椰月美智子のレビュー一覧
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ネタバレ第二弾はとばして。どれも面白かったが、やはり最後の藤谷治さんの『新刊小説の滅亡』。本に関わる全ての人の背筋を正すような問いかけ。もともこもないが結局本を読む人は新刊がなくても読むし、読まない人は最初から読まない。想像・創造の場が失われたわけでもない。原作なしオリジナル面白ドラマが増えるのも個人的には良い。確かに積ん読は増えてる。再読で事足りるかもしれない。「青」と「赤」のように埋もれていた既刊小説に救われる人もいる。
けど、「それでも……!」(by バナージ・リンクス『機動戦士ガンダムUC』)と言いたい。答えになってないが(笑)、う~ん、悩む。考えさせられる -
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中学生の息子が家出した。富山にいるかつての友人の元に居るという知らせを受けて、みゆきと範太郎夫婦は息子、昴を連れ戻しに富山の氷見市へ向かう。しかし2人は、今や共に暮らしていてもろくに顔を合わす事もなく、会話もしないような仲になっていた。そんな2人がツノ突き合わせながらも富山を巡って息子の元へと行こうとするが…。
範太郎が鉄オタで、息子そっちのけで鉄道旅を楽しもうとしたりして、息子の事で頭がいっぱいのみゆきのイライラは高まるばかり。でも共に旅するうちに自分達夫婦の在り方を再考していく。
親離れしつつある子供と、子離れしなければならない母の姿が身につまされた。序盤はやや読みづらかったけど、旅が進む -
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アラフォー夫婦の生活と、心のすれ違いを描く。妻の視点で描く表題作と、夫の視点で描くスピンオフ「あいうえおかの夫」の2編からなる。
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39歳の多香実には、夫と2人の子どもがいる。夫婦ともにフルタイムの仕事を持っているが、育児は多香実1人でこなしている。それどころか分担するはずの家事も夫はサボりがちだ。
今日は土曜日だが、夫は出勤すると言って出かけていき、多香実は朝から子供の世話と家事に追われている。おまけにシングルのママ友が急な仕事が入ったからと言って2人の子どもを預けにきた。昼食を食べさせおやつも用意してやる。まさに戦争のような忙しさである。
そうこうするう -
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家事育児は妻任せの範太郎と、それにイライラするみゆきの夫婦が、家出をした息子を迎えにいくために富山へ!最初はカリカリしているみゆきと、呑気すぎる範太郎に少しイラつきながら読んでいったが、清々しいほどお互い噛み合ってないのが逆に面白くなってきて、途中からは「いいぞもっとやれ」って感じで読んだ。特にみゆき側に共感。でもやっぱり、息子の昴くんが一番大人!いつか自分の子どもたちも、こんな風に客観的に親を見て、「やめなよ」って気持ちになるんだろうなぁ。自分がそうだったし。
巣立っていく子どもを頼もしくも、寂しく思うみゆきの親心、10年後に読んだらもっと共感できそう。 -
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フィクションなのでやや誇張している部分はあるにしても、決してこういう類の男性が少数派ではないだろうことにも戦慄を覚える。夫の秀介にムカついてイライラして、一気に読み切ってしまった。日頃から家事・育児を協力し合ってこそサプライズが活きてくるのに、このままでは絶対に喜んでもらえない。
女性はマルチタスクを強いられ過ぎていると思う。もちろん男性側も大変な部分はあるだろうが、仕事も育児も全力でやりたいのにどちらかを諦めざるを得ない社会の仕組みは何だかなぁ。我が家は協力的だが、子どもの熱で仕事を休むのは100%私だし。好きでやる分にはいいが、女性が我慢して夫におもねるのは違う。