津村記久子のレビュー一覧
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ネタバレ「津村記久子さんの作品を集中して(といっても3冊)読んでみよう」の三冊目。
「ポトスライムの舟」と「十二月の窓辺」が収録されています。
「ポトスライムの舟」は前職をつらい思いをして辞めて、工場や友人ヨシカが経営するカフェで働いたり、パソコン教室で講師をしたりしている女性ナガセが主人公。たまたま職場に貼ってあった世界一周クルーズが、工場での年間手取りとほぼ同額であったことから、世界一周を目標にするところから始まります。と、こう書くとそこに焦点が合った小説かと思いきや全然違うのです。
ナガセは奈良で母親と古い自宅で二人暮らしをしていますが、そこに友人りつ子が娘を連れて夫から逃げてきます。と、こ -
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ネタバレ「津村記久子さんの作品を集中して(といっても3冊)読んでみよう」の二冊目。
4つの短編によって成る「職場の作法」と、「バリローチェのフアン・カルロス・モリーナ」と、表題作が収められた作品です。
「職場の作法」は津村さんお得意のお仕事小説。まぁ見事なまでに会社内の人や人物関係や、仕事のやり方などが詳細に表現されています。「ブラックボックス」では、仕事における田上さんの自らの自尊心を守る仕事のやり方に拍手。「ハラスメント、ネグレクト」では、空気を読めない上司あるあるに、大いにうなずいた。「ブラックホール」では、これまた人の机にある文具を勝手に持っていっちゃうおじちゃん社員のあるあるにうなずき、 -
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ネタバレすごく気になっていて、もしかしたら好きな作家ベスト3に入っているのではないかと思っている津村記久子さんの作品を集中して(といっても3冊)読んでみようと決め、んばばばば!と買ってみました。
まずは、一冊目。8つの短編集が収められている本書。
ひと作品を読み終わって次に進むごとに「津村色」が濃くなっていく気がして、うひひと嬉しなりました。ちょっとひとつずつ見返してみよう。
・レコーダー定置網漁
目の付け所が、さすが。主人公の会社に採用されることを希望している学生のSNSをチェックし、採用後、会社にとって危険な人物になりそうな、そんな投稿をしていないか確認するという仕事に疲れたため、リフレッシュ -
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「水車小屋のネネ」がとてもよかった津村記久子さん。こちらも津村さんの人間観察力が光る。
こんなお仕事あり?という怪しげなお仕事が次々と出てくるのだが、どの仕事もほんとにありそうで展開が気になる。
そして、名前も登場しない主人公36歳女性が、彼女しか発揮できないであろう素晴らしい洞察力で、様々な事態を好転させていくのが小気味いい。
もし私がそのお仕事を請け負っても、こんな凄い結果を出せずに鬱になって辞めてしまいそうだ。
やはり、彼女にはなんというか人間を見る目があるのだろう。そして、その力が人一倍あるからこそ、15年勤めた職場で燃え尽きてしまったのだろうと納得…
私の職場も似たような職場で、 -
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ネタバレ津村さんの作品は3冊目だが、全て面白く読ませてもらっている。
悲喜交々に対しての主人公の反応に共感を覚えて読みやすいし、途中しんどい描写があったとしても、「ま、なんとかなるさ」と背中をぽんと押してくれるような締めくくりで、ほっと息をつける安心感がある。(今作収録作品では、「台所の停戦」や「牢名主」、「イン・ザ・シティ」にその傾向が顕著かもしれない。)
一番印象深かったのは、「現代生活手帖」。
ゆるい日常のお話かと思ったら、実現しそうでまだ絶妙に無理な近未来が舞台という意外性に驚いた。
また、どれだけ便利な未来になっても、億劫なことがゼロになっていない様子に苦笑してしまった。シェア制度や脅迫サ -
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ネタバレ大阪の亜笠不文律で購入。個人経営の小さな本屋さんで津村記久子さんの本があると、「わかってるなぁ、この本屋好きだわ。」と小さく思って嬉しくなる。
本好きの次男とお邪魔したその日は、未読だったこの本を買って帰った。
津村記久子さんが読んだいろんな本が紹介されている本。
とにかくバラエティに富んでいて、いろんなそして、個性的な本を読むんだなぁ〜と楽しく最後まで読んだ。
特に、ある本の書評が、私が津村さんの小説に対して書いた感想と物凄く似ているところがあり、なんだか気持ちが通じたような、読み方、私間違ってなかったんですね!!というような、そんな気持ちで胸がいっぱいになった。
p46 「生活図 -
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具体的なエピソードとしては、主人公をはじめとした複数の登場人物が抱える職場や家庭での苦労が描かれているが、働く経験や、家庭的な苦労を未だ経験したことのない自身でも、登場人物たちの苦しみに共感することができ、人生の普遍的な苦しさをぴたりと言い当てる筆致に心を打たれた。一方で、とてつもない苦労を抱えながらも、やられっぱなしではなく意外にも(!)強かに日々を過ごす主人公たちに、希望も感じた。こうでないとやってられないよね、と共感できる。また、主人公との心情の距離感も絶妙で、過度な感情移入がないので、読後感が爽やかだった。苦しい時にまた開きたい一冊となった。