椰月美智子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
主人公の母親と子供たちはとにかく「ふつう」で、子育てに悩んだり、友人と楽しく過ごしたり、受験勉強が嫌だと文句を言ってみたりする。
筆者はあえて、主人公たちをすごくありふれた人物にすることで、戦争に巻き込まれて命からがら逃げてきた人たちが、連綿と命を紡ぎ、その子や孫たちが「ふつう」に暮らせている、という人間の強さを描きたかったんじゃないか。
「王さんの話を聞きながら、奈月はひそかにはっとしていた。バスのなかが歓声に包まれた、と聞いたときに、ようやく彼らを身近に感じることができたからだった。(中略)こうして人は、自分と他人を区別していき、大事なものをなくしていくのかもしれない。自分の目に映らないものは関係ない。自分のあずかり知らぬところで人が死のうが関係ない。そうやって、殺す側と殺される側に分かれてく。そうやって戦争がはじまっていく。いつ立場が逆になるかもしれないのに、そこに自分は含まれない。」
いま朝ドラの「虎に翼」で、主人公の寅子が戦争孤児の支援に奔走している。
娘が生まれた立場で見ていて、この戦争孤児たちはわたしの娘かもしれないんだ、とちょうど今朝心にグサっと来たのだった。
もし戦争がまた起きて、わたしと夫と、その親類もみんな死んでしまったら、娘はどうするんだろう。どうやって生きてくんだろう。娘が悪い人に騙されそうになっても、死んでしまったら、わたしは娘を守ってあげられないんだ。この戦争孤児の親たちは、どんなに無念だっただろう。
ちょうどそんなふうに思って、本当にありきたりだけど、戦争は二度と起こしてはいけない、と改めて痛感したばかり。
奈月のこの心情はすごーく共感できた。わたしも今朝、全く同じ気持ちになったところ。
そしてもう少し考えてみれば、世界ではまだ戦争が続く地域がある。話す言葉が違ったり、テレビやニュースで見聞きするだけでは、なんとなく遠い出来事に感じでしまうけれど、まさにいまのわたしが、そして夫と娘が、その戦火にいる可能性だってあるのだ。
戦争に巻き込まれてしまうのは「ふつう」の人だし、それを乗り越えていかないといけないのも「ふつう」の人。その過程で亡くなるのも「ふつう」の人。そして連綿と命を紡いでいくのも「ふつう」の人なのだ。
中国が支援する北ベトナムとの戦争で、敗戦を経験した南ベトナム側の華僑であったり、唯一地上戦が行われた沖縄の人たちのベトナム戦争に対する思い、ベトナムでなお見え隠れする戦争の残り香など、さまざまな切り口でベトナム戦争の姿が浮き彫りにされていた。 -
Posted by ブクログ
働きながら、家事もして育児もして…日常を積み重ねるのって本当に過酷な長距離走だ!!!
多香実の夫に対する怒りや育児の大変さ、仕事との両立を悩むところに思わずわかる!分かるよ〜!!と強めに相槌をうってしまいました
多香実の怒りが俊介にまっったく伝わってなさそうなのもリアルだった!!
俊介は絶対なんか妻の機嫌悪いな〜くらいにしか思ってなさそう…
後半に俊介目線の短編も入ってるんだけど、男女の目線の違いがありありと描かれています…!
なるほど、こりゃ〜、一生すれ違いだわ!
決して悪い人ではないけど、俊介は人を慮るというのが出来てなさすぎる気がする…!営業なのに!
いろいろズバッと解決するような展開ではないけど、面白くてするする読めます -
Posted by ブクログ
とっても読みやすかった。
児童書的な読みやすさや、思春期を思い出すようなリズムや語彙の文章だと感じた。
一冊通して温かい気持ちで読める。
"るり子はまったく自由だ。うらやましくなる反面、気の毒にも思う。自由なるり子は、いつだって窮屈そうだから。"
と姉に言われるようなるり子。
繊細な感性で幼心も残っており、惜しみなく姪っ子に愛情を注ぎ、誰からも好感を持たれそうだなと思う。
ただそういう人って割と考えすぎちゃってて表に出さない葛藤が割と多いイメージ…
"曇りのほうが、気張らなくて済むからいいじゃん。ぴーかんだと、あれもこれもって欲張っちゃうでしょ。"
本編の流れと大きく関わらないけど、この考え方は素敵だなと思った。
確かにこんなふうにいつも考えるなら、どんな天気の日でも楽しめそう。 -
Posted by ブクログ
マーケティング会社で働く多香実は、ふたりの子どもを持つお母さん。仕事と子育ての両立に悩みながらも毎日を懸命に生きていた。しかしある出来事をきっかけに、多香実のなかに思わぬ感情が生じていき……。(あらすじより)
ふたりの子を持つワーママとしてあらすじを見て気になって読んでみた。
働く母の気持ちが痛いほどわかる1冊。
子どもが体調不良になったときに、子どもに危険性がなければ、まず仕事の心配をしてしまう、そんな自分に自己嫌悪する気持ち…。そしてなんで私だけこんな思いをしてるんだろうと、さらに夫を恨めしく思う気持ちがわかりすぎる。
物語として、すっきりした落としどころを期待していたけど、
結局夫と妻は考える視点がすれ違ったまま…という結末。
妻は離婚を選択肢の持ったまま日々を過ごしていくし
夫は1回のプレゼントですべてがうまくいくと思っている。
結局、覚悟した女性が強い、ということがよくわかる1冊。 -
Posted by ブクログ
解説の斎藤孝さんも書いてらっしゃるが、「青春とは人生のある一つの時期ではなく、一生持ち続ける心の在り方」という、サミュエル・ウルマンの有名なフレーズもあるけれど、やはり青春時代は一時期のもので懐かしくなる。
小説では『青い山脈』『青が散る』。古くは『たけくらべ』と読んだものが浮かぶ。
その現代版のひとつ。
タイトルが青じゃなくて緑濃い季節になっているところ、青は古めかしくて緑が新しいというわけでもないが、清冽な印象であった。
「緑のなかで」が大学生生活で、併編されている「おれたちの架け橋」が高校時代。子の側から見た親子の関係と両親の大人事情、学生生活での友達との関わり。
わたしから言うとライトノベル風だが、ユーモアも交えてさらりと描く現代風と言おうか。それもいいなあと思う。
若き時代の思い出をいつまでも色あせさせないのが、若さの秘訣かも。