椰月美智子のレビュー一覧
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端的に言えば、主人公(女性)と恋人含めたその周辺の恋愛模様を、数年の間、のぞかせてもらうような小説。
この小説には「ヒロイン」は出てこない。多くの人に共感してもらえるような女性はでてこない。特に主人公。
私の身の回りにも覚えがない女性ばかりだ。
しかし、本来、恋愛に素直に反応するならこの小説のような反応をすることなのか。大人になると、いろんな「制約」を自分に課してしまうことがあるが、この小説の女性にはそういうのがあまり見られない。
一方、登場する男性は比較的好感が持てる。(もちろん全員ではない)
女性はとがらせ、男性はまるめて、物語のバランスが保たれている(ように思う)。
とはいえ、社会 -
Posted by ブクログ
夏休みに父親の故郷の島で中二男子限定のキャンプに参加することに。
14歳の息子と、かつて14歳だった父親。
思春期男子6人初対面の共同生活。
子供はすぐに仲良くなるって言うけど、本当に些細なことで意気投合もすれば、逆にそんなことで?と言うようなことで反発したりもする。
案の定、二組にパックリ別れてしまう。
キャンプでのカレー、一目惚れ、何かを賭けて勝負とか懐かしすぎる!
いだだきますの挨拶を態度の悪かった男子が、
「誰か、なにか言えよ」と要求する場面が可愛くて仕方がない。
父親の思春期では転校生の存在が象徴的。
島ならではの遊びは大胆で開放的で本当に楽しそう♪ただ死者を葬る特有の風習がかな -
Posted by ブクログ
ネタバレ*39歳の多香実は、5歳の娘と4歳の息子を育てながら、デジタルマーケティング会社の室長として慌ただしい毎日を過ごしていた。仕事と子育ての両立がこんなに大変だとは思っていなかった。ひとつ上の夫・秀介は「仕事が忙しい」と何もしてくれない。不満と怒りが募るなか、息子が夜中に突然けいれんを起こしてしまう。そのときの秀介の言動に多香実は驚愕し、思いも寄らない考えが浮かんでいく―。書き下ろし短編「あいうえおかの夫」収録*
これは…とにかくあるあるが過ぎて、笑えるどころか共鳴しまくって、青筋立てながら読んじゃいましたわ。
なにせ秀介のトンチキ野郎っぷりがハンパない。けど、こういう旦那って本当に掃いて捨て -
Posted by ブクログ
椰月美智子を初めて読んだ。
日本のYAもこの頃は虐待や貧困、LGBTなどを取り上げたものが多く、それはそれで良いのだが、こういう普通の物語もあるべきだと思う。
14歳の少年加奈太と、かつて14歳であった父征人の同じ島で過ごしたそれぞれのひと夏が、鮮やかに描かれている。
貧困やLGBTはなくても、進路や父母の離婚は子どもにとって大きな問題である。ましてや親の死は
中学生には大きすぎる出来事である。征人の父が死んだ時、島の魔物(これは作者の創作だと思うが)に蘇らせてくれるよう頼みに行くシーンは、下手すれば嘘っぽくなり、読み手を白けさせるところを、臨場感をもって描いており、上手いなと思った。
加奈太