津村記久子のレビュー一覧
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短編集。好きだ、この方の、地に足のついたユーモア。淡々とした語り口のまま気づくとふわっとおかしな事が起きている。本作はいずれの話も、ものすごくニッチな設定下での人間の心理を細かく描いていて、それが面白おかしい。
レコーダー定置網漁
まず、帯の情報番組を自動録画するレコーダーを定置網になぞらえて、録画される番組の情報を魚にとらえるところがユニーク。メンタルをやられて家で何をする気も起きない主人公が、毎日ひとつだけ定置網漁にかかる情報を摂取し、やがてその情報に誘発されるように日常の活動ができるようになる話。
台所の停戦
女3代の家の、冷蔵庫でのテリトリー争い。親の悪いところを引き継ぎたくないと -
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ネタバレ仕事が立て込んできたり、なんとなく人間関係に疲れたときに、つい手に取りたくなってしまう津村記久子。もはや、自分にとっての漢方薬のようなものだと思っている。
本作に収録されている8つの短編はいずれも、疲弊感や閉塞感を抱えた登場人物がメインで描かれている。情報社会に、家族関係に、職場に、それぞれがそれぞれの人生で一様に疲れている。そしてもちろん、それを読んでいる僕も疲れている。「エモい」よりはもっと低温でやさぐれ気味な、でもどこか心地よい“負の共感”を求めて読み進めた。
『レコーダー定置網漁』『粗食インスタグラム』『メダカと猫と密室』は、それぞれ津村らしさ溢れる、気だるいユーモアに安定感がある -
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とにかく登場人物が多くて、海外長編ミステリーでも読んでるのか?という気持ちになった。
しかも、苗字で出てくる時と下の名前で出てくる時とがあり、余計に混乱。
だが、巻頭に登場人物達の名前が書き出されているので、それを何度も確認しながら読み進めていくと半分くらいでやっと顔と名前(?)が一致してくる感覚があった。
ストーリー自体はあまり出会ったことのないシチュエーションで面白かったし、最初は登場人物のほとんどがうっすらと嫌な人で鬱々と読んでいたが、話が進むうちにその人たちが互いの交流を通して違う側面が見えてくるのも、人間味があっていいなと思った。
元々好きな作家さんだったのもあり、数時間でサクサ -
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タイトルの『浮遊霊ブラジル』?何だこれ?
これはいったいどんな物語何だろう?と興味を惹かれ手に取った。
表紙の絵がタイトルに負けず劣らずでうどんの海に夜空の月のかわりにすだち?
その下には地獄の鬼が女性の足を引っ張っている。タイトルの字のまわりも最初餃子?と思ったけど耳っぽい。
「流行る芝居は外題から」という【ことわざ】もあるように読む前からバロメーターがぐんぐん上がっていく。
肝心の中身はというと、また風変わりな短編が7編。
最初はおとなしい感じの話だけど徐々にボルテージが上がり最期は天にも昇ってしまうかんじだ。
死後の世界を面白おかしく扱っていたりとうどん屋から外国、地獄へと自由で多彩な -
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今読んでいる”ポースケ”がこのポトスライムの舟の登場人物のその後の話で、しばらく読み進めたものの、ナガセの印象とポトスライムのクライマックスで感じた気持ちの感覚以外はあまり覚えておらず、一旦ポースケを置いて再読。
ポースケの中心人物たちの若かりし日々の奮闘に、今かなり歳を重ねてから、必死だった若い時の自分も思い出し、ちょっと涙がでそうに。津村記久子さんの文体はたんたんとした中に硬質な熱みたいなものがあり、クライマックスにツンとこちらの胸を突いてきて、毎回やられてしまう。流行りの職業についてる人など1人も出てこなくて、ほんとに毎日毎日働いて暮らす普通の人たちを、変に美化したり、抽象化したり、何か -
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卒業間近の大学生の日常の話
心の中にわだかまるものを抱えた女性同士が出会う
最初は何の話かわからず、全体像がつかめない
所々に主人公の諦めやら、今の状況を受け入れてる感じで話が進む
他者を力で制圧する
男性と女性、大人と子ども
力の強いものが弱いものを侵す
弱者の抗いの哀しみを
まるで
傾いて暗くなり翳りゆく部屋のような雰囲気で描きだされてるような作品だと思った
終わり方も、なんだか物語を創っていますという感じかない
自然体がよかった
津村記久子の今の作風では性的な描写が全然ないので、そういう表現があまりすきではない作家さんなんだと認識していたけど、初期の作品は結構それがあるのかな