津村記久子のレビュー一覧
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ネタバレAudible
1981年から10年おきに舞台が変わる。著者はちょうどコロナ禍のウィルスの収束が見えない時期に執筆したとのこと。
既に、遠い昔のように感じてしまうが、コロナウィルスと同じように、どうしようもない閉塞感、人生の重さを抱える人物が多く登場する物語。
18歳の高校生は短大に進学予定だった。しかし、母親が婚約者が事業の資金が足りないとのことで、短大の入学金を渡してしまったことで、進学できなくなってしまう。
その婚約者は彼女の家に入り浸るようになり、妹を追い出したり、食事を与えなかったりするようなことがあった。
18歳の少女は8歳の妹を連れて、住居を提供してくれる蕎麦屋で働くことに -
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ネタバレ「津村記久子さんの作品を集中して(といっても3冊)読んでみよう」の三冊目。
「ポトスライムの舟」と「十二月の窓辺」が収録されています。
「ポトスライムの舟」は前職をつらい思いをして辞めて、工場や友人ヨシカが経営するカフェで働いたり、パソコン教室で講師をしたりしている女性ナガセが主人公。たまたま職場に貼ってあった世界一周クルーズが、工場での年間手取りとほぼ同額であったことから、世界一周を目標にするところから始まります。と、こう書くとそこに焦点が合った小説かと思いきや全然違うのです。
ナガセは奈良で母親と古い自宅で二人暮らしをしていますが、そこに友人りつ子が娘を連れて夫から逃げてきます。と、こ -
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ネタバレ「津村記久子さんの作品を集中して(といっても3冊)読んでみよう」の二冊目。
4つの短編によって成る「職場の作法」と、「バリローチェのフアン・カルロス・モリーナ」と、表題作が収められた作品です。
「職場の作法」は津村さんお得意のお仕事小説。まぁ見事なまでに会社内の人や人物関係や、仕事のやり方などが詳細に表現されています。「ブラックボックス」では、仕事における田上さんの自らの自尊心を守る仕事のやり方に拍手。「ハラスメント、ネグレクト」では、空気を読めない上司あるあるに、大いにうなずいた。「ブラックホール」では、これまた人の机にある文具を勝手に持っていっちゃうおじちゃん社員のあるあるにうなずき、 -
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ネタバレすごく気になっていて、もしかしたら好きな作家ベスト3に入っているのではないかと思っている津村記久子さんの作品を集中して(といっても3冊)読んでみようと決め、んばばばば!と買ってみました。
まずは、一冊目。8つの短編集が収められている本書。
ひと作品を読み終わって次に進むごとに「津村色」が濃くなっていく気がして、うひひと嬉しなりました。ちょっとひとつずつ見返してみよう。
・レコーダー定置網漁
目の付け所が、さすが。主人公の会社に採用されることを希望している学生のSNSをチェックし、採用後、会社にとって危険な人物になりそうな、そんな投稿をしていないか確認するという仕事に疲れたため、リフレッシュ -
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ネタバレ母親が彼氏のために娘の専門学校入学資金を使い込む。
妹はその彼氏から暴力を振るわれる。
別れた父親の遺産も狙う。
親ガチャって本当にあるよね…
高校を卒業して妹連れて出て行こう!
その行動力がすごい。
そして、ヨウムのネネと出会う。
ネネがすごくかわいいし、周りの人もいい人ばかり。
水車小屋でお蕎麦屋さんの蕎麦粉を石臼で引く
のどかな風景が思い浮かぶ。
ネネのお世話も楽しそうで、少しずつメンバーを入れ替えながら続いていく。
10年ごとの短編になっていて、8歳の女の子もすっかり大人になっていく。
とてもいい本に出会えてよかった。
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2024年本屋大賞2位。
ときおり、やたら形容詞の多い頭でっかちな主語が出てきて「おおっと・・・最後まで読めるかな」とビビったが、なぜか途中から気にならなくなってきた。なんだこの独特の文章は。
毒親から逃げ出して二人暮らしをする姉妹の40年間が描かれている。
「自分はおそらく姉やあの人たちや、これまで出会ったあらゆる人々の良心でできあがっている」
全編を通して、血のつながらない地域の人たちの温かさと成長が描かれている。人間の善の部分にライトをあてた希望の物語だと思った。ふと昨年読んだ「本当の貧困の話をしよう」(石井光太著)を思い出す。周りの人たちのほんの少しの良心や見守り、かかわる勇気で -
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「水車小屋のネネ」がとてもよかった津村記久子さん。こちらも津村さんの人間観察力が光る。
こんなお仕事あり?という怪しげなお仕事が次々と出てくるのだが、どの仕事もほんとにありそうで展開が気になる。
そして、名前も登場しない主人公36歳女性が、彼女しか発揮できないであろう素晴らしい洞察力で、様々な事態を好転させていくのが小気味いい。
もし私がそのお仕事を請け負っても、こんな凄い結果を出せずに鬱になって辞めてしまいそうだ。
やはり、彼女にはなんというか人間を見る目があるのだろう。そして、その力が人一倍あるからこそ、15年勤めた職場で燃え尽きてしまったのだろうと納得…
私の職場も似たような職場で、 -
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〔Ⅰ〕ネネがみんなをつないだ。水車小屋の仲間たち。
〔Ⅱ〕「鳥の世話じゃっかん」という奇妙な求人を見て理佐と律の姉妹がやってきたことから始まった。
〔Ⅲ〕十年ごとの物語で登場人物も年を経てゆき新たな環境に入っており、また新たな出会いも起こる。が、ヨウムのネネだけ位置が変わらず灯台のような存在になっている。
〔Ⅳ〕第四話は東日本大震災が、エピローグではコロナ禍も少し描かれる。
〔Ⅴ〕北澤平祐さんによる、スナップ写真みたいな挿絵がたくさんあって楽しい。
■簡単な単語集
【石田家】求人を出していたそば屋をやっている一家。おかみさんは浪子、夫は守。そば粉は自分ところの臼で二度挽きしている。
【河岡 -
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ネタバレ津村さんの作品は3冊目だが、全て面白く読ませてもらっている。
悲喜交々に対しての主人公の反応に共感を覚えて読みやすいし、途中しんどい描写があったとしても、「ま、なんとかなるさ」と背中をぽんと押してくれるような締めくくりで、ほっと息をつける安心感がある。(今作収録作品では、「台所の停戦」や「牢名主」、「イン・ザ・シティ」にその傾向が顕著かもしれない。)
一番印象深かったのは、「現代生活手帖」。
ゆるい日常のお話かと思ったら、実現しそうでまだ絶妙に無理な近未来が舞台という意外性に驚いた。
また、どれだけ便利な未来になっても、億劫なことがゼロになっていない様子に苦笑してしまった。シェア制度や脅迫サ