津村記久子のレビュー一覧

  • アレグリアとは仕事はできない

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    物事をこんな角度で見ている人がいて、でも頑張って生きているんだなあと励まされる。キャラそれぞれ、周りの人から見たら怪訝に思うことも、本人目線で見ると共感できてしまう。自分の鬱憤も自分らしさと思って拒絶しないようにしたい。

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    2025年10月21日
  • 現代生活独習ノート

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    短編集。好きだ、この方の、地に足のついたユーモア。淡々とした語り口のまま気づくとふわっとおかしな事が起きている。本作はいずれの話も、ものすごくニッチな設定下での人間の心理を細かく描いていて、それが面白おかしい。

    レコーダー定置網漁
    まず、帯の情報番組を自動録画するレコーダーを定置網になぞらえて、録画される番組の情報を魚にとらえるところがユニーク。メンタルをやられて家で何をする気も起きない主人公が、毎日ひとつだけ定置網漁にかかる情報を摂取し、やがてその情報に誘発されるように日常の活動ができるようになる話。

    台所の停戦
    女3代の家の、冷蔵庫でのテリトリー争い。親の悪いところを引き継ぎたくないと

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    2025年10月16日
  • 浮遊霊ブラジル

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    じわじわ面白い短編集。
    ニヤッと笑える話があったり、居心地の悪い気分になったり、色んな気持ちが味わえて、背表紙の薄さの割にお得感(?)があった。
    「地獄」が特に好き。この話だけでも読んで欲しい。面白いから!!

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    2025年10月10日
  • この世にたやすい仕事はない

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    現実にはあり得なさそうで、でもやっぱり私が知らないだけであるのかもしれない仕事の話が面白かった。奇妙な世界観、不思議な空気感に包まれているお話。
    難しい仕事にあえて取り掛かるのも生きているということ、確かにその通りだけど逃げ出したくなる時もある。その時々で自分なりに目の前の仕事と向き合ってやっていくしかないのだろうな、と思った。

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    2025年10月09日
  • 現代生活独習ノート

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    ネタバレ

    仕事が立て込んできたり、なんとなく人間関係に疲れたときに、つい手に取りたくなってしまう津村記久子。もはや、自分にとっての漢方薬のようなものだと思っている。

    本作に収録されている8つの短編はいずれも、疲弊感や閉塞感を抱えた登場人物がメインで描かれている。情報社会に、家族関係に、職場に、それぞれがそれぞれの人生で一様に疲れている。そしてもちろん、それを読んでいる僕も疲れている。「エモい」よりはもっと低温でやさぐれ気味な、でもどこか心地よい“負の共感”を求めて読み進めた。

    『レコーダー定置網漁』『粗食インスタグラム』『メダカと猫と密室』は、それぞれ津村らしさ溢れる、気だるいユーモアに安定感がある

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    2025年10月09日
  • エヴリシング・フロウズ

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    その後、ヒロシがどんな子に成長してるかなと思ったので続きが読めて良かった。
    中学生がいちばん大変だと思う。毎日学校に行くだけで偉い。

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    2025年09月30日
  • つまらない住宅地のすべての家

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    とにかく登場人物が多くて、海外長編ミステリーでも読んでるのか?という気持ちになった。
    しかも、苗字で出てくる時と下の名前で出てくる時とがあり、余計に混乱。
    だが、巻頭に登場人物達の名前が書き出されているので、それを何度も確認しながら読み進めていくと半分くらいでやっと顔と名前(?)が一致してくる感覚があった。

    ストーリー自体はあまり出会ったことのないシチュエーションで面白かったし、最初は登場人物のほとんどがうっすらと嫌な人で鬱々と読んでいたが、話が進むうちにその人たちが互いの交流を通して違う側面が見えてくるのも、人間味があっていいなと思った。

    元々好きな作家さんだったのもあり、数時間でサクサ

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    2025年09月26日
  • この世にたやすい仕事はない

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    前半は淡々と仕事をこなす主人公を通して少し怪しげな仕事を面白おかしく読んでいたけど、最後にかけて主人公の輪郭が濃くなっていくのが良かった。
    他人に寄り添うことが必須な感情労働ってほんと燃え尽きる瞬間あるよなぁ…と同じ畑で働く身としては考えさせられるものがあった。

    仕事は次々変わるけどスパッと関係が終わるのではなく別の仕事で繋がるところも嬉しかったり。

    今日転職活動が終了した身としてはこのタイミングで読めてよかったかな。

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    2025年09月22日
  • 浮遊霊ブラジル

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    タイトルの『浮遊霊ブラジル』?何だこれ?
    これはいったいどんな物語何だろう?と興味を惹かれ手に取った。
    表紙の絵がタイトルに負けず劣らずでうどんの海に夜空の月のかわりにすだち?
    その下には地獄の鬼が女性の足を引っ張っている。タイトルの字のまわりも最初餃子?と思ったけど耳っぽい。
    「流行る芝居は外題から」という【ことわざ】もあるように読む前からバロメーターがぐんぐん上がっていく。

    肝心の中身はというと、また風変わりな短編が7編。
    最初はおとなしい感じの話だけど徐々にボルテージが上がり最期は天にも昇ってしまうかんじだ。
    死後の世界を面白おかしく扱っていたりとうどん屋から外国、地獄へと自由で多彩な

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    2025年09月20日
  • ポトスライムの舟

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    津村さんの書く物語に出てくる女性は、一見無気力にもみえるのだけど、実際はそれなりに強くて、ちゃんと熱くて、かっこいいなと思う。
    しんしんと胸の奥で青く燃える炎。
    大きなことがあってもなくても、人生は流れてゆくのだと思う。

    そして友達や同僚との距離感がとてもいい。
    ナガトさんとランチしたい。
    私もタクシー代を貸してくれた会社の先輩にお茶とスコーンをおごって、一時期同居していた友人の娘にイチゴの苗を買ってやったりしたい。

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    2025年09月15日
  • ポトスライムの舟

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    今読んでいる”ポースケ”がこのポトスライムの舟の登場人物のその後の話で、しばらく読み進めたものの、ナガセの印象とポトスライムのクライマックスで感じた気持ちの感覚以外はあまり覚えておらず、一旦ポースケを置いて再読。
    ポースケの中心人物たちの若かりし日々の奮闘に、今かなり歳を重ねてから、必死だった若い時の自分も思い出し、ちょっと涙がでそうに。津村記久子さんの文体はたんたんとした中に硬質な熱みたいなものがあり、クライマックスにツンとこちらの胸を突いてきて、毎回やられてしまう。流行りの職業についてる人など1人も出てこなくて、ほんとに毎日毎日働いて暮らす普通の人たちを、変に美化したり、抽象化したり、何か

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    2025年09月13日
  • ポトスライムの舟

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    現代の若い女の人が主人公の話ってひとりよがりな話も多くて読んでて「はいはい」って思っちゃうことも多いんですが、津村さんのそれはそんな浅いところでは終わりません。
    いや最初はちょっとそう思わされる節があるけど最後まで読むともっと大きな視野で世間を捉えてて、それを説教くさくなく知らせてくれてるなぁと最後には思いました。
    私ももう歳ですが、まだまだ甘いなって思いました笑

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    2025年09月12日
  • とにかくうちに帰ります

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    津村記久子さんって、凄すぎるの一言。
    私は表題作の「とにかくうちに帰ります」よりも、「職場の作法」と「バリローチェのファン・カルロス・モリーナ」が好きでした。
    鳥飼さんの心の呟き、日々思いながら仕事してることに共感しまくりで。
    そうそう、そんなふうに思ってる!
    私だけじゃないんや。
    そうそう、そんなオッさん居てる!
    なんかタイミング悪いというか、憑いてるというか…
    そんな人居てるよね…

    こんな取るに足らない、友達にLINEするほどのことでもない、モヤモヤしたものを言葉にしてくれてありがとう。
    それだけで、救われた気がします。

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    2025年09月11日
  • 苦手から始める作文教室 ──文章が書けたらいいことはある?

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    「書けそうなことを書く」「情報(what,when,how)」「実感(あるある)」「読む書くを繰り返す」「好きな感じを真似る」「本を選ぶ自由(本は読む人を選ばない)」

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    2025年09月06日
  • 君は永遠にそいつらより若い

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    卒業間近の大学生の日常の話
    心の中にわだかまるものを抱えた女性同士が出会う

    最初は何の話かわからず、全体像がつかめない
    所々に主人公の諦めやら、今の状況を受け入れてる感じで話が進む

    他者を力で制圧する
    男性と女性、大人と子ども
    力の強いものが弱いものを侵す
    弱者の抗いの哀しみを
    まるで
    傾いて暗くなり翳りゆく部屋のような雰囲気で描きだされてるような作品だと思った

    終わり方も、なんだか物語を創っていますという感じかない
    自然体がよかった

    津村記久子の今の作風では性的な描写が全然ないので、そういう表現があまりすきではない作家さんなんだと認識していたけど、初期の作品は結構それがあるのかな

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    2025年08月28日
  • サキの忘れ物(新潮文庫)

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    この作者さんの本は初めて読みました。
    多彩で少しだけ日常から逸脱した、でもどこかのんびりした世界観。
    お気に入りは「サキの忘れ物」「王国」「行列」「河川敷のガゼル」「隣のビル」
    著者の他の本も読んでみたいと思いました。
    (過去記録移動)

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    2025年08月25日
  • 苦手から始める作文教室 ──文章が書けたらいいことはある?

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    新しい趣味として、自分の楽しみのために作文しようかなという気持ちになった。
    日記も続いたことがないけれど、書いてみようかと思うほど、ハードルを下げてくれる。
    中学生の頃に読みたかったし、大人になった今でも出会えてよかった一冊。

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    2025年08月24日
  • ポトスライムの舟

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    ネタバレ

    あらすじが気になって読むことにした本。
    労働へのモチベーションが、まるで自分と違っていて面白かった。
    あっさりとした読後感で、さらりと読めてよかった。
    文章の構成が独特で、最初はつっかえてたけど読み終わる頃には慣れてしまった。
    ほかの作品も買ったので、読みたい。
    軽薄だけど、私は主人公が世界一周するところを見たかったと思っちゃった。
    そこはご自分でってことかな。

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    2025年08月23日
  • アレグリアとは仕事はできない

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    コピー機なのに人間扱いされているユーモアセンスバツグンの小説をあなたに!
    第13回酒飲み書店員大賞受賞作品

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    2025年08月18日
  • ポトスライムの舟

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    ポトスライムの舟と併録された、十二月の窓辺が今の心情と合致する部分が多く、パワハラとも言える理不尽な圧力に応えられない、でもどうして良いのかどう受け止めれば良いのかわからない。時々聞いてくれる人がいて癒された気になって誤魔化している。そんな状況から踏み出すことは、少しのきっかけであればいいのにな。と爽やかな読後感が残った。

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    2025年08月13日