津村記久子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「貧乏が怖いの、わさるよ」
律は夜空を見上げながら言った。右を見たり左を見たりしているので、おそらく正座を探しているのだろうと理佐は思う。
「学校の意地悪な男子は、ものすごく貧乏をばかにするからね。だから怖いのはわかる。でも私の読んでいる本に出てくる人は、貧乏な人が多い。私も例外じゃないのかもしれない」
そういう連中にばかにされない生活をしているからって幸せだとは限らないし、ばかにする連中が幸せだとも思わない。
(P.169)
「あれがたぶんアルビレオだ。はくちょう座の。肉眼で見るとひとつに見えるけど、望遠鏡で見ると二つあって、二重星っていうんだって。金色と青色の星でできてるんだって」
-
Posted by ブクログ
100分で読めるシリーズというので面白そうなので購入。
社内政治をテーマにした内容。
タイトルからはもっと変な世界観かと思ったけど結構現地味がある内容だった。
(そば派vsうどん派とかそんなのを予想してた)
主人公の女性が、同じ派閥の会合に政治的な意味で参加せず、食べ物につられて参加している様子は、どこか抜けていて、お気楽な感じで面白かった。
うどん陣営の登場人物にそこまでの個性は感じず、ところどころ、「これ誰だっけ?」と思いながら読んだ。
中編小説という謳い文句だが、短編じゃないかなってくらいの分量で少し物足りなさは感じたが(この作品の読み易さもそう感じさせる要因だった)、概ね満足。小 -
Posted by ブクログ
夫が読んでて表紙が可愛かったので読んでみた。個人的に珍しい動機。久しぶりに夫婦で同じ作品を読んだので感想戦が楽しかった。義母もこれから読むみたい、楽しみ。内容は穏やかな物語だった。警察が登場するような事件は起きず、姉が妹を連れて、鳥のネネがいる蕎麦屋に住み込みで働くところになり、新天地で姉妹2人がどう生き往うたかの物語。物語の内容とリンクする表紙のイラストを探すのが楽しかった。作品中の挿絵は一捻りされてて、描き手の遊び心を感じた。挿絵のページがくると嬉しかった。2001年まではとても面白かった!2011年から失速した感じがした。「誰かに親切にしなきゃ、人生は長くて退屈なものですよ」このフレーズ
-
Posted by ブクログ
誰もが思うことだが、登場人物が多すぎる。多いなら多いでそれに見合う紙幅があればいいけれど、文庫本で300ページ弱なので固有名詞の密度が高くなりすぎてしまっている。
ただ、この満員電車のような群像劇は、次作の「水車小屋のネネ」で上手く消化されている。テーマ的にも通底するものがある。
ひとびとはいろんな複雑な事情を孤独に抱えながら生きている一方、どこかで繋がりながら暮らしている。そのようなコミュニティを軽い筆致で描く。「水車小屋のネネ」はそのようなテーマが結実したもので、とてもよかった。その雛形がこの小説になんだろうと思う。
津村の小説は、むかしのジャンルでいえば中間小説のような印象がある。純