津村記久子のレビュー一覧

  • ウエストウイング

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    傑作『八番筋カウンシル』もそうでしたが、三者三様の日々を緩やかに、伸びやかに描いています。

    三人それぞれの日常に起こる出来事。それらを流れるように読ませながら、同時に鼓動の高まりを感じさせ、そしてあざとくない程度にきちんと着地させる技量には、毎回のことながら感服します。

    まさに解説にある通り、「津村氏の精度の高い文章の魅力」を存分に味わえます。

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    2017年10月11日
  • エヴリシング・フロウズ

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    ーーー大人は、さびしい。ーーー

    中学三年生の日常。
    まだ、大人ではない。
    けれども、自分たちの主張は、ある。
    大人の監視下で生きる子どもたちが、必死に抵抗している様に、やれ!やってしまえ!とエールを送りたくなる。

    ヒロシの勇気に胸がふるふるした。

    終わりかたも、とても好きだった。

    IkEAに行きたくなる、自転車で。

    ちなみに everything flows は 万物は流転する という意味。
    すべてのものは常に移り変わってゆく。
    すごくいいタイトルだ。

    読んだ人にしかわからないわたしの好きな一節を書き起こしておきます。

    ーーー自分が世界地図なら、どのぐらいの大きさの島が消えたのだ

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    2017年10月27日
  • アレグリアとは仕事はできない

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    「おまえなあ、いいかげんにしろよ!」と叫びたくなるほどの性悪女、アレグリア。男に媚ばかり売って、すぐ疲れたと言っては休み、ふて腐れて動かなくなる。ミノベの怒りはとどまるところを知らないのだが、まわりの反応はいまひとつ。コピー機に文句を言ってもねぇ、と先輩は言うが……。


    裏表紙を読んで、コピー機は単に言い回しかと思いきや、アレグリアは本当にコピー機である。正確には複合機。

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    2017年08月27日
  • エヴリシング・フロウズ

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    おもしろかったー。
    男子中学生ってこんなにいろいろなこと考えてるんかな。
    よく見知った街がでてくるのでたのしい。

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    2017年07月08日
  • これからお祈りにいきます

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    いずれも表題作ではない2作を収録した本作は、大事なひとのために祈る青年(高校生と大学生)を好意的に描いています。

    そう書くと、いかにも主人公らしい人物像を思い浮かべるかもしれませんが、そこは津村さんの作品ですから・・・独特の悩みを抱えてます。

    そう書くと、いかにも純文学らしい人物像を思い浮かべるかもしれませんが、そこは津村さんの作品ですから・・・独特の笑いを味わえます。

    村上春樹氏の言う「小確幸」(小さいけれども確かな幸せ)にも通ずる、細やかだけれども確かな幸せ(「細確幸」?)を感じれる2作でした。

    個人的に、それぞれの作品で感じ入った一節は以下のとおりです。

    「うっさいボケ帰れ」

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    2017年06月26日
  • エヴリシング・フロウズ

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    今までに読んだ津村さんの本は、割と薄めで、そんなに大きな事件が起こるわけでもなく、淡々とOLとかの生活を書いてるという印象でした。
    なので、今回本屋でこれを見つけて、結構厚かったので「あの調子の内容でこの厚さ……。読み続けられるかな」なんて心配してしまいました。
    結局は淡々、というよりは結構ヒロシの周りで色々あって、続きが気になって一日で読んでしまいましたが。

    大阪の、イケアのあるところをマップで確認したら、巻頭に載ってる地図と同じ地域を見つけられて嬉しくなりました。めがね橋、本当にあるんだあ。

    最初は、今の若い作家さんたちがよく書く「スクールカースト」を描いた感じなのかと思いましたが、ヒ

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    2017年06月18日
  • 婚礼、葬礼、その他

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    うまい。やっぱり津村記久子はうまい。
    表題作は、笑えながら、ドラマがいくつも起こる!ものの、それがドタバタなのに、なんとなく現実的。

    二作目は、どんどん語り部が変わりながら、話が進んで行く。
    本当にうまい。引き込まれる。
    2017.05.04

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    2017年05月04日
  • ダメをみがく “女子”の呪いを解く方法

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    他人との距離の考え方。
    素敵じゃなくても良い。

    コンビニの店員や、掃除のおばちゃんとの関係に、生かされている。

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    2017年04月29日
  • 婚礼、葬礼、その他

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    招待客の旅行の日程など関係なく人は結婚するし、結婚式の日取りに関係なく人は死ぬ。本作の主人公ヨシノは、ひとり旅でもしようと旅行会社に申し込んだその日に、しばらく疎遠だった学生時代の友人から連絡があり、結婚式と披露宴への出席ばかりかスピーチと二次会の幹事まで頼まれる。断れなくて、段取りに奔走。ついに当日を迎えたら、これから披露宴というときに会社の常務から電話。ヨシノの上司の父親が亡くなったから、直ちに来いと。社員18名の会社は良くも悪くも家族的で、誰かが亡くなれば必ず全員で通夜の手伝い。なぜ本葬ではないのかといえば、18名の会社は平日昼間に会社を閉めるわけにいかないから。

    表題作の『婚礼、葬礼

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    2017年05月10日
  • 婚礼、葬礼、その他

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    ネタバレ

    旅行する予定が、友人の結婚式の二次会幹事に選ばれ奮闘するものの、
    当日になって会社の上司の親族のお葬式に駆り出されるヨシノ。

    空腹に耐えるヨシノ、
    お葬式会場のトイレのなかで、故人の愛人同士の罵り合いを聞きながら、電話で結婚式のスピーチを語るヨシノ。

    他短編。
    二つの高校と小学校がある町での
    高校生同士の自転車事故。

    小学校教師と事故を起こした高校生との過去の関係。
    事故を起こした高校生に助けられたことがある小学生。

    その小学生を娘に持つ働く母親。
    自転車事故を目撃したOL。
    事故についての手紙を作成することになった男子高生。

    津村さんの登場人物たちは、みんな真面目だな。

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    2017年04月27日
  • これからお祈りにいきます

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    短篇2つが収録されており、どちらも主人公が何かに対して祈ってる。
    「サイガサマのウィッカーマン」
     『エヴリシング・フロウズ』でもあったが、主人公が自分の圧倒的な無力さに傷付くシーンが印象的だった。
     たとえどこかの大富豪であっても、自分ではどうにもならないことはあるだろう。ましてや、高校生の主人公が、家やお金の問題に苦しむ同級生の女性に何ができるというのか。
     そんな主人公は、この小説に出てくる神「サイガサマ」の特徴でもある、「物事をあんまりよくわかっていない様子なのだが、とにかくできる範囲でやってみよう、という意識のようなもの」(p.135)を纏うようになる。冒頭から延々ととげとげしい主人

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    2017年04月15日
  • まともな家の子供はいない

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    私はもう主人公たちの親の年代ですが、中学生のセキコに感情移入しながら読み進めました。

    すぐに仕事を辞めてくる父親、それを許す母親、要領の良い妹、イライラしているのは自分だけ……。
    「心配しなくていいのよ」「情けない親だって思うわよ」とセキコの母親は耳触りの良い言葉だけを並べ立てるけれど何の解決にもなってないし、働きに出てもいない父親からいっぱしの父親ぶった上から目線の批判をされると反発もしたくなるというものです。
    ちなみに、子供に親の性行為を見せるのは虐待にあたるんですよね。

    表題作も、もう1つの『サバイブ』も、一見「まとも」に見える家庭でも様々な問題を抱えている……。
    どちらもスッキリし

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    2017年12月13日
  • 君は永遠にそいつらより若い

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    君は永遠にそいつらより若い

    一見けだるそうな、少し軸がずれたところにいるようなホリガイの
    深い深い共感力(というのかな、、)

    放っておけない苦しさを
    抱き続けることによる、軸のずれ

    でもその抱き続けた想いゆえに救われた人たちのいること

    やるせなく、できることはないと絶望しても
    妄想のような希望を持ち続けることの大切さ

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    2024年09月20日
  • 婚礼、葬礼、その他

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    「とにかくうちに帰ります」を楽しく読んだ思い出が蘇った。人を呼び出す才能がないことに悲観してなくて、受け入れてるところが津村さんらしくてよい。冷たい十字路のほうもいい。朝交差点で起きた自転車事故を複数の視点で書く。周りの人の視点。いろいろ思うんよね。人がいろいろ思う小説が好きなので、冷たくても笑えなくてもいい。

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    2016年09月26日
  • まともな家の子供はいない

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    違和感…そりゃそうだよね。
    まともかどうかなんて、分からないんだから。
    自分ち基準で判断するんだから。
    そして今日も我が家は緑色のドリンクが
    出てくるのだ。うーん、なんて健康的‼

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    2016年08月21日
  • まともな家の子供はいない

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    同世代だった時にじぶんが見ていた風景が脳内に広がって、読んでいるのが苦しいほどに14歳の苦悩が詰まっている。
    だけど、彼女らの気づきや動きにわたしもちょっと感化されて よーし!と走り出したい気持ちになった。

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    2016年05月04日
  • アレグリアとは仕事はできない

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    2つの短編集。
    アレグリアの方はすぐ壊れる、まったく言うことをきかない複合機アレグリアと主人公との仁義なき戦い。
    うちの複合機も時々腹立つ動きをするので主人公の怒りがすごいよくわかるし面白かった!
    もうひとつは地下鉄に乗り合わせた人物を視点を変えながらただ自らの人生と重ねつつ批評していく話。
    こちらも電車あるある満載で面白かった。
    世間にいるマナーの悪い嫌な人々に本気で死んでくれと願ってるような人が出てくるけど、これもわからなくもない。
    みんなの愚痴を集めたような話で最後はちょっとすっきりで終わった。

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    2016年01月10日
  • 婚礼、葬礼、その他

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     それぞれがはっきりとはしてないけど確かな不満を抱えていて、でもそれを抑えて社会で足並みを揃えて生きているのだけど、ちょっとした拍子にその膿が表面化してしまう怖さ。そういう意味では、実は非常に脆い日々を送っているんだなと思った。他人の地雷がどこにあるのかも分からないし、どれだけ憂鬱でも社会的に生きていくことから簡単に逃れられないから、だからみんな何とか折り合いをつけている、その閉塞感が本当に晴れることはないのだろうけど、悪いことばかりでもないとぼんやり思える津村さんの仕事描写がとても好き。

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    2015年12月24日
  • アレグリアとは仕事はできない

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     読んでいて辛くて泣きそうになった。すごく重々しい描写はされていないのだけど、不平不満を抱えていたり、自分や社会に対して諦めや限界を感じていたり、自分の立場を守るために他人を見下したりしながら生きている登場人物たちがどうしようもなく孤独に感じられたから。でも決して悲観的なだけではなく、特に「地下鉄の叙事詩」のラストではなんとか前向きに生きていけそうだと思うことができて、また違った意味で涙が出そうだった。

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    2015年12月09日
  • アレグリアとは仕事はできない

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    短編が2つ収録。表紙のイメージや語りの軽快さから軽く読める感じの話なのかな?と思って読み進めるけど、意外とそうでもない。

    <アレグリアとは仕事はできない>
     文句を垂れながらも、なぜだかうまくやっていく主人公は、同著者のほかの小説同様健在。ややバイオレンスな傾向はあるかもしれないが。
     バイオレンスなだけに、もう一人の中心人物「トチノ」は主人公とは対照的。蹴りを食らわせるも大慌てで足跡を消す主人公「ミノベ」と、突然ケーブルをぶった斬る「トチノ」。
     「だからどうしてそれを口に出してくれなかったんですか。」(p.89)の言葉はもっともだし、私自身そう心がけているつもりではいる。しかし、「ミノベ

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    2015年09月03日