津村記久子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。長いけど無駄がなく、ちゃんと繋がっているから最後まで飽きない。その分一気に読むにはひとつひとつのボリュームが多いのである程度の量を数日かけて読むのがちょうどいい。津村さん十八番のお仕事小説でもそうだけど、実際体験していなくてもこういうことってあるよなあ、と、説得力のある話。主人公の「このコミュニティでは波風たたないように空気を読みつつやっていこう、できれば楽しくやろう」というスタンスに共感できる。中学生が主人公ながら、文化祭なども行われながら、学園小説感(恋と友情のスクールライフ!!という熱量)がなくてよかった。いまさら青春を求めてはいないので…。
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Posted by ブクログ
面白かったです。すごくどうでもいい事ばかりですけど、とても落ち着きます、読んでいて。
こんなどうでもいい事で良いんだ…ってちょっと気力が戻る感じです。非難の言葉ばかりが目に付く日々に疲れるので、津村さんのエッセイ心地良いです。
どうでもいい事だけど、でも心に残らないかというとそうではないのですごいです。小説もエッセイも絶妙だなぁ。
『「女が働くということ」についての原稿』の、「わたしには、わたしが稼いだお金で、こうやって遊べてて、それが大事やと思う」という津村さんのご友人の言葉良かったです。
高校野球のお話と、数珠のお話も好きでした。
「今年も、劇的な成長など期待せずにやっていこう。」 -
Posted by ブクログ
新学期、掲示板で何組かを確認するシーンから始まる。とても読みやすい。中3男子の内面がよくわかる。ヒロシから見た母の姿をみていると、思春期男児をもつ母には大変参考になる一冊。家庭の事情、離婚、受験、塾、SNSの時代っ子、いじめ、様々な事情が盛り込まれ、コンビニもよく登場する。現代の物語。運動会や文化祭などイベント事も経て卒業するまでの1年間が語られている。学力こそそこそこだが、ヒロシはとてもしっかりした考えの少年だと思う。『たぶんまた誰かが自分を見つけて、自分も誰かを見つける。すべては漂っている。』と言う言葉がすっと入ってきた。こうやって、人との関係を作り学生時代には大切な友達をもつ、誰もが通
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Posted by ブクログ
同僚が結婚式を挙げた。
わたしは出席していない。
友人が亡くなって一年が経った。
わたしは彼女に会いに、地元に帰れていない。
結婚式は、事前に出席者の予定を空けておくように告知がなされる。その時点で、最重要案件である。一方で、葬儀は突然告知される。当然だが、突如として最重要案件となる。
では、そんな結婚式と葬儀が重なった場合。あなたならどうするか。
この作品では、主人公ヨシノがその重なった最重要案件に立ち向かっていくお話。
まるで、そんな日常を一挙手一投足で描いたエッセイのような作品でした。
本作品でも、津村さん持ち前のユーモアが冴えわたっている。そして、主人公の正義感の強さとなめらかに -
Posted by ブクログ
表題作の『浮遊霊ブラジル』の他、『給水塔と亀』『運命』『地獄』『個性』などを収録した短編集。
この中で私の一推しは何と言っても『地獄』です。
この短編集全体で言うと、すごく好きなのとそうでもないのがあったので星4評価ですが、『地獄』は満星!面白くてずっと笑いながら読みました。
生前、ドラマや映画、ドキュメンタリーやスポーツなど、虚実の物語を消費しすぎた罪で物語消費しすぎ地獄に堕ちた主人公。同じバス事故で死んで喋り過ぎ地獄に堕ちた友人と、担当の鬼についてLINEでやりとりしたり、どこか暢気な地獄での暮らし。
隣の席の喋り好きの女同士の会話を、ずっと聞いているかのような面白さ。
コロナでなか