津村記久子のレビュー一覧

  • 枕元の本棚

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    ネタバレ

    大阪の亜笠不文律で購入。個人経営の小さな本屋さんで津村記久子さんの本があると、「わかってるなぁ、この本屋好きだわ。」と小さく思って嬉しくなる。

    本好きの次男とお邪魔したその日は、未読だったこの本を買って帰った。

    津村記久子さんが読んだいろんな本が紹介されている本。

    とにかくバラエティに富んでいて、いろんなそして、個性的な本を読むんだなぁ〜と楽しく最後まで読んだ。

    特に、ある本の書評が、私が津村さんの小説に対して書いた感想と物凄く似ているところがあり、なんだか気持ちが通じたような、読み方、私間違ってなかったんですね!!というような、そんな気持ちで胸がいっぱいになった。

    p46 「生活図鑑」の紹介
    生活していることは、こんなにも様々な要素で構成されていて、そして奥深いのだ。そのことを、余計な美化や力みを配して、ただ「人はこういう行為をしえ生きている」と詳細に説明してみせることで気づかせる。そこにはある種の美しさすらある。

    もう一つ心に残ったのは暮らしのヒント集という本の紹介で出てきた言葉:

    p51
    「さみしさや切なさはいいものです。それは向き合ったりたたかうものでなく、抱きしめてあげましょう」。

    この文章に、津村さんは「この本の誠実さが集約されている・・・中略・・・抱きしめるといったってどうしたらいいのかはわからないのだが、至らない欠けた自分を、問い詰めるのでも行動せよと煽るのでもなく、肯定せよとこの項目は言っている。大きく「救う」だとか「変える」のではなく、「ましにする」こと。

    と書いている。

    この人のこういうスタンスが本当に好きで、救われている。しんどいなと思いながらも、静かに受け止める芯の強さというか。その態度からこれでもいいかと思う、悪くないよねと感じる感性をお裾分けしてもらっているような気持ちになる。

    読んでみたいな、と思う本が本当にたくさんあった。少しずつ探してみようと思う。

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    2025年12月13日
  • 現代生活独習ノート

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    題通り、
    現代の生活の中にある
    ちょっとした違和感やしこりのようなものを
    どこかの世界線や場面に仮託していく短編集。

    最近よくみる形式として、
    やっぱりどこかホラーじみた読み味が多め。

    個人的に印象により残ったのは
    『牢名主』『粗食インスタグラム』

    粗食インスタグラムは、
    普通に現代の生活に取り入れても有用そう。

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    2025年12月10日
  • 浮遊霊ブラジル

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    タイトルで面白そうと思い購入。津村さんの本はエッセイは読んだ事あるけど小説は初。

    7編入った短編集。世界観とか雰囲気が独特。癖が強いわけではなく、淡々としている感じ。この雰囲気が好きかどうかで好みが分かれそう。私は結構好み。楽しめました。

    特に好きだったのは、「アイトール・ベラスコの新しい妻」「地獄」かな。アイトールは読んでいて気持ちがザワザワしました。タイトルの段階では内容がこう転がるとは予想できなかった。終わり方が好き。
    地獄の方は世界観が斬新。この地獄嫌だわ〜。物語消費しすぎ地獄最悪。本の最後数ページ破かれてるの最悪。

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    2025年12月09日
  • 浮遊霊ブラジル

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    津村記久子さんの描く世界が好きだなと思った。
    主人公は定年退職したおじさんだったり、疲れたOLだったり、なんと幽霊だったりする。
    おじさんの悲哀ではなく、しみじみとした情感を描くところだったり、普通のOLが人気店の店主にキレる爽快さがあったり、幽霊が人に乗り移ってブラジルまで行くけれど、最後は無事に成仏する安堵さがあったり、愉快な展開をする世界がおもしろかった。

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    2025年11月28日
  • アレグリアとは仕事はできない

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    表題作「アレグリア…」では飄々と、「地下鉄の叙事詩」ではイライラと、毒舌を連ねながら話は進んでいく。そして最後の最後に、このどうしようもない世界の片隅に生じた女たちの苦い連帯が言葉少なに描き出される。

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    2025年11月25日
  • やりたいことは二度寝だけ

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    会社員と小説家の、二足のわらじ生活が垣間見えるエッセイ。
    わざとらしい癒やしや丁寧さはなく、かといって無頼だったり爆笑するのでもなく、淡々とというのでもない。非常になんというか親しみにみちた作家さん。ピクサーの事を書いた文章に、創作に対する真摯さがチラ見えしてよかった。

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    2025年11月20日
  • 浮遊霊ブラジル

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    津村さんの発想はいつも面白い。

    本作は人が生まれる前〜生きている間〜死後に渡るまでの、あらゆる世界を描いた短編集。

    今の私のお気に入りは「運命」。主人公はいつ何時でも場所を訊かれる人。「〇〇ってどこですか?」と、受験の日も、初めて訪れた場所でも、海外でも、あんな時やこんな場所でも…思わず、えぇー!!と驚いてクスッと笑わずにはいられない。

    本作には、変わった人も性格が悪い人も愛おしい人も出てくるが、皆がそのまま並列に扱われていることが心地よかった。酷い人だから特別貶めることも、良い人だから特別幸運に恵まれることもない。
    これまで読んだ津村作品もそうだった気がする。

    わりかし薄い本に七篇が詰め込まれ、それぞれの登場人物も多い。いろんな国籍のいろんな人や人ではないものたちが、出てきては通り過ぎていく。
    にも関わらず、読み手がさほど混乱せずに物語にスッと入り込めるのは津村さんのさすがの手腕。

    ストーリーを忘れた頃にまた読み返すため、手元に置いておきたい一冊。 

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    2025年11月19日
  • 現代生活独習ノート

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    私の好きな津村さん(とか言ってあまり読んだことない。でも好きな作家)。
    ぶっ飛びすぎず、でもなんだか不思議な空間になっている。読み終えて、心が軽くなるような、ならないような。地に足がついてるような、いや少し浮いているような。

    「台所の停戦」「牢名主」「イン・ザ・シティ」など、悪人とまで言えないかもしれないが確実に自分を削り取ってくる相手、の解像度が高く描かれている。けれど全編通して共通するのは優しさだった。
    なんかね、ユーモアが優しい。津村さんの書く職場の話が好きだ。また、主人公たちが低体温だが人間臭くて愛しい。お友達になりたい。

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    2025年11月12日
  • 苦手から始める作文教室 ──文章が書けたらいいことはある?

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    文章を書くことについて、わかりやすく優しい語り口で書かれていて、読みやすかった。あと、自分の中で長年言語化できていなかった「なんで映画やマンガより本がいいのか?」について「それだ!!」という回答をゲットできた。

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    2025年11月09日
  • サキの忘れ物(新潮文庫)

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    独特な世界観で語られる、よくある日常とちょっとした非日常。そして非日常の出来事をきっかけに日常が変わる。そんな物語の数々が集まった短編集。息が詰まりそうな人生における転換点は思いがけないところに転がっているものだと思わせてくれる。

    どの物語もからりとした雰囲気で淡々と進んでいくが、そんな中でも親しみやすく不思議と惹き込まれた。

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    2025年11月09日
  • まともな家の子供はいない

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    家に居場所のない中学生女子を中心にした話。
    面白く読みました。セキコとナガヨシはなんだかちびまる子がそのまま中学生になったような感じで小気味良くもあり。ところどころパンチラインというか、ハッと心地よいセンテンスが挟まれるのが文章としてよかったです。

    「サバイブ」はもう少し続きを読みたかった感じもありました。

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    2025年11月03日
  • 現代生活独習ノート

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    ネタバレ

    津村さんの粒のそろった短編集。特筆すべき事件も起こらず日々の生活の側面に若干の奇妙さを交えて淡々と進んでいく物語群。津村さんらしい文章に満ち溢れてて読んでて飽きがこない。

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    2025年10月28日
  • うどん陣営の受難

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    津村さんは安定で好き。
    善良で常識的な人たちの、たいしてドラマティックなことも起こらない日々。
    だけど当事者たちにとってはそこそこたいへんで、心の浮き沈みがあったりする。

    それにしてもこの本、文庫本より少し大きいサイズでカバーもなく、紙もざらざらで、自費出版の同人誌みたいな変わった作り。
    なのでほんとに同人誌読んでるみたいな気になってきて、なんかこう、編集者が間に入らず、作者が自由に書いたものがダイレクトに出てきてるような感じがして(実際はもちろん編集者ついてるんだろうけど)、そのラフさもちょっと良かったです。

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    2025年10月28日
  • やりたいことは二度寝だけ

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    あとがきにあった、「どうでもいいことを誰かと話したい時に読んでほしい」というのがしっくり来る、脱力系等身大エッセイ
    甲子園の高校球児たちの神聖さの話よかったなあ
    メモは裏紙に取るのがちょうどいいってところと、今までみたいに気ままに過ごせればいいのに、30歳を超えてくるとその維持も難しいていうのに激しく頷いた

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    2025年10月27日
  • つまらない住宅地のすべての家

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    群像劇のため登場人物がよくわからなくなりがちだが、冒頭に宅地構成と人物の説明があり読みやすかった。

    登場人物はみなどこにでもいそうだけどちょっと癖があり、でもその考え方、感情もわかるなと思い違和感なく読めた。

    著者の作品は初めてだったが他にも読みたいと思った。

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    2025年10月22日
  • この世にたやすい仕事はない

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    この世にたやすい仕事はないのだなあ…。働かないといきてけないもんなあ。それにしても味のある職場ばかりで、読んでいて楽しかったです。ポスターを貼る仕事って、そんなのある?と思いましたが、妙な緊張感もとても良い。

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    2025年10月22日
  • アレグリアとは仕事はできない

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    物事をこんな角度で見ている人がいて、でも頑張って生きているんだなあと励まされる。キャラそれぞれ、周りの人から見たら怪訝に思うことも、本人目線で見ると共感できてしまう。自分の鬱憤も自分らしさと思って拒絶しないようにしたい。

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    2025年10月21日
  • 現代生活独習ノート

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    短編集。好きだ、この方の、地に足のついたユーモア。淡々とした語り口のまま気づくとふわっとおかしな事が起きている。本作はいずれの話も、ものすごくニッチな設定下での人間の心理を細かく描いていて、それが面白おかしい。

    レコーダー定置網漁
    まず、帯の情報番組を自動録画するレコーダーを定置網になぞらえて、録画される番組の情報を魚にとらえるところがユニーク。メンタルをやられて家で何をする気も起きない主人公が、毎日ひとつだけ定置網漁にかかる情報を摂取し、やがてその情報に誘発されるように日常の活動ができるようになる話。

    台所の停戦
    女3代の家の、冷蔵庫でのテリトリー争い。親の悪いところを引き継ぎたくないと、娘だった時分を思い返しながら決心する母親。娘にイライラを小出しにしちゃう母親の心の描写がリアルで面白い。

    現代生活手帖
    近未来のパラレルワールド的な世界観。星新一のショートショートを彷彿とさせる内容。くすっと面白いし、クリエイティブ。

    牢名主
    モラハラ・メンヘラ、洗脳者のような人(A群)に付け込まれつきまとわれる関係性にある人(B群)たちのコミュニティ。脱A群を目指すも、A群のつきまといを「ソフトランディング」するすべを教えると言っているリーダーがなんだか胡散臭い。架空の現象?症状?なのだろうけれども人間関係や会話が現実にありえそう。

    粗食インスタグラム
    全く映えない食事写真をインスタで見ると癒されるという主人公の女。自らの粗食もアップするようになる。発想が面白い。

    フェリシティの面接
    急にアガサ・クリスティみたいな短編。

    メダカと猫と密室
    休日出勤したのに身勝手な同僚のせいで3時間の待ち時間が発生した、というシチュエーションで始まる人間ドラマ(?)。シチュエーションコメディとか、コントドラマみたい。登場人物たちの駆け引きが面白い。

    イン・ザ・シティ
    中学生たちの終わらない日々。どんな青春小説よりも青春ぽい鈍い輝き。けだるさと無気力さ、妙なことにハマってこだわるところ、家族について薄っすら居心地の悪さや許せなさを抱えているところ、近くにいる同級生の大人な面を発見してドッキリするところ、素直な感想を持つところ。中学生だなぁ。「自分たちにはいくらでも時間がある。だからきっと通り過ぎていくものたちのどれかは、手になじんで輝いてくれるだろう」。永遠の未来が目の前にある。

    あとがきも解説もなくスパッと終わる気持ちが良い短編集だった。

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    2025年10月16日
  • 浮遊霊ブラジル

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    じわじわ面白い短編集。
    ニヤッと笑える話があったり、居心地の悪い気分になったり、色んな気持ちが味わえて、背表紙の薄さの割にお得感(?)があった。
    「地獄」が特に好き。この話だけでも読んで欲しい。面白いから!!

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    2025年10月10日
  • この世にたやすい仕事はない

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    現実にはあり得なさそうで、でもやっぱり私が知らないだけであるのかもしれない仕事の話が面白かった。奇妙な世界観、不思議な空気感に包まれているお話。
    難しい仕事にあえて取り掛かるのも生きているということ、確かにその通りだけど逃げ出したくなる時もある。その時々で自分なりに目の前の仕事と向き合ってやっていくしかないのだろうな、と思った。

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    2025年10月09日