森絵都のレビュー一覧
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架空の球を追う
銀座か、あるいは新宿か
チェリーブロッサム
ハチの巣退治
パパイヤと五家宝(ごかぼう)
夏の森
ドバイ@建設中
あの角を過ぎたところに
二人姉妹
太陽のうた
彼らが失ったものと失わなかったもの
からなる11編。
銀座か、あるいは新宿か、ドバイ@建設中、あの角を過ぎたところに、太陽のうたが好みだった。あらすじの「静かな苦笑いのひととき」の言葉通り、読み終わったあとに思わず苦笑してしまうような話が詰め込まれている。
大人になって散り散りになった仲間内で集まるとなった時、どうしても考えなければならない飲み会の場所選び。「銀座か、あるいは新宿か」で描かれているのは30代の女性たち -
Posted by ブクログ
1995年前後のお話で、背景としてオウム真理教や阪神淡路大震災などが匂わされる頃のお話。
釜ヶ崎の日雇い労働者の礼司は、ひょんなことで成金のホテル経営者から、その妻の自伝を書くことを依頼される。
金に目が眩み引き受けたは良いが、その妻・結子は自分のことを語りたがらず、口を開けば出鱈目ばかり、という出だし。
それでもポツポツと彼女がどういった生い立ちを経てきたかが明らかになるに連れ、物語は一筋縄では行かない方向へ。
礼司が初めて会った時に結子のことを”猥雑”と評したが、全体的になんとも大阪らしい猥雑、ハチャメチャ、逞しいといった印象を受けるお話。
ただ、結子の本当の生い立ちが明らかになってからは -
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ずっと探していた小説の原稿が、阪神大震災のさいに他のものに紛れてしまっていたのを発見した。作者は行方不明だが、先ずは読んでほしい。
誰から誰に宛てたかもわからない手紙から始まり、よくわからないまま小説が始まる。
舞台は1990年頃の大阪釜ヶ崎、日雇い労働者として働く男が、ある女の小説を書いてほしいとの依頼を受ける。その小説が本編な訳だが、まさにこの女の物語であり、この男の物語でもある。最後、彼らがどうなったのか、今どうしているのかもわからないままだが、読み終わってはじめを見ると、誰が誰に宛てた手紙かがわかるし、その意味するところの重要さに胸を打たれる。軽い話ではないし、大事件が起こるわけでもな -
Posted by ブクログ
森絵都の漁師の愛人を読みました。
5つの短編が収録された短編集でした。
既婚者の長尾とつきあっていた紗江は、長尾が勤めていた音楽事務所の倒産を機に漁師に転職してしまったため、長尾について海辺の街に引っ越しました。
長尾の妻から時々なぜかかかってくるとりとめのない電話や、豊漁の時はうれしそうな長尾の様子を見ながら暮らしている紗江ですが、長尾の同僚の妻たちからの悪意のある視線に辟易しています。
長尾が実は妻と連絡を取っていたということを長尾の口から聞いて、紗江は...
震災後をテーマにした物語2つは面白く読みましたが、プリンを題材にした3編は全然面白いと感じませんでした。