津村記久子のレビュー一覧

  • 君は永遠にそいつらより若い

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    大学を卒業して四半世紀が経とうとしている。たった4年間なのか4年間もなのか、あの時を過ごした同級生や教授や後輩や先輩は厳密に言ったら4年間に満たないつきあいもあるんだけど、濃密だったなと思い出す。自意識過剰っぷりだったり、自尊心やら屁理屈やらごたまぜになったあの感性を「若さ」でくくるのは乱暴かもしれないけれど、会話の端々に似たようなやりとりしたことあったなと懐かしいような苦々しいような思いがこみあげてくるのは、作者と同世代だからなのか。大学生というものがそういうものだからなのか。私には判断がつかない。

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    2022年09月23日
  • 二度寝とは、遠くにありて想うもの

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    前作『やりたいことは二度寝だけ』よりもさらに淡々とした印象。前作の方がくだらなくて面白い。展覧会を取材した章は飄々としていて良い。

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    2022年09月13日
  • 浮遊霊ブラジル

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    「私の落ちた地獄は、物語消費しすぎ地獄ということになると思う。飽食の罪というのがあるけれども、私は、飽・物語の罪で地獄にいるようだ。」
    一緒に交通事故で死んでしまった友達と地獄でこなすノルマについて愚痴を言い合う、何歳でもどこにいてもなぜか道を尋ねられる、死ぬ直前に決まっていた海外旅行に未練がのこって幽霊になってしまう、などなど。ヘンテコでユーモラスな短篇集。力の抜け具合がとてもいいです

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    2022年09月03日
  • まともな家の子供はいない

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    強気なタイトルに惹かれて手にとりました。

    私の両親、とりわけ父親もまともではなく、家庭という小さな社会がとても居心地の悪い場所だったので、主人公に10代の自分を重ね、「普通の家庭の子」をうらやましく、時に妬ましく思う、そんな自分さえもあの頃は嫌だったことを思い出しました。

    家族の事って周りに相談し辛いので、この本を通してあえて言わないけど同じように悩んでいる人がいる。と気付いたり思えることで気持ちが軽くなるのではないでしょうか。

    ひとつ気になったのは、宿題を写す事に躍起になって時間を使っていたこと。学力は武器やスキルなので、レベルアップ出来るチャンスを自ら棒に振るなんて勿体無い。

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    2023年09月27日
  • 君は永遠にそいつらより若い

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    作者と同世代なんで、大学時代の繁華街の夜の猥雑な空気などを懐かしく思い出した。

    当時よく吸っていた煙草の匂いが確かに蘇りました。

    性がアイデンティティに深く食い込んで振り回されていたあの頃。
    暴力も性犯罪も自傷も死も、ふりかえってみれば意外な程身近にあった事実に、今さらたじろぎます。

    評価があまり高くないのは、最初は不器用で人のよい主人公をほほえましく思っていたけど、あまりの煮え切らなさに次第に苛立ってしまったこと。
    君は永遠にそいつらより若い、って、揺るぎない事実によって最大限励ましているのは分かる。
    でも、それがどうした?
    だからって少しでも傷が癒されるのか?
    という疑問符も同時にわ

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    2022年09月19日
  • 二度寝とは、遠くにありて想うもの

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    緩いけどちゃんと毒を持った生き方でそういう所が良い。
    ローカル小話は共感できるとこもあって面白かった。

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    2022年06月24日
  • 二度寝とは、遠くにありて想うもの

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    とても似たような感覚を持っている部分があり、共感したり笑い転げたりした。特に「本年もよろしくお願い致します」が好き。私も年賀状を書きながら毎年思うことだろう。

    引用 82ページより
    今年もわたしは、小さい遅刻をするでしょう。今年もわたしは、背後に誰がきてもコピー機を明け渡したりはしないでしょう。今年もわたしは、締め切り当日に「すみません明日になりそうです」というメールをお送りしたりするでしょう。今年もわたしは….…。ですがよろしくお願い致します、という不測の悪事の予約のような、悪びれに満ちた「今年もよろしくお願い致します」なのだった。

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    2022年02月11日
  • これからお祈りにいきます

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    お祈りがベースにある中編と短編
    中編の「さいがさまのウィッカーマン」の主人公の住む町のサイガサマのお祭り。ウィッカーマンだなんて怖すぎる。こぶとりじいさんのこぶだったらいいけれど、でもこの町の人々は引き換えになっても叶えたいことのために、むしろ喜んで受け入れる。シゲルのたんたんとした人間観察も面白いし、きっとこうなると思っていた酷いニキビの落ちが半分だけなのには笑ってしまった。

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    2022年02月07日
  • 二度寝とは、遠くにありて想うもの

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    ネタバレ

    前回のエッセイから3年後で、会社員を辞めてフリーランスになったので自由に時間が使えるようになったのに二度寝どころか海外ドラマにハマったとか‥

    布団への懲りない敬愛 
    布団のすごさとは、電気、ガス、石油は不要なまま、人間の体温のフィードバックのみで暖かくしてくれる素敵な人間の発明であると断言せざる得ない。
    に読んでる時期が冬という事もあり、拍手を送りたいくらい納得し、私も布団に話しかけて感謝の気持ちを述べて最後に「ふーとーん」と布団コールで締める。
    自分が少し幸福になったような気分になりそう!

    正しい死に方なんて誰も知らない
    「無縁死」について思うことを書いていて、自分が、無縁で死ぬ事が怖い

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    2022年01月13日
  • 君は永遠にそいつらより若い

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    脱力感のある文章だけど内容が結構重たくてびっくりした。
    改題前のタイトルに納得。

    早く冒頭の意味が知りたくてあっという間に読んでしまった。
    イノギさんがボーイッシュな格好をしているのはそういうことだったのか。

    怖いけど映画も観てみたいな。


    津村さんの作品って、登場人物の名前がカタカナだったり漢字だったり平仮名だったり、使い分け方が気になる。
    しかも穂峰くんの場合、ホリガイさんが言う時は「穂峰君」、吉崎君が言う時は「ホミネ」って変わるし。謎…

    そしてトフィーリキュールというのを初めて知った。
    どこで飲めるんだろう。

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    2022年01月13日
  • やりたいことは二度寝だけ

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    題名が気に入って読んでみました。3ページ程のエッセイがたくさん入っていて、どこから読んでも良いしササッと読めて良かったです。

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    2022年01月11日
  • やりたいことは二度寝だけ

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    どうでもよすぎて気にもしない、ただの日常でしかないできごとだからこそ、優しい。頭からっぽで読める、何も考えたくない時に手に取りたいエッセイ。

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    2022年01月08日
  • 浮遊霊ブラジル

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    ネタバレ

    表題作がダントツで面白い。荒唐無稽な設定のラブストーリー。マテウス君も恋が叶うといいし、主人公にちょこっとアラン諸島観光させてあげたかった

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    2022年01月01日
  • 浮遊霊ブラジル

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    味わい深い短編集。最初の3作「給水塔と亀」「うどん屋のジェンダー、またはコルネさん」「アイトール・ベラスコの新しい妻」が、特によかった。

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    2021年12月12日
  • アレグリアとは仕事はできない

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    アレグリアを苦手な同僚(人間)と読み替えるのが自分的正解読み方!
    いらつく対象に自分しかいらついていない状況って本当にいらいらを増大させるんだよなぁ

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    2021年11月20日
  • やりたいことは二度寝だけ

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    エッセイは、合う合わないが全てだと思う。
    そしてさらに言えば、好きな作家さんのエッセイがそのまますごく好きか、と言われればそうではない。

    津村記久子さんという作家さんが好きだ。彼女の文章は淡々としているように見えて、主人公の正義感が強く、内に秘めたエネルギーが溢れ出していて、いつも圧倒される。くだけた文体でユーモアを言ってきたかと思えば、皮肉っぽく鋭い指摘をしてきたり。そういうところが結構好きだ。わたしにとっては初めての津村さんのエッセイ。わくわく。

    日常の細々したことに対する見方にクスッと笑ってしまう作品がたくさん入っていて読んでいて飽きないが、こちら側の持っている知識量と、彼女が好きな

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    2021年09月13日
  • 枕元の本棚

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    ネタバレ

    こここ、これは凄い。何が凄いって、この本の中で、津村さんが紹介されている本、ほぼ1冊も、自分は、読んだことが無い!という衝撃の事実が、凄い。自分的に。

    津村さんの著書は、好きなものが多いのです。ですので、勝手に、津村さんと自分の読書体験というか読書傾向は、ちかいもんだと思ってたんです。勝手に。津村記久子さん、1978年の1月生まれという事で。で、自分、1978年の3月生まれなんですよね。ですので、この世の中を見てきた過ごしてきた期間と世の中の雰囲気、ほぼほぼ一緒のはずなので、なんか、勝手に、似たような傾向の本を、読んできている筈、とか、勝手に一方的に思っておりました。マジすみません。

    いや

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    2021年07月12日
  • 婚礼、葬礼、その他

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    ネタバレ

    ヨシノの話はとにかくにやにやがとまらないくらい好きな話。
    友だちの結婚式に幹事として行ったのにその最中に会社全員参加型の葬式に呼ばれる
    空腹の中、全く知らない人の葬式にでてる心中が面白くて。津村さんの言葉選びが好き。

    ただ2話目の話は主人公が短い間に何人もでてきて、、そして1話目の話が面白かった分すこしスピードダウンしてしまった。
    自転車で事故ったカップルの2人乗りの女の子が気になる存在だった。。

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    2021年07月04日
  • 浮遊霊ブラジル

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    表題作を含む7つの短編が収録。今までの津村作品とは異なる独特な作品集だと思います。それぞれの短編に対する評価は、分かれるように思いますが、個人的には、「給水塔と亀」がしっくりと読め、今までの津村作品を継承しているように感じました。

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    2021年06月30日
  • 浮遊霊ブラジル

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    p98 「運命」ほとんど立っていられないので、埃をかぶったメニューのサンプルが置かれているガラスケースに手を突いて、私はおいおい泣く。こんな気持ちなのに死なないのか。不思議だ。普通死ぬだろ。こんなにつらかったら。

    p70「地獄」私自身もはっきりとは決め付けがたいのだが、私の落ちた地獄は、物語消費しすぎ地獄ということになると思う。
    (中略)虚実両方の物語をすごい勢いでたのしんでいた。おまけに職業は小説家だった。とにかく、物語を食い散らかす人生だった。

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    2021年06月19日