津村記久子のレビュー一覧
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鳥飼早智子というOL目線と短編集。
営業社員の依頼の仕方によって書類を仕上げる期限を調整する田上さん、わざわざ人の席まで来て噂話をしたいくせに人の話は聞かない北脇部長、人は良いんだけどおおらか過ぎるのか借りた文房具を返し忘れる定年間際の間宮さん、応援してるスポーツ選手やチームが成績不振に陥る浄之内さん。
OLの日常って感じで面白い。田辺聖子さん好きな人は好きだと思う。
最後の『とにかくうちに帰ります』は大雨で洲にある会社からどうにか家に帰る話。オフィスを出るのが遅れたために駅からの巡回バスは運休してしまい、橋を歩いて渡る羽目になった人たち。専業主婦なもんで雨の日は外に出なくて済むんです -
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お初の作家。昨年ヴァージニア・ウルフの灯台へを読んだら巻末の解説が津村記久子さんで、その文体と内容のトーンに好感をもった。この方の作品を読みたいと思い手にした次第。まずは短編集から。冷静で世の中にやや批判的なユニークな視線が素敵。
「サキの忘れ物」
表題作。高校中退の無気力なアルバイトの主人公女子が働く病院併設のカフェ。いつも来る見舞客の女性。ある日その常連客が文庫本を忘れていき、それがきっかけで読書を始めた主人公。わからないをわかりたいと思うことが、世界との接続を作り人生を拓く。
「王国」
幼稚園児が見ている世界。空中には心の友が出現し、膝の傷は王国だ。それを理解できるかどうかは、大人も -
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ネタバレとある路地を挟む住宅地に住む様々な家族や単身者。濃密なご近所づきあいがあるわけでは決してなく、かといって全くの無関心でいるというわけでもない。
ある時、刑務所を脱獄した女性受刑者のニュースが飛び込んでくる。近辺にやってくるかもしれないと警備のため見張りを始めることに。
読破に時間がかかってしまいました。
一つ一つのお話は短くて難解ではないけれど、いかんせん登場人物が多過ぎて、尚且つ、誰の話かということを冒頭で明らかにしない書き方のため、これは誰だっけ?どんな人だったっけ?とお話が始まるたびに住宅図や少し前の話に戻る、の繰り返しでした。
後半はもう諦めてどんどん読み進め、人物がごっちゃになり -
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目次を読んで、短編集なのかと思ったらそうではなくて、主人公が色々な仕事を経験していくのが意外で面白かった。
おかきの袋に書いている一言を考える仕事や、町中にポスターを貼る仕事、公園内の小屋の仕事など、考えてみればそれを仕事にしている人もいるよな、と思うような仕事が出てくる。
子どもが「大きくなったら○○になりたい!」と一言で表せるような職業ではない仕事の方が世の中には実は多いのかも。
というか逆に世界の全ては、誰かの仕事でできているんだなぁと感じて、少しじーんときた。
主人公が色々な仕事を経験する中で、仕事との距離の取り方がテーマの一つになっているのも好きなポイントだった。
一生懸命過ぎると -
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かなり長くて途中で挫折しかけて放り出したが、ここでの皆さんの感想を読んで良い本だとわかり、また読み始めた。
2人姉妹が劣悪な家庭環境を飛び出し、肩を寄せ合って生き抜く物語と聞けば、何だか暗くて重い感じがするだろうが、この本は全く違う。
周りの人達の温かさ、善意が静かな環境の中で溢れていてこの姉妹を包み込んでいく。そして鳥のヨウムは人々に常に寄り添っている。
姉妹が厳しい家庭環境を当然のごとく受け入れながら、自然豊かな地で2人一生懸命に頑張る姿は、周りの人々の優しい気持ちが引き出されていく。そして10年単位で世代が移ろうともその優しさが順に送られていくのだ。現代の日本に必要な恩送りの優しさ。
今 -
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津村さんの短編集。
高校中退後カフェで働く、自己肯定感の低い千春が、席にサキの短編集を忘れていった女性客との淡いつながりを機に、一歩歩みを進めていく「サキの忘れ物」。
これは本好きの琴線に触れる作品であることは言を俟たない。
「ペチュニアフォールを知る二十の名所」「喫茶店の周波数」あたりは、なんとなく森絵都さんの『できない相談』を思い出した。
そういえば、本書の帯に森さんがコメントを寄せている。
「行列」も面白い。
人々が期待しながら、何時間も行列になって待っている。
その詳細がリアルに描かれていくのだけれど、何の行列かは、最後まで読者には明かされない。
まあ、カフカなんかと比べれば、不 -
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緩やかに気怠く過ぎる8月の気配に懐かしくなる。でもこの街には澱みのようなもののほうが多い。「宿題の写しを集める」という中学生にとっては致命的な問題でもある1つのミッションが中心に据えられながらも、その周縁にある「大人の事情」はなかなかに複雑かつ子どもにとってはグロテスクですらある。当の本人たちの心情がそれほど詳細に劇的に語られる訳ではないから淡々と読めてしまうけど、やっぱりだいぶしんどい家庭が多かった。セキコの家庭はひとまずは持ち堪えた感があるけど、室田・片山家はどうだろう。
登場人物の中学生たちの、どこか達観し諦観しているからこそできるような飄々とした振る舞いと、表紙の絵柄とが相まって、ほ -
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私が津村作品を好きなのは、西加奈子さんの言う通り、津村記久子が「取るに足らない、とされていること」に目を向けてくれるからなのだと思う。本当は「どうでもいい」なんて一蹴できることじゃないのに、なんか周りに流されてどうでもいいよね〜と笑えてしまう、気持ちに蓋をしてしまう私の、心の奥に触れるような、そんな表現・着眼点が散りばめられている。私も津村作品のみんなみたいに、軽やかさと真面目さでもって、自分にとって大切だったり重要な瞬間を受け入れたり乗りこなしたりしたいと思う。
あとは津村作品の女性の飄々としていたり淡々としていたりするところが好き。恋愛に生きてないところも良いな。あとワードセンスがあると