津村記久子のレビュー一覧
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名作と言われる作品を、高尚なものだと捉えすぎていたのかもしれない。
自分たちの延長線上にいるのではなく、なんだかもっと、後世の人たちが言動を一つずつ分析し、意義を見出せるような、自分たちとは違った存在なのだと思いすぎていたんじゃないか。
そんな気持ちにさせてくれる、名作たちの書評をまとめた一冊。
英米文学科を出ていると言いたくなくなるくらい、名作を読んでない。
専攻は英語学だったんだと言い訳だけさせてほしい。英文学史も米文学史も必修でとったけど、本当に苦行でしかなかった。
それは翻訳の日本語への苦手意識があるけれども、「こいつなんでこんなことしてるの?」に無駄に意味を見出そうとしすぎていた -
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お仕事葛藤記かと思いきや日常に隠れるちょっとした時空が歪んだのかな?という不思議感もある小説。確かにお仕事転々とするのでタイトル通りどの仕事もたやすい物なんて1つもない、すごい仕事も楽な仕事もない。全ての仕事にはよしも悪しもあるのは間違いないけどふいに挟まる不可解な謎。私の職場にも触れてはないがその隙間から広がるまだ知らない謎を見てみぬふりしてるのかも?を進んでいく主人公がいるのでちょっとした冒険とも似て非なるもの。どの章も読みやすくてなるほどなるほどとなり、最後の集結もこれまでの事が繋がってたりして一体感が心地よかった。けどそこから得る教訓というものがなかったので、お仕事葛藤記だ!と思い込ん
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薄氷の上を踏むのではなく、薄氷を横から見ているような、氷の薄さを感じながら、それを眺めているような感じのする本だった。主人公のホリガイさんの語りで進んでるんだけど、どこか距離があるのが不思議な感覚。描写が細かすぎて、まるで彼女たちの生活を上から覗いてるような、普段の小説とはまた違った第三者視点がおもしろい。手首の表皮も、ホリガイさんとイノギさんの関係も、ホセキくんの命も、ヤマカワくんの淡い思いも、全てが薄くて、柔くて、儚くて、脆くて、でも薄いからこそ、それが、彼らがしっかりそこにあることを、存在することを感じるような、そんな感じのする本だった。あと、あまりにも唐突に話が始まるものだから、話をつ
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理佐が律を連れて、新たな生活を始めたのは18歳の時。そのいきさつから、当然苦難の連続であったはず。周りの人々の支えとヨウムのネネによって、そして姉妹の努力によって、奇跡的に平穏な日々を過ごしてきた。
出来事や日常は、ぎりぎりまで喜怒哀楽を取り除いて、淡々と描かれている。
親を除く周りの人々は善意にあふれた人ばかりだ。
しかし、姉妹の苦悩、怒り、絶望、勇気、努力、希望、喜び、感謝は、いかばかりであったのか。
読み手は文章の余白に想像力を持つことが求められ、それは経験や知識や感受性などによっても変わってくると思った。
人の温かさや支え合うことの大切さなど、生きていくことの理想が詰まっている。 -
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『There's No Such Thing as an Easy Job』という題名で英訳されていてさらに柚木麻子の『バター』も翻訳しているPolly Bartonが担当しているので興味が出た。
主人公は前の職場でうまく行かず、逃げ出すように辞めてハローワークのようなところにお世話になる。
とにかく楽な仕事をリクエストして紹介される仕事が全てニッチでマイナーだけど主人公はしっかり仕事こなしながら一緒に働いている人を冷静に見て様々な分析をする。
・作家を監視する仕事
・おかきの袋に記載されているプチ知識を考える仕事
・バスのアナウンス原稿を考える仕事
・ポスターを貼り替える仕事
・公 -
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「貧乏が怖いの、わさるよ」
律は夜空を見上げながら言った。右を見たり左を見たりしているので、おそらく正座を探しているのだろうと理佐は思う。
「学校の意地悪な男子は、ものすごく貧乏をばかにするからね。だから怖いのはわかる。でも私の読んでいる本に出てくる人は、貧乏な人が多い。私も例外じゃないのかもしれない」
そういう連中にばかにされない生活をしているからって幸せだとは限らないし、ばかにする連中が幸せだとも思わない。
(P.169)
「あれがたぶんアルビレオだ。はくちょう座の。肉眼で見るとひとつに見えるけど、望遠鏡で見ると二つあって、二重星っていうんだって。金色と青色の星でできてるんだって」
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100分で読めるシリーズというので面白そうなので購入。
社内政治をテーマにした内容。
タイトルからはもっと変な世界観かと思ったけど結構現地味がある内容だった。
(そば派vsうどん派とかそんなのを予想してた)
主人公の女性が、同じ派閥の会合に政治的な意味で参加せず、食べ物につられて参加している様子は、どこか抜けていて、お気楽な感じで面白かった。
うどん陣営の登場人物にそこまでの個性は感じず、ところどころ、「これ誰だっけ?」と思いながら読んだ。
中編小説という謳い文句だが、短編じゃないかなってくらいの分量で少し物足りなさは感じたが(この作品の読み易さもそう感じさせる要因だった)、概ね満足。小 -
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誰もが思うことだが、登場人物が多すぎる。多いなら多いでそれに見合う紙幅があればいいけれど、文庫本で300ページ弱なので固有名詞の密度が高くなりすぎてしまっている。
ただ、この満員電車のような群像劇は、次作の「水車小屋のネネ」で上手く消化されている。テーマ的にも通底するものがある。
ひとびとはいろんな複雑な事情を孤独に抱えながら生きている一方、どこかで繋がりながら暮らしている。そのようなコミュニティを軽い筆致で描く。「水車小屋のネネ」はそのようなテーマが結実したもので、とてもよかった。その雛形がこの小説になんだろうと思う。
津村の小説は、むかしのジャンルでいえば中間小説のような印象がある。純