津村記久子のレビュー一覧

  • つまらない住宅地のすべての家

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    「この地域の人」というカテゴリにはめこまれたのっぺらぼうの人たちに、次々と顔が描かれていくお話。
    だれがだれやねんと混乱し、住宅地図を見返しながら読み進めるうちに、自然と見返さなくてもくっきり人物が浮かび上っていくのがすごい!

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    2025年01月12日
  • サキの忘れ物(新潮文庫)

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    お初の作家。昨年ヴァージニア・ウルフの灯台へを読んだら巻末の解説が津村記久子さんで、その文体と内容のトーンに好感をもった。この方の作品を読みたいと思い手にした次第。まずは短編集から。冷静で世の中にやや批判的なユニークな視線が素敵。

    「サキの忘れ物」
    表題作。高校中退の無気力なアルバイトの主人公女子が働く病院併設のカフェ。いつも来る見舞客の女性。ある日その常連客が文庫本を忘れていき、それがきっかけで読書を始めた主人公。わからないをわかりたいと思うことが、世界との接続を作り人生を拓く。

    「王国」
    幼稚園児が見ている世界。空中には心の友が出現し、膝の傷は王国だ。それを理解できるかどうかは、大人も

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    2025年01月04日
  • 君は永遠にそいつらより若い

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    強烈なデビュー作でした。すごいなあ。
    津村作品を何冊か読んで好きになったのでデビュー作を読んでみました。
    いわゆる重たい事情や哀しい出来事も淡々と語られる津村作品ですが、だからこそ逆に力強さを感じるというか、目に見える赤やオレンジの炎が燃えているのではなく、暗闇に静かに青い焔が揺れているようなイメージが浮かびます。真っ直ぐ刺さります。
    そういうところが好きなんだなあと再認識しました。

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    2025年01月04日
  • つまらない住宅地のすべての家

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    ネタバレ

    とある路地を挟む住宅地に住む様々な家族や単身者。濃密なご近所づきあいがあるわけでは決してなく、かといって全くの無関心でいるというわけでもない。
    ある時、刑務所を脱獄した女性受刑者のニュースが飛び込んでくる。近辺にやってくるかもしれないと警備のため見張りを始めることに。


    読破に時間がかかってしまいました。
    一つ一つのお話は短くて難解ではないけれど、いかんせん登場人物が多過ぎて、尚且つ、誰の話かということを冒頭で明らかにしない書き方のため、これは誰だっけ?どんな人だったっけ?とお話が始まるたびに住宅図や少し前の話に戻る、の繰り返しでした。
    後半はもう諦めてどんどん読み進め、人物がごっちゃになり

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    2024年12月09日
  • ウエストウイング

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    最後の10ページまではいつもの津村節。淡々と淡々と日常を綴る。そして最後に来るじわっとした感動、それも大袈裟じゃない本当に深くて染み入る自然なやつ。ホントすごい作家さんですよ。

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    2024年11月03日
  • サキの忘れ物(新潮文庫)

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    津村さんの短編集。

    高校中退後カフェで働く、自己肯定感の低い千春が、席にサキの短編集を忘れていった女性客との淡いつながりを機に、一歩歩みを進めていく「サキの忘れ物」。
    これは本好きの琴線に触れる作品であることは言を俟たない。

    「ペチュニアフォールを知る二十の名所」「喫茶店の周波数」あたりは、なんとなく森絵都さんの『できない相談』を思い出した。
    そういえば、本書の帯に森さんがコメントを寄せている。

    「行列」も面白い。
    人々が期待しながら、何時間も行列になって待っている。
    その詳細がリアルに描かれていくのだけれど、何の行列かは、最後まで読者には明かされない。
    まあ、カフカなんかと比べれば、不

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    2024年10月20日
  • うどん陣営の受難

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    なんやろう、この可笑しみは。
    これが津村ワールド?
    おもしろかった。タイトルもいいなぁ。

    社内派閥のあれこれ。
    対立する藍井戸氏と黄島氏の二陣営のどちらでもない、第三位候補の緑山氏を推している「緑の会合」。
    って言っても、いつもみんなでずっとうどん食べてるし!
    みんな、どんだけ“うどん”が好きなん!!

    得票数獲得のための対立する陣営の足の引っ張り合い、探り合いが嫌な感じ。そして面倒臭いなぁ…。

    社内政治の攻防とともに何気なく描かれているポンコツなパソコンとの攻防。
    思わず吹いてしまう場面、共感する部分があってクスリとなります。

    投票前の特殊な状況を、おかしみを感じる絶妙なタッチで描かれ

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    2024年10月18日
  • うどん陣営の受難

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    こんな仕事以外のことで面倒臭い(とは言え自分たちの働く環境に関わってくるので面倒臭がってたらいけないというのもまた煩わしい)会社嫌だな、と思いつつ、とにかくうどんが食べたくなりました。

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    2024年10月05日
  • 君は永遠にそいつらより若い

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    酒井順子さんの中年女性ぶっちゃけエッセイを同時に読んでいたため、本作主人公ホリガイ女史の独白が、エッセイと本作との境界を曖昧にして面白かった。著者のデビュー作にして太宰治賞を受賞した作品は、京都在住の不思議な性格の大学4回生女子を取り巻く人間模様が淡々と綴られる。幼少時代のトラウマ、好きな男子の自死、処女喪失への憧憬、児童福祉司を目指す動機が輻輳する主人公。イノギさんの辛い過去と相まって、惹かれあう二人。静かに、しかし大きくうねる波のように進む物語を堪能した。

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    2024年10月02日
  • 苦手から始める作文教室 ──文章が書けたらいいことはある?

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    作文が書けたらいいことがある? 
    作文とは未来の自分に対して書くこと。メモの取り方、テーマの決定、書き出し、いい文章とは、などなど実例を挙げて具体的に述べられている。
    学生を念頭に置いた語り掛けが功を奏し、テーマを体現する構成も素敵。

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    2024年09月29日
  • 苦手から始める作文教室 ──文章が書けたらいいことはある?

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    初読。作者の本は読んだことがないが、結構自分にささる内容だった。特にメモの話と感想文の話。書き留めることは自分自身を知ることにもなる、みたいな部分。読んでよかった。

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    2024年09月23日
  • 浮遊霊ブラジル

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    すごくあたたかな気持ちになります。こんな浮遊霊になってゆらゆらと好きだった人を探すなら、いいかなって思います。わたしは好きだな、こういうあたたかいお話。

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    2024年09月11日
  • 苦手から始める作文教室 ──文章が書けたらいいことはある?

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    著者の津村さんが普段どんなふうに執筆されているのか、その一端を垣間見れる一冊だった。
    ネットで他人の言葉ばかり見て、自分の言葉で文章を綴ることをしなくなったせいか、どんどん自分の感受性が低下していたり、自分の言葉で書いたりすることができなくなっている。まずは自分の言葉でメモするところから始めてみようと思った。

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    2024年08月24日
  • まともな家の子供はいない

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    緩やかに気怠く過ぎる8月の気配に懐かしくなる。でもこの街には澱みのようなもののほうが多い。「宿題の写しを集める」という中学生にとっては致命的な問題でもある1つのミッションが中心に据えられながらも、その周縁にある「大人の事情」はなかなかに複雑かつ子どもにとってはグロテスクですらある。当の本人たちの心情がそれほど詳細に劇的に語られる訳ではないから淡々と読めてしまうけど、やっぱりだいぶしんどい家庭が多かった。セキコの家庭はひとまずは持ち堪えた感があるけど、室田・片山家はどうだろう。

    登場人物の中学生たちの、どこか達観し諦観しているからこそできるような飄々とした振る舞いと、表紙の絵柄とが相まって、ほ

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    2024年08月06日
  • とにかくうちに帰ります

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    私が津村作品を好きなのは、西加奈子さんの言う通り、津村記久子が「取るに足らない、とされていること」に目を向けてくれるからなのだと思う。本当は「どうでもいい」なんて一蹴できることじゃないのに、なんか周りに流されてどうでもいいよね〜と笑えてしまう、気持ちに蓋をしてしまう私の、心の奥に触れるような、そんな表現・着眼点が散りばめられている。私も津村作品のみんなみたいに、軽やかさと真面目さでもって、自分にとって大切だったり重要な瞬間を受け入れたり乗りこなしたりしたいと思う。

    あとは津村作品の女性の飄々としていたり淡々としていたりするところが好き。恋愛に生きてないところも良いな。あとワードセンスがあると

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    2025年03月31日
  • うどん陣営の受難

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    つくづく、こんな小説書けるの津村さんしかいないなぁと思わせる内容。面白かった。ギリギリありそうでなさそうな。小さな思惑やらなんやら渦巻いていてモヤモヤ湯気が立ち込めるよ。うどんイズジャスティス。読んでて楽しかった。

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    2024年05月30日
  • 苦手から始める作文教室 ──文章が書けたらいいことはある?

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    私は「しずかなインターネット」という文章投稿サービスを使っており、日記というか雑記というかそういったものを投稿している
    文章を何かしら毎日書くようにしたいと思っているため、可能な限り毎日投稿するようにしているのだけど
    書くことがねえ!とか書いたけどなんかなーということも多かったのでそういう文章を書くことに関する本を読みたくて色々と探したらこの本にたどりついた
    文章に関する本というと小説などの創作に関する技術のことを書いている本が多く、
    またネットに文章を上げることに関してもアフェリエイトで稼ぐ!みたいなものが多くて、いや、そういう方向性じゃない…っていうものが多かった
    これは作文とあるけれど、

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    2024年05月19日
  • 枕元の本棚

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    普通に過ごしていてなかなか手に取らなそうな本の書評。
    作家が取材以外に、情報収集するための本ってこういう本なのかと垣間見えた気がする。

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    2024年05月08日
  • まともな家の子供はいない

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    父親が«働かない»という状態の主人公のセキコ
    もうすぐ受験なのに、こういう父親がいたらそりゃ、終始むかつくし家以外に居場所を求めてうろつくだろうなと思う
    母親と妹が父親に対してそんなに怒っておらず、家の中に味方がいない気がするのもまたしんどい
    自分が思春期の頃の、何か分からないけどずっと何か思いつめたようにイラついていたのをまざまざと思い出した
    この年代って、何だかずっとあらゆることに怒っているよな
    それにしても、まともってなんだろうとずっと考えながら読んでいた
    出てくる子どもたち、誰も彼も別にいわゆるまともな家は出てこないのだ
    まともっていうのは何というかただの幻想で、何かあるのがフツーの家

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    2024年04月09日
  • 君は永遠にそいつらより若い

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    何かが起こった後の不穏な空気を孕みながら、本題にふれずにダラダラ進んでいく感じが、どこに向かっていくのかわからず、大丈夫かな、と多少不安になりながらも、ポツポツと挟まれるじめっとしたヒントのようなものを頭で繋げながら最後まで一気に読んでしまった。

    絡むエピソードがどれも強烈で、主人公の周りに集中して起こるのはドラマが過ぎるけど、現実ではそれぞれの事件は日々起こっていて、私もまたそんなエピソードを持っていて、この物語の登場人物の1人だ。

    イノギさんの過去の詳細が回想される場面は不意打ちで、胸に重りが乗ったみたいになった。

    自分に対してどこか諦めた態度や、他人への嫉妬心も静観し部外者みたいに

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    2024年04月10日