森絵都のレビュー一覧
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森絵都さんが、ノンフィクションを書いたのかーとちょっぴり驚いて手に取った一冊。
福島原発事故後のペットレスキューについて。
ボランティアの人たちと、犬猫を保護する様子が書かれている。
時間と共に元気をなくしていくペットたちや、20km圏内への立ち入り規制の様子など。そんなに離れた場所ではないのに、想像に苦しんでしまう「今」がある。
福島原発事故に関する書籍は、豊かに出版されていると思う。
様々な視点から、何があったのか、どうなっているのかを私たちは知るべきだと思う。
日本人は、怒りが持続しない民族なのかと思うくらい、流れに身を任せ、悲哀に転じる。
そのことを非難しているわけではない。
けれど広く世界を見ると、途切れぬ怒りを煮えたぎらせている人たちはたくさんいるように思う。
そんなパワーもまた、生きるための一つのエネルギーなんだろう。
現実を知ったからと言って、皆が皆、動けるわけではない。けれど、いつか、どこか、何かのきっかけは、知っていたことから始まるかもしれない。
ボランティアスタッフの皆さん、ありがとう。 -
Posted by ブクログ
めったに併読をしない私が、たまたま3冊併読になってしまいました。
最初にクラフト・エヴィング商会の『すぐそこの遠い場所』に手をつけ多のですが、これが辞典形式で一気読みするような作品でないため寝床で読む本にして、メインの読書時間の通勤には中島京子を読み始めたのですが、ある日持っていくのを忘れ、予備としてカバンに入れていた本書を読みはじめました。
多分そのせいでしょう、全体の印象が希薄になってしまいました。改めて目次を見れば、一編一編は結構印象に残っているのですが。
一番印象に残った短編は「プレノワール」。フランスのブルターニュの田舎で因習に囚われた生活を行う母とパリのレストランでの新たな暮らしにのめり込んでいく息子の確執を描いた作品ですが、とても心地良いエンディングでした。 -
Posted by ブクログ
今リアルタイムで小学校高学年の子や中学生の子に向けた本という感じだった。漢字も少なく、字も大きいので、子供も読みやすいと思う。
最近読んで印象に残っている中学生が主役の本といったら宮部みゆきの「ソロモンの偽証」だったのだが、随分と趣の違う、殺人等のセンセーショナルな出来事など起こらない、平和な日常生活を描いた作品。
東京のある中学校の1年A組の1年間を、1章ずつ別の子の視点で書いていて面白い。色々な性格の子がいて、色々な感じ方があって、「平和な日常生活」の中でもちょっとした「事件」がある。人生の中でもこの時期だけの独特な時間を、不器用に真っ直ぐに生きる彼らの姿がとても眩しく感じた。 -
Posted by ブクログ
捨て犬と、レスキューしている人々、家族として迎えた人々のレポート。人気作家だけに構成がうまく、読みやすい。
著者も大の犬好きで、保護犬を家族にしている。
それぞれの犬にそれぞれの事情があるが、なんといっても捨てた人間と、遅々として進まない行政の対応にも腸が煮えくりかえる。
儲けだけ考えて動物を虐待するブリーダーには同じ思い(狭いケージに入れて一歩もださず、病気のケアもせず、一生生殖のためだけに存在させられる)を味わってほしい。
最後に殺処分される犬のレポートも載っていて、著者が若い読者に人気があることを考えると、大変効果があると思う。鉄は熱いうちに打ち、人間の手で変革できる悪は若者にちゃんと教えたい。
猫好きなもので、猫も同じように捨てられ、殺されていることにも触れてほしかった。
レスキューしている人たちは、犬猫どちらも扱っている人が多いし、犬猫どちらも家族にしている人もいっぱいいるんだから。著者が犬好きだから犬中心で構わないが、保護された犬と猫が同じ家庭でどうやって仲良くなったか知りたかった。
猫飼っている私も余裕ができたら保護犬を世話したいという気持ちがあるから。 -
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森絵都の屋久島ジュウソウを読みました。
森絵都が屋久島を縦走したときの旅行記でした。
案内役の人が「ジュウソウ」と言うのを聞いて重装備のことだと思っていた、というくらいの初心者の森絵都+編集者数人が屋久島の尾根をのぼります。
腰痛持ちの人、胃潰瘍持ちの人、でもなんとか頂上に登ることが出来ました。
途中の山小屋はひどく汚い場所だったり、途中の吊り橋には手すりがなかったり、と大変なことも多かったり。
翌日の屋久島観光ではレンタカーの鍵を紛失するというアクシデントがあったり。
でもみんな旅行を楽しんでいるのが伝わってきます。
もう1編、森絵都がヨーロッパを旅行していたときのエッセイ集が収録されていて、「旅」に対する森絵都の感想が書かれています。
いろいろなトラブルに遭いながらもポジティブに考えて行動していくのが森絵都流なんだろうなと思いました。 -
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この本、「架空の球を追う」からの続き物だったのね。
前作は全般的に薄味と評して★★しかつけなかったのだけれど、買ってからそれに気がついた。
私、この作家を別に嫌いでないし、「カラフル」や「DIVE!!」なんかは良かったと思っているのだけど、これらの短編集にはいまいちピンと来ないですね。
今回も強いてあげれば、暗闇の中でそこだけ白々と照らされたサーチライトの下で黙々とスコップを振るう若者の姿が目に浮かぶ「夜の空隙を埋める」くらいかなぁ。
解説の中で、「クジラ見」の主人公の男について『文句たれの鼻持ならない男という印象を持つが…愛らしい存在に思えてくる』とあったけど、男の私からすれば、彼は女の気まぐれに付き合わされる、端から可哀想な男にしか思えず、そういう捉え方ではこの作品は面白くないんだな、きっと。
この辺が、この作品に対して、クスリとなったりハッとなったりすることが出来る分かれ目なのかなと思った。 -
Posted by ブクログ
震災後15年して見つかった小説
そこに書かれていたのは震災前日までの一人の青年と
彼を変えた女性の話が綴られていた。
大阪の釜ヶ崎で日雇い労働者として暮らす礼司は
ホテルチェーンのオーナーの二谷啓太から妻である
二谷結子を主人公にした小説を書いて欲しいと頼まれる
手付金は100万円、小説が出来上がったら200万円
破格のバイト代に訝しながらも受ける事となる。
礼司はバイトを紹介してくれた大学生の大輔の部屋へ
居候し結子の取材を始めます
しかし彼女はかなりエキセントリックな女性で
過去を偽ることへの躊躇を見せず、すらすらと嘘を吐く
礼司は聞き役に徹し積もった嘘の中からそれなりの
真実を導く、そのひとつが彼女が語る少女時代は
例外なしに皆、寂しいという事。
そして、結子は壊れているけど空っぽではなく
乱れているけど汚れてはいない
同じ女性として理解できない部分もありますが
惹きつけられる女性です。
結子に振り回され小説は一行もかけないまま
3か月が過ぎる頃、見るからにカタギではない
風貌の結子の弟の敦が登場し、結子が元夫の所に
置いてきた子供の太郎にも会い少しずつ小説は
進み始めたが、二谷啓太は妻結子の波乱万丈な
人生の小説を欲していたのではなく
ある計画の為だった、それは礼司が日雇い労働者として
働いていた釜ヶ崎地区をめぐる陰謀の取引材料として
結子の人生の一部が必要だったのだ。
礼司が釜ヶ崎で働いていた理由に
結子は「人生いろいろやな」と一言でまとめてしまった
礼司はその言葉の足りなさに不満なようだったが
彼女は過去に興味がない、意味があるのは
「今だけ」で、生きるために必要なことは
忘れ去ること、結子はそうやってたくましく
生きてきたのだろうと思う。
礼司にも結子にも何かしらの救いはあったと
思えるような最後でしたが読後感は何とも複雑でした
結子の変わった恋愛観に礼司も包み込まれ
とても脆く儚げだけどこんな愛のかたちもありなのかな。
小説内小説という手法で描かれた作品でしたが違和感なく読めました。