津村記久子のレビュー一覧
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身勝手な母親(と、その交際相手)から離れ、田舎の町で暮らし始めた姉妹の40年にわたる物語。
この長編をひとことで表すと、“恩送り”の物語。
恩を受けた人に返す「恩返し」ではなく、自分が受けた恩を次の誰かに向けて与えていく“恩送り”という言葉がぴったりな気がする。
文中である人物が口にする
「誰かに親切にしなきゃ、人生は長くて退屈なものですよ」
というセリフが特に印象的で、この作品を通じて作者が伝えたいメッセージなのかなと感じた。
全500ページの長編だが、読後感がとてもよい。
人にやさしくしようって気持ちになる。
あと、無性に蕎麦が食べたくなる(笑) -
Posted by ブクログ
2026.7.16
穏やかに進む、姉妹と周りの方、そしてヨウムのネネの生活(人生?)のお話。
18歳の理佐が入学金を母親に使われ、母親の彼氏に虐待を受けている8歳の律を連れて生活していく。
ネネを取り巻く人たちがみんな親切で温かい生活だった。ネネ、賢くてかわいくて大好き。会話してみたい。
周りの優しさで生きてきた律がそれをまた周りの人に還元していくのが素敵だった。それを考えていると研司くんが東北に行くとき、泣いてしまいそうになった。
“自分はおそらく姉やあの人たちや、これまでに出会ったあらゆる人々の良心でできあがっている。”
“自分が元から持っているものはたぶん何もなくて、そうやって出会っ -
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身勝手で理不尽な母親と母親の男から、逃げるように家を出る決心をする理沙。
妹の律に「一緒に来る?」と声をかけ、
18歳の理沙と8歳の律は家を出て ふたりで暮らし始める。
見つけた仕事はお蕎麦屋さん。そこにはネネという名の大きな鳥がいて
その世話もすることになった。
お蕎麦屋さんでのふたりの暮らしがはじまり、
心優しいお蕎麦屋さんの店主夫妻、律の学校の先生、
律の友達、保護者さん、あとからやってくる元音大生、
ひょんな事から知り合う中学生、
理沙と律をとりまく人間たちがとても温かく寄り添ってくれている。
ネネがみんなをつなげるキーパーソンになっているよう…。
10年ごとに章が区切られているから、 -
Posted by ブクログ
とても面白かった。少しずつだいじに読んだ。
92編もの古典作品の読書解説というかエッセイかな?
有名作品ばかりだが、今までこんな本を読んできた、ではなく、難しそうとかタイトル聞いたことあるけど読んだことないとか若い頃一旦挫折した、などの理由で大人になってから津村さんが読んでみようと思った小説の感想本。
わ、わかるーー若い頃は意味がわからなすぎて途中脱落した本、有名だけど長すぎて今まで読んでない本などいっぱいあるもんね。「ギャツビーって誰?」わかるわーー。英文学の授業で部分的に読まされたけど結局誰だったんや…ていう代表格ですよね。
この中で私が読んだことある本は数本しかなかったが、私と同じ感 -
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津村さんの人の描写がとてもいい。
会ったことないのに活字を追うだけで、
見た目も性格もありあり想像できてしまう登場人物たちに親近感を覚えた。
そして台風の中べちゃべちゃに濡れて、寒くて震えてついに足の感覚もなくて、無言で歩き続けるあの感覚が蘇ってきて。もうお願いだから早くお家着いてーという気持ちに(涙)
好きだったのはこのフレーズ
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「玄関についてレインコートを脱ぎ化粧落として床に座ったらわたしはしみじみ泣くだろう。そこにいることに、傘を刺さなくていいことに、屋根があることに。その涙を絶対に誰も笑うことはできない。」
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安易な考えを後悔しつつも、
当たり前のありが -
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ネタバレ最初は分厚さにちょっと気圧されたが、とても好きな作品になりました。読めてよかった。悪い人もいるし悪意もあるけど、確実に良い人がいて、人に良くすることでそれが更に広がって繋がっていくことがあるということを、自分でも感じることがあるというか、大人になってから「あの時あの人たちにどれだけ助けられたか」とかを実感するようになったし、私は人に優しくなかった時期もありそれを今では恥ずかしく思うので、今はできる限り自分の周りの人に対して、自分が良いと思うことをしようとは心掛けている。
同時に、犬と暮らし始めてからその大変さも分かり、動物の面倒を見ることができる人は信用できる、ということも感じているので、ネネ -
Posted by ブクログ
ネタバレ登場人物が多いので、読み始めは新しい名前が出て来るたびに「うぅ~」と思いながら必死に頭に入れ、住宅地の地図を確かめ、の繰り返しで、一通り把握するまでは我慢(?)の読書ですが、津村記久子さんだもん、絶対楽しくなる、と思うと、このうじうじタイムも楽しいもんでして・・・
それにしても外からは見えない各家庭の抱える不安要素というか、”不幸”とよぶほどではないかもしれないけれど、当人の心には確実に影を落とすであろう様々な事情がうまく描かれていて、本当に津村さんはうまいな~と思わされます。私はやはり、子どもが関わってくると非常に辛くなるので、お母さんに好きな人ができるとネグレクト気味になる矢島家と、息子