津村記久子のレビュー一覧

  • 水車小屋のネネ【毎日文庫】

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    くまさんの本棚より、かわいいタイトルで以前から気になっていたが、書店で文庫化されたのを知り購入。

    『水車小屋』自然の流れを力にかえる。
    『ネネ』環境により何色にもなれる鳥の名前。モノマネ上手の鳥ヨウム(オウムの仲間)

    ネネは水車小屋の中で蕎麦粉を挽く石臼の当番鳥
    『からっぽ!』が愛らしい。そんなネネは人のように喋り、歌い、踊り、寄り添い、喜び、悲しみ、恐れ、励ます(擬人化されているわけでない)。

    家出を決意した18歳理佐と8歳律の姉妹は、親の愛情を受けられず、川の音が聞こえる田舎町に暮らし始める。
    そんな2人と1羽の物語は”良心”と”絆”の大切さをグイグイ書くわけじゃなく、日常の中に散り

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    2026年05月29日
  • 水車小屋のネネ

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    ネタバレ

    身勝手な親から逃れ、2人で生きる決意をした18歳と8歳の姉妹の40年間を描いた長編小説。読む前は「ネネ」は人間だろうと考えていたが、ヨウムだった。序盤は理佐と律の親に嫌悪感を抱きながら、思い切った行動をする理佐にも驚いた。しかし、そば屋の守さんや浪子さんをはじめとする優しい人たちに恵まれて、その土地で彼女たちは成長しながら、新しい関係を築いていく。ページ数は多いが、文章はさっぱりしていて読みやすかった。また、登場人物が温かく、穏やかな日常が続くため、着地に注目していた分、最後は少し物足りなさがあった。

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    2026年05月23日
  • 水車小屋のネネ

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    母から短大の入学金の支払いするためのお金を継父に使われて、入学できないというネグレクトされた18歳の姉理佐と継父から身体的心理的暴力を受けた8歳の妹律が、全く知らない土地で周囲の人々の暖かさの中で成長していく30年以上に渡った物語。
    今なら児相が介入してくる家庭だけれど、その前頃のどこか牧歌的な助け合いの大人たちがいたことによって二人は救われて貧しいながらも成長していく。
    その二人の支えには大人もいたけれど、おしゃべりするヨウムーオウムじゃないーのネネとの会話と関係性が物語の主要な軸となる。ネネのかわいい会話に、とても辛い話もあるのだけれど、癒される。
    姉妹を支える大人たちの魅力的なこと。そし

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    2026年05月21日
  • 水車小屋のネネ

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    いい人ばっかり出てくる。
    始まりは18歳のりさが8歳の妹、律を連れて2人での生活をスタートさせるので軌道に乗るまでなかなかしんどいはずなのにりさの性格とお蕎麦屋さんの店主、ヨウムのネネ、律の学校の先生の人間性のおかげで気分が下がらず読めた。
    かなり長かったし途中から情景が想像しにくい描写(蕎麦粉を挽くシーンとか馴染みがないからかも)も多かったけど40年間見届けようていう気持ちで読んだ。

    人に親切にしようて思えるかも

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    2026年05月21日
  • ポトスライムの舟

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    久しぶりに小説を読んだ。選んだのは、津村記久子さんの『ポトスライムの舟』。
    映画『君は永遠にそいつらより若い』を観て以来、ずっと気になっていた作家さんだ。文芸評論家の三宅香帆さんもお薦めしていたので、「それならまずはデビュー作から」と手に取ってみた。のちに芥川賞受賞作だと知り、そういえば当時ニュースで見聞きした記憶がうっすらと蘇る。

    慣れない関西弁に最初は少し戸惑ったものの、読み進めるうちに、それが逆に主人公・ナガセの思考をダイレクトに脳内へ届けてくれるような感覚に変わっていった。彼女の淡々とした日常の中に、自分も一緒に没入していくような心地よさ。

    読み終えたとき、これはまさにあの映画と同

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    2026年06月06日
  • 水車小屋のネネ【毎日文庫】

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    はじめは、どんなこと?って感じだったけど、10年 20年と過ぎていくうちに りっちゃんや ネネと一緒に時を過ごしている気になってた。

    「誰かが誰かの心に生きているというありふれた物言いを実感した。むしろ彼らや、ここにいる人たちの良心の集合こそが自分なのだという気がした。」

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    2026年05月17日
  • 水車小屋のネネ

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    「不幸」と思われてしまいそうな境遇に育ちながらも、恨んだり嘆いたりすることなく、出会った人に助けられ無事育ったことに感謝しそれをまた誰かに返そうとしていく。なかなかできないこと。皆が幸せでありますようにと祈りながら読んだ。良いフレーズもあり良かった。

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    2026年05月16日
  • 水車小屋のネネ

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    1981年
    8歳の律は、18歳の姉理佐と母の元を離れた。短大の入学費を流用され、男を選んだ母から逃れたかったのだ。
    住み込みで働き始めた蕎麦屋の条件は、水舎小屋とヨウムのネネのお世話をすること。

    賢い律と、とても賢いネネ。
    この土地に暮らす二人、10年毎の生活の2021年までの物語。「人に恵まれ」と言う姉妹。

    本当に。
    小さな事件はあるも、血のつながらない人たちの関わりが暖かい。とは言え、その人たちも父子家庭であったり、一人暮らしを貫いた老女だったり。

    本を読めること。音楽を楽しめること。
    は、人間として大事だなあ。

    近年、普通の小説にふつうに複雑な事情の家庭の話しがある。これはもうす

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    2026年05月15日
  • 水車小屋のネネ【毎日文庫】

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    以前から気になっていた作品で、文庫化されたら絶対に読もう!と思っておりました❁⃘*.゚

    身勝手な母親とその婚約者から逃れ、山間の町でひっそりと静かに暮らし始めた18歳の理佐と8歳の律。
    そんな2人が町で出会った人々とネネ(しゃべる鳥)に支えられ、見守られながら成長していく姿を描いた心温まる素敵な作品。

    ネネが歌うことが大好きなので、作中に様々な楽曲や映画が登場するのですが、音楽や映画が好きな方はそちらも楽しめるのではないかと思いました!
    そして…なんと言っても!おそばが食べたくなります!!(今すぐにでも食べたい~)



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    2026年05月08日
  • 水車小屋のネネ【毎日文庫】

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    文章のテンポが独特で読み慣れないが、不思議な客観性を伴ったまま情景が浮かび上がってくる。
    相容れない身内がいる一方、善意を与えてくれる他者がいる。
    この話は後者にフォーカスしている光属性の作品だと思う。
    律が自分を構成してできているものが、そういった善意の持ち寄りでできているとする心情が美しいがどこか複雑だ。
    相手の重荷にならない程度に親切をすること、それが全て実っているかのような描写は続くがきっと実らないまま捨て置かれることもあったのではないかと推察する。両親のこと以降、大なり小なりの苦労を描きはするが、それ以外のざらつきがないのが綺麗すぎる感じがした。
    どうにもならなかったものよりも、実っ

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    2026年05月04日
  • この世にたやすい仕事はない

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    ネタバレ

    主人公に世代と境遇が近く、自分も現職を辞めたらこうなりそうだと思いながら読んだ。気がついたら仕事に没頭してしまう性格も似てた。やりようを見出すと没頭してしまう。やりがいではなくやりよう。それで期待以上の成果を出すものの疲弊している。何が起こるかわからない中で大抵のことは受け入れて、ただ全力を尽くし、どうかうまくいきますようにと祈る…というスタンスでしかないのに。箱田さんみたいな憎めない上司がいたらいいな。主人公の性別が途中まで伏せられていたのは構成の妙かな。純文学は苦手な方だけど楽しめた。

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    2026年05月03日
  • ポトスライムの舟

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    おそらく作者のエッセイをいくつか読んだ影響もあるかと思うが、「仕事」や「働く」という事柄に関する生々しさや切実さに胸を衝かれる。ここに書かれていることは「労働」という言葉の響きより、「働く」という言葉が合っているように感じる。
    ナガセは徐に一年かけて世界一周旅行の資金を貯め始めるが、些細な、または些細でなかったりする事情で順調に貯められかったりする。
    大きく何かが変わるわけではないけれど、憑かれたように働き詰めだった彼女にささやかな心情の変化が訪れ、また日常に戻っていく描写に自然と涙が流れた。
    十二月の窓辺は読んでいてずっと呼吸が浅くなっており、こういう上司、知っている…という覚えのある痛みを

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    2026年05月01日
  • とにかくうちに帰ります

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    津村さんの作品は少し読みにくい所があるが、読み始めると止まらずずっと読めてしまう。日常にいる色々な人が細かく書いていて面白い。
    とにかくうちに帰りますは、嵐の中ひたすらうちに帰ろうという人々の話。これもとても面白かった!

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    2026年04月29日
  • やりなおし世界文学(新潮文庫)

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    92作を紹介した本。これを読んで、読んでみたくなった本(ややこしい)が多い。ちゃんとメモしないと、これまた忘れる。

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    2026年04月25日
  • やりたいことは二度寝だけ

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    フラットな目線で自他を見ていて好感がもてました

    働く、働くことができる、ということは、自分の生活にぶしつけに干渉してくる世間や世界と渡り合うための、唯一の手段なのだった。

    わたしたちは、自分たちの定めた分相応を維持するために、どうしたって働くのである。

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    2026年04月25日
  • サキの忘れ物(新潮文庫)

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    津村節がうなる短編集。
    胸がほっこり暖かくなったり、ちょっとうすら寒くなったり、一遍一遍それぞれにいろんな読後感が味わえる。
    どれも味わい深かったけど、一番好きなのは表題作。
    いろんなことをあきらめざるをえなかった主人公の千春が、自分の好きなことをコツコツ確かめていく様子に、心から拍手を送りたい。

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    2026年04月22日
  • やりなおし世界文学(新潮文庫)

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    この一年、須賀敦子さん、梨木香歩さんの書評本を読んできた。
    須賀さんは書評というより、若いころの彼女に影響を与えた本についての思い出といった感じだったけれど。
    それで、今回は津村記久子の「世界文学」レビュー本である。

    須賀本、梨木本とはかなりカラーが違う。
    (正直、このお二方の本はどこか雰囲気が近く、時々ふとあれ?既視感がある、と思う瞬間があった。同じ本を取り上げているところもあるせいだろうか?)

    津村さんならではの要素として、筆頭に挙げられるのは「ダメっぷり」を愛でる姿勢。
    たとえば「ボヴァリー夫人」のエンマ、「カンディード」のパングロス先生、ドリアン・グレイらの、どうしょうもない登場人

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    2026年04月19日
  • やりなおし世界文学(新潮文庫)

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    ネタバレ

    世界に名だたる文学作品が紹介されていますが、私はほとんど読んだことのない
    作品ばかりでした。この本の著者はどれも一通り読んだ上で、かなり偏った感想と
    端折ったダイジェストを書いているわけですが、超入門ブックガイドとして
    自分の興味のある作品の箇所だけ読むこともできますし、最初から最後まで
    じっくり読んでもよいかと思います。

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    2026年04月17日
  • 現代生活独習ノート

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    生活に疲れた人たちを描いた短編集。
    津村さんってなんでこんなに世の中を解像度高く見られるんだろう。
    自分がモヤモヤと考えていたことがドンピシャで書かれていて、そうそう!と共感しながら読みました。

    どの話も面白かったですが、特に『粗食インスタグラム』と『イン・ザ・シティ』という話が良かったです。

    『粗食インスタグラム』は「食べる以前に選ぶのがしんどい」という、何を食べるか決めることに疲れてしまった主人公の話です。
    主人公は自分の貧しい食生活の写真を撮って保存していきます。
    選択と決断にも結構な心理的コストがかかるんですよね…疲れてると毎日何を食べていいのか分からなくなる気持ちがよく分かります

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    2026年04月11日
  • エヴリシング・フロウズ

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    初めて読んだ作家さん。書き方がかなり独特。内容、情報が盛り沢山な上に、登場人物が全て苗字表記なので、まず男女が分からない。しかも関西弁なのでますます読みにくい。
    ただこういった信念みたいなものを決めつけないような小説があってもいいかもしれない。行動と思いは確かに同じではないと思うし、これは、最後の総評で納得した。何気ない日常生活の中に、派手ではないがでも、かなりの事件が潜んでいることはよくあると思うし、それを描くと、こうなるのかもしれない。

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    2026年04月10日