椰月美智子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大上段に構えたみたいな題名にむしろ鼻白んでしまう人もいるかもしれない。厚いし。
けれど読み始めてみればすぐにわかるはず、これは面白い小説です。
細かく、まとまり良く区切られた本文を少しずつ読んでいく感覚は、新聞連載小説を読んでいる時のそれに近いんじゃないだろうか。
語り手は俯瞰的で、遥か高みから人物の一挙手一投足をつぶさに見下ろしていたと思ったら急に舞い降りてきて、彼らの心の中をあからさまに覗き込んだりする。そして時には、自由に時間を飛び越えたりもしてしまう。
この語り手の「自由自在」感には、一種の風格さえあるように思う。むしろ様式美と言っていいかもしれない。
何というか、「これぞ大衆小説