森絵都のレビュー一覧
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ネタバレ 購入済み
面白い!けど軽い…
ファンタジーのような設定で、天使とのやりとりなどクスりと笑えました。
しかし主人公が自殺に至った経緯が私には軽く感じられ、感情移入はしづらい。 -
Posted by ブクログ
架空の球を追う
銀座か、あるいは新宿か
チェリーブロッサム
ハチの巣退治
パパイヤと五家宝(ごかぼう)
夏の森
ドバイ@建設中
あの角を過ぎたところに
二人姉妹
太陽のうた
彼らが失ったものと失わなかったもの
からなる11編。
銀座か、あるいは新宿か、ドバイ@建設中、あの角を過ぎたところに、太陽のうたが好みだった。あらすじの「静かな苦笑いのひととき」の言葉通り、読み終わったあとに思わず苦笑してしまうような話が詰め込まれている。
大人になって散り散りになった仲間内で集まるとなった時、どうしても考えなければならない飲み会の場所選び。「銀座か、あるいは新宿か」で描かれているのは30代の女性たちの飲み会の様子だ。高校時代の友人だった彼女たちは、女性社員としてでもなく、母親としてでもない人間として、後から思い出せばくだらないと一笑してしまうかもしれない話で盛り上がる。主人公が若い女性たちの会話を聞いて心の内で返した言葉が好き。
「ドバイ@建設中」は御曹司と玉の輿を虎視眈々と狙う女性が婚前旅行にドバイを訪れる話だ。ドバイで解放的になる御曹司とは反対にだんだん機嫌を損ねていく女性。レストランでの家族を描写したなんとも言えない気まずい空気は胃を押さえた。ラストの応酬がなんともかっこいい。
「あの角を過ぎた頃に」は巧みな短編。カップルが乗車したタクシーがある場所を通ったことで話が展開していく。展開される人情話とリフレインがバッチリ決まっていてしびれる。
「太陽のうた」はある民族の老女が主人公だ。仲間内から強く頼まれるものの、外から訪れた客を冷たく拒絶する老女。余所者を受け付けたくない頑なな人なのかと思いきや、彼女が誰に何を晒したくないのかを知ることで、老女に対する見方ががらりと変わる。どんな夜があったとしても、必ず昇る太陽のうたを彼女は口ずさむ。あきらめの先にある生きる力強さにじんわりとした感動があった。
腹に重いものがずしりと沈み込むような瞬間であったり、沈みすぎて覚悟を決める瞬間であったり、苦笑といえどその種類は多様だった。夢を見るような甘い話も好きだけど、人生の苦さの方が寄り添ってくれる日もある。この11編の掌編はそういう日に気軽に手に取れる本だった。
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Posted by ブクログ
1995年前後のお話で、背景としてオウム真理教や阪神淡路大震災などが匂わされる頃のお話。
釜ヶ崎の日雇い労働者の礼司は、ひょんなことで成金のホテル経営者から、その妻の自伝を書くことを依頼される。
金に目が眩み引き受けたは良いが、その妻・結子は自分のことを語りたがらず、口を開けば出鱈目ばかり、という出だし。
それでもポツポツと彼女がどういった生い立ちを経てきたかが明らかになるに連れ、物語は一筋縄では行かない方向へ。
礼司が初めて会った時に結子のことを”猥雑”と評したが、全体的になんとも大阪らしい猥雑、ハチャメチャ、逞しいといった印象を受けるお話。
ただ、結子の本当の生い立ちが明らかになってからは何となしに面白味が消えた感じは否めず。
冒頭の振りで『小説の題は「この女」ですが、寧ろ「この男」とでもしたいところです』とあり、主題はそうかもしれないのだけど、私には結子と違って礼司のほうの人生は小説的には取ってつけたようであまり面白みがなかったというところ。
釜ヶ崎には、地域企業の集まりで、人権啓発研修の一環として、一度だけ行ったことがある。
この本にもあるように『目に見える境界線があるわけでもないのに、一歩その地へ踏み込んだとたん、如実に空気の質感が変わる』というところが、確かにあった。
本の中では、町の未来を『どのみち、もう寄せ場の時代やない』と喝破され、確かに携帯電話の普及や労働者派遣法の変化など、世間はここに書かれた通りの方向に変わってしまった(本が書かれた2011年が既にそういう時代だもんね)。
後に出てきた「西成特区構想」で匂わされたカジノ構想は既に夢洲に取って代わられ、構想自体は何らか続いているようだが、実際の町の様子はどのようになっているのだろうねぇ。 -
Posted by ブクログ
ずっと探していた小説の原稿が、阪神大震災のさいに他のものに紛れてしまっていたのを発見した。作者は行方不明だが、先ずは読んでほしい。
誰から誰に宛てたかもわからない手紙から始まり、よくわからないまま小説が始まる。
舞台は1990年頃の大阪釜ヶ崎、日雇い労働者として働く男が、ある女の小説を書いてほしいとの依頼を受ける。その小説が本編な訳だが、まさにこの女の物語であり、この男の物語でもある。最後、彼らがどうなったのか、今どうしているのかもわからないままだが、読み終わってはじめを見ると、誰が誰に宛てた手紙かがわかるし、その意味するところの重要さに胸を打たれる。軽い話ではないし、大事件が起こるわけでもないが、染み渡る。