椰月美智子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ同姓同名の三人の小学生ユウくんとその母親の行き着く先に心臓バクバクしながらページをめくる。まさに帯通りの「父であることの無責任さ」を体現したような夫たち、背筋が凍る優くんの言動、我が身に置き換えると絶句する恐ろしさ。どの母親にも自分が投影されてしんどかった。ポジティブに切り替えていく加奈の心構えが救い。
「あきらめたらそこで終わり。あきらめたところで、その子は死にます」という児童福祉司の相良さんの言葉は子育てそのものだな。物理的な死というより、その子という存在の死。心に刻まれる。
三人のユウくんの中では、シングルマザーである加奈の息子が精神面でも落ち着いて真っ直ぐ育っている印象。
両親が揃 -
Posted by ブクログ
表題作は、子育て中の夫婦を妻の目線で書いた作品です。
幼い子供の面倒から、風呂掃除までこまごまとした家事を分担してくれない夫への日々の不満が澱のように積もっていきます。
シングルマザーの友人、夫婦仲の良い大学時代の友人、そして自分と、三者三様な夫婦の在り方について考えたり悩んだりの主人公。
読んでる間にこっちまでイライラが募ってきて「離婚だ!」と思ってる自分が居ました(笑)
子供が4歳とか5歳とかのうち、あとで考えたらそれはもう一番かわいかったころかもですが、毎日気の休まるときのない日々にちがいないので、もうちょっと家のことしろよーー!と主人公に激しく共感しました。
2作品目は、夫の目 -
Posted by ブクログ
親子二代の子供から大人へと変わるひと夏の体験。
かつて庵野監督はエヴァの主人公を14歳にして理由を
「14歳は哲学のようなものが出来る年齢」と語っていた。
ままならぬ現実に苛立ちを覚える14歳の息子と、
かつては将来のことを考えていない14歳だった父親。
形は変わってもいつまでも終わらない故郷のような友情と、
一瞬で終わる美しい花火のような友情が二人を変えて行く。
「小説では調子のいいことをいくらでも書けるけれど・・」
という征人の嘆きに共感を覚えてしまう年齢になり、
10代でこの小説に出会えなかったのは残念だが、
それでも爽やかな読後感を得られた。