津村記久子のレビュー一覧
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ーーー大人は、さびしい。ーーー
中学三年生の日常。
まだ、大人ではない。
けれども、自分たちの主張は、ある。
大人の監視下で生きる子どもたちが、必死に抵抗している様に、やれ!やってしまえ!とエールを送りたくなる。
ヒロシの勇気に胸がふるふるした。
終わりかたも、とても好きだった。
IkEAに行きたくなる、自転車で。
ちなみに everything flows は 万物は流転する という意味。
すべてのものは常に移り変わってゆく。
すごくいいタイトルだ。
読んだ人にしかわからないわたしの好きな一節を書き起こしておきます。
ーーー自分が世界地図なら、どのぐらいの大きさの島が消えたのだ -
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いずれも表題作ではない2作を収録した本作は、大事なひとのために祈る青年(高校生と大学生)を好意的に描いています。
そう書くと、いかにも主人公らしい人物像を思い浮かべるかもしれませんが、そこは津村さんの作品ですから・・・独特の悩みを抱えてます。
そう書くと、いかにも純文学らしい人物像を思い浮かべるかもしれませんが、そこは津村さんの作品ですから・・・独特の笑いを味わえます。
村上春樹氏の言う「小確幸」(小さいけれども確かな幸せ)にも通ずる、細やかだけれども確かな幸せ(「細確幸」?)を感じれる2作でした。
個人的に、それぞれの作品で感じ入った一節は以下のとおりです。
「うっさいボケ帰れ」
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今までに読んだ津村さんの本は、割と薄めで、そんなに大きな事件が起こるわけでもなく、淡々とOLとかの生活を書いてるという印象でした。
なので、今回本屋でこれを見つけて、結構厚かったので「あの調子の内容でこの厚さ……。読み続けられるかな」なんて心配してしまいました。
結局は淡々、というよりは結構ヒロシの周りで色々あって、続きが気になって一日で読んでしまいましたが。
大阪の、イケアのあるところをマップで確認したら、巻頭に載ってる地図と同じ地域を見つけられて嬉しくなりました。めがね橋、本当にあるんだあ。
最初は、今の若い作家さんたちがよく書く「スクールカースト」を描いた感じなのかと思いましたが、ヒ -
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招待客の旅行の日程など関係なく人は結婚するし、結婚式の日取りに関係なく人は死ぬ。本作の主人公ヨシノは、ひとり旅でもしようと旅行会社に申し込んだその日に、しばらく疎遠だった学生時代の友人から連絡があり、結婚式と披露宴への出席ばかりかスピーチと二次会の幹事まで頼まれる。断れなくて、段取りに奔走。ついに当日を迎えたら、これから披露宴というときに会社の常務から電話。ヨシノの上司の父親が亡くなったから、直ちに来いと。社員18名の会社は良くも悪くも家族的で、誰かが亡くなれば必ず全員で通夜の手伝い。なぜ本葬ではないのかといえば、18名の会社は平日昼間に会社を閉めるわけにいかないから。
表題作の『婚礼、葬礼 -
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ネタバレ旅行する予定が、友人の結婚式の二次会幹事に選ばれ奮闘するものの、
当日になって会社の上司の親族のお葬式に駆り出されるヨシノ。
空腹に耐えるヨシノ、
お葬式会場のトイレのなかで、故人の愛人同士の罵り合いを聞きながら、電話で結婚式のスピーチを語るヨシノ。
他短編。
二つの高校と小学校がある町での
高校生同士の自転車事故。
小学校教師と事故を起こした高校生との過去の関係。
事故を起こした高校生に助けられたことがある小学生。
その小学生を娘に持つ働く母親。
自転車事故を目撃したOL。
事故についての手紙を作成することになった男子高生。
津村さんの登場人物たちは、みんな真面目だな。 -
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短篇2つが収録されており、どちらも主人公が何かに対して祈ってる。
「サイガサマのウィッカーマン」
『エヴリシング・フロウズ』でもあったが、主人公が自分の圧倒的な無力さに傷付くシーンが印象的だった。
たとえどこかの大富豪であっても、自分ではどうにもならないことはあるだろう。ましてや、高校生の主人公が、家やお金の問題に苦しむ同級生の女性に何ができるというのか。
そんな主人公は、この小説に出てくる神「サイガサマ」の特徴でもある、「物事をあんまりよくわかっていない様子なのだが、とにかくできる範囲でやってみよう、という意識のようなもの」(p.135)を纏うようになる。冒頭から延々ととげとげしい主人 -
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私はもう主人公たちの親の年代ですが、中学生のセキコに感情移入しながら読み進めました。
すぐに仕事を辞めてくる父親、それを許す母親、要領の良い妹、イライラしているのは自分だけ……。
「心配しなくていいのよ」「情けない親だって思うわよ」とセキコの母親は耳触りの良い言葉だけを並べ立てるけれど何の解決にもなってないし、働きに出てもいない父親からいっぱしの父親ぶった上から目線の批判をされると反発もしたくなるというものです。
ちなみに、子供に親の性行為を見せるのは虐待にあたるんですよね。
表題作も、もう1つの『サバイブ』も、一見「まとも」に見える家庭でも様々な問題を抱えている……。
どちらもスッキリし