津村記久子のレビュー一覧
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涙あり、心が浄化される物語。
それぞれが周囲のことを思って支えて、そして支えられた側もそれに応えた行動を何かしらの形でして、良い循環が生まれるという理想的な社会。
ネネという存在がいたからこそなのかもしれないけれど。
生活が苦しいとき、自分のことを優先することが幸せなのかなと考えてしまったけど、周りの幸せや成長を支えることで自分の人生がさらに豊かになるんだなということがわかった話。
コロナを経て、人との繋がりの大切さが感じられたからこそ書かれた話なのではないかと思った。
あとがきに、コロナ禍だけどウイルスのことを考えないで書けたことに幸せを感じたとあって、作者の人柄にも惹かれた。
自分を大切に -
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「親切」って、もしかしたら「筋肉」みたいなものかもしれない。使わないと衰えるし、使いすぎると疲れちゃう。でもこの本に出てくる人たちは、みんなちょうどいい筋肉の使い道を知ってる気がする。
大きな事件は起きないし、世界がひっくり返るわけでもない。でも、「誰かが誰かをちょっとだけ助ける」ってことが何年も続くと、それはもう奇跡と呼んでいいのかもしれない。
読み終わったあと、あの日レジでおまけしてくれたおばちゃんのこととか、うっかり道を聞いて助けてくれた人のことを思い出した。私はたぶん、そういう「誰かの気まぐれな善意」の集合体でできている。
#水車小屋のネネ #津村記久子 #小説
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人の善意が連鎖して行き場のない人を支えていく物語。
あたたかいこの物語の伴走者がヨウムのネネであるところが、ちょっとユニークだ。
母親の再婚相手に短大の入学金を使い込まれた山下理佐。
小学校二年の妹、律はその再婚相手から家を閉め出されたり、理不尽に叱られたりして、家に居場所をなくしている。
それを知った姉の理佐が、県外に見つけた蕎麦屋の求人に応募することを思い立つ。
「鳥の世話、じゃっかん」という謎の業務つきの。
こうして物語が動き始め、不安ながらもこの二人を受け入れた蕎麦屋店主の守・浪子(鳥アレルギー持ち)夫妻、近くに住む画家の川村杉子さん、律の小学校の担任になった藤沢先生らが姉妹を見守 -
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ネタバレ芥川賞受賞作『ポストライムの舟』とその前日譚とも言えそうな『十二月の窓辺』。
やはり『ポストライムの舟』がかなりよく、『十二月の窓辺』はちょっと迷うところ。だけど『ポストライムの舟』は「こんな書き方あるかぁ!」と感嘆。なので迷いましたが、やっぱり★五つ。
以下、解釈&ネタバレ。
『ポストライムの舟』』の主人公・長瀬由紀子。このフルネームは最初の一文にだけ使われて、あとは「ナガセ」で統一される。ではなぜ、最初だけフルネームか?
「脳内並行世界の確立にナガセが成功した」という個人的な感想を抱いている。本体は長瀬由紀子であり、ナガセは様々な長瀬由紀子のうちの一人。でも実際のナガセは前職、パワハラで -
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ネタバレ
かなり好き。
イヤミス系が普段好きだけど、ミステリーとかじゃなく単に読むお話系だと、この人の作品かなり好きだと思った。
ふと目に止まって手に取ったけど、そのままやっぱりやめよってせずにレジに持って行った自分偉い。
よかった〜と思った。
タイトルから、とにかく残業とかも断り、人からの誘いを交わしまくって帰る話なのかな、と想像してて
最初の2つの話の雰囲気からも
そんな話が来るだろう、と想像しながら読んでいた。
そもそもこの最初の2つの話もめちゃくちゃに面白く好み
応援するスポーツチームが没落してしまいやすい浄之内さん、
勝手に失礼ながらそう思ってるから、最近気になるフィギュアスケート -
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ネタバレこんなふうに、いろんな人と支え合いながら、生きていきたい。
有隣堂YouTube5周年記念のブッコロー限定カバー欲しさに、気になる単行本を探していて出会った。「鳥が表紙にいる!!」とジャケ買いしてから、(単行本で持ち歩きにくいということもあり)半年くらい積読していた、、ようやく読みました!
鳥の本を鳥のカバーしながら読んだ。
こんなふうに生きていきたいと思える、理想の生活が詰まっていた。
家族ではなくても、家族ではないからこそ、近くで助け合うことができるのかもしれない。
誰かの助けになるようなこと、わたしにもできるかな。何か見つけたい、そういう気持ちになった。
榊原さんの、"娘 -
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ネタバレ## 感想
私は今の仕事を14年続けていて、この本の主人公と同じ年齢と経歴だ。
そんな主人公が仕事で燃え尽き、様々な仕事を転々とし、不思議な体験をしつつも、「仕事」対して色々考えていく話。
「こんな仕事あるの?」というニッチな仕事と、ちょっと不思議な体験。
そして最後の結末に至るまでに、ちょっとずつ過去の仕事のことが出てくる感じ。
淡々とした主人公で、仕事や同僚に対して冷ややかな目を向けたり、変なところで仕事に熱意を傾けたりしていて、面白い。
同じ仕事を長く続けてきて、結局どの仕事でも合う合わないはあるし、人によって感じ方は様々だということを実感してきた。
なんなら今でもそう。
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本屋大賞ノミネート作。
18歳と8歳で母親の元から離れることになった姉と妹。
蕎麦屋の給仕と鳥の世話少々、という変わった募集に就職先として決まり、そこからヨウムのネネと様々な人々との30年、40年を描いている作品。
ほのぼのとしただけの物語かと思いきや、少女たちの境遇はかなりハードな所から始まる。
それでも、ネネや周囲の人に恵まれて人生を過ごして行く。
出て来る人が優しくてこの人たちに出会わなければ皆どうなっていたんだろうな、と思うことばかりだった。
何時かの終わりは予感させられたものの、決して哀しい終わりじゃなくてとても良かった。
美味しいお蕎麦が食べたくなります。 -
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次は何を読もうかと、積読本たちをあれでもないこれでもないと10数ページ読んでは辞めてを繰り返して、壮大な長編小説も重い話も読む元気がないな、なんか気楽なのがいいな、と手に取った。
1話読んで、これだわ、ってなった。
全く劇的な事は起こらなくて、明るいわけでもないただ日常の生活を切り取ったようなゆるい空気感で、それでいてユーモアで心をほぐしてくれるような話たち。温かい梅昆布茶でも飲んでいるような感じで癒される。
8話あってそれぞれ20~50ページ弱なので読みやすい。
どれも良いけど特に好きだったのは以下3話
・レコーダー定置網漁
仕事で、SNSだとか膨大な量の情報に触れて疲れきってしまった女