津村記久子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
生活に疲れた人たちを描いた短編集。
津村さんってなんでこんなに世の中を解像度高く見られるんだろう。
自分がモヤモヤと考えていたことがドンピシャで書かれていて、そうそう!と共感しながら読みました。
どの話も面白かったですが、特に『粗食インスタグラム』と『イン・ザ・シティ』という話が良かったです。
『粗食インスタグラム』は「食べる以前に選ぶのがしんどい」という、何を食べるか決めることに疲れてしまった主人公の話です。
主人公は自分の貧しい食生活の写真を撮って保存していきます。
選択と決断にも結構な心理的コストがかかるんですよね…疲れてると毎日何を食べていいのか分からなくなる気持ちがよく分かります。
あと、写真や絵のない字だけのメニューを嫌だと思うのも(これも地味にストレス…)。
『イン・ザ・シティ』は、主人公の中学生キヨが、架空の地図上の国の地理的条件や人口、産業、特産物などを決めて、週に1回の他のクラスとの家庭科の合同授業の時間にアサに話すという物語です。二人の女子の友情がとても良い。家庭の鬱屈やままならない日々を架空の国をつくることで束の間忘れられるのです。 -
Posted by ブクログ
限界会社員小説。
パワハラで前職を退職し、単純作業をする現職に勤めるナガセが、掲示板に貼り出されたピースボートと思われる世界一周旅行のポスターを見て、自分の年収と同じ163万円を貯金しようとする話。友達と遊びに行っても、友達を助けてもずっとその交通費や食費を計算し続けるという、馬鹿らしいようで、現代っぽくて切実な感じが胸に来る。どこか現実との接触の実感が乏しい感じがよく出ている。2009年芥川賞受賞。
併録されている「12月の窓辺」は、著者もインタビューで答えていたが、パワハラにあった職場の実体験に基づく話。読んでて辛くなるが、どこか滑稽さもある。どこか憧れともゲームの背景のやうな非現実とも思われた、休憩室の窓から見える兎我野タワーでの、ある出来事を目撃してしまうあたりの展開はすごい。
両方とも救いのある終わり方なのに読後寂しい気持ちになる。※オーディブル -
Posted by ブクログ
疲弊しきって前職を辞めた主人公。紹介された仕事は仕込まれたカメラからの映像を監視し、密輸品を見つけること。監視しているうちに対象者の小説家の好みや行動パターンがわかってきて…
5話の連作短編集。各話の1ページ目がその話に出てくる登場人物のイラスト+題名になっていて、その不気味な表情が何とも言えない不思議な気分にさせてくれます。
各話で仕事を辞める決断をするので、今度はどういったことが起きて、どんな形で辞める決断をするのか、ちょっとした謎解きを含めてドキドキしながら読んでいきました。
どれも、辞める理由にうんうん、と頷きたくなります。
主人公の一人称で描かれていて、ちょうどいい力の抜け具合がツボにはまりました。もっと津村さんの著作を読んでいこうと思います。