津村記久子のレビュー一覧
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〔Ⅰ〕ネネがみんなをつないだ。水車小屋の仲間たち。
〔Ⅱ〕「鳥の世話じゃっかん」という奇妙な求人を見て理佐と律の姉妹がやってきたことから始まった。
〔Ⅲ〕十年ごとの物語で登場人物も年を経てゆき新たな環境に入っており、また新たな出会いも起こる。が、ヨウムのネネだけ位置が変わらず灯台のような存在になっている。
〔Ⅳ〕第四話は東日本大震災が、エピローグではコロナ禍も少し描かれる。
〔Ⅴ〕北澤平祐さんによる、スナップ写真みたいな挿絵がたくさんあって楽しい。
■簡単な単語集
【石田家】求人を出していたそば屋をやっている一家。おかみさんは浪子、夫は守。そば粉は自分ところの臼で二度挽きしている。
【河岡 -
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ネタバレ津村さんの作品は3冊目だが、全て面白く読ませてもらっている。
悲喜交々に対しての主人公の反応に共感を覚えて読みやすいし、途中しんどい描写があったとしても、「ま、なんとかなるさ」と背中をぽんと押してくれるような締めくくりで、ほっと息をつける安心感がある。(今作収録作品では、「台所の停戦」や「牢名主」、「イン・ザ・シティ」にその傾向が顕著かもしれない。)
一番印象深かったのは、「現代生活手帖」。
ゆるい日常のお話かと思ったら、実現しそうでまだ絶妙に無理な近未来が舞台という意外性に驚いた。
また、どれだけ便利な未来になっても、億劫なことがゼロになっていない様子に苦笑してしまった。シェア制度や脅迫サ -
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ネタバレ大阪の亜笠不文律で購入。個人経営の小さな本屋さんで津村記久子さんの本があると、「わかってるなぁ、この本屋好きだわ。」と小さく思って嬉しくなる。
本好きの次男とお邪魔したその日は、未読だったこの本を買って帰った。
津村記久子さんが読んだいろんな本が紹介されている本。
とにかくバラエティに富んでいて、いろんなそして、個性的な本を読むんだなぁ〜と楽しく最後まで読んだ。
特に、ある本の書評が、私が津村さんの小説に対して書いた感想と物凄く似ているところがあり、なんだか気持ちが通じたような、読み方、私間違ってなかったんですね!!というような、そんな気持ちで胸がいっぱいになった。
p46 「生活図 -
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具体的なエピソードとしては、主人公をはじめとした複数の登場人物が抱える職場や家庭での苦労が描かれているが、働く経験や、家庭的な苦労を未だ経験したことのない自身でも、登場人物たちの苦しみに共感することができ、人生の普遍的な苦しさをぴたりと言い当てる筆致に心を打たれた。一方で、とてつもない苦労を抱えながらも、やられっぱなしではなく意外にも(!)強かに日々を過ごす主人公たちに、希望も感じた。こうでないとやってられないよね、と共感できる。また、主人公との心情の距離感も絶妙で、過度な感情移入がないので、読後感が爽やかだった。苦しい時にまた開きたい一冊となった。
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ネタバレ1981年から10年おきに2021年までのネネと周りのひとたちの40年を描いたお話
とても長い話だけど、じんわりあたたかくなる。
厳しい現実、苦しい環境に置かれた人がいると、周りにいる人たちが自然と思いやり、手を差し伸べる。
不器用ながらもその思いは伝わり、連鎖する。
血のつながりはなくても、他人であっても、鳥であっても
そばにいることはできる
拠り所になることはできる
何かあれば、話をただ聞かせてもらうことはできる
そんな誰かに自分もなれているといいなと思わされた。
余韻を味わいたくて、最後の章2回読みました。またしばらくして読み返すと思います。
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ネタバレ主人公・ナガセの一年を追いながら、仕事やお金、生き方について何度も考えさせられた作品でした。
年収163万円という現実味のある数字と、そこから始まる節約生活や世界一周資金作りは、夢というより「自分にも起こりうる選択」のように感じられて、とてもリアルでした。
作中で、思うように貯金できず、働きすぎて体調を崩し、それでも働き続ける彼女の姿には胸が痛くなった。でも同時に、小さな幸福を拾い集めながら生きていく姿に、静かに励まされました。
ポトスライムが水だけで増えていくように、ナガセも自分の力で生き方を模索していく姿が重なって見えたことが印象的でした。
また、友人関係の描写を通して、誰もが表に見え