椰月美智子のレビュー一覧

  • フリン

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    川辺に建つリバーサイドマンションの住人たちの不倫を描いた連作短編集。
    テンポの良い文章であっという間に読んでしまいました。奥田英朗のような雰囲気。
    「不倫」と言ってしまうと私たちが想像するものはワンパターンな気がしますが、カタカナ表記の「フリン」だといくらでも変形できそう。
    フリンっていうのは結局ただの呼称でしかないような気がする。
    配偶者も子供も何もかもを傷つける言語道断な不貞だけれど、それでもそういうかたちでしか成し得なかった恋愛というか。ついつい正当化してしまいたくなるような話ばかりだった。
    だからこそと言うべきか、自分が不倫した因果からか夫が亡くなってしまう「シニガミ」と、妻の自由を許

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    2016年11月14日
  • 体育座りで、空を見上げて

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    あの三年間は特別な時間だった…。子供でも大人でもない中学生時代を、瑞々しい筆致で綴る青春長編小説。
    思春期というのは実にややこしくて面倒くさい。周りの大人たちが接する苦労以上に、本人の心の葛藤に痛ましささえ感じる。自分がまだ確立されてなく、夢と現実の間をさ迷うのが、この年頃なのだろう。と、偉そうに言っても誰もが通る道。大人の階段を上るのはしんどいことなのである。

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    2016年10月19日
  • 十二歳

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    凄く劇的に何かが起こるわけでもなく、ありがちな12歳の日常を描いている。読んでて共感出来ることも、懐かしく思うことも多かった。日々の暮らしを一生懸命頑張ろうみたいな。

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    2016年08月04日
  • メイクアップ デイズ

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    化粧品メーカーでファンデの開発をする箱理の祖母は白塗り肌。
    自分の子供にさえ素顔を見せない祖母がなぜ白塗りになったかが、徐々にわかっていく様は面白かったかな。
    でもちょっといろんな事が中途半端に終わっちゃった感じは否めない。
    私はお化粧にあまり頓着しないところが箱理と同じなので、お化粧しないと女じゃないと思ってる人の事は理解できないけど、お化粧をする事によって自信が持てたりお化粧以上の輝きを保てるようになるなら、それもいいのかなぁと多少は思ってみたり。
    内からも外からもバランス良くが大事。
    あと、イメージしている事をちゃんと人に伝えるのって本当に必要なこと。ニュアンスだけじゃダメだ。汲み取って

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    2016年07月20日
  • 恋愛小説

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    ネタバレ

    よくある恋愛小説。
    ただし、心理描写がとても細かい。
    ごちゃごちゃして、最終的にはあっさりと終話。
    ーーー
    23歳の美緒には、大好きな彼の健太郎がいる。かっこよくて、優しくて、結婚するだろうなと思っている彼が。しかし、サスケと寝てしまった。気が合う同士、あってるだけだからいいじゃん、と思っていたがーー。行為、愛情、執着、秘密、嫉妬……。恋愛の感覚、感情のすべてが描かれた恋愛大河叙事小説。

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    2016年06月16日
  • その青の、その先の、

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    17歳のまひるが主人公。落語家を目指す彼氏の亮司とクロノ、むっちゃん、夏海という親友たち。恋に友情に、あの頃のすべてが詰まった青春小説。
    とは言ってみたが自分の高校生活には特筆すべきものはあまりなかったように思う。だからなのか、たまにこういったものを読みたくなる。

    本作の登場人物たちはみんないい子。それでいて嫌味なところが全くない。高校生なりの迷いとか葛藤はあるものの、基本的にみんな真っ直ぐに未来を生きている。
    後半、亮司が事故にあってしまうのだが、この辺りは読んでいて少し辛い。
    彼らの年齢は、なにかきっかけさえあれば時として、一夜の間に親がはっとする程の成長を遂げることがあると思う。
    その

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    2016年07月05日
  • かっこうの親 もずの子ども

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    一人で子育てをしている女性の日常。色々なことが起きて悩みながら生活をしている姿が描かれている。長いけれど、何が起こるでもないお話し。

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    2016年05月16日
  • フリン

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    テーマが不倫の短編集なので後味はよくない。その中では一番最後の「二人三脚」が淡々としているのに、ストーリー展開が早くて面白かった。

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    2016年05月08日
  • 坂道の向こう

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    業種が介護業界という特殊な環境なのだが、そこは特にドラマチックでなく、単純な社内恋愛の成れの果てというお話。特に可もなく不可もなく。たんたんと物語は進んでいくし読み込める。しかし、心に残った箇所があるかというと特にない。

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    2016年05月03日
  • 本をめぐる物語 小説よ、永遠に

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    8篇の物語が収められている。
    今回の物語に特徴的なのは、「小説とは何か」という疑問だ。

    「青と赤の物語」では、物語が禁止された世界を描いている。
    物語があるから悪いことをする人がいる、そんな考えを持ったエライヒトたちが物語を禁じてしまったのだ。
    全く因果関係はないのに、AだからBと決めつけてしまったのだ。
    物語は、文学は、何の役にも立たない。
    本当にそうだろうか。
    物語は時に残酷なものも、悲しいものも、苦しいものもあり、そんな世界を目にするのは時には恐ろしい。
    けれども、そんな世界があるから救われる人もいる。
    物語に書いてあることは、どんな物語にせよ、誰かから、読者に、あなたに、向けたメッセ

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    2016年02月22日
  • 本をめぐる物語 小説よ、永遠に

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    タイトルの通り、小説にまつわるアンソロジー。
    ラノベっぽい軽さのものが多くて中高生向けかな。
    それでも小説の存在意義を説くような話が読めてなんだか嬉しかったです。
    本を読んで驚いたり、感動したり、幸せな気持ちになったり、そういう純粋に読書を楽しんでいた頃の初々しさを思い出しました。

    「青と赤の物語」 加藤千恵
    「あかがね色の本」 千早 茜
    「新刊小説の滅亡」 藤谷 治
    この3つが好きです。

    私の人生、何度小説に救われてきたんだろう。
    探さなくてもいつだって必要なときは必ず寄り添ってくれてた。
    その経験はその本とともに、何年経っても何が変容しても移ろわなくて、私にとって本当にかけがえのないも

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    2016年01月26日
  • 本をめぐる物語 小説よ、永遠に

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    『本』が出てくるアンソロジー。

    神永さんと島本さんだけ? な状態。
    彼女の正体があれ、という時点ででてくるのは彼? と
    思ったら、その通りでした。
    水戸黄門状態で、安定です。

    しかし一番印象的だったというか、困るのは最後の話。
    好きな文章の新作がもう読めない、というのは
    ものすごく寂しいです。
    この後どうなったのか、どうなるのか。
    想像のは楽しいですが、そうなったのか違うのか。
    それすらも分からない現実は嫌です。

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    2016年01月03日
  • 枝付き干し葡萄とワイングラス

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    10編の短編集。「甘えび」と「おしぼり」がお気に入り。みきわめ検定の方を最初に読んだからか、こちらは少しインパクトが少なかった気がする。でも、椰月美智子さんの世界感は十分に味わえた。

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    2015年12月31日
  • みきわめ検定

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    冒頭の第1編、タイトル作の「みきわめ検定」が一番好き。11編収録されているのだが、「みきわめ検定」が群を抜いていると思う。椰月美智子さんの文章はめちゃくちゃ読みやすい。あっという間に読み終わってしまった。

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    2015年12月31日
  • 本をめぐる物語 小説よ、永遠に

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    いじめられっ子は本を読むの? 小説よ、永遠にって感じではなかった。
    好きなの、加藤千恵、千早茜。まあまあ佐藤友哉(はじめての人。)

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    2015年12月23日
  • 本をめぐる物語 小説よ、永遠に

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    本をめぐる物語シリーズも第三弾ですね。
    やっぱりわたしは島本理生さんのつむぐ物語がすきだなと思いました。
    どの物語も読みやすいので空き時間にさくさくと読めるのも、アンソロジーのたのしいところかも。

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    2015年12月21日
  • 本をめぐる物語 小説よ、永遠に

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    千早茜さん目当ててで購入。
    読んだことのない作家さんも多く楽しめたけど中高生向きかなー。
    島田さんの作品はもっと読んできたかったな。

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    2015年11月27日
  • ラブソングに飽きたら

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    音楽をテーマにしたアンソロジー。
    好きな作家の加藤千恵さんが筆者の中に入っていたので手に取りました。

    ラブソングとタイトルに入ってますが
    それぞれの短編はラブソング以外の曲もテーマになっています。
    実在する曲が使われていたり
    架空の曲だったりもしたけど

    加藤さんの『約束のまだ途中』と
    あさのあつこさんの『雨宿りの歌』がよかったな。


    加藤さんの作品は、結婚する親友(小学生からの仲良し)との思い出の曲を中心としたストーリー。
    自分の状況と結構かぶるところがあり、かなり共感出来ました。

    あさのあつこさんの作品は、少しミステリーっぽい側面もあるんだけど、小学生の時にある事件に遭遇し雨にトラウ

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    2015年07月14日
  • 体育座りで、空を見上げて

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    うーーん
     日記で終わってしまった感がありますね
    でもその当時の女の子の気持ちがわかって楽しかったです

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    2015年06月28日
  • 市立第二中学校2年C組 10月19日月曜日

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    とある中学校の一クラスのなんでもない一日の模様を、順番にクラスメイトの一人称で繋げたオムニバスに近いストーリー。基本的に一人一回ずつしか一人称にならず、前後と強い繋がりがあるわけでもなくで、単に視点を変えていっただけに見えた。スクールカーストまではいかないものの、いじめや女子同士の確執、友人への嫉妬や過大した自意識など思春期らしいどろどろ煮詰まった感情が渦巻いている。違和感を感じなかったということは、私も中学生の頃、こんな感情を抱いていたんだろうか。前髪一つを過大に意識したり、男子に声をかけられて浮かれたせいで大事な試合を落としたり、テストの点数に一喜一憂したり、女子グループの水面下の攻防だっ

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    2015年06月27日