森絵都のレビュー一覧
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捨て犬と、レスキューしている人々、家族として迎えた人々のレポート。人気作家だけに構成がうまく、読みやすい。
著者も大の犬好きで、保護犬を家族にしている。
それぞれの犬にそれぞれの事情があるが、なんといっても捨てた人間と、遅々として進まない行政の対応にも腸が煮えくりかえる。
儲けだけ考えて動物を虐待するブリーダーには同じ思い(狭いケージに入れて一歩もださず、病気のケアもせず、一生生殖のためだけに存在させられる)を味わってほしい。
最後に殺処分される犬のレポートも載っていて、著者が若い読者に人気があることを考えると、大変効果があると思う。鉄は熱いうちに打ち、人間の手で変革できる悪は若者にちゃんと教 -
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森絵都の屋久島ジュウソウを読みました。
森絵都が屋久島を縦走したときの旅行記でした。
案内役の人が「ジュウソウ」と言うのを聞いて重装備のことだと思っていた、というくらいの初心者の森絵都+編集者数人が屋久島の尾根をのぼります。
腰痛持ちの人、胃潰瘍持ちの人、でもなんとか頂上に登ることが出来ました。
途中の山小屋はひどく汚い場所だったり、途中の吊り橋には手すりがなかったり、と大変なことも多かったり。
翌日の屋久島観光ではレンタカーの鍵を紛失するというアクシデントがあったり。
でもみんな旅行を楽しんでいるのが伝わってきます。
もう1編、森絵都がヨーロッパを旅行していたときのエッセイ集が収録されて -
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この本、「架空の球を追う」からの続き物だったのね。
前作は全般的に薄味と評して★★しかつけなかったのだけれど、買ってからそれに気がついた。
私、この作家を別に嫌いでないし、「カラフル」や「DIVE!!」なんかは良かったと思っているのだけど、これらの短編集にはいまいちピンと来ないですね。
今回も強いてあげれば、暗闇の中でそこだけ白々と照らされたサーチライトの下で黙々とスコップを振るう若者の姿が目に浮かぶ「夜の空隙を埋める」くらいかなぁ。
解説の中で、「クジラ見」の主人公の男について『文句たれの鼻持ならない男という印象を持つが…愛らしい存在に思えてくる』とあったけど、男の私からすれば、彼は女の気ま -
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震災後15年して見つかった小説
そこに書かれていたのは震災前日までの一人の青年と
彼を変えた女性の話が綴られていた。
大阪の釜ヶ崎で日雇い労働者として暮らす礼司は
ホテルチェーンのオーナーの二谷啓太から妻である
二谷結子を主人公にした小説を書いて欲しいと頼まれる
手付金は100万円、小説が出来上がったら200万円
破格のバイト代に訝しながらも受ける事となる。
礼司はバイトを紹介してくれた大学生の大輔の部屋へ
居候し結子の取材を始めます
しかし彼女はかなりエキセントリックな女性で
過去を偽ることへの躊躇を見せず、すらすらと嘘を吐く
礼司は聞き役に徹し積もった嘘の中からそれなりの
真実 -
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ほのぼの、短編の旅。星新一風森絵都。
一貫したテーマは「旅」。様々な不思議な旅が描かれる。登場人物はみなちょっととぼけた感じ。ほっこりしてくる。たまに、あ、この人は前に出てきたぞ、というのを見つけて、うれしくなる。どこからでも読める。
ぼんやり、なんとなく、何かを読みたいときにおすすめ。
「究極の選択」そうきたか(笑)でも結果オーライ。
「厳然たる三色の法則」<厳然たる三色自転車の村>ってキノにありそう。でもキノみたいなシニカルさはなくて。
「借り物競争」オチがひどい。すごいママである。
「ファンタジア」夢の国が大変なことに(笑)
「紫の恐怖」バスユーザー的に大変怖い。押してない降車ボタ -
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森絵都の旅をテーマにしたショートショート。もとは新聞の連載だったようで分量もきっかり1ページ半ずつ。
思わず笑ってしまうものから、なんじゃこりゃと思うへんてこなものまで盛りだくさん。旅のショートショートというよりは森さんの空想(妄想?)の欠片を見ているよう。あぁ、この人はいつもこんな面白い(奇妙な)ことばかり考えてるのかしら、というのが全編を通した率直な感想かな。
「アフター・フライ」と「ビフォア・フライ」が良い。あと一人で想像しつつ爆笑したのが「ならず者18号」。こんな刑罰があれば、あるいは犯罪が減るかもしれないと思わずにはいられない。
ストーリーにもネーミングにもユーモアがあって、ちょっと