津村記久子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
読んでばっかりよりは書いたほうがいいし、書いてばっかりよりは読んだほうがいいです。読んでばっかりだと、単なる読書家になってしまうというのはおわかりだと思いますが、(でも読書家でいるのは本当にすばらしいことですよ)、書いてばっかりでも、自分の慣れた文章の書き方、ものの考え方、内容の展開のさせ方にこり固まってしまって、あまり良くないように思います。
また、書いてばかりで他の人の文章を読まないと、自分だけがものすごくいいことを言っていて、自分だけが上手だという気分になりやすいという罠があるようにも思います。そのぐらい、文章を書くということは、書いてくれる人に対して優しい、誰にでも開かれた趣味だと私 -
Posted by ブクログ
津村記久子さん初見。短編集。
恥ずかしながらこれまで存じ上げず、世界観も作風も何もわからないのであくまでこの本だけの感想をと思いましたが
うーん…言語化しにくいです…
わざと誇張されているわけではないはずなのに、人間社会で拭いきれないグロテスク、狡さ、隠した本音(秘密)、憶測による歪曲、自己中心性、流されやすさ…不意にザラリとしたところに触れて、驚きと嫌な気分が少しずつ少しずつ混ざるような もやもやした感覚が、読んでいる間ずっと傍にいた感じがします。文庫うしろの紹介文やカバー絵が爽やかなだけに「あれ?」と言う気持ちで頁をめくっていました。
そんな作品群のなかで、人との出逢いによって何かに気づき -
Posted by ブクログ
ネタバレ活気がなく、不便で、つまらない住宅地。そこの住人も変わり映えのない日常を送っているが、単調ながらも小さなデコボコはある。
ある日、逃走犯をきっかけにそれぞれの日常のデコボコが干渉しあって大きな波を生んでいく、そんな物語である。
最終的にすべてのデコボコがぴったりハマる感覚が爽快だった。
ある地域の一区画の住人がまるっと登場人物なので読む方もけっこう大変だけど、そんな彼らのいろいろな想い・行動のパズルを完成させた津村さん、すごすぎる。
この小説を読んで印象に残ったのは2つ。
ひとつは、千里の祖母の覚悟と孤独。
逃走犯の事件をきっかけに、人とのつながりを新たに生んだ人、閉鎖的で暗い未来から抜 -
Posted by ブクログ
路地に面したご近所さんたちの話し。
登場人物が多くて、最初に書いてある地図と、そこに住む人たちの詳細を何度も見直しながら読み進めた。
登場人物が丁寧に描かれている。
自分の家のお隣さんにはお隣さんの、全くつまらなくない人生と事情がある。
当然のことなんだけど、しばしば見失っている感覚。
たまたま起こったきっかけから、近所の人と関わりを持ち、あるいは、持たざるを得なくなり、繋がる。
繋がることで、思いもよらぬ自分の家族の思いを知ったりする。
人は、人と繋がることでしか知り得ないこともあるんだろうなあ。
でも、自分には難しいかもしれない。
繋がるって、ちょっと怖い。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ中盤くらいまでは、登場人物が変わる度に最初のページに戻ってどこに住んでる誰?といちいち確認していた。(正直少し読みづらかった。)
10人以上の人物が主要キャラになっているのに、全部きちんと片付いて綺麗にまとまっていた。
ただ、うまくまとまっているけど、まとまり過ぎ感もある。
そんな何もかもうまいこといかないでしょとはやっぱり思う、、、。
あと、登場人物の子供達は何故か逃亡犯に捕まってほしくないと思っていて、逃亡犯に同情?しているけど、
読んでいて、やはり犯罪者は犯罪者だなーという感想。
一度道を誤ったからなのか、協力してくれた人から無理やり財布奪ったり、人の家の事情も考えずに洗濯物を取った -
Posted by ブクログ
小説家や歌人などによる子どものお悩み相談会。
子どものお悩みというのが、子供側の事情を詳しく書いたものではなく「謙虚になるにはどうしたらいいですか?」「遅刻グセがなおりません」といった一行のみ。
だから、お悩みに対するアドバイスというより、それをテーマにしたエッセイのようなものだった。参考になるかどうかは、微妙だった笑。
作家さんたちの多くは、自分の経験について語っているのが、大人として読む側はおもしろかったな。
子どもと大人、どっちが読めば共感できたり面白く感じたりするんだろう。
一番最初に「夏休みの宿題ぎりぎり派はだめ?」というテーマについての角田光代さんの回答で、小学生の時絵が好きで美