津村記久子のレビュー一覧

  • エヴリシング・フロウズ

    Posted by ブクログ

    こんな小説は初めて。なんだこれ、という感じ。青春小説というにはキラキラしてないし、ヒロシの成長記というほどのものでもない。いわゆる日常系なんだろうけど、しょうもないような細かい所作まで描きながら、つまらなくならないのはさすがと思う。

    はじめの方は、津村作品にしては読みにくいかな、なんて思ったけど、気づいたらぐいぐい引き込まれていた。久しぶりに読み終わってしまうのが寂しいと思える作品に出会えた。

    0
    2025年10月26日
  • 現代生活独習ノート

    Posted by ブクログ

    次は何を読もうかと、積読本たちをあれでもないこれでもないと10数ページ読んでは辞めてを繰り返して、壮大な長編小説も重い話も読む元気がないな、なんか気楽なのがいいな、と手に取った。
    1話読んで、これだわ、ってなった。
    全く劇的な事は起こらなくて、明るいわけでもないただ日常の生活を切り取ったようなゆるい空気感で、それでいてユーモアで心をほぐしてくれるような話たち。温かい梅昆布茶でも飲んでいるような感じで癒される。
    8話あってそれぞれ20~50ページ弱なので読みやすい。

    どれも良いけど特に好きだったのは以下3話

    ・レコーダー定置網漁
    仕事で、SNSだとか膨大な量の情報に触れて疲れきってしまった女性が、2週間のリフレッシュ休暇中に、たまたま録画されたテレビ番組たちを見ながら、本当に少しずつ、回復していく様子を描いた話。
    クイズ番組の「六歳の男性」って言い方でなんかふふっとして、靴下の毛玉取りのゆるさが良い。
    週刊ムーンTV自分も見たい。
    あとフライパン焼き鳥食べたい。

    ・粗食インスタグラム
    読んでると落ち着く。
    主人公がsad desk lunchを見て落ち着いているのと同じような感覚で、この話を読んでると落ち着く。

    ・イン・ザ・シティ
    関係性がすごく良い。
    サッパリしてて、でもちゃんと心があって。
    青春。キヨもアサも加藤も、みんな幸せに生きていけますように。


    この話たちは、活力みたいなものがないときでも寄り添ってくれる感じがする。元気づけてくれるじゃなくて、寄り添ってくれる。
    ちょっとだけ前向きになれるみたいな、安心できるような本だった。
    好き。
    いつかまた読むかも。

    0
    2025年10月05日
  • 婚礼、葬礼、その他

    Posted by ブクログ

    婚礼の方は、怒涛の勢いで1日が進んで行き、とても快活なお話でした
    十字架の方は、視点の切り替わりが多く、話についていくのが大変でしたが、後から、ジワジワと、ザワザワと来るお話でした

    1
    2025年09月07日
  • ダメをみがく “女子”の呪いを解く方法

    Posted by ブクログ

    津村記久子さんが対談しているということで手に取ったけど、小説と対談ではまた違うのか、意外と深澤真紀さんの言葉でバシッと決まって響く言葉が多かった。編集者のコピーライター的能力?
    津村さんの仕事の様子が読めたのも面白かった。
    ただ2人とも全然ダメではない、と本を読んだ限りでは思った。求めるところが高くて、自分たちをダメだと思ってるのか?自分を自分でダメだと思える時点で、ダメじゃないということかも。

    以下、心に残った箇所。
    ・(深澤)男性が仕事で長持ちするのは「いつまでも少年でいることを許されているから」
    ・(深澤)サブカル男グループって、「中二病」とか「DT(童貞)」とか言って、「男は幼稚である」「でもそこがいい」「女は現実的でつまらない」というメッセージを発信し続けている。でも「中二病」も「DT」も女子もかかる病気でもあるんですよね。
    ・(深澤)「賢く見られる」っていうことのいちばん手っ取り早い方法がなんかに文句言うことなんですよ。
    ・(津村)子供を産む年齢と仕事を覚えてく年齢をがっつりぶつけて、少子化少子化って何言ってんだろうってたまに思います。なんだかんだで、旦那さんは終身雇用で年々給料が上がっていって、奥さんが専業主婦っていう時代の労働観が抜けきれてない。
    ・(津村)でも会社って若い子ばっかり欲しがるじゃないですか。物覚えるのが早いとか、給料が低いからとか、そういう固定観念みたいなんがずっとあって。で、新卒がいいっていうのに、育てるための手間隙はかけたがらない。
    そういうんではなくて、たとえば女の人なら、三十歳くらいまでは、仕事自体もできるけれども、出産や子育ての期間でもあるから、仕事に関してはあまり大きすぎるプレッシャーはかけずに、ある程度の習熟でOKとしておいて、子供から手が離れて戻ってきたら、よりちゃんとした大きな仕事を果たしてもらおうとかっていうふうに考えられんのかなと思います。
    〜でも現実は、いろんなプレッシャーを同時にかけますよね。あれもこれもって。時期をずらして一つ一つこなしてもらおうっていうんじゃなく、全部をある時期に要求して、その時期が終わったら、「開館時間は終わりました」みたいな感じで門を閉ざす。

    0
    2025年09月02日
  • 苦手から始める作文教室 ──文章が書けたらいいことはある?

    Posted by ブクログ

    こども向けに書かれた作文の書き方の本です
    実績のある小説家のかたが書かれてます
    舐められるのではないかというくらい謙虚な姿勢で述べられています
    作家にしては自慢話が一切なく、作文行為のハードルを下げる、スモールステップな案内で書かれています

    自身の生活に関わる、本当に取り留めもないことについて書くだけで充分とあり、例文を紹介され、本当に何でもいいんだと思わせるような気分になりました

    白眉は「見栄を張らずに、ほんとうのことを書く」というアドバイスでした
    ありのままの自分を出す、というと開きなおっているようで受け入れたくないと批判されそうですが、自分が思ったほんとうのことを述べるだけで作文は良くなると著者は述べていました
    たしかに見栄を張るより、素の話のほうがおもしろいこともあるなと思いました
    そして、いくらでも自分を飾り立てれる作文で、ほんとうの自分を書く行為は逆に難しいことが伝わってきました

    著者の書く文章は特異なレトリックがある訳でもないと思いますが、自身がほんとうに思っていることと文章の距離がかなり近い印象を受けました
    だから面白いのかなとも思いました

    0
    2025年08月27日
  • サキの忘れ物(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    大好き津村記久子さん。今回も安定の面白さ、というか普段よりわかりやすく希望が持てる結末のお話が多い印象でした。ちょっとした一歩が主人公の人生を大きく変える……かもしれないというテイスト。
    テレビドラマにもしやすいんじゃなかろうか。津村作品は抜群に面白い割に映像化があまりされていないというイメージなので、どこかのどなたか、ぜひ検討をお願いします。「河川敷のガゼル」のラストシーンなんか、とっても画になるんじゃないでしょうか。ガゼル連れてくるのが難しいか。

    0
    2025年08月16日
  • サキの忘れ物(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    面白かった。ゲームブックが収録されているのには驚いたが、懐かしく遊ばせてもらった。表題作がとても良かったが、個人的にはSさんの再訪が面白かった。

    0
    2025年08月05日
  • 浮遊霊ブラジル

    Posted by ブクログ

    おもしろい短編の詰め合わせ、どれを選んでもハズレなし!

    おじさん臭が伝わるような(そんなに、悪い意味じゃなく)おじさんが主人公の話。

    うわー、女の怖さ炸裂、という話。辛辣な部分もイヤな後残りなくサラッと。

    『世にも奇妙な物語』的な不思議感、満載の話。

    鋭い人間観察力でもって、独特の世界を作り上げられる津村記久子さん。どんな方なんだろう。お会いしてみたくなりました。

    0
    2025年07月19日
  • 苦手から始める作文教室 ──文章が書けたらいいことはある?

    Posted by ブクログ

    小学校高学年くらいから読める平易さで、文章を書くことについてまとめられた本。ややエッセイ寄りかな。 
    「何か書きたいな」という今の自分にフィットしていて、手元に置いておきたいなと思った。眠れぬ夜にはペンを持てと似たテーマ。

    0
    2025年07月06日
  • 君は永遠にそいつらより若い

    Posted by ブクログ


    私はホリガイがとっても好きだ
    なんだろうか、私に似てるとかそんなおこがましいことは思わないけど、彼女の中途半端で流されやすいところも人の気持ちを考えてるのに考えられてない行動してしまうところも、まっすぐにしか見れなくなる時があることとか。
    読み終えた時、あぁホリガイさんに会いたいって思った会ったこともないのに

    0
    2025年06月16日
  • とにかくうちに帰ります

    Posted by ブクログ

    お仕事小説。オンやオフのちょっとした出来事が静かに物語に紡がれていく。作者の腕。派手な出来事はないけれどみんなちゃんと働いて生きているなあと感じられる。そんな短編連作の後の表題作。大雨という非常事態ではあるけれど、それでもただ職場から家に帰るだけなのに絶望寸前までドキドキさせられた。おみごと!

    0
    2025年06月10日
  • 浮遊霊ブラジル

    Posted by ブクログ

    どのお話もクスッと笑えておもしろい
    後半の話しになればなるほど
    ワクワクしてきた
    「地獄」なんかは
    こんな地獄なら楽しいかもとさえ思える
    私もたぶん
    「物語消費しすぎ地獄」に落ちるだろうから
    それはそれで楽しみすぎる
    だって話しの主人公になれるんですから!
    こんな素敵なことはない!
    あっ、でも楽しみにしていたらいけなそうなので
    黙っておく!
    内緒!

    0
    2025年06月09日
  • つまらない住宅地のすべての家

    Posted by ブクログ

    脱獄犯がやってこないか住宅地の住人が交代で見張りをする話というと、津村さんの作品の中では比較的派手な設定ではないかと思われるけど、内容はあくまでも十軒の家+αの事情を丹念に描いたもので、期待通り。さすがの職人芸。
    それぞれの家の事情は結構ヘビーで、前半は読んでいて気が滅入るほどだった。ラスト、それぞれの生活に差し込む光はほんのわずかなのだけど、登場人物たちが抱くささやかな希望のいじらしさに、全然御涙頂戴ではないどちらかと言えばドライな筆致にも関わらず、泣きそうになる。
    津村作品を読むと、好きでも嫌いでもない関係だからこそ、煮詰まった家族関係の差し水となれる時がある、と思う。ご近所付き合いなんて面倒と感じたりもするけれど、無駄から生まれる楽しみも、案外人生には多いのかもしれない。

    0
    2025年06月06日
  • とにかくうちに帰ります

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「なんかわかるなぁ」となる登場人物や状況が多く、会社での何気ない場面などリアルだった。
    個人的には表題のお話がとくに好きで、天気が荒れている日の帰り道の心情はいたく共感した。

    0
    2025年05月17日
  • 苦手から始める作文教室 ──文章が書けたらいいことはある?

    Posted by ブクログ

    津村記久子さんの小説は読んだことがなかったが、本書の文体のとにかく飾らない、フラットな感じが好き。おやつのうまい棒やプライベートブランドの話、みたいな超卑近な話をさらりとしたりとか、こうすべきである、という偉ぶった感じが全くない感じとか。文体について、ある人のものを真似ている、と本文中にあったが、誰のものなのか、気になるなあ。
    「作文」に対してのスタンスも、ものすごくあっさり淡々としている。芥川賞作家が「書きたいとも思わない」とさらりと言ってのける、意外な感じ。純文学の作家は、何かを書くこと、物語を書くことへのオブセッションのようなものがあるのではと勝手に思っていたけれど、そうでもないのか。まあそれはそうか。
    文章を書くことが内省とセルフマネジメント、自立につながるという考え方は良いなと思った。ジャーナリング的なオフロードではなく、自分自身を客観視するきっかけとしての文章。辛いことも、文章にする、自分の外側に出してみることで「まぬけ」化できてちょっと楽になる、という考え方。想定読者である若い人たちにも伝わると良いなと思った。
    メモの取り方も、比較的スタンダードなものだと思うけれど、活躍している作家さんのやり方を知ることができるのは興味深かった。

    0
    2025年04月22日
  • とにかくうちに帰ります

    Posted by ブクログ

    会社にはいろいろなタイプの人間がいるものだ。この小説に登場する人物たちは、ほんとに『こういう人いるなあ』と思えた。

    『職場の作法』という短編には、社内で仕事を受ける立場の女性社員と依頼する側とのやり取りが面白い、また誰も興味がない自慢話を延々と話し続ける上司がいる。人の文房具を黙ってパクリ、それを忘れてしまう人、インフルエンザで職場が閉鎖の危機になる際の立ち回り方の個人差があること…思い当たる節があるようなことが多く、非常に面白かった。

    そして表題の『とにかく家にかえります』は、豪雨で帰宅困難な最悪な日に会社から帰る際に起こる予想外なアクシデントの数々。バスが来ない…道路は浸水して通行不可能…備蓄している防災食を食べようと思いついたり、あまり話したことない職場の同僚とコンビニでバッタリ会ってしまい、雨具や食料を分け合う際の気まずさ…細かい描写が目に浮かぶ。僕も駅からはバス通勤なので、雨天時にはダイヤが乱れたりほんと苦労することもあるので、主人公のイライラする感情には同感したなあ。

    大きな事件が起こるわけではなく他愛ない日常が描かれるだけだが、『あるある!』ということがたくさん記された小説です。津村さん、会社のOLの日常を書かせたら天才だなぁ。

    0
    2025年03月07日
  • 君は永遠にそいつらより若い

    Posted by ブクログ

    遅ればせながら、津村記久子の大ファンとなったので、デビュー作を読んでいないことを恥じ、手に取る。
    なぜこの人をずっと追ってなかったのか!後悔後悔…。でもこれからの楽しみが増えたと思えば!

    リアリティに寄与するユーモアの匙加減が心地よい。群像を描いて種をばら撒き、どこに到着するかわからない書き方は新鮮。
    仕掛けられた種が想像もつかないところに芽をふくのが楽しい。
    そう来たか!
    最後は泣けました。

    0
    2025年01月27日
  • 苦手から始める作文教室 ──文章が書けたらいいことはある?

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    いままででいちばんいい読書読本だと思われる。なにしろ有名な小説を手本にしていないことがいい。そして日常の感想文やメモなど簡単に始められるアドバイスをしているのがいい。子どもだけではなく、文章を書くことが苦手な大学生にも薦められる本である。

    0
    2025年01月14日
  • つまらない住宅地のすべての家

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    高度成長期あたりに開発されたであろう戸建て分譲地に建つ10軒の家に住む家族と、その近くに出没する脱獄した女刑囚。

    それぞれの家族にも囚人にも欠けている事情があって、その背景が判明していくとともに有機的に絡んでいく構成が見事。ミステリーみたいに謎が解けていく感じじゃなくて、要素が影響しあって物語を構築していく感じが面白い。

    過剰な振れ幅を抑制するような津村記久子の文体で丁寧に構築されていく物語。特に大きなハッピーエンドはないけど、彼らの明日にが昨日よりマシっぽい明るさが、これまた良いのだ。

    0
    2024年12月22日
  • 苦手から始める作文教室 ──文章が書けたらいいことはある?

    Posted by ブクログ

    書きたいなら読んだ方がいいし、
    読んだなら書いたほうがいい。
    もっとちゃんと感想や自分の気持ちを言語化しておこうと思いました。

    作文の書き方について、理論→実践の手法が素晴らしくわかりやすくてとてもよかった。途中絶賛されていた高校生のてんぷらの作文もよかったなー。てんぷら!

    0
    2024年12月16日