津村記久子のレビュー一覧

  • サキの忘れ物(新潮文庫)

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    お初の作家。昨年ヴァージニア・ウルフの灯台へを読んだら巻末の解説が津村記久子さんで、その文体と内容のトーンに好感をもった。この方の作品を読みたいと思い手にした次第。まずは短編集から。冷静で世の中にやや批判的なユニークな視線が素敵。

    「サキの忘れ物」
    表題作。高校中退の無気力なアルバイトの主人公女子が働く病院併設のカフェ。いつも来る見舞客の女性。ある日その常連客が文庫本を忘れていき、それがきっかけで読書を始めた主人公。わからないをわかりたいと思うことが、世界との接続を作り人生を拓く。

    「王国」
    幼稚園児が見ている世界。空中には心の友が出現し、膝の傷は王国だ。それを理解できるかどうかは、大人も

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    2025年01月04日
  • 君は永遠にそいつらより若い

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    強烈なデビュー作でした。すごいなあ。
    津村作品を何冊か読んで好きになったのでデビュー作を読んでみました。
    いわゆる重たい事情や哀しい出来事も淡々と語られる津村作品ですが、だからこそ逆に力強さを感じるというか、目に見える赤やオレンジの炎が燃えているのではなく、暗闇に静かに青い焔が揺れているようなイメージが浮かびます。真っ直ぐ刺さります。
    そういうところが好きなんだなあと再認識しました。

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    2025年01月04日
  • つまらない住宅地のすべての家

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    ネタバレ

    とある路地を挟む住宅地に住む様々な家族や単身者。濃密なご近所づきあいがあるわけでは決してなく、かといって全くの無関心でいるというわけでもない。
    ある時、刑務所を脱獄した女性受刑者のニュースが飛び込んでくる。近辺にやってくるかもしれないと警備のため見張りを始めることに。


    読破に時間がかかってしまいました。
    一つ一つのお話は短くて難解ではないけれど、いかんせん登場人物が多過ぎて、尚且つ、誰の話かということを冒頭で明らかにしない書き方のため、これは誰だっけ?どんな人だったっけ?とお話が始まるたびに住宅図や少し前の話に戻る、の繰り返しでした。
    後半はもう諦めてどんどん読み進め、人物がごっちゃになり

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    2024年12月09日
  • この世にたやすい仕事はない

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    目次を読んで、短編集なのかと思ったらそうではなくて、主人公が色々な仕事を経験していくのが意外で面白かった。
    おかきの袋に書いている一言を考える仕事や、町中にポスターを貼る仕事、公園内の小屋の仕事など、考えてみればそれを仕事にしている人もいるよな、と思うような仕事が出てくる。
    子どもが「大きくなったら○○になりたい!」と一言で表せるような職業ではない仕事の方が世の中には実は多いのかも。
    というか逆に世界の全ては、誰かの仕事でできているんだなぁと感じて、少しじーんときた。

    主人公が色々な仕事を経験する中で、仕事との距離の取り方がテーマの一つになっているのも好きなポイントだった。
    一生懸命過ぎると

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    2024年11月17日
  • とにかくうちに帰ります

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    この本も、ここが面白い!とか、このフレーズが最高!というのがあるわけではない(というより全体が良い)のだが、いつもながら癖になる面白さ。ほんとにたいしたことは起きないのだが、それでも読み進めてしまう。おばあちゃんの家にある、流行ってないけど不思議と飽きのこない、定番のおやつみたいな気持ちで読んでいる。

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    2024年11月13日
  • ウエストウイング

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    最後の10ページまではいつもの津村節。淡々と淡々と日常を綴る。そして最後に来るじわっとした感動、それも大袈裟じゃない本当に深くて染み入る自然なやつ。ホントすごい作家さんですよ。

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    2024年11月03日
  • つまらない住宅地のすべての家

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    点が線になる展開の鮮やかさで、ぐいぐい読み進めたくなるだけでなく、細やかでリアリティある描写が、とても良かった。
    フィクションだからこその、ゆるやかで、しかし確かな変化を垣間見ることが叶って、心に灯りをともしてくれたような読後感になりました。

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    2024年10月21日
  • サキの忘れ物(新潮文庫)

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    津村さんの短編集。

    高校中退後カフェで働く、自己肯定感の低い千春が、席にサキの短編集を忘れていった女性客との淡いつながりを機に、一歩歩みを進めていく「サキの忘れ物」。
    これは本好きの琴線に触れる作品であることは言を俟たない。

    「ペチュニアフォールを知る二十の名所」「喫茶店の周波数」あたりは、なんとなく森絵都さんの『できない相談』を思い出した。
    そういえば、本書の帯に森さんがコメントを寄せている。

    「行列」も面白い。
    人々が期待しながら、何時間も行列になって待っている。
    その詳細がリアルに描かれていくのだけれど、何の行列かは、最後まで読者には明かされない。
    まあ、カフカなんかと比べれば、不

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    2024年10月20日
  • つまらない住宅地のすべての家

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    登場人物多くて混乱したけど笑
    それぞれの家の事情もあるけど、同じような日常だけど少の変化がターニングポイントになっていく感じがよかった。閉じ込められたり、犯罪者にならなくてよかった。

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    2024年10月11日
  • この世にたやすい仕事はない

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    主人公が、どこか不思議な仕事をしながら
    自分の生き方、働き方を見つめる連作短編。
    なんだそれと思うものとあれば
    ちょっと怖い感じがするものもあり
    色んなテイストを楽しめました。

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    2024年10月06日
  • 君は永遠にそいつらより若い

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    酒井順子さんの中年女性ぶっちゃけエッセイを同時に読んでいたため、本作主人公ホリガイ女史の独白が、エッセイと本作との境界を曖昧にして面白かった。著者のデビュー作にして太宰治賞を受賞した作品は、京都在住の不思議な性格の大学4回生女子を取り巻く人間模様が淡々と綴られる。幼少時代のトラウマ、好きな男子の自死、処女喪失への憧憬、児童福祉司を目指す動機が輻輳する主人公。イノギさんの辛い過去と相まって、惹かれあう二人。静かに、しかし大きくうねる波のように進む物語を堪能した。

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    2024年10月02日
  • とにかくうちに帰ります

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    日常の中のなんでもない出来事が気持ちよく言語化されています。いつも語り手が少し冷めているのが読みやすくて好きです。どんなメンタルのときでも読めます。

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    2024年10月02日
  • 苦手から始める作文教室 ──文章が書けたらいいことはある?

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    作文が書けたらいいことがある? 
    作文とは未来の自分に対して書くこと。メモの取り方、テーマの決定、書き出し、いい文章とは、などなど実例を挙げて具体的に述べられている。
    学生を念頭に置いた語り掛けが功を奏し、テーマを体現する構成も素敵。

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    2024年09月29日
  • 苦手から始める作文教室 ──文章が書けたらいいことはある?

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    初読。作者の本は読んだことがないが、結構自分にささる内容だった。特にメモの話と感想文の話。書き留めることは自分自身を知ることにもなる、みたいな部分。読んでよかった。

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    2024年09月23日
  • 浮遊霊ブラジル

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    すごくあたたかな気持ちになります。こんな浮遊霊になってゆらゆらと好きだった人を探すなら、いいかなって思います。わたしは好きだな、こういうあたたかいお話。

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    2024年09月11日
  • この世にたやすい仕事はない

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    ネタバレ

    もともとジャンルとして「お仕事小説」が好きなのと、タイトルが自分の持論ズバリそのままだったので思わず手に取った。

    主人公は自己肯定感が低く、仕事を評価されても素直に受け取れない。また、仕事にのめり込むと生活に事情を来すほどになってしまい、一つの仕事を長く続けられない。

    新卒で働き始めた職場を辞した後、さまざまな短期の仕事に就くも、どの仕事にものめり込みすぎてしまう。

    仕事にのめり込んでしまうというのは時給労働であれば無駄だが、自分で事業をするのであれば大きな強みになる。この女性はどちらかというと個人事業主のほうが向いているのではないかと感じた。

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    2024年08月24日
  • 苦手から始める作文教室 ──文章が書けたらいいことはある?

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    著者の津村さんが普段どんなふうに執筆されているのか、その一端を垣間見れる一冊だった。
    ネットで他人の言葉ばかり見て、自分の言葉で文章を綴ることをしなくなったせいか、どんどん自分の感受性が低下していたり、自分の言葉で書いたりすることができなくなっている。まずは自分の言葉でメモするところから始めてみようと思った。

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    2024年08月24日
  • まともな家の子供はいない

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    緩やかに気怠く過ぎる8月の気配に懐かしくなる。でもこの街には澱みのようなもののほうが多い。「宿題の写しを集める」という中学生にとっては致命的な問題でもある1つのミッションが中心に据えられながらも、その周縁にある「大人の事情」はなかなかに複雑かつ子どもにとってはグロテスクですらある。当の本人たちの心情がそれほど詳細に劇的に語られる訳ではないから淡々と読めてしまうけど、やっぱりだいぶしんどい家庭が多かった。セキコの家庭はひとまずは持ち堪えた感があるけど、室田・片山家はどうだろう。

    登場人物の中学生たちの、どこか達観し諦観しているからこそできるような飄々とした振る舞いと、表紙の絵柄とが相まって、ほ

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    2024年08月06日
  • この世にたやすい仕事はない

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    お仕事小説が好きなので、やはり読んでおくべきかなと手に取った。この作者の本は初めてかと思っていたが、水車小屋のネネの作者だったのかと途中で気づいた。
    最初の方は仕方なく仕事をしているという感じで、仕事に対する熱も感じられずつまらなかったが、後半のおかきの包装の仕事あたりから主人公の仕事への真剣さが感じとれるようになり、面白くなっていった!どんな仕事でも真剣に取り組み、自分なりに工夫を凝らす姿は面白い。

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    2024年07月28日
  • とにかくうちに帰ります

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    私が津村作品を好きなのは、西加奈子さんの言う通り、津村記久子が「取るに足らない、とされていること」に目を向けてくれるからなのだと思う。本当は「どうでもいい」なんて一蹴できることじゃないのに、なんか周りに流されてどうでもいいよね〜と笑えてしまう、気持ちに蓋をしてしまう私の、心の奥に触れるような、そんな表現・着眼点が散りばめられている。私も津村作品のみんなみたいに、軽やかさと真面目さでもって、自分にとって大切だったり重要な瞬間を受け入れたり乗りこなしたりしたいと思う。

    あとは津村作品の女性の飄々としていたり淡々としていたりするところが好き。恋愛に生きてないところも良いな。あとワードセンスがあると

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    2025年03月31日