津村記久子のレビュー一覧

  • ダメをみがく “女子”の呪いを解く方法

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    津村記久子さんが対談しているということで手に取ったけど、小説と対談ではまた違うのか、意外と深澤真紀さんの言葉でバシッと決まって響く言葉が多かった。編集者のコピーライター的能力?
    津村さんの仕事の様子が読めたのも面白かった。
    ただ2人とも全然ダメではない、と本を読んだ限りでは思った。求めるところが高くて、自分たちをダメだと思ってるのか?自分を自分でダメだと思える時点で、ダメじゃないということかも。

    以下、心に残った箇所。
    ・(深澤)男性が仕事で長持ちするのは「いつまでも少年でいることを許されているから」
    ・(深澤)サブカル男グループって、「中二病」とか「DT(童貞)」とか言って、「男は幼稚であ

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    2025年09月02日
  • 苦手から始める作文教室 ──文章が書けたらいいことはある?

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    こども向けに書かれた作文の書き方の本です
    実績のある小説家のかたが書かれてます
    舐められるのではないかというくらい謙虚な姿勢で述べられています
    作家にしては自慢話が一切なく、作文行為のハードルを下げる、スモールステップな案内で書かれています

    自身の生活に関わる、本当に取り留めもないことについて書くだけで充分とあり、例文を紹介され、本当に何でもいいんだと思わせるような気分になりました

    白眉は「見栄を張らずに、ほんとうのことを書く」というアドバイスでした
    ありのままの自分を出す、というと開きなおっているようで受け入れたくないと批判されそうですが、自分が思ったほんとうのことを述べるだけで作文は良

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    2025年08月27日
  • サキの忘れ物(新潮文庫)

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    大好き津村記久子さん。今回も安定の面白さ、というか普段よりわかりやすく希望が持てる結末のお話が多い印象でした。ちょっとした一歩が主人公の人生を大きく変える……かもしれないというテイスト。
    テレビドラマにもしやすいんじゃなかろうか。津村作品は抜群に面白い割に映像化があまりされていないというイメージなので、どこかのどなたか、ぜひ検討をお願いします。「河川敷のガゼル」のラストシーンなんか、とっても画になるんじゃないでしょうか。ガゼル連れてくるのが難しいか。

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    2025年08月16日
  • ポトスライムの舟

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    2009年芥川賞受賞。題材はロスジェネですが、作者の文章から立ち上がる人物の気配や物語の空気は、題材を超えて立体的に語りかけてくる何かがある気がします。読んでたら目の前に主人公が周りの空気ごと見えた瞬間があったということです

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    2025年08月12日
  • サキの忘れ物(新潮文庫)

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    面白かった。ゲームブックが収録されているのには驚いたが、懐かしく遊ばせてもらった。表題作がとても良かったが、個人的にはSさんの再訪が面白かった。

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    2025年08月05日
  • ポトスライムの舟

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    工場勤務のナガセは、生活の糧を得るための労働に虚しさを覚えていた。ある日、自分の年収である一六三万円で世界一週が可能なことに気づく。果たして、ナガセは思いを実現することができるのか。ユーモラスな題材と文章でありながらも、周りの人々との交流で変わっていくナガセに心を打たれた。

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    2025年08月04日
  • 浮遊霊ブラジル

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    おもしろい短編の詰め合わせ、どれを選んでもハズレなし!

    おじさん臭が伝わるような(そんなに、悪い意味じゃなく)おじさんが主人公の話。

    うわー、女の怖さ炸裂、という話。辛辣な部分もイヤな後残りなくサラッと。

    『世にも奇妙な物語』的な不思議感、満載の話。

    鋭い人間観察力でもって、独特の世界を作り上げられる津村記久子さん。どんな方なんだろう。お会いしてみたくなりました。

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    2025年07月19日
  • 苦手から始める作文教室 ──文章が書けたらいいことはある?

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    小学校高学年くらいから読める平易さで、文章を書くことについてまとめられた本。ややエッセイ寄りかな。 
    「何か書きたいな」という今の自分にフィットしていて、手元に置いておきたいなと思った。眠れぬ夜にはペンを持てと似たテーマ。

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    2025年07月06日
  • この世にたやすい仕事はない

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    ミステリーなのか、ファンタジーなのか?
    とても不思議な、でも心地良い世界に浸れる作品だ。
    読み終わって、水車小屋のネネの作者さんだったんだと気付く。
    また好きな作家さんが出来た。

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    2025年06月24日
  • 君は永遠にそいつらより若い

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    私はホリガイがとっても好きだ
    なんだろうか、私に似てるとかそんなおこがましいことは思わないけど、彼女の中途半端で流されやすいところも人の気持ちを考えてるのに考えられてない行動してしまうところも、まっすぐにしか見れなくなる時があることとか。
    読み終えた時、あぁホリガイさんに会いたいって思った会ったこともないのに

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    2025年06月16日
  • 現代生活独習ノート

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    現代生活手帖と粗食インスタグラムが好き。

    特に粗食インスタグラムの、オプションが多いことがいや、という感覚は共感が強い。
    あんまり料理をすることが好きではないのは、オプションが多すぎるからだと思う。最近、物事のルーティン化について、考えている。選ぶことを減らす。別に何でもかんでも減らしたいわけではなく、休日や自分の好きなことに選択のリソースを残すため。選びたいものを選ぶために、不必要には選ばない実験開催中。

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    2025年06月11日
  • とにかくうちに帰ります

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    お仕事小説。オンやオフのちょっとした出来事が静かに物語に紡がれていく。作者の腕。派手な出来事はないけれどみんなちゃんと働いて生きているなあと感じられる。そんな短編連作の後の表題作。大雨という非常事態ではあるけれど、それでもただ職場から家に帰るだけなのに絶望寸前までドキドキさせられた。おみごと!

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    2025年06月10日
  • 浮遊霊ブラジル

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    どのお話もクスッと笑えておもしろい
    後半の話しになればなるほど
    ワクワクしてきた
    「地獄」なんかは
    こんな地獄なら楽しいかもとさえ思える
    私もたぶん
    「物語消費しすぎ地獄」に落ちるだろうから
    それはそれで楽しみすぎる
    だって話しの主人公になれるんですから!
    こんな素敵なことはない!
    あっ、でも楽しみにしていたらいけなそうなので
    黙っておく!
    内緒!

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    2025年06月09日
  • つまらない住宅地のすべての家

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    脱獄犯がやってこないか住宅地の住人が交代で見張りをする話というと、津村さんの作品の中では比較的派手な設定ではないかと思われるけど、内容はあくまでも十軒の家+αの事情を丹念に描いたもので、期待通り。さすがの職人芸。
    それぞれの家の事情は結構ヘビーで、前半は読んでいて気が滅入るほどだった。ラスト、それぞれの生活に差し込む光はほんのわずかなのだけど、登場人物たちが抱くささやかな希望のいじらしさに、全然御涙頂戴ではないどちらかと言えばドライな筆致にも関わらず、泣きそうになる。
    津村作品を読むと、好きでも嫌いでもない関係だからこそ、煮詰まった家族関係の差し水となれる時がある、と思う。ご近所付き合いなんて

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    2025年06月06日
  • 現代生活独習ノート

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    カバー装画と挿絵が敬愛する木下晋也さんなのを見てこれは絶対に好きに違いないと思い購入したけど期待どおりだった。

    その木下晋也さんの名作「ポテン生活」にも通ずる非日常的な日常が、自分自身の荒んだ日常に何かホッとしたものをくれます。でも「牢名主」と「フェリシティの面接」はちょっと不穏な気持ちになったな。

    そして最後の「イン・ザ・シティ」は多分あの名曲のことだろうなと思っていたらやはりそうで嬉しかったな。

    オススメです。

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    2025年06月04日
  • とにかくうちに帰ります

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    ネタバレ

    「なんかわかるなぁ」となる登場人物や状況が多く、会社での何気ない場面などリアルだった。
    個人的には表題のお話がとくに好きで、天気が荒れている日の帰り道の心情はいたく共感した。

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    2025年05月17日
  • この世にたやすい仕事はない

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    5つの仕事の中で路地を訪ねる仕事は『さびしくない』とこちらの攻防がとても楽しかった。おかきの袋の仕事では人間の方のふじこさんにこう言う無邪気に侵食してくる人っているよなあとイライラしたり『私』に感情移入して読めました。
    仕事と自分自身の適切な距離感ってなんだろう。
    職を変えようと思うたびにたしかに適切な距離感ではなかったと思う。そのバランスが取れているのが1番いい状態なんだよな。会社と愛憎関係になってはいけないという言葉が心に響きました。愛憎関係になると過度に期待したりされたり心がどんどん消耗していく気がする。
    たくさんの仕事を経て最後『私』が出した結論を応援したい気持ちになりました。
    ふぅ、

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    2025年04月23日
  • 苦手から始める作文教室 ──文章が書けたらいいことはある?

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    津村記久子さんの小説は読んだことがなかったが、本書の文体のとにかく飾らない、フラットな感じが好き。おやつのうまい棒やプライベートブランドの話、みたいな超卑近な話をさらりとしたりとか、こうすべきである、という偉ぶった感じが全くない感じとか。文体について、ある人のものを真似ている、と本文中にあったが、誰のものなのか、気になるなあ。
    「作文」に対してのスタンスも、ものすごくあっさり淡々としている。芥川賞作家が「書きたいとも思わない」とさらりと言ってのける、意外な感じ。純文学の作家は、何かを書くこと、物語を書くことへのオブセッションのようなものがあるのではと勝手に思っていたけれど、そうでもないのか。ま

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    2025年04月22日
  • この世にたやすい仕事はない

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    私の今と結構似ているなと思って楽しく読めた。
    私も4日後の面接頑張ろうと勇気をもらえた。

    ただ1点、私の中で盛永さんの所の仕事や盛永さん本人については何か謎のままでした。

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    2025年03月13日
  • とにかくうちに帰ります

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    会社にはいろいろなタイプの人間がいるものだ。この小説に登場する人物たちは、ほんとに『こういう人いるなあ』と思えた。

    『職場の作法』という短編には、社内で仕事を受ける立場の女性社員と依頼する側とのやり取りが面白い、また誰も興味がない自慢話を延々と話し続ける上司がいる。人の文房具を黙ってパクリ、それを忘れてしまう人、インフルエンザで職場が閉鎖の危機になる際の立ち回り方の個人差があること…思い当たる節があるようなことが多く、非常に面白かった。

    そして表題の『とにかく家にかえります』は、豪雨で帰宅困難な最悪な日に会社から帰る際に起こる予想外なアクシデントの数々。バスが来ない…道路は浸水して通行不可

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    2025年03月07日