あらすじ
「綿貫さんち」は4人家族。「明るく笑うもう一人の自分」を空想する長女・真美。主婦業と仕事をこなしながら、揺れる40代を惑う母・春子。転校生の女子に投手の座を奪われそうな長男・健介。経理課係長の仕事に疲れ、うつ病を心配する父・明弘。どこにでもいそうな家族が、悩みを抱えながらお互いを支え合う日常を、それぞれの視点から描いた小さな宝石のような物語。
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Posted by ブクログ
女の子と男の子、子供が2人いる平凡な40代の綿貫さん夫婦。
この『ダリアの笑顔』は4つの章から成り立つ小説で、それぞれ父親の明弘、妻の春子、長女の真実、長男の健介の立場から描かれている。(各章は登場人物は同じだが、時間軸は異なる)
大きな事件が起こるわけでなく、平凡な日常が淡々と描かれている。
長女の真実は、小学5年で編み物好き。カリスマ性あるダリアのような友人に憧れている。母親が書いていた自分の生まれた時のことを記した育児日記を読んで、涙ぐむいい子。
長男の健介は、小学5年でリトルリーグで野球に夢中。野球の上手い女子が転校してきて、レギュラーの座を脅かされるが、友情を深めていく爽やかなスポーツマンの子。
母親の春子は、保健の外交員の仕事に疲弊、事務の仕事を始める。近隣に同級生がたくさんいて、いろんな話をしながら息抜き。スーパーでこっそり買って食べるハーゲンダッツが唯一の贅沢。応援したくなる。
父親の明弘は、万年係長で会社を辞めたがっている。友達が仕事関係以外で誰もいないが、地域のインラインスケートサークルに入り、だんだんと生きがいを見出してゆく。
それぞれの章でちょっと感動。皆んな家族思いでほっこりする。
いい小説だなあ。
Posted by ブクログ
綿貫さんは四人家族。
父、母、娘、息子の普通の家族。
それぞれの視点からの短編。
「ダリアの笑顔」真美はクラスでどのグループにも属さない子。自分に自信が持てない。
ある日、母親が書いた真美の育児日記を見つける。それを読んで、どれほど自分が愛されて、大切に育てられてきたかを知る…
真美ちゃんが本当のダリアの笑顔で笑えるようになれるといいね。
ほっこり心があたたかくなる話。でも、育児日記をゴミに出すなんて…なんで?
Posted by ブクログ
四人家族の綿貫家。それぞれが現状に小さな不満や悩みを抱えながらも、お互いを支え合う日常を描いた物語。
家庭が崩壊するしないの分岐点は、そこに「信頼」があるかないのかだと思う。平凡で特別なものは何もないのに、この綿貫家はとても輝いている。
私の年齢的に、母・春子と父・明弘の章はとても共感できた。「ちん・まん」とか、「意味なしおちゃん」「やる気なしこちゃん」なんてツボだなあ。
Posted by ブクログ
よくある4人家族の日常生活を描いた4編の連作集。こういう小説を読むと家族って毎日一緒にいて、一番知ってるように見えるけど、本当は何も知らないのかなと思う。
今はまだ子供が小さくて一心同体のように一緒にいるけど、手が離れたら個として尊重してあげなければ…。
日記も、連絡帳もアプリの現代だけど、子供が自分の育児日記を見返す場面を見て、母子手帳くらいは毎年きちんと手書きしようと思った。
Posted by ブクログ
夫婦に相性があるように、
兄弟だって親子だって相性の善し悪しはあるだろう。
人一倍声がでかくて、感情そのまま表に出す母に
繊細でナイーブな心を持つ娘。
積極的とは程遠い日々を淡々と過ごし、
ゆっくり釣りに行くことを夢見る父親に、
元気溌剌やる気の塊のような小学生の息子。
個性がバラバラの家族が、
それぞれ小さな問題や悩みを抱えながらも
社会から大きくドロップアウトすることもなく
ちゃんと毎日を過ごして行く。
幸せを噛みしめるように、ハーゲンダッツのクリスピーサンドを子どもに隠れるて食べるお母さんが可愛い(笑)
そんな小さな楽しみでも、生きて行く励みになるのです^^
代わり映えのしない毎日でも、
明日もがんばろうと背中を押してもらえる一冊でした。