あらすじ
身長175センチ、22歳、処女。いや、「女の童貞」と呼んでほしい――。就職が決まった大学四年生のだるい日常。その底に潜む、うっすらとした、だが、すぐそこにある悪意。そしてかすかな希望……? 芥川賞受賞作家の鮮烈なデビュー作。
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私はホリガイがとっても好きだ
なんだろうか、私に似てるとかそんなおこがましいことは思わないけど、彼女の中途半端で流されやすいところも人の気持ちを考えてるのに考えられてない行動してしまうところも、まっすぐにしか見れなくなる時があることとか。
読み終えた時、あぁホリガイさんに会いたいって思った会ったこともないのに
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遅ればせながら、津村記久子の大ファンとなったので、デビュー作を読んでいないことを恥じ、手に取る。
なぜこの人をずっと追ってなかったのか!後悔後悔…。でもこれからの楽しみが増えたと思えば!
リアリティに寄与するユーモアの匙加減が心地よい。群像を描いて種をばら撒き、どこに到着するかわからない書き方は新鮮。
仕掛けられた種が想像もつかないところに芽をふくのが楽しい。
そう来たか!
最後は泣けました。
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兎にも角にも、ずっとすごーーーー!と思いながら読み進めた。
かなりパワーがあるのに言葉の優しさとか柔軟さが際立っている感じ
キャラの濃さもそこそこにあるけれど、まどろっこしさは全然感じなくて、いやこういう人たち居るなあってしみじみするような
勝手に私もホリガイになったような気持ちで色々な人に関わって苦しんでもがいて少し嬉しくなったりした。私も日々の不安や様々な感情と真正面から向き合ってちゃんと言葉にしていけたら、、と思う。
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また素晴らしい小説に出会えたことに感謝。そして、また大好きな作家が増えました。津村氏の語る言葉のあまりの熱量と、また、それを軽くいなすようなユーモアセンス、言葉のチョイスなど、どれも最高っす!イノギの「そこにおれんかったことが、悔しいわ」は最強に優しい。
主人公ホリガイのブレブレではあるが
やるべき時にはやる、行動力は素敵すぎる。動くべき時のために普段いかに準備しておけるか。誰かの為に…。
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津村記久子のデビュー作のタイトル「君は永遠にそいつらより若い」は改題されてつけられたものらしい。作品を象徴するとても秀逸なタイトルだと思う。このタイトルに惹かれ、沢っっ山の人に作品が読まれるといいなと思う。
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男らしく/女らしくと期待され、すり減るさま。
いとも簡単に人は死ぬってこと。
表層を舐めて理解した気になるグロテスクと、到達しえない他者理解という理想郷。
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映画を見てから、原作を読みました。
原作と映画では大きく印象が異なることが多いのですが、この作品は原作の雰囲気を映画にも上手く投影してるなと思いました。
性について思い悩んだ青春時代。自分が何者かと言う問いと、何者でもないと言う絶望の狭間で、ごく『普通』に生きてきました。
なにかその若き日の漠然としていて、切実な思いみたいなものを思い出させられる作品でした。
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言ってしまってから、やってしまってから、言う前から、やる前から、の後悔が多いホリガイだけど、誰よりもちゃんと傷ついて、誰よりもちゃんと他者を想っている。短所の数が長所の数を上回っても、ヘラヘラした振る舞いの下に隠れる、たった一つの揺るがない信念があればきっとそれでいい。
もう充分人の抱えた痛みに敏感な彼女を、それでもまだ自らが感じる言いようのない欠落感を持て余す彼女を、大事な人のためにとっ散らかってしまう彼女を想う。この本を、映画を思い出すと、彼女に対する共感や愛おしさ、私自身への情けなさと不甲斐なさ、そして自分にとっての大切な人のこと。いろんな感情が湧き出してきて眼の奥がツンとしてしまうのだ。自分の中で痛いほどの強度を持って刺さってしまった。
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卒業間近の大学生の日常の話
心の中にわだかまるものを抱えた女性同士が出会う
最初は何の話かわからず、全体像がつかめない
所々に主人公の諦めやら、今の状況を受け入れてる感じで話が進む
他者を力で制圧する
男性と女性、大人と子ども
力の強いものが弱いものを侵す
弱者の抗いの哀しみを
まるで
傾いて暗くなり翳りゆく部屋のような雰囲気で描きだされてるような作品だと思った
終わり方も、なんだか物語を創っていますという感じかない
自然体がよかった
津村記久子の今の作風では性的な描写が全然ないので、そういう表現があまりすきではない作家さんなんだと認識していたけど、初期の作品は結構それがあるのかな
性的な描写があって尖っている印象を受けた
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プロローグでの不穏な始まりは、大学生活での様々なエピソードを読んでいるうちにすっかり忘れてしまい、じわじわ語られる、弱いものが強いものに蹂躙される問題に嫌味なく切り込んでいく。そしてプロローグに通じるラストにはっとさせられます。とは言え、青臭い大学生活も楽しく重いテーマではあるがクスりとさせる文体もあって重たさは感じられません。文体と言えば、様々な表現、言葉の組み合わせに、反芻して読むことも多く、楽しい読書でした。セリフが少なく、主人公による癖があるものの読みやすい文書が好みです。最後に着信したメールに嬉しさが込み上げました。
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若さをうまく描いてる。最初は入り込めないかも、と思ったけど読み進めるうちにどんどん入り込めた。おもしろい。主人公が幼少期の話をするところで、イマダかヤマダか忘れたという同級生をイマヤマダと呼んでるのにクスり笑い。昔は同じようなこと考えたり悩んでたりしたな。今となっては大して気にしないようなことを。
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強烈なデビュー作でした。すごいなあ。
津村作品を何冊か読んで好きになったのでデビュー作を読んでみました。
いわゆる重たい事情や哀しい出来事も淡々と語られる津村作品ですが、だからこそ逆に力強さを感じるというか、目に見える赤やオレンジの炎が燃えているのではなく、暗闇に静かに青い焔が揺れているようなイメージが浮かびます。真っ直ぐ刺さります。
そういうところが好きなんだなあと再認識しました。
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酒井順子さんの中年女性ぶっちゃけエッセイを同時に読んでいたため、本作主人公ホリガイ女史の独白が、エッセイと本作との境界を曖昧にして面白かった。著者のデビュー作にして太宰治賞を受賞した作品は、京都在住の不思議な性格の大学4回生女子を取り巻く人間模様が淡々と綴られる。幼少時代のトラウマ、好きな男子の自死、処女喪失への憧憬、児童福祉司を目指す動機が輻輳する主人公。イノギさんの辛い過去と相まって、惹かれあう二人。静かに、しかし大きくうねる波のように進む物語を堪能した。
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何かが起こった後の不穏な空気を孕みながら、本題にふれずにダラダラ進んでいく感じが、どこに向かっていくのかわからず、大丈夫かな、と多少不安になりながらも、ポツポツと挟まれるじめっとしたヒントのようなものを頭で繋げながら最後まで一気に読んでしまった。
絡むエピソードがどれも強烈で、主人公の周りに集中して起こるのはドラマが過ぎるけど、現実ではそれぞれの事件は日々起こっていて、私もまたそんなエピソードを持っていて、この物語の登場人物の1人だ。
イノギさんの過去の詳細が回想される場面は不意打ちで、胸に重りが乗ったみたいになった。
自分に対してどこか諦めた態度や、他人への嫉妬心も静観し部外者みたいに分析するホリガイは、若干22歳の若者というより、ミドルエイジみたいだな、と思ったりもしたけど、所々で突然衝動に突き動かされ、彼女曰く、"変"な部分が理性を突き破って面にでる。そんな情熱?を秘めているところに、あぁ、彼女はただ、若者特有の迷いの中にいるのだなと安心した。
彼女の思考には共感する部分が多く、児童福祉に関わろうと思った理由には(自分が児童福祉に興味を持った理由と同じで)とても共感した。
"それはあまりにもつたなく、衝動的なものだったからだ。……それをうまく他の人に説明する自信はまだなかった。その男の子のことを考えるときの、私の心の内は、明らかに標準の大人として不適切だと思われたし、どこか妄想じみてもいた。”
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おかしみの中に悲しみのある、血の通ったユーモアだ
題がとても好きです
大学生という、羞恥をすてて、無意識で過ごしたほうが勝ち、みたいな時期をこうも自意識ばちばちに過ごしてしまっては、それはポチョムキンにもなるよなあ、と覚えがあります
一度読んだだけではなんともまとめられないけど、とても好きな感じでした
あと何度か読む
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他の方も書かれているが、タイトルが圧倒的に素晴らしい。そして、タイトルの意味もわからぬままダラダラと読み進める、大学時代のダラダラとしたやるせない日々の物語りはなかなか面白い。本題はなかなか提示されない。
「雨のように降ってくるトラブルを、僕たちは夢中になって拾い集め、ポケットに詰め込んだ。」
たまたま並行して読んでる関係のない小説の一節だが、そんな無意味にも見えるけど愛おしい日々。だけどそんな日々のトラブルの中に、雷のような悪意が潜んでいた。
かつてはやり過ごすしかなかった理不尽な悪意に対し、今でも解決出来るかは判らないけれど、それでも前向きに進んでいく、そんな主人公に寄り添いたくなる小説です。
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こんな話だと思わなかった。
いろいろなことが書かれていると思うけど、この本がどんなテーマの物語なのか、わたしには言い当てることが難しい。
でも、(わたしの選ぶ言葉が正しいかわからないけれど、自分の言ったことで誰も傷つかないことを願うけれど)自分がいかに平凡で、それがどんなに幸せなことなのか、能天気に生きていられていることの非凡さを痛烈に感じた。
読み終わったあと、わたしはどうしたらいいのかわからなくなって、気づいたら昔の自分の子どものころの写真を見返していた。
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うまく表現できないが題名からおしはかる芯のテーマと、全体のストーリーとが噛み合わない気はするけど、その散らかったまとまりきらない雰囲気も含めて名作だと思う。
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楽しい事や悩み事が有りながら、日常を過ごす若者。
日常の中ある突然の計り知れないほどの暴力行為。
サラリとした文章で書く事で主人公や周りの人達の心情がよりどんなものか分かり、引き寄せられる。
希望と言うベースがきちんとある事が嬉しかった。
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そんなに大きなことが起きず、淡々と進むから、この感じでずっと行っちゃうのかなーと思っていたら、残り三分の一くらいからは、一気に持っていかれた…
結構、ドロドロしたことが起こっているのだが、それをまるで白黒の世界のように描ききるから、読む力みたいなものを引き出されて、読み終わりは放心状態だった。
『君は永遠にそいつらより若い』と言えるホリガイは、このあと、きっと仕事を全うできる。
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ホリガイのイノギさんへの気持ちがなんだか不思議。
恋?尊敬?友情?
大学あるあるみたいな感じで読んでたら、急に暴力とか闇的な部分が差し込まれたりして面白かった。
闇を面白いってサイコパスかよ。
まあでも、面白かった。
【2023.5.10追記】
映画を見て思ったけどこの作品には暴力わ受けた人の悲しみが描かれてると感じた。ホリガイが子供を保護したのは暴力が存在する世界での光。
人を傷つけてはいけない。
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君は永遠にそいつらより若い
一見けだるそうな、少し軸がずれたところにいるようなホリガイの
深い深い共感力(というのかな、、)
放っておけない苦しさを
抱き続けることによる、軸のずれ
でもその抱き続けた想いゆえに救われた人たちのいること
やるせなく、できることはないと絶望しても
妄想のような希望を持ち続けることの大切さ
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なんとなくだらだらと読み進めていて、ただの大学生の話かなって思っていたので、後半に読み進めていくと驚きがありました。それぞれの持つ困難や痛み葛藤などか明らかになり、胸に迫ってくるものがあります。著者のデビュー作品と知ってまた驚きです。
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あなたがわたしのことをすっかり諦めて忘れてしまっても、わたしはあなたのことを気にしているんだろうということを、どうやってイノギさんに伝えようかと思った。
なにもない。何もないことがある。
小説だから何か起こるけれど、あくまで小説だから。
この作品の世界は、小説でなかったらおそらく何も起こらなかっただろう。
それでも私はこの世界を体験してみたいと思う。
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面白かった。主人公の、ひんやりとした自己分析が、「あーわかるわかる、この気持ちは確かに言葉にしたらこんな感じだよね」というのが何度もあり、小説を読む醍醐味だと思った。
ただ、一方、私の読解力が低いからなのか、最後の結末(タイトルがそのまま出てくるところ)が、少し唐突に感じたというか、それまでとの文脈と上手く自分の中で繋がらなかった。
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読み終わってから毎日、ふとしたきっかけで大学時代の何気ない一コマを思い出します。かつて贅沢すぎるくらいの「自由な時間」を持て余して、ただ好きな人と好きなことしてた大学後期の頃の自分が、物語のくだらないエピソードと薄く広くリンクしていたのだと思います。個性的な登場人物たちと、またあの頃を共に過ごせたかのような。
終わり方も含めて決して明るい物語ではないけれど、読み終わってからしばらく、心地よい余韻が残るような、良い作品に出会えた気がします。
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大学を卒業して四半世紀が経とうとしている。たった4年間なのか4年間もなのか、あの時を過ごした同級生や教授や後輩や先輩は厳密に言ったら4年間に満たないつきあいもあるんだけど、濃密だったなと思い出す。自意識過剰っぷりだったり、自尊心やら屁理屈やらごたまぜになったあの感性を「若さ」でくくるのは乱暴かもしれないけれど、会話の端々に似たようなやりとりしたことあったなと懐かしいような苦々しいような思いがこみあげてくるのは、作者と同世代だからなのか。大学生というものがそういうものだからなのか。私には判断がつかない。
Posted by ブクログ
作者と同世代なんで、大学時代の繁華街の夜の猥雑な空気などを懐かしく思い出した。
当時よく吸っていた煙草の匂いが確かに蘇りました。
性がアイデンティティに深く食い込んで振り回されていたあの頃。
暴力も性犯罪も自傷も死も、ふりかえってみれば意外な程身近にあった事実に、今さらたじろぎます。
評価があまり高くないのは、最初は不器用で人のよい主人公をほほえましく思っていたけど、あまりの煮え切らなさに次第に苛立ってしまったこと。
君は永遠にそいつらより若い、って、揺るぎない事実によって最大限励ましているのは分かる。
でも、それがどうした?
だからって少しでも傷が癒されるのか?
という疑問符も同時にわいてしまうんだ。
あと、最後に出てきた描写が読んでいて胸が悪くなったので。