津村記久子のレビュー一覧
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自分の思春期のころを思い出した。
多くの子供は、自分の家がおかしい、まともじゃないってことに気付かないふりをしてるんだと思う。
分かりやすく父親が働かない等の事情を抱えるセキコはそれに気付いてしまう。
中学生が向かい合わなくて良いはずの問題に向かい合って、イライラするセキコ。
友達とバカバカしいことしてる間(男子の尾行とか、やってるの、私と友達だけじゃなかったのね)はイラつきも少しは忘れられるんだよな。
セキコの友達のナガヨシが、これまた私の中学時代の友達に似てた。
何が似てるって、気になる異性の基準が、変で興味深いかどうか、というところ。私の友達が1学年下のメガネかけた怒り肩の男子に興味を -
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魂は万物に宿る。ミノベはそう思っている。
だからこそ、やたらとウォームアップに時間がかかり、1分動いては2分止まり、もうダメェ〜とばかりに8秒間もエラー音を鳴らして黙り込むアレグリア(A1サイズのコピーができる複合機)に対して『怠けている』と思えて、苛立って仕方がない。
わーかーるー!!!
急いでいる時に限って何度も紙詰まりを起こすプリンタ、フリーズするPC、何故か文字化けするファイル、果ては消えるデータ!
相手が機械とはいえ、悪意を持って邪魔してきているのかと思うことは起こる。忙しくて時間がない時を狙いすましたように、それは起こる。
津村記久子さんはお仕事小説の人、というイメージが強い -
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作家の津村さんと、編集者の深澤さんの対談。
人間関係、仕事上の失敗など「ダメダメなわたし」を語る。
二人の息が合っていて、よむほうもテンポよく進む。
編集さんから、「まだダメが足りない」というダメ出しが下ったという話が途中で出てきた(笑)。
でも、たしかに、そうかもね、と思う。
お二人とも物書きなので、失敗談なのに、客観視できているし、理性的な印象になる。
パワハラを受けた、親とうまくいかない―当事者にはむろんつらい体験だけど、自分はハラスメントするほうが悪い、という前提でいるので、それが「ダメなわたし」という枠組みに収まらない。
すごい人だって、若い頃はそれなりに失敗するだろう。
そんな感 -
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ネタバレ書評本、ブックレビュー、ブックガイド。
いろいろ読んできたけれど、この本ほど、作家のする読書の特異性を感じたものはなかったなあ。
第一章の「絵本と児童書」ではまだそれほど自分との違いを感じなかった。
それよりも最初の一冊が「デブの国ノッポの国」で、懐かし~とテンションが上がり、次の一冊に「マガーク少年探偵団」が来た時点で、この著者は私と大変読書の趣味が似通っていると錯覚してしまった。
その後も「図鑑が好き」の記載に激しく同意(わたしが幼稚園時代に一番好きだった本は動物図鑑)し、妖精事典や歳時記や哲学入門など、私の好きなジャンルの本がこれでもかと出てくる。
ついうっかり楽しい本だなあとへ -
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ーーー大人は、さびしい。ーーー
中学三年生の日常。
まだ、大人ではない。
けれども、自分たちの主張は、ある。
大人の監視下で生きる子どもたちが、必死に抵抗している様に、やれ!やってしまえ!とエールを送りたくなる。
ヒロシの勇気に胸がふるふるした。
終わりかたも、とても好きだった。
IkEAに行きたくなる、自転車で。
ちなみに everything flows は 万物は流転する という意味。
すべてのものは常に移り変わってゆく。
すごくいいタイトルだ。
読んだ人にしかわからないわたしの好きな一節を書き起こしておきます。
ーーー自分が世界地図なら、どのぐらいの大きさの島が消えたのだ -
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いずれも表題作ではない2作を収録した本作は、大事なひとのために祈る青年(高校生と大学生)を好意的に描いています。
そう書くと、いかにも主人公らしい人物像を思い浮かべるかもしれませんが、そこは津村さんの作品ですから・・・独特の悩みを抱えてます。
そう書くと、いかにも純文学らしい人物像を思い浮かべるかもしれませんが、そこは津村さんの作品ですから・・・独特の笑いを味わえます。
村上春樹氏の言う「小確幸」(小さいけれども確かな幸せ)にも通ずる、細やかだけれども確かな幸せ(「細確幸」?)を感じれる2作でした。
個人的に、それぞれの作品で感じ入った一節は以下のとおりです。
「うっさいボケ帰れ」
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今までに読んだ津村さんの本は、割と薄めで、そんなに大きな事件が起こるわけでもなく、淡々とOLとかの生活を書いてるという印象でした。
なので、今回本屋でこれを見つけて、結構厚かったので「あの調子の内容でこの厚さ……。読み続けられるかな」なんて心配してしまいました。
結局は淡々、というよりは結構ヒロシの周りで色々あって、続きが気になって一日で読んでしまいましたが。
大阪の、イケアのあるところをマップで確認したら、巻頭に載ってる地図と同じ地域を見つけられて嬉しくなりました。めがね橋、本当にあるんだあ。
最初は、今の若い作家さんたちがよく書く「スクールカースト」を描いた感じなのかと思いましたが、ヒ