津村記久子のレビュー一覧

  • まともな家の子供はいない

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    自分の思春期のころを思い出した。

    多くの子供は、自分の家がおかしい、まともじゃないってことに気付かないふりをしてるんだと思う。
    分かりやすく父親が働かない等の事情を抱えるセキコはそれに気付いてしまう。
    中学生が向かい合わなくて良いはずの問題に向かい合って、イライラするセキコ。
    友達とバカバカしいことしてる間(男子の尾行とか、やってるの、私と友達だけじゃなかったのね)はイラつきも少しは忘れられるんだよな。
    セキコの友達のナガヨシが、これまた私の中学時代の友達に似てた。
    何が似てるって、気になる異性の基準が、変で興味深いかどうか、というところ。私の友達が1学年下のメガネかけた怒り肩の男子に興味を

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    2020年11月29日
  • アレグリアとは仕事はできない

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    「アレグリア〜」
    私の部屋はスマホしすぎると、インターネット回線が悪くなる。ネットしすぎないの!って怒られてるのかな〜って思う。
    「地下鉄の〜」 
    SNSとかもそうだけど、なんてことないアイコンの向こう側に変わらない自我が存在すると思うと気持ち悪くなる。

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    2020年11月27日
  • ダメをみがく “女子”の呪いを解く方法

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    女子の呪いを解く方法の本だけど、中年おじさんにも効果がありそうです。綺麗事ではない処世術です。仕事や 人との距離の取り方など、なるほどと思うポイントがたくさんありました。

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    2020年09月13日
  • 浮遊霊ブラジル

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    個人的には津村小説の中ではリアリティに重きをおいたものが好みなので、本作はやや外れてしまう。聞いたこともない海外の地名やサッカー選手がやたらと出てくるのはご愛嬌。

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    2020年09月12日
  • アレグリアとは仕事はできない

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    魂は万物に宿る。ミノベはそう思っている。
    だからこそ、やたらとウォームアップに時間がかかり、1分動いては2分止まり、もうダメェ〜とばかりに8秒間もエラー音を鳴らして黙り込むアレグリア(A1サイズのコピーができる複合機)に対して『怠けている』と思えて、苛立って仕方がない。

    わーかーるー!!!

    急いでいる時に限って何度も紙詰まりを起こすプリンタ、フリーズするPC、何故か文字化けするファイル、果ては消えるデータ!
    相手が機械とはいえ、悪意を持って邪魔してきているのかと思うことは起こる。忙しくて時間がない時を狙いすましたように、それは起こる。

    津村記久子さんはお仕事小説の人、というイメージが強い

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    2020年07月22日
  • ダメをみがく “女子”の呪いを解く方法

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    作家の津村さんと、編集者の深澤さんの対談。
    人間関係、仕事上の失敗など「ダメダメなわたし」を語る。
    二人の息が合っていて、よむほうもテンポよく進む。

    編集さんから、「まだダメが足りない」というダメ出しが下ったという話が途中で出てきた(笑)。
    でも、たしかに、そうかもね、と思う。
    お二人とも物書きなので、失敗談なのに、客観視できているし、理性的な印象になる。
    パワハラを受けた、親とうまくいかない―当事者にはむろんつらい体験だけど、自分はハラスメントするほうが悪い、という前提でいるので、それが「ダメなわたし」という枠組みに収まらない。
    すごい人だって、若い頃はそれなりに失敗するだろう。
    そんな感

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    2020年06月28日
  • 枕元の本棚

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    ネタバレ

    書評本、ブックレビュー、ブックガイド。
    いろいろ読んできたけれど、この本ほど、作家のする読書の特異性を感じたものはなかったなあ。

    第一章の「絵本と児童書」ではまだそれほど自分との違いを感じなかった。
    それよりも最初の一冊が「デブの国ノッポの国」で、懐かし~とテンションが上がり、次の一冊に「マガーク少年探偵団」が来た時点で、この著者は私と大変読書の趣味が似通っていると錯覚してしまった。
    その後も「図鑑が好き」の記載に激しく同意(わたしが幼稚園時代に一番好きだった本は動物図鑑)し、妖精事典や歳時記や哲学入門など、私の好きなジャンルの本がこれでもかと出てくる。

    ついうっかり楽しい本だなあとへ

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    2020年04月28日
  • エヴリシング・フロウズ

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    ネタバレ

    再読だけど文庫本買ったしこっちで。記憶してたとおりすごく好きな本だった。中学校の入学祝い候補にしてたけどさすがに早いかなと認識できて良かった。『愛を知らない』を読んだ時の何とも言えない気持ちはこれだったか,と思った。
    解説も何とも良くて,得した気分。

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    2020年03月30日
  • まともな家の子供はいない

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    私も家に居たくない子供時代を過ごしたので、主人公の中学生の感情がものすごくよくわかる。
    外から見ればまともな家でも、内実はどこもそれなりに何かあるものなのかもしれない。
    親という大人が、実はそれほど大人じゃないって事に気がついてしまう年頃。でも「大人であれよ!」と思ってしまう年頃の親子関係はキツイ。
    もっと大人になれば、精神的にも経済的にも親と自分を分離できるようになるのだけれど。

    主人公たちの心の重苦しさは充分に伝わってくるけれど、淡々とした筆致のせいか読み心地は決して重くなく、さらりと読めます。

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    2020年03月02日
  • 二度寝とは、遠くにありて想うもの

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    表題のエッセイがでてこない! そんなトリッキーなタイトルに笑える。芥川賞作家とは、このような視点と思考の展開ができるものなんだと感心し、やはり文筆業を生業にできる選ばれし人だと思った。「幸せになれないということ」で職場いじめを題材にしているが、他人事ではなく、結論に留飲の下がる思いだ。

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    2019年08月18日
  • エヴリシング・フロウズ

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    ヒロシが、明確な意志がもてず、迷いながらも、自分にも他人にも誠実に生きようとしている姿が好もしい。決め付けない在り方に希望を感じる。

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    2019年06月25日
  • 二度寝とは、遠くにありて想うもの

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    会社員と作家業を並行しておられていた時期と、会社を辞職し作家業のみに専念され始めた時期とにまたがるエッセイ集。津村さんの色んな面が垣間見られたようで興味深い。

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    2019年04月14日
  • ウエストウイング

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    わーめんどくさっ!やっぱり進まなくって、でもだんだんなじみが出てくると、ふんふん、そんで?でもなんかペースおっそ!って進まない。
    けど我慢してるわけじゃなくて、流し読みせず「ちゃんと」読んでるだけ。
    面白い。

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    2018年01月25日
  • ウエストウイング

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    傑作『八番筋カウンシル』もそうでしたが、三者三様の日々を緩やかに、伸びやかに描いています。

    三人それぞれの日常に起こる出来事。それらを流れるように読ませながら、同時に鼓動の高まりを感じさせ、そしてあざとくない程度にきちんと着地させる技量には、毎回のことながら感服します。

    まさに解説にある通り、「津村氏の精度の高い文章の魅力」を存分に味わえます。

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    2017年10月11日
  • エヴリシング・フロウズ

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    ーーー大人は、さびしい。ーーー

    中学三年生の日常。
    まだ、大人ではない。
    けれども、自分たちの主張は、ある。
    大人の監視下で生きる子どもたちが、必死に抵抗している様に、やれ!やってしまえ!とエールを送りたくなる。

    ヒロシの勇気に胸がふるふるした。

    終わりかたも、とても好きだった。

    IkEAに行きたくなる、自転車で。

    ちなみに everything flows は 万物は流転する という意味。
    すべてのものは常に移り変わってゆく。
    すごくいいタイトルだ。

    読んだ人にしかわからないわたしの好きな一節を書き起こしておきます。

    ーーー自分が世界地図なら、どのぐらいの大きさの島が消えたのだ

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    2017年10月27日
  • アレグリアとは仕事はできない

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    「おまえなあ、いいかげんにしろよ!」と叫びたくなるほどの性悪女、アレグリア。男に媚ばかり売って、すぐ疲れたと言っては休み、ふて腐れて動かなくなる。ミノベの怒りはとどまるところを知らないのだが、まわりの反応はいまひとつ。コピー機に文句を言ってもねぇ、と先輩は言うが……。


    裏表紙を読んで、コピー機は単に言い回しかと思いきや、アレグリアは本当にコピー機である。正確には複合機。

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    2017年08月27日
  • エヴリシング・フロウズ

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    おもしろかったー。
    男子中学生ってこんなにいろいろなこと考えてるんかな。
    よく見知った街がでてくるのでたのしい。

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    2017年07月08日
  • これからお祈りにいきます

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    いずれも表題作ではない2作を収録した本作は、大事なひとのために祈る青年(高校生と大学生)を好意的に描いています。

    そう書くと、いかにも主人公らしい人物像を思い浮かべるかもしれませんが、そこは津村さんの作品ですから・・・独特の悩みを抱えてます。

    そう書くと、いかにも純文学らしい人物像を思い浮かべるかもしれませんが、そこは津村さんの作品ですから・・・独特の笑いを味わえます。

    村上春樹氏の言う「小確幸」(小さいけれども確かな幸せ)にも通ずる、細やかだけれども確かな幸せ(「細確幸」?)を感じれる2作でした。

    個人的に、それぞれの作品で感じ入った一節は以下のとおりです。

    「うっさいボケ帰れ」

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    2017年06月26日
  • エヴリシング・フロウズ

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    今までに読んだ津村さんの本は、割と薄めで、そんなに大きな事件が起こるわけでもなく、淡々とOLとかの生活を書いてるという印象でした。
    なので、今回本屋でこれを見つけて、結構厚かったので「あの調子の内容でこの厚さ……。読み続けられるかな」なんて心配してしまいました。
    結局は淡々、というよりは結構ヒロシの周りで色々あって、続きが気になって一日で読んでしまいましたが。

    大阪の、イケアのあるところをマップで確認したら、巻頭に載ってる地図と同じ地域を見つけられて嬉しくなりました。めがね橋、本当にあるんだあ。

    最初は、今の若い作家さんたちがよく書く「スクールカースト」を描いた感じなのかと思いましたが、ヒ

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    2017年06月18日
  • 婚礼、葬礼、その他

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    うまい。やっぱり津村記久子はうまい。
    表題作は、笑えながら、ドラマがいくつも起こる!ものの、それがドタバタなのに、なんとなく現実的。

    二作目は、どんどん語り部が変わりながら、話が進んで行く。
    本当にうまい。引き込まれる。
    2017.05.04

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    2017年05月04日