津村記久子のレビュー一覧

  • やりたいことは二度寝だけ

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    初読み。『二度寝とは、遠くにありて想うもの』をレビューで知って興味を持ち、その前編となる本書を購入。芥川賞作家の力の抜けたエッセイを楽しんだ。そして、著者の友人ネタを読んで、三浦しをん嬢のエッセイと共通するように感じた。小説もエッセイも上手い。芥川賞や直木賞を受賞する実力がある作家であるからこそ、エッセイも売れるということに今更ながら思い至った。著者の小説もぜひ読みたい。

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    2019年06月19日
  • これからお祈りにいきます

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    角川文庫版。
    津村記久子らしく、不思議な高揚感と、どっしり地に足のついた感が楽しめるように思う。


    少し冗長だが西崎氏の解説も良かった。

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    2018年07月12日
  • ウエストウイング

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    エブリシングフロウズのヒロシが小学生だった時をまた思い出したくての再読。

    話の筋はある程度覚えていましたが、細かな出来事はすっかり失念していました。
    あー、3人は最後に会ったんだったっけ、という感じ。

    トイレでの出産、大雨の日のボートでの渡し、椿ビルディングの解体問題、
    どれも3人を語る上では大切な出来事。
    感情の起伏の激しくないニュートラルな3人が、津村さんの作品にいがちなタイプで好みです。

    この本の前半のはじめはとても読みにくい感じがしますが、どんどん面白くなります。
    挫折しそうな方がいたら、是非頑張って欲しいと思います。

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    2018年04月12日
  • エヴリシング・フロウズ

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    素敵なタイトルだなと思って読んでみたら中学生男子が主人公で、彼らなりには不安定だったりヤキモキモヤモヤしていたりするんだろうけど、ごく普通の日々を描いている。だから読み始めは退屈な感じ。でもそういう小説なんだと思った真ん中あたりからページを繰るのも早くなったかな。
    津村さんってあまり読んだことないけど、現代の仕事をしている普通の女子を描いた小説が多いようなイメージで、それでいながら本作は男子中学生が主人公というのはちょっと意外な感じがしたけど、男子中学生の親や友達とか女子とか世間に対する感覚がけっこううまく表現されているような感じがする。
    舞台が大阪なのもいい。何となく大阪弁の会話ややりとりにおかしみが生まれてきて、一大事も柔らかくとらえられるような感じ。この点って、中学生の頃は一大事だったことが実は大人になってみればとるに足らないことだったみたいな視点を変えればとらえ方も変わるような感覚と似たような効果があるのかもしれない(蛇足だけど、大人にとってとるに足らないことを中学生の時、真剣に考えることも大事なことはわかってるつもり)。そんな浮遊しているような世代を描いているから「エヴリシング・フロウズ」。
    解説(石川忠司)がよくて、冒頭で書いたような何気ない毎日を描くよさ、描けているすごさをうまく紹介してくれているので、以下に引用しておこう。
    ――津村がシリアスなシーンを描くとき、それは必ずどこか阿呆らしさへと転落していくかも知れない契機をはらむ。しかし、リアルな現実とは大体そういうものなのではないか。そもそも恋愛や自己実現などのトピックが人生の特権的な中心を成すと考えるのは頭がどうかしている証拠だし、どんなにシリアスな経験だってその周辺は常に笑いや阿呆らしさのたぐいによって取り囲まれているのではないか。経験を多方向へと開かれた「明るいもの」としてあつかうのは津村記久子という書き手の重要な特色だ。(p.394)

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    2017年07月29日
  • アレグリアとは仕事はできない

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    一見、大事ではないがおかしいだろってことをまわりはわかっていて何事もないようにしているように見えるとき、自分だけが考えすぎなのかと言い出せずモヤモヤと膿がたまっていくような感覚がリアルに描かれている。

    登場人物にとっては辛いことなんだけど頭のいいユーモアを持って描かれているためおもしろく、読みやすい。

    自分が言葉に出して叫びたいことを代弁してくれてるようで心が浄化された感じがして気持ちがいい。この感覚は津村さんの本に共通している。これを味わうために津村さんの著書を読みまくっている最中。

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    2016年01月17日
  • アレグリアとは仕事はできない

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    二つとも、題名や最初の流れからドタバタ喜劇だと思っていたが、そんな事はなかった。真面目な小説。津村記久子って凄いなぁと感心せざるを得なかった。

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    2015年11月30日
  • 婚礼、葬礼、その他

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    感覚が、特に笑いのツボがあう作品だった。真面目なのにちょっとおかしいところ、婚礼と葬式を続けざまに描くところなど、好きな作品。

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    2014年05月05日
  • アレグリアとは仕事はできない

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    初めて読んだ津村さんの作品でした。

    大好きです。
    ひねくれてるよなあ、と思いつつ
    笑ってしまいます。

    ひねくれてる、ってネガティブイメージですが
    津村さんの場合はポジティブになります。
    文体がそうさせるのか、
    ストーリーがそうさせるのか。

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    2014年03月07日
  • 婚礼、葬礼、その他

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    誰に腹を立てていいのやら、自分のせいではないのにめぐりめぐって最悪な状況に陥ってしまう主人公。自分だったら、早々に爆発するか投げ出してしまう間の悪さの極地のような状況でも、主人公はそのときできることを、そのとき発揮できる能力とエネルギーでもって実行していく。無意識だろうけど、誰も不幸にならないよう配慮できる主人公の「いいひと」さ加減がうらやましかった。そしてかつて自分を救ってくれた後輩カップルのエピソードが素敵だった。

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    2013年07月06日
  • ポトスライムの舟

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    ライン工場で働くナガセが、職場で見かけた世界一周クルージングのポスター。
    その費用160万円は、自分の1年分の手取り額と同じであることに気づく。
    そこからナガセがお金を貯めながら、周囲と関わっていく中編の表題作「ポトスライムの舟」。
    もう1つは、印刷会社で職場に馴染めず、上司からのパワハラに耐えるツガワの日々を描いた「十二月の窓辺」。
    2つの中編小説が収録された作品だ。
    「ポトスライムの舟」では、生活のために働いてお金を稼ぐのは大変で、なのにお金はあっという間に消えていく…。
    主人公の日常を通してそんなあるあるが描かれており、共感した。
    終始淡々と話は進んでいて、正直ナガセの心の変化など、よく分からなさを抱えながら読み終えた。
    その後の「十二月の窓辺」は、一転して胸がギュッとなるような息苦しい描写が続く。
    終わりは少し希望の見えるラストで、ホッとした。
    両方を読み終えてみると、今ある生活を大事にすること、今ある環境から離れること、どちらも同じくらい大切なんだと思えた。
    また、「自分と周りの人を大切に、自分のペースでやっていこうよ」というメッセージでもあるのかもしれない。
    最初は、気持ち的に負荷のかかる「十二月の窓辺」が後にくる構成が不思議だった。
    けれど改めて考えてみると、この順番だったことで最初は良く分からぬまま読み終えた「ポトスライムの舟」の温かさが、後からじわじわと広がった気がする。
    そしてそれは後半の主人公ツガワへのエールであると同時に、読者へのエールにもなっているように感じられた。

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    2026年10月05日
  • 水車小屋のネネ【毎日文庫】

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    ネタバレ

    長くはありますが、10年ごとに主人公が変わるような、そして繋がりがある形で進んでいきます。
    一気に読んでしまいます。

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    2026年10月04日
  • 水車小屋のネネ【毎日文庫】

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    18歳の理佐はシングルマザーに育てられていた。
    短大に入学する筈が、母の婚約者にお金を使われ働くことに…
    ハローワークで見つけた隣の県のお蕎麦屋さんに住み込みで働く。母の婚約者に虐待されていた10歳年下の妹を連れて行く。
    水車小屋の石臼でそば粉を挽く、その見張りをしているヨウムのネネ。
    姉妹は小さな町で色々な人と知り合い生きていく。
    1981年から2021年のお話。
    ちょっとクセのある文章の所もあるが、話全体はほのぼのとしている。
    母親とその婚約者以外に嫌な人は現れない。

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    2026年10月04日
  • 水車小屋のネネ

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    律はランドセルと両手の布バッグ、理佐のは登山遠足用の大きなリュックと中学修学旅行に持って行ったボストンバッグと大きなビニールバッグ。18歳と8歳の姉妹の全財産。
    身勝手な親から逃れて姉妹で生きていく。出会ういいひとたちばかり、に助けられて、いつしか助けられるひとになっていた。
    出てこないだけで、きっといろんなコト、あったんやろな…
    ネネがいたから、いいひとが出会って集まってきて、10年毎に切り取られた40年間。頭の上にやってきたネネが肩に止まって「元気?」「元気だよ」と答える。
    ほんま、いろんなことがあったなぁ。

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    2026年09月28日
  • 水車小屋のネネ

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    あったかい。
    悪い人も出てこない。いや、きっと彼女たち、彼らの回りにもいたんだろうけど、通りすぎていくだけだったんだろうな。
    ネネも可愛い。
    薬膳料理みたいな本でした。
    優しく、自分を大切にして生きていきたいと、静かに感じる物語でした。

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    2026年09月27日
  • 水車小屋のネネ【毎日文庫】

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    ネタバレ

    とても心が温まるお話でした。
    登場人物を応援したくなるような、そんな小説でした。

    男に依存する母との生活から離れることを決断し、妹を連れて自分たちの生きる道を探すため、勇気を持って行動した18歳の理佐。妹の律はまだ小学生。
    引っ越し先の土地で、水車小屋で蕎麦曳きの見張りをしているヨウム、ネネのお世話などをしながら、地元の人たちと関わりの中で姉妹は成長していきます。
    ネネが、他人同士だった人たちの接点になって縁を繋げてくれていて、40年という時の経過を通して、姉妹やネネと関わってきた人たちのさまざまな岐路や交友や別れが描かれています。

    降ってきた理不尽な環境に、諦めたり流されそうになっている人にお勧めの一冊。

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    2026年09月20日
  • 現代生活独習ノート

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    津村記久子さんの現代社会をテーマとした短編集。
    金原ひとみさんの「もう何もしたくないという切実な本音に寄り添ってくれる稀有な小説」という帯文に惹かれて手に取りました。
    仕事で疲弊している私にとって、『レコーダー定置網漁』と『粗食インスタグラム』は痛いほど共感する内容でした。膨大な情報に晒されていると、選択することが億劫になる。そんなときは、思い切って情報から距離をおき、心の赴くままに過ごしてみようと背中を押されたような気持ちになりました。
    『イン・ザ・シティ』では、「キヨはますます人間というか、人情が嫌いになった。そしてそうやってはっきりと嫌いなことが増えると、自分という人間が一歩あるべき姿に近付いた気がして、後ろ向きなことのはずなのに心強く思った」という一文がありますが、嫌いなもので自分が確立していくというこの描写に、「津村さん最高!」と感嘆してしまいました。
    津村さんの作品は『水車小屋のネネ』以来でしたが、また違う作品も読みたくなりました。

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    2026年09月20日
  • 水車小屋のネネ【毎日文庫】

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    題名から時代小説なのかと思っていたらネネと言う名の鳥を取り巻く人たちの心温まるお話でした。日々の生活の中で小さな幸せを感じる事が出来たら素敵だなと思いました。

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    2026年09月18日
  • 水車小屋のネネ【毎日文庫】

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    かなりの長編小説で40年間の時が流れる。周囲の優しさや良心で自分が成り立っていることに共感するとともに、他者にも同じく与えられている人間だったらいいなと思う。出てくる登場人物の暖かさ、蕎麦やネネなどの温もりを感じながらゆったりと落ち着いて読書できた。少し文体が読みづらく感じて、読み終えるまでに時間がかかってしまった。

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    2026年09月13日
  • とにかくうちに帰ります

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    とっても些細なことの描写でこんなに面白い話を書けることが素晴らしい。何にも劇的なことは起きていないのになぜだか胸がぎゅっとなったり、働いてる自分偉いって心あたたまる。めっちゃ肩の力抜けるリラックスさせてくれる本。
    津村さんのユーモア見習いたい。

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    2026年09月13日
  • やりたいことは二度寝だけ

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    気負わず読めるし、ついページをめくってしまうおもしろさがある。著者の肩肘張らず生きている様子は、程よい脱力感をあたえてくれる。けれど、言語化や思考の深さはしっかりあって、ギャップを感じた。

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    2026年09月11日