津村記久子のレビュー一覧

  • ポトスライムの舟

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    社会人の内容であるため、読書というよりどこかテレビ見ているような感覚だった。ポトスライムの舟はなんのために働いていくのかというところが主題だと思うのだが、それは生きるためなのか、旅行行くためかなど様々であるはずなのだが、主人公は生きるために働いているのか、働くために生きているのかが上手く掴めていない社会人をよく表していると思う。しかし、163万貯金するという目標を達成したことで、そんなに張り詰めなくてもいいと気付くところは面白かった。
    12月の窓辺は、パワハラが横行する会社で務める人の話なのだが、読む中で主人公が悪いのかもしれないと錯覚するようにできていて上手いなぁっと思う。パワハラする人が確実に悪いのですが。 ひょんな事で退職の決心ができ、そこから無敵の人のような行動が面白かった。多分人は確たる決心があればどんな人にも強くなれる。通り魔の話は最初理解ができていなかったが、まあその人にも何かしらの理由があるんだよなぁと思った。
    総評としては芥川賞を取る作品はどことなく不穏というか、いいエンドがないのが多い印象だが、この作品は前向きになれるような作品だった。

    0
    2026年09月11日
  • ポトスライムの舟

    Posted by ブクログ

    苦しい状況でも、働かないといけない不安から頑張ってしまうナガセに少し共感した。大学を卒業した女性たちが辿る人生の描写がリアルだった。

    0
    2026年09月11日
  • 水車小屋のネネ

    Posted by ブクログ

    二人で暮らし始めた姉妹の人生を、水車小屋に住むネネと取り巻く人々

     うーん。長い!正直な感想としては、ごめんもうちょっと話をはしょってくれません?という感じで、私はこの世界にもう一つしっかりと入り込めなかったようです。あと文体がちょっと単調というか夏休みの日記みたいなですます文体なのも気にはなりつつ。

     が、過酷な人生を過ごすと思われた姉妹が(それなりに過酷ではあるが)周囲の良心にひたすら助けられ、そしてそれを周囲に返す、そんなサイクルを繰り返しながら家族ではなくてもみんながそれを受け継いで行く。劇的な大河ではないが、穏やかな川の流れのようなドラマとして、とても暖かな気持ちになりました。悪い人、怒る人、困った人などがほとんど出ない。

     ただ、あまりにその、いい人しか登場しなさすぎて、「なんだか、いい人だけの国を作りたいっていう人の夢想する世界ってこんな感じなのかもな」と思って、ちょっと自分に対して嫌な気持ちになりました。もうちょっと素直に「いいなぁ」とだけ思っておくべきですよね、こういう作品は。

    0
    2026年09月11日
  • 水車小屋のネネ

    Posted by ブクログ

    勝手なイメージで、難しい教養小説のようなものと想像していて長らく読むのを躊躇っていた。いざ読み始めると全く違った!

    文章で読ませるのではなく、情で読ませる感じで、ややヤングアダルト的でもあった。初めての作家さんなのもあってか、正直、語り手が誰なのか?主語が誰なのか?など、ちょっとわかりづらくて戸惑うこともあった。難しい表現は使われていなかったが、読むのに時間がかかった。
    それでも、人の優しさに溢れていて、途中泣けてきたくらい、素敵な世界観だった。

    姉妹が仲が良いのも羨ましい。親が良くなくても、家族の中の誰か一人だけでも良好な関係を築ければ幸福度や安心感はぐっと上がる。

    ネネが遭難した人の名を呼びながら探すシーンは可愛らしくて大好きな場面になった。

    ◯誰かに親切にしなきゃ、人生は長くて退屈なものですよ (小学校の先生の藤沢先生の言葉)

    ◯自分はおそらく、これまで出会ったあらゆる人々の良心でできあがっている

    思いやりのある人々に囲まれ、助けられて来た感謝を、次はまた別の人を助けることで善意が繋がっていく。心から素敵だと思う。こんな世の中で生きられたら、誰も死にたいだなんて考えないだろうな、人の役に立ちたいと心から思える人間になるだろうなと感じた。そんな世界どこかに存在するのかな?

    0
    2026年09月11日
  • 水車小屋のネネ

    Posted by ブクログ

    人の善意や優しさが、時を越えて受け継がれていく、あたたかい物語。

    大きな事件が次々と起こる作品ではなく、物語はゆっくり、淡々と流れていく。人によっては刺激が少なく、物足りなく感じるかもしれない。

    でも、その緩やかな時間の中で描かれる、人と人とのつながりがとてもいい。

    そして、この物語に欠かせないのがネネの存在。

    ネネがいることで、人と人との距離が少し近くなる。ネネのことが大好きな人たちが、ネネを通じてつながっていく。そのつながりが時代を越えて広がっていくのが、この作品の素敵なところだと思う。

    章ごとに視点や時代が変わり、それぞれの人生が少しずつつながっていく構成もよかった。

    派手さはないけれど、読み終わったあとに残るのは、静かであたたかい気持ち。

    読みながら「これ、ドラマにしたらすごくいいだろうな」と何度も思った。

    「人って、案外いいものだな」と思わせてくれる一冊だった。

    0
    2026年09月10日
  • 水車小屋のネネ

    Posted by ブクログ

    思ったより読むのに時間がかかった気がする。1981年から2021年までの40年間を描いた作品だからだろうか。
    水車小屋で蕎麦粉を石臼で挽く、それを監視しているネネ。ネネは音楽が好きで、すぐに覚えるし、英単語も貧窮問答歌も覚えている。
    そんなネネを通して、山下姉妹は育ち、鮫渕さん、研二と引き継がれて人の縁が繋がっていくのがほっこりする

    0
    2026年09月09日
  • 水車小屋のネネ

    Posted by ブクログ

    主人公たちは、悪意もなく、利己的でもない人たちに囲まれて、生きています。普通で、何気ない物語なんですけど、あたたかく、気持ちが洗われます。何もなくても、何もできなくても、たた、生きているだけで、素晴らしいんだな、と感じます。そして、良心って尊い。主人公は善意と良心に囲まれて恵まれた人生を送っています。特に、大きな事件が起きることなく、進むので、読む速度は上がりませんでした。読み終わるのに、1ヶ月以上かかりました。しかし、自分のこれからの人生の指針となるような物語でした。自分も心豊かに生きていければいいな、と思いました。

    0
    2026年09月22日
  • 水車小屋のネネ【毎日文庫】

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「自分が元から持っているものはたぶん何もなくて、そうやって出会った人が分けてくれたいい部分で自分はたぶん生きてるって。」

    0
    2026年09月06日
  • やりなおし世界文学(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    世界文学の名作ばかり、というセレクションではない。勿論カラマーゾフもボヴァリー夫人も出てくるが、児童文学やSF、ミステリーも結構ふんだんに盛り込まれているので、多様な本好きに訴えるものがあるはず。
    基本褒めるが前提の書評でそこはプロの筆なのでどれもこれも面白そうに感じ手に取りたくなってしまうが、よく読めば著者自身がはまった本とそれ程でもなかった本は何となくわかってくる。問題は自分自身と津村記久子の好みの違いがどの辺にあるか、これがなかなか判定が難しいところで、津村記久子の著作が好きでも読む本の好みまでが一致するとは限らない。既読の本の評があればまずそれを読んでみる、あるいは好きな作家がいればその人のどの作品が選ばれているか、その辺りで何となく探っていくしか無い。

    0
    2026年09月01日
  • 水車小屋のネネ【毎日文庫】

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    優しさの連鎖の話。家の環境が悪くて家を出て行った18歳と8歳の姉妹が新しい土地で周りの人に助けられながら生きていく話。最後2021年だから40年間の話になるのかな?先生や蕎麦屋の夫婦からもらった優しさを姉妹が周りの人に分け与えて、周りの人もその周りの人に優しさをあげるって感じだな。蕎麦を食べたくなり、人に親切にしたくなるなあ。

    実際には優しさを受けても周りに返せない人もいるし、嫌な人もいるから、こんな小説みたいにはいかないよなと思いつつ(自分も貰うばっかりですごめんなさい)、みんな優しさを一歩踏み出していこうねって思えるので、とりあえず日本全国の人が読めば良いと思った笑

    0
    2026年08月30日
  • うどん陣営の受難

    Posted by ブクログ

    4年に1度、会社の代表を決める社内選挙。そんな会社あんのか?とまず思う。しょうもなくて笑えるそれなりの派閥争い、陰湿な駆け引き、社員達の温度差。薄い1冊の中に変なリアルがぎゅっと詰まってる。あぁこれぞ津村さん。当事者にはなりたくない笑

    0
    2026年08月30日
  • 君は永遠にそいつらより若い

    Posted by ブクログ

    読んでいる途中は、なにが書きたいのかいまいち伝わってこなかったのですが、読み進めていくと・・・。
    このような学生生活は送っていなかったですが、送っていたかもしれないし、私の隣に座っていた知らない学生が送っていたかもしれないな。
    さすがの芥川賞作家さんでした。

    0
    2026年08月27日
  • とにかくうちに帰ります

    Posted by ブクログ

    いつもの津村ワールド!
    「わたし」と周りの同僚、上司の解像度が高い。周りをよく見て何かしら考えている人間の脳内を実況するとこんな感じなのかなあ。
    表題作の「とにかくうちに〜」は、家に帰りたくて定時退社ダッシュする会社員の話かと思っていたら、単なる帰宅の話ではなく、おうちに帰りたいのにおうちが遠い、帰りたいと切望する話でした。(残業するわけじゃないよ)
    特に「とにかく〜」はまた津村さんのテーマであるケア理論が強く出ている作品だと思う。

    0
    2026年08月27日
  • これからお祈りにいきます

    Posted by ブクログ

    神様のように崇められている「サイガサマ」。だけど、神様と呼ぶには不器用で、そこがちょっと人間と重なり、住民たちが愛着を感じるのもわかる。
    「サイガサマ」自体は変な風習なんだけど、主人公の視点や思考が繊細に書かれているから、どこか普通の日常として自分の中に入り込んでくる不思議な話。

    セキヅカとシゲルのその後も気になる。幸せになってほしいな。

    0
    2026年08月21日
  • 水車小屋のネネ【毎日文庫】

    Posted by ブクログ

    何か大きなことが起きるわけでもなく、でも本人(登場人物)にとっては大きな出来事であり…
    小説を読み進めるというよりは、その中の住人になり一緒に登場人物を見守っているような、そんな感覚になる。
    幸せを言葉ではないけど、幸せの意味を言葉で紡いでいくようなそんな感覚になった。

    0
    2026年08月18日
  • 水車小屋のネネ

    Posted by ブクログ

    2人の姉妹が、見知らぬ町で様々な人に助けられながら生活基盤を築いていく物語です。章ごとに時間が大きく経過するので、前章までの登場人物がどうなっているのか、ワクワクしながら読むことができました。周囲に助けられていた姉妹が、やがて周囲を助ける側になっていく点も好きです。あと会話できる鳥、ネネと登場人物のやり取りもほっこりします。

    0
    2026年08月17日
  • 水車小屋のネネ

    Posted by ブクログ

    みんないい人である、母親と義父以外。
    でもってヨウムという鳥は、ホンマにこんな会話が成り立っちゃう生き物なのだろうか。すごくないか。ちゃんと生きていく登場人物ばかりなので、むしろそっちが気になる。

    0
    2026年08月16日
  • 浮遊霊ブラジル

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    表題の浮遊霊ブラジルの話が特に面白かったです。
    幽霊となった後、人に憑依しながらアイルランドを目指す過程が、冒険している感じで面白かったです。老人会から始まり、ブラジルやオリンピックなど、予想できない展開が続き、惹き込まれました。

    0
    2026年08月16日
  • 水車小屋のネネ

    Posted by ブクログ

    十年刻みで話が進んでいき、その間に何があったのかは読者の想像に委ねられているところが面白い

    不幸な家庭環境で育った姉妹を、周りの人たちが少しずつ支えていく、その優しさが心に染みました

    自分の日常に物足りなさを感じるのは、他人に対する親切が足りないからなのかな、と考えさせられました

    その時代に流行っていた音楽や映画が出てくるのも良くて、物語と一緒に時代の空気まで感じられる作品でした

    0
    2026年08月13日
  • 現代生活独習ノート

    Posted by ブクログ

    ど頭の一文に心を掴まれて購入。
    初めて読んだ津村記久子作品『この世にたやすい仕事はない』に通ずる、世にも奇妙な物語的な雰囲気漂う短編集だった。

    好きな章は「レコーダー定置網漁」「現代生活手帖」「粗食インスタグラム」「メダカと猫と密室」。
    丁寧な暮らしや人に語れるような生き方とは程遠い人生を送りながらも、最後はほんのちょっとだけ世界が動いたような感覚で終わるところが良かった。

    何にもなくてもいい(たまには何かあるかもね)くらいのゆるいスタンスで生きていきたい。

    0
    2026年08月12日