津村記久子のレビュー一覧
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29歳、工場勤務の主人公。
仕事に対するモチベーションをあげるためにも腕にタトゥーを入れることで頭がいっぱいの時期にふと職場に貼ってある世界一周旅行のポスターが目に入り、その金額が自分の工場勤務の年収と同じ163万円ということに気付く。
今まではよく考えずに何気なく使っていたお金と向き合いはじめた主人公のナガセ。
そして163万円が貯まった時、ナガセが何に使いたいと思ったのか。
お金の価値観について改めて考えたくなる1冊。
本編以外に短編『12月の窓辺』も収録。
主人公の名前は違うが本編主人公の前日譚とされている短編。
上司のパワハラぶりが読んでいて少しつらくなったのでそういう部分はナナメ読 -
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津村記久子さんが対談しているということで手に取ったけど、小説と対談ではまた違うのか、意外と深澤真紀さんの言葉でバシッと決まって響く言葉が多かった。編集者のコピーライター的能力?
津村さんの仕事の様子が読めたのも面白かった。
ただ2人とも全然ダメではない、と本を読んだ限りでは思った。求めるところが高くて、自分たちをダメだと思ってるのか?自分を自分でダメだと思える時点で、ダメじゃないということかも。
以下、心に残った箇所。
・(深澤)男性が仕事で長持ちするのは「いつまでも少年でいることを許されているから」
・(深澤)サブカル男グループって、「中二病」とか「DT(童貞)」とか言って、「男は幼稚であ -
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こども向けに書かれた作文の書き方の本です
実績のある小説家のかたが書かれてます
舐められるのではないかというくらい謙虚な姿勢で述べられています
作家にしては自慢話が一切なく、作文行為のハードルを下げる、スモールステップな案内で書かれています
自身の生活に関わる、本当に取り留めもないことについて書くだけで充分とあり、例文を紹介され、本当に何でもいいんだと思わせるような気分になりました
白眉は「見栄を張らずに、ほんとうのことを書く」というアドバイスでした
ありのままの自分を出す、というと開きなおっているようで受け入れたくないと批判されそうですが、自分が思ったほんとうのことを述べるだけで作文は良 -
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脱獄犯がやってこないか住宅地の住人が交代で見張りをする話というと、津村さんの作品の中では比較的派手な設定ではないかと思われるけど、内容はあくまでも十軒の家+αの事情を丹念に描いたもので、期待通り。さすがの職人芸。
それぞれの家の事情は結構ヘビーで、前半は読んでいて気が滅入るほどだった。ラスト、それぞれの生活に差し込む光はほんのわずかなのだけど、登場人物たちが抱くささやかな希望のいじらしさに、全然御涙頂戴ではないどちらかと言えばドライな筆致にも関わらず、泣きそうになる。
津村作品を読むと、好きでも嫌いでもない関係だからこそ、煮詰まった家族関係の差し水となれる時がある、と思う。ご近所付き合いなんて -
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5つの仕事の中で路地を訪ねる仕事は『さびしくない』とこちらの攻防がとても楽しかった。おかきの袋の仕事では人間の方のふじこさんにこう言う無邪気に侵食してくる人っているよなあとイライラしたり『私』に感情移入して読めました。
仕事と自分自身の適切な距離感ってなんだろう。
職を変えようと思うたびにたしかに適切な距離感ではなかったと思う。そのバランスが取れているのが1番いい状態なんだよな。会社と愛憎関係になってはいけないという言葉が心に響きました。愛憎関係になると過度に期待したりされたり心がどんどん消耗していく気がする。
たくさんの仕事を経て最後『私』が出した結論を応援したい気持ちになりました。
ふぅ、