椰月美智子のレビュー一覧
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暑い夏の日の読書にうってつけの一冊。14歳の少年の夏の物語。
14歳の加奈太、かつて14歳だった父征人。征人の故郷の島、天徳島に帰省し、加奈太は中二男子限定のキャンプに参加する。
もやもやしていた14歳。思春期。色んなことがあるけど、友達って素敵。島でのひとときはキラキラ輝くようだ。
加奈太の夏と征人の14歳のころの夏が交互に語られて、ひとつの物語によられていく。
天徳島には東京にはない豊かな自然と海があり、同時に昔ながらの風習が息づく「神様の島」。美しく神秘的で不気味で、自由で窮屈でそんな島で加奈太が見つけたもの。ひと夏の少年の出会いと冒険を通した成長もの。
登場する仲間たちがそれぞれに魅力 -
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面白かった!!
子ども二人を保育園に預け、家事に育児に仕事に奮闘する妻とその夫。
一日一日を必死に、まるで綱渡りをするように
職場と保育園と自宅との間を飛び回る妻に対して
夫のなんと緊張感のないことか、、、
フルタイムで働きながら子どもを育てる妻の大変さをヒシヒシと感じた後で読む夫サイドのストーリの能天気さが、もう笑えてしまうのである。
夫に悪気はないのは分かる。上手におだてて育てよという説もわかる。
だけど妻は夫の母親ではないのだ。
優しくしてほしかったら
妻に甘えていないで、自立した一人の大人として
家事と育児に責任をもたなきゃね。
がんばれ、若いお父さんたち! -
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お仕事小説に分類したが...
ファンタジー成分も満タンである(^ ^
ちょっと「不思議ちゃん」な主人公 箱理と、
その肩に乗ってる茹でダコのタコリ(^ ^;
幼少期から、何かにつけて箱理を導いてくれた、
お姉さん的茹でダコ...のはずだが、
本作においては意外と影が薄い(^ ^;
っていうか、扱いが雑(^ ^;
妖怪シロシロクビハダのお祖母ちゃんとか、
ベースメイクが緑色の「弟の婚約者の母」とか、
他に強烈なキャラがたんと出てくるので、
肩の上の茹でダコなんてへ! ...みたいな(^ ^;
一応は、箱理の成長につれて
タコリの存在が薄くなっていく、という設定かと。
さらに最後の方で「正 -
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何とも不思議な読後感。
いわゆるスピリチュアルなお話が主体だが、
主人公の葛藤や焦燥など、心象描写が細かくて
とてもリアリスティック。
が、物語の大半はゆったりとした時の流れの中で
少しずつ癒されていく主人公たちが描かれる。
その中で、要所要所にクサビのように打ち込まれる
「この世のものならぬ」恐怖の体験。
終盤になると、え、そう来るか?
という展開の後、さらに「そういうことだったのか」と
驚かされ、また納得させられる。
文庫版の巻末に収録された
「本来なら連載作品になるはずだった」
節子の幼少期の話は、
ぜひ続きを読んでみたいものである(^ ^ -
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ネタバレ*城下町、小田原。介護施設の同僚だった朝子と正人、梓と卓也は恋人同士。けれど以前はお互いの相手と付き合っていた。新しい恋にとまどい、別れの傷跡に心疼かせ、過去の罪に苦しみながらも、少しずつ前を向いて歩き始める二組の恋人たちを季節の移ろいと共にみずみずしく描く*
とても不思議な読後感。設定はどろどろ系なのに、描かれているのは、淡々と、飄々としたそれぞれの想い。その上で、好きで奪ったのに怒らせて傷つけたい厄介な感情を持ったり、恋人を奪われた状況に「そうでもないっす」と冷静に考えたりする女性陣が妙にリアルで共感してしまう。設定に反して、意外に爽やかさの残る繊細な作品。 -
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小学生〜高校生くらいの「子ども」が主人公の短編集。
子ども目線で語られる子どもの世界が舞台だが、
決して児童文学ではない。
一つ一つの作品は独立している。
登場人物も舞台も様々である。
テーマも、ちょっとしたミステリもあり、
ファンタジーもあり、バラエティに富んでいる。
共通しているのは、主人公が皆「現代風のいい子」で、
世の中をナナメに見ているきらいはあるが、
自分は思春期だぞ、という自覚もあり。
ファンタジー設定や「濃いぃ」キャラは出てくるが、
舞台設定もセリフも「小さな事件」も、
みな実に「その辺に転がってそうな」感じで
とてもリアリティがある。
読み終わって「人間って、生きてる