津村記久子のレビュー一覧

  • まともな家の子供はいない

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    緩やかに気怠く過ぎる8月の気配に懐かしくなる。でもこの街には澱みのようなもののほうが多い。「宿題の写しを集める」という中学生にとっては致命的な問題でもある1つのミッションが中心に据えられながらも、その周縁にある「大人の事情」はなかなかに複雑かつ子どもにとってはグロテスクですらある。当の本人たちの心情がそれほど詳細に劇的に語られる訳ではないから淡々と読めてしまうけど、やっぱりだいぶしんどい家庭が多かった。セキコの家庭はひとまずは持ち堪えた感があるけど、室田・片山家はどうだろう。

    登場人物の中学生たちの、どこか達観し諦観しているからこそできるような飄々とした振る舞いと、表紙の絵柄とが相まって、ほ

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    2024年08月06日
  • とにかくうちに帰ります

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    私が津村作品を好きなのは、西加奈子さんの言う通り、津村記久子が「取るに足らない、とされていること」に目を向けてくれるからなのだと思う。本当は「どうでもいい」なんて一蹴できることじゃないのに、なんか周りに流されてどうでもいいよね〜と笑えてしまう、気持ちに蓋をしてしまう私の、心の奥に触れるような、そんな表現・着眼点が散りばめられている。私も津村作品のみんなみたいに、軽やかさと真面目さでもって、自分にとって大切だったり重要な瞬間を受け入れたり乗りこなしたりしたいと思う。

    あとは津村作品の女性の飄々としていたり淡々としていたりするところが好き。恋愛に生きてないところも良いな。あとワードセンスがあると

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    2025年03月31日
  • うどん陣営の受難

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    つくづく、こんな小説書けるの津村さんしかいないなぁと思わせる内容。面白かった。ギリギリありそうでなさそうな。小さな思惑やらなんやら渦巻いていてモヤモヤ湯気が立ち込めるよ。うどんイズジャスティス。読んでて楽しかった。

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    2024年05月30日
  • 苦手から始める作文教室 ──文章が書けたらいいことはある?

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    私は「しずかなインターネット」という文章投稿サービスを使っており、日記というか雑記というかそういったものを投稿している
    文章を何かしら毎日書くようにしたいと思っているため、可能な限り毎日投稿するようにしているのだけど
    書くことがねえ!とか書いたけどなんかなーということも多かったのでそういう文章を書くことに関する本を読みたくて色々と探したらこの本にたどりついた
    文章に関する本というと小説などの創作に関する技術のことを書いている本が多く、
    またネットに文章を上げることに関してもアフェリエイトで稼ぐ!みたいなものが多くて、いや、そういう方向性じゃない…っていうものが多かった
    これは作文とあるけれど、

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    2024年05月19日
  • 枕元の本棚

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    普通に過ごしていてなかなか手に取らなそうな本の書評。
    作家が取材以外に、情報収集するための本ってこういう本なのかと垣間見えた気がする。

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    2024年05月08日
  • まともな家の子供はいない

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    父親が«働かない»という状態の主人公のセキコ
    もうすぐ受験なのに、こういう父親がいたらそりゃ、終始むかつくし家以外に居場所を求めてうろつくだろうなと思う
    母親と妹が父親に対してそんなに怒っておらず、家の中に味方がいない気がするのもまたしんどい
    自分が思春期の頃の、何か分からないけどずっと何か思いつめたようにイラついていたのをまざまざと思い出した
    この年代って、何だかずっとあらゆることに怒っているよな
    それにしても、まともってなんだろうとずっと考えながら読んでいた
    出てくる子どもたち、誰も彼も別にいわゆるまともな家は出てこないのだ
    まともっていうのは何というかただの幻想で、何かあるのがフツーの家

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    2024年04月09日
  • 君は永遠にそいつらより若い

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    何かが起こった後の不穏な空気を孕みながら、本題にふれずにダラダラ進んでいく感じが、どこに向かっていくのかわからず、大丈夫かな、と多少不安になりながらも、ポツポツと挟まれるじめっとしたヒントのようなものを頭で繋げながら最後まで一気に読んでしまった。

    絡むエピソードがどれも強烈で、主人公の周りに集中して起こるのはドラマが過ぎるけど、現実ではそれぞれの事件は日々起こっていて、私もまたそんなエピソードを持っていて、この物語の登場人物の1人だ。

    イノギさんの過去の詳細が回想される場面は不意打ちで、胸に重りが乗ったみたいになった。

    自分に対してどこか諦めた態度や、他人への嫉妬心も静観し部外者みたいに

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    2024年04月10日
  • 浮遊霊ブラジル

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    ちょっと不器用とか、ちょっと人生うまく立ち回れないとか、そういう人の生活を描くのが抜群だなあ。
    と津村記久子さんを読んだあとはいつも思い、まるっと自分も許された感が広がる。

    「うどん屋のジェンダー、またはコルネさん」
    「地獄」
    「個性」
    が特に好き。


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    2024年03月29日
  • 子どもお悩み相談会 作家7人の迷回答

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    文章には人柄が出るということがわかった。それぞれの作者(何人かの本は読んだことがあるけど)の素性は一切わからないけど、質問に答えていく回答文自体が自己紹介をしているようだった。
    そして、私が普段よく思っていることが、忠実に言語化されていて勝手に爽快な自分を味わった。


    個人的には、「人と人とが関係を結ぶときは、もしかしたら美点によってかもしれない。けれどその関係を深めていくのは、美点ではなく欠点なのではなかろうか。また、私たちが人間くささを感じるのは、どういうわけだか美点ではなく欠点である。」

    「私は今現在『早めに終わらせ、夏休み最後まで何度も見直す派』なのだが、もちろんそんなことは言わな

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    2024年03月18日
  • 二度寝とは、遠くにありて想うもの

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    ◆ 明日などないぜ編みまくれ。

    ◆わたしならあたふたする。掛け値なしに。

    ◆ 「パイクエイジ」をライブで聴ける日が来るとは思っていなかった。自分は、女であれ男であれ、どんな主人公の小説を書いている時にも、必ずあのやりきれなさと怒りを通過してきた人間について書いている、と思う。「自分には助けられなかった」ことが疾走していく。それとどうしても折り合いが付けられないから、ただもう歌うしかない。その様子には、個人的な二者関係を超えた、人間と世界との軋轢が凝縮されている。そういう視点を提示してくれる表現はとても少ない。

    ◆ 時計は四時半を指していた。誰かが、早朝と真夜中の間のこの時間に、わたしをよ

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    2024年03月16日
  • やりたいことは二度寝だけ

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    『ポトスライムの舟』で知った津村記久子さんのエッセイ集
    独特の視点と語り口調で、ふとした瞬間に手に取りたくなる作品
    特にお気に入りなのは
    「いっそ妖精ということで」
    →日常生活でたまに出会うびっくりするような人や現象はもうそういう妖精がいるんだということにしとこ?という大胆な諦め方が気持ちいいし、実際そう思うといろいろなことを流せるように思う

    「何者なのだアレックス【「毎日スペイン語 エリのドキドキ☆スペイン留学」の感想】」
    →語学の勉強あるあるのその設定無理じゃない?という会話例へのツッコミ集

    「数珠のようなものと弟」
    →津村記久子さんの弟さんとのお話。弟さんと弟さんの勤め先の入居者さん

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    2024年03月04日
  • サキの忘れ物(新潮文庫)

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    いやぁ、またまた津村ワールド 楽しめた
    まったくつながらない短編9つ。

    たやすくない日常にところどころやってくる、人からの小さな毒を払いつつ、聞こえなかったふりをしたり、流しながら、本当に小さなあたたかさを見つけたり、出会ったりの物語。どうも見つからないのもある(笑)

    表題の「サキの忘れ物」が一番よかった。

    「喫茶店の周波数」はタイトルが秀逸。ちょっと
    ”むらさきのスカートの女”の世界も思い出させる。
    「とにかくうちに帰ります」の懐かしの人を連想させる登場人物もちょろっと出てきて、にやにやしてしまった。
    「河川敷のガゼル」の少年も良かったなあ。まるで、理想的な親みたいだった。

    他にも「

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    2024年10月09日
  • うどん陣営の受難

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    うどんが食べたくなる。うどんのための小説ではないと思うが、著者が描く職場の雰囲気、仕事への向き合い方、日々の楽しみが好きだ。少しSFのようなここではないどこかの世界観も好きなのかも。

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    2024年02月21日
  • 苦手から始める作文教室 ──文章が書けたらいいことはある?

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    数々の賞を受賞されている著者が記すエッセイテイストの作文指南書。フワリとした雰囲気の中に知を盛り込み、肩肘張らずに気楽に日常に作文を取り込むといいことあるよ、楽しいよと教示してくれる内容でした。
    何か書いてみようと思わせてくれる一冊です。

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    2024年02月09日
  • うどん陣営の受難

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    短くて1時間もかからずに読めてしまう、くだらなくも真剣な社内派閥問題をつづった物語。

    シニカルでそっと笑えて、けれどさりげなく働く人々の打算や本音も練り込んであるのは、作者のお仕事小説ならでは。初期の「アレグリアとは仕事ができない」や「ワーカーズダイジェスト」の風味を懐かしく漂わせつつ、うどんさながらにつるっとすすり上げるように滑らかに楽しめました。

    うどんをキーアイテムに持ってきたり、陣営を色で判別したり、やりすぎるとコメディになりすぎる要素をちりばめていても、そこは会社のお仕事模様の描写が巧い作者ならではで、変に浮いていないのはさすがです。パソコンの買い替えに関してのエピソード回りなん

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    2024年02月01日
  • ウエストウイング

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    ネタバレ

    老朽化した雑居ビルを舞台に、そこに通う人々のあれこれを書いた話だけれど、こういうテーマで想像する小説とは手触りが違った。
    トラブルが起きてもあくまでも地味で、湧き起こる興奮もなく、主人公三名はいつも頭の中で静かに考えるタイプだし、盛り上がりそうな場面でも作者は決して盛り上げる様子がない。最後まで何もない小説と言ったら語弊があるかもしれないけれど、あえて平静に描かれる日常は自分の日常にも近くて、無理なく馴染んでくる。これはとても高度なことが行われている気がする。
    ヒロシ視点の時は特に、ハッとするようなことが書いてあり、彼に教わることが沢山あった。まだ子どもだけれど大人の部分があって、それは両親が

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    2023年12月23日
  • うどん陣営の受難

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    こんな会社は嫌だ。会社の代表者を投票で決める社内選挙のドタバタ劇。「どうでもええわい」と思える非常にミクロな話をあたかもマクロみたいに書く津村さんの手腕は流石だが、私、この会社、耐えられなーい!オンとオフはわけたいし、仕事以外のことで選挙活動とか会合とか煩わしいのは勘弁してほしい。私もうどんは大好きだけど、皆で事あるごとにうどん食べてるのもよく考えたらシュールだ。その他ちょっとしたディテールに心がざわつく。「これ手帳?」のような薄さと小ささの本なのになかなかの破壊力を私にもたらした。

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    2025年03月26日
  • 君は永遠にそいつらより若い

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    おかしみの中に悲しみのある、血の通ったユーモアだ
    題がとても好きです

    大学生という、羞恥をすてて、無意識で過ごしたほうが勝ち、みたいな時期をこうも自意識ばちばちに過ごしてしまっては、それはポチョムキンにもなるよなあ、と覚えがあります

    一度読んだだけではなんともまとめられないけど、とても好きな感じでした
    あと何度か読む

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    2023年11月11日
  • 君は永遠にそいつらより若い

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    他の方も書かれているが、タイトルが圧倒的に素晴らしい。だけど、タイトルの意味はわからぬままダラダラと読み進める。
    大学時代のダラダラとしたやるせない日々の物語りはなかなか面白い。本題はなかなか提示されない。
    「雨のように降ってくるトラブルを、僕たちは夢中になって拾い集め、ポケットに詰め込んだ。」
    たまたま並行して読んでる関係のない小説の一節だが、そんな無意味にも見えるけど愛おしい日々。だけどそんな日々のトラブルの中に、雷のような悪意が潜んでいた。
    かつてはやり過ごすしかなかった理不尽な悪意に対し、今でも解決出来るかは判らないけれど、それでも前向きに進んでいく、そんな主人公に寄り添いたくなる小説

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    2023年10月22日
  • 苦手から始める作文教室 ──文章が書けたらいいことはある?

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    楽しく読めた。文章を書く事や本を読む事について、日常の中で力まずに取り組みたい。まず、メモを取ろう。

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    2023年09月19日