小川糸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
小川糸さんの、日記、ペンギンシリーズ(?)
日常のよしなしごとをさらさらと綴ったシリーズだと思っていたが、今回は単なる日記やつぶやきを越して、「随筆」な感じになっているなあ…と。
いつものように、おしゃれでナチュラルな日常の気分をおすそわけ…という癒し、プラスアルファ、いろいろ心に響く事柄がある。
犬と日常、あとはベルリン滞在と、ヨーロッパ旅の日々。
ヨーロッパの旅では、思いもよらないトラブルに見舞われる。
お土産に買ったペーパーナイフを空港で没収されたり、ストライキに巻き込まれ、スーツケースを運搬してもらえなかったり。
海外旅行する日本人は、進んだヨーロッパに感激し、日本の遅れた文明に劣等感を感じる…ということもありがちだが、異国で本当に困ったときに、親身に相談に乗ってくれたのは結局日本大使館だったり。
海外旅行、滞在に慣れてきた人らしく、今までの失敗も心に留め、日本と海外の違いを冷静に判断し、その上で、自分の心地よい土地や事柄を見極めていく。
犬を飼っていなかった時の、傍から見た感想、飼ってみてわかったこと…
海外渡航の件もそうだが、とても正直に書かれていることに好感を感じる。 -
Posted by ブクログ
『食堂かたつむり』『蝶々喃々』もとても好きな物語。
『食堂かたつむり』は静かな山村、『蝶々喃々』は東京下町、そしてこの『ファミリーツリー』は季節の移ろう穂高の景色をものすごくきれいに写し取っていて、それだけで美術館のような文章。自然の移り変わり、草木、動物、命あるものの描き方がとても素敵だ。
登場人物の心模様もそれと似ていて、嫉妬や葛藤や絶望やどろどろした部分、憧れや喜びや恋心やきらきらした部分が、夏もあれば冬もあるように全部同じあたりまえにあるものとして描かれている。主人公のひいおばあさんの菊さんが「人だけが特別だと思っちゃいけない、草も虫もみんな同じだ」と言うその言葉がとても印象に残る。
ファミリーツリー = 家系樹(図)、タイトルに込められた意味が後半でふわりと大きくなってくる。
家族が増えていくこと、人と人が出会って睦み合って子孫を残していく営みというのも自然の大きな流れのひとつなんだなあとじんわり感じさせる。その中で性の描写も生々しくなく自然のことのようにあるのもとてもよかった。食べる、寝る、心を揺さぶる、そうやって生きて死を迎えていくこともあたりまえのことなのだとすっと思える。
ストーリーもよかったけれど、全体を包むゆったりとした流れが心地いいなぁと思えるような物語でした。 -
Posted by ブクログ
日常の中で、いつの間にか行き違っていた主人公とダンナさま。
お互いの中から優しさが欠けていく中で、ダンナさまは失踪。理由も分からない主人公は、ダンナさまを探しまわるけれど、見つからない。
そんなとき、新婚旅行で訪れたハートの形をした島に、ダンナさまが行きたい!と言っていたことを思いだし、島へ・・・
すぐに帰るつもりで訪れたその島で、主人公は道に迷い、「つるかめ助産院」という産院に巡りつく。そこで出会った「つるかめ先生」に告げられる自身の変化。迷い、悩みながら、主人公はその島で、いろいろな人と出会いながら、忘れかけていた優しさを思い出し、たくましく成長していく。
すごく温かく、切なく、ほのぼの・・・
ハート型の島に、私も行ってみたいです。