    2025年11月26日
  • アレグリアとは仕事はできない

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    表題作「アレグリア…」では飄々と、「地下鉄の叙事詩」ではイライラと、毒舌を連ねながら話は進んでいく。そして最後の最後に、このどうしようもない世界の片隅に生じた女たちの苦い連帯が言葉少なに描き出される。

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    2025年11月25日
  • ポトスライムの舟

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    ネタバレ

    主人公・ナガセの一年を追いながら、仕事やお金、生き方について何度も考えさせられた作品でした。
    年収163万円という現実味のある数字と、そこから始まる節約生活や世界一周資金作りは、夢というより「自分にも起こりうる選択」のように感じられて、とてもリアルでした。

    作中で、思うように貯金できず、働きすぎて体調を崩し、それでも働き続ける彼女の姿には胸が痛くなった。でも同時に、小さな幸福を拾い集めながら生きていく姿に、静かに励まされました。
    ポトスライムが水だけで増えていくように、ナガセも自分の力で生き方を模索していく姿が重なって見えたことが印象的でした。

    また、友人関係の描写を通して、誰もが表に見え

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    2025年11月22日
  • やりたいことは二度寝だけ

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    会社員と小説家の、二足のわらじ生活が垣間見えるエッセイ。
    わざとらしい癒やしや丁寧さはなく、かといって無頼だったり爆笑するのでもなく、淡々とというのでもない。非常になんというか親しみにみちた作家さん。ピクサーの事を書いた文章に、創作に対する真摯さがチラ見えしてよかった。

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    2025年11月20日
  • 浮遊霊ブラジル

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    津村さんの発想はいつも面白い。

    本作は人が生まれる前〜生きている間〜死後に渡るまでの、あらゆる世界を描いた短編集。

    今の私のお気に入りは「運命」。主人公はいつ何時でも場所を訊かれる人。「〇〇ってどこですか?」と、受験の日も、初めて訪れた場所でも、海外でも、あんな時やこんな場所でも…思わず、えぇー!!と驚いてクスッと笑わずにはいられない。

    本作には、変わった人も性格が悪い人も愛おしい人も出てくるが、皆がそのまま並列に扱われていることが心地よかった。酷い人だから特別貶めることも、良い人だから特別幸運に恵まれることもない。
    これまで読んだ津村作品もそうだった気がする。

    わりかし薄い本に七篇が

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    2025年11月19日
  • 水車小屋のネネ

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    10歳違いの姉妹の40年を、周りの人達との交流やさほど大きくない出来事などを織り交ぜながら、取り巻く自然の様子と共に語られていく物語。

    淡々と進行する物語は少し内容的に物足りない気もするものの、人々がごく自然に他の人を大切に思いながら触れ合う様子を見ていると、心が温かいもので満たされていくのがわかるような物語です。


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    2025年11月13日
  • 現代生活独習ノート

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    私の好きな津村さん(とか言ってあまり読んだことない。でも好きな作家)。
    ぶっ飛びすぎず、でもなんだか不思議な空間になっている。読み終えて、心が軽くなるような、ならないような。地に足がついてるような、いや少し浮いているような。

    「台所の停戦」「牢名主」「イン・ザ・シティ」など、悪人とまで言えないかもしれないが確実に自分を削り取ってくる相手、の解像度が高く描かれている。けれど全編通して共通するのは優しさだった。
    なんかね、ユーモアが優しい。津村さんの書く職場の話が好きだ。また、主人公たちが低体温だが人間臭くて愛しい。お友達になりたい。

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    2025年11月12日
  • 苦手から始める作文教室 ──文章が書けたらいいことはある?

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    文章を書くことについて、わかりやすく優しい語り口で書かれていて、読みやすかった。あと、自分の中で長年言語化できていなかった「なんで映画やマンガより本がいいのか?」について「それだ!!」という回答をゲットできた。

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    2025年11月09日
  • サキの忘れ物(新潮文庫)

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    独特な世界観で語られる、よくある日常とちょっとした非日常。そして非日常の出来事をきっかけに日常が変わる。そんな物語の数々が集まった短編集。息が詰まりそうな人生における転換点は思いがけないところに転がっているものだと思わせてくれる。

    どの物語もからりとした雰囲気で淡々と進んでいくが、そんな中でも親しみやすく不思議と惹き込まれた。

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    2025年11月09日
  • まともな家の子供はいない

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    家に居場所のない中学生女子を中心にした話。
    面白く読みました。セキコとナガヨシはなんだかちびまる子がそのまま中学生になったような感じで小気味良くもあり。ところどころパンチラインというか、ハッと心地よいセンテンスが挟まれるのが文章としてよかったです。

    「サバイブ」はもう少し続きを読みたかった感じもありました。

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    2025年11月03日
  • 水車小屋のネネ

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    ネタバレ

    ★★★★☆星4【心の栄養】となる読書。最近はこういうさりげない日常の中の幸せに感動させられる。序盤に出てきた理佐と律の母親の許せない行為に対してイライラしました。またこういう親かと。負の連鎖を断ち切るように、理佐は逞しく強く律は賢く周りの人に愛され助けられて成長。周りの人の行為に感謝の気持ちを持ち、また自分が誰か困っている人の助けになろうとすることで良い循環が生まれる世界。自分は周りの人の良心で生きている。誰かに親切にしないと長い人生は退屈なものです。じんわり泣けた。

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    2025年10月28日
  • 現代生活独習ノート

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    ネタバレ

    津村さんの粒のそろった短編集。特筆すべき事件も起こらず日々の生活の側面に若干の奇妙さを交えて淡々と進んでいく物語群。津村さんらしい文章に満ち溢れてて読んでて飽きがこない。

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    2025年10月28日
  • 水車小屋のネネ

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    ネタバレ

    久々に単行本で480Pと長めの話しでしたが、最後まで飽きずに読めました。
    特に大きな事件や問題が起こる訳ではなく、ただ淡々と日常に起きている身の回りの困難を、周りの人達の優しさで、みんなで乗り越えていく40年の人生のお話しだったと思いました。
    私達の身の回りでも起こっているだろう、シングル家庭の大変さに着目して、優しさの連鎖と言いますか、もらった優しさのリレーと言いますか、無意識ではなく、意識的に関わっていくことで、みんなで協力してその問題に取り組んでいく。その中で、自然とヨウムのネネの周りに集まって出来た関係性。
    「自分の子供でもない限り、人間はそこにいる子供を大人になるまで見届けられると思

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    2025年10月27日
  • やりたいことは二度寝だけ

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    あとがきにあった、「どうでもいいことを誰かと話したい時に読んでほしい」というのがしっくり来る、脱力系等身大エッセイ
    甲子園の高校球児たちの神聖さの話よかったなあ
    メモは裏紙に取るのがちょうどいいってところと、今までみたいに気ままに過ごせればいいのに、30歳を超えてくるとその維持も難しいていうのに激しく頷いた

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    2025年10月27日
  • ポトスライムの舟

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    ネタバレ

    文庫本に収録されていた2作品の感想を記します。
    ○ポトスライムの舟
    社会の波に揉まれて傷ついた人たちに向けた作品だと思いました。最後まで優しい雰囲気の文体で物語が進んでいたのでストレスなく作品を楽しむことができました。
    作品の雰囲気を維持するためだと思いますが、主人公の過去のことは最後までわかりません。

    ○十二月の窓辺
    パワハラに悩む主人公が退職するまでの心情が生々しく描かれています。つらい気持ちになりましたが一気に読みました。理解力不足のため、通り魔の正体に納得していません。時間をおいて再読しようと思います。

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    2025年10月26日
  • 水車小屋のネネ

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    老い先が気になる物語! 初めは姉妹の環境やエピソードに気持ちが持っていかれるも、姉妹を取り巻く人たちに混ざったかのような錯覚が。
    この勢いで行くとネネヤバいのでは?とハラハラしながら読み続けることになる。
    ページ数あるも、あっという間に読み終えた読みやすさも良き。
    ただ、最後の10年この人視点なの??と若干切なくなってしまった。もう少し思い入れしてる人物視点で締めて欲しかった!

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    2025年12月02日
  • つまらない住宅地のすべての家

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    群像劇のため登場人物がよくわからなくなりがちだが、冒頭に宅地構成と人物の説明があり読みやすかった。

    登場人物はみなどこにでもいそうだけどちょっと癖があり、でもその考え方、感情もわかるなと思い違和感なく読めた。

    著者の作品は初めてだったが他にも読みたいと思った。

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    2025年10月22日
  • この世にたやすい仕事はない

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    この世にたやすい仕事はないのだなあ…。働かないといきてけないもんなあ。それにしても味のある職場ばかりで、読んでいて楽しかったです。ポスターを貼る仕事って、そんなのある?と思いましたが、妙な緊張感もとても良い。

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    2025年10月22日