津村記久子のレビュー一覧

  • やりたいことは二度寝だけ

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    読んでいると、普段自分でも考えるような何気ない点に共感を覚え、それで終わらせず深く掘り下げていった先に、なるほどなぁという新しい発見を見せてもらうことができる。
    向田邦子さんもそうだが、同じことに気付いたとしても、それで終わりにせず思考を巡らせ、何かと結びつけたり、共通点や差異を見つけ出したりでき、そしてそれを面白い文章にすることができることを文才と呼ぶのかなぁと、いつもより少しだけ考えてみるきっかけを作ってくれるエッセイでした。

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    2025年12月11日
  • サキの忘れ物(新潮文庫)

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    〔サキの忘れもの〕一冊のサキが示した他人とのいびつではないつながり方を。
    〔王国〕幼子は彼女だけの王国を持つ。
    〔ペチュニアフォールを知る二十の名所〕町の名はペチュニアフォールその過去は二十地点を巡ればわかる。
    〔喫茶店の周波数〕居合わせた客のおしゃべりたまたまに周波数合い聞こえてくるが。
    〔Sさんの再訪〕日記帳読み返したら出てくるはみんなSさん誰が誰やら。
    〔行列〕あのあれをタダで見られる行列は十二時間の人間模様。
    〔河川敷のガゼル〕河川敷ある日ガゼルが迷い来て。
    〔真夜中をさまようゲームブック〕雨の夜行くあてなくしひたすらに町をさまようゲームブックで。
    〔隣のビル〕入り口がどこかわからぬ謎

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    2025年12月06日
  • つまらない住宅地のすべての家

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    なんていうか、地味な設定なんだけど、ニュースの背景ってこういうことかも。
    行動した昭子、未遂の望と三橋夫婦。
    彼氏が転がり込んできてないから暴力は振るわれてないものの、育児放棄状態の矢島家。
    お互いに近所の住民と付き合いがないけど、それぞれ抱えてる問題がある。
    今の日本の国民の、普通の家の普通の人間が、犯罪者になり得る現実が地味に怖く、少しの交流で人間は変われることの凄さもあり、娯楽本のようた読後スッキリ感はないけど面白い。

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    2025年11月30日
  • この世にたやすい仕事はない

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    『ポストライムの舟』が大好きなので、ハードル上げ過ぎて読んでしまってこの星数ですが、読み終わるのが寂しくなる作品でした。
    第一話は『幽霊たち』(P・オースター)っぽさが強く、全体として「監視・監視される」感じが強い。
    でもおそらくは著者が言いたいことは、「生きづらさ」のような「働きづらさ」だと思う。

    ・好感は持てる。でもその下には何か、とんでもない頑なさが潜んでいるのではないかと思わせる。
    ・藤子さんの首の角度と、黒目がちな目の輝きは、完全に私の精神的な硬直を見透かしているようだった。
    ・私が感じていた、あの老婦人の厄介さに関して、おそらくはそういう負の要素をまったく受け取らないであろう社長

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    2025年11月29日
  • やりなおし世界文学(新潮文庫)

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    どの短編も不思議な感じがある。印象に残ったのは、「粗食インスタグラム」という短編の中でのオバマ元大統領に関するエピソード。 判断する手間を省く為、スーツ(あるいはシャツ)をブルーかグレーと決めていたとのこと。 服選びに迷う時間も惜しかったんでしょうね。
    追記 本当にごめんなさい。コメントすべき著書を間違えてしまいました。同じ著者の「現代生活独習ノート」です。

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    2025年11月24日
  • サキの忘れ物(新潮文庫)

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    津村記久子は社会人が読んで首がもげそうになるほど解像度の高い「何気ないイラつく感じ」を文章にするのがうまい。生きていれば大なり小なり理不尽と思うことはあるわけで、なんで?おかしいのはどっち?と。無神経だったり、厚かましさだったり、絶対、そっちのほうが生きるのが楽だろうなと思いながらも、そっちにはいけない、いきたくない。つまらない美学かもしれないけれど、それが矜持。そういうちょっと偏屈さを感じるけどいたって普通の人の物語が収められている。おすすめはガゼル。お気に入りは隣のビル。

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    2025年11月20日
  • やりなおし世界文学(新潮文庫)

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    レビュー3人目にして評価は2.9、単行本は3.8

    高価な単行本は「津村記久子」で売れ、安価な文庫本は「文学案内」で手に取られたのかと短絡的に察してしまうが、そうなのであれば評価の差は妥当である

    津村記久子が好き、さらには彼女と同世代で同じ属性の文学好きに最も刺さる仕様だと思う

    好きな本の紹介ではなく、仕事として読んだ本の感想を綴っているようだ

    それぞれテンションの違いや言葉遣いによって書いた時の筆の進み具合が察せられ、違った楽しみ方をしてしまったかもしれないし狙い通りに読めたのかもしれない

    紹介されているのは未読作品だらけであったが、読んでみようと思ったものは一つもない。読んだつもり

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    2025年11月24日
  • やりなおし世界文学(新潮文庫)

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    聞いたことはあるけど読んだことがない、だけどいつか読みたい、そんな古典的名作92作を作者が語るかのように綴る文学案内。

    本はたくさん読むけど、いわゆる古典と呼ばれるものはほとんど読んでないな〜。ここに掲載された92作も、恥ずかしながらタイトルすら知らないものが多々あるし、タイトルだけは知っているけど映画とかを見て読んだ気になっているものも。

    津村さんの普段使いの言葉で語られる解説がまた面白く、これも読みたい、あれも読みたいってなるんだけど、こんなに深く読み込めなくて、結局わかんね〜で終わりそうな自分が情けない。

    とりあえず3作品だけはチェックして、読むことにしました。そのうちね。

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    2025年11月17日
  • 現代生活独習ノート

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    8編の短編集。どれも楽しく読めました。

    前半3遍は、作中人物がエッセイを書いているような不思議な作風。ちょっと長めのショートショート?って感じでもあります。
    4編目以降は小説感が出てきます。
    気に入ったのは5編目「粗食インスタグラム」と7編目「メダカと猫と密室」。どちらもお仕事小説。津村紀久子さんのお仕事小説は共感する事や気付かされる事が多く、“同志“を見つけたようで嬉しくなります。私も仕事相手については余計な情報入れたくないし、仕事がスムーズであれば善人か悪人か問わないです。でもついつい感情が働いちゃいますよね。
    ラストは「イン・ザ・シティ」。The Jamの名曲ですね。読み終わった後すぐ

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    2025年11月15日
  • やりなおし世界文学(新潮文庫)

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    新しい扉を開く、違う世界線に出会うきっかけになる本…ではない。すでに新しい扉を開けた人が更に新しい扉を開ける手助けになる本である。定期的に開くことをお勧めする。

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    2025年11月15日
  • ポトスライムの舟

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    20代後半って世界旅行できるくらいの金があるべきなのかしらと自分を省みて侘しくなった。何にお金を使ってきたのか、何も考えずに28歳まで来てしまった。ピースボートは気になる。

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    2025年11月06日
  • とにかくうちに帰ります

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    なんてことはないことが題材で、淡々と話が過ぎていく。だけど何故か気になる話ばかりでした。
    登場人物たちの「こだわり」が感じられたからなのかなと思います。

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    2025年11月02日
  • つまらない住宅地のすべての家

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    ネタバレ

    傍から見ると順風満帆そうなあの家も、実は嵐の中にいたりして。

    自分のことに精一杯でリアルな繋がりを面倒くさいと思ってしまう世の中だけど、そのハードルを越えて対話することで知れる一面もある。往々にして私たちは悪い部分だけが脳裏に残りがちだけど、良い一面を知れるのはやっぱ対話だよね。

    全く知らないのも怖いし、知られすぎるのもいや。生活の大部分を占めるご近所は、特に適度な距離感が大事なのかも。 

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    2025年10月11日
  • やりたいことは二度寝だけ

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    アッパッパーってなんだよ、なにかわからんけどくたびれてることはわかる!!!w
    とおもって読み進めてたらチュニック?の別名らしい。言い得て妙な造語だ、私も使っていくぞと思ってたので勝手に悲しい

    最後の解説?がよかった
    なんでもない話っていい。するのも聞くのも。
    いや、嘘かも。オチ、いや、じゃなくても緩急ほしいかも。

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    2025年10月10日
  • 現代生活独習ノート

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    人生は選択の連続だ。しかも、今の世では選択しなかった人生を、簡単に覗き見ることができるのである。比べていいことも、ほとんどない。サンプルは上から下まで幾らでもあるのだから。とても疲れる。
    では、良いとされていることをすればよいのかというと、これまた大変である。憧れの生活スタイルもたくさん明示される。しかし、正しいことをし続けるのは、とてもエネルギーが必要になる。
    そうなると正しい方を選び、行い続ける、というのはとてもとても疲れるということになる。だから、しょぼくてもしけててもつまらなくても、これでいいというのはひとつの解決法だろう。「台所の停戦」の私や、「牢名主」の鶴丸が心に決めたように、他人

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    2025年10月07日
  • 現代生活独習ノート

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    『群像』に掲載された8短編集。レコーダー定置網漁、台所の停戦、現代生活手帖、牢名主、粗食インスタグラム、フェリシティの面接、メダカと猫と密室、イン・ザ・シティ。

    普通に仕事があって、仕事や対人関係やSNSに疲れて、料理の気力もない、でもそれなりに頑張る姿に共感します。端々に、なるほど、そう考えてもいいんですかという応援。

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    2025年10月06日
  • とにかくうちに帰ります

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    「職場の作法」 では田上さんのお作法がなかなか厳しく、でも痛快。「とにかくうちに帰ります」はそれぞれ事情は違っても、やっぱりお家が一番だよねって思いながら、帰る家があることに改めて幸せを感じた。見知らぬ人同士の交錯が良かった。

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    2025年10月05日
  • 浮遊霊ブラジル

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    どの作品も独特の視点や表現で面白いうえに気づかされることが多かった。
    そのなかでも表題作の「浮遊霊ブラジル」の幽霊の在り方が秀逸。怖いや割と万能に描かれがちな幽霊にあんなふうな特性をもたれるなんて今までみたことがなく、ラストも清々しくてよい。

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    2025年09月26日
  • アレグリアとは仕事はできない

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    ただただ、それぞれの理不尽に対して怒りをぶちまける。
    その様子を綴った物語。
    怒りにかられたとき、思考は支離滅裂になり、とめどなく負の感情が溢れてきて、その奔流に押し流されそうになる。
    それを文章にするとこうなる、という一つの形。
    正直、好きなお話、読んでよかったというものではなかったけど、こういうこともあるよなあ、となんとなく思った。
    作者が、会社勤めをしているとき、その通勤をしていたとき、辞めようと思ったときなどの負の感情を、作品にしたのかな。

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    2025年09月25日
  • 婚礼、葬礼、その他

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    ヨシノの行動や言動にクスッと、そしてちょっとホロリ。ドタバタして、空腹だしで感極まった感じなのかな。「旅行より強いのが結婚式でそれより強いのがお通夜」らしいです。

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    2025年09月10日