あらすじ
おじいさんの家で過ごした日々。それは、ぼくにとって唯一無二の帰る場所だ。ぼくは時おり、あの頃のことを丁寧に思い出す。ぼくはいつだって戻ることができる。あの、はじまりの夏に――。おとなになってゆく少年の姿をやさしくすこやかに描きあげ、野間児童文芸賞、坪田譲治文学賞をダブル受賞した感動作。
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Posted by ブクログ
おすすめです!
何か大事件や魔法のようなことは起こらず、ただ淡々と過ぎていく日常の中で丁寧に丁寧に時間が流れていき、それを一緒に追っていく中でじんわりとしてきて、最後には感動して泣いている自分がいました。人に薦めたところ、その人も今までで一番良かったといってほかの人にすすめていました。
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落ち着いた気分になる本だった。主人公と祖父の関係性だけでなく周りの友達との関係やその友達と祖父の関係が良かった。思春期の息子ときちんと向き合う母親にとても好感をもてた。
読み終わった時すっきりしたきぶんになった。
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小学5年生の主人公が、様々なことや友達に触れて人生を学んで行く物語。
本当に人生は様々な選択の連続で、もしあの時こうしていれば違う結果になっていたかも知れないけど、でも今の自分は過去の自分がいるからで、それで良いと思えた。
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母子家庭の小学五年生の少年が主人公。ある夏、母親の仕事の関係で転校する状況になったが、それが嫌で母親と離れ、近くに住むおじいちゃんと2人暮らしをすることになる。
そこから祖父と孫の生活、夏休みに友だちと遊ぶ毎日が描かれてゆく。
ちょうど今くらいの季節かなぁ。
全体を通じ、はるか昔の少年時代の様々な想い出がよみがえる。
夏の空に入道雲。涼しい風。
友だちからあだ名で呼ばれる嬉しさ。クラス替えへの期待と落胆。友だちの家にお邪魔する緊張感。年寄りの担任は嫌だったこと。下手くそな草野球、麦茶の味、新しい自転車に乗り遠出、井戸水で冷やしたスイカ、夏休みのプール遊び…何もかも懐かしい。
久しぶりに会う母親に対して恥ずかしくてはにかむ気持ち。しかし久しぶりに会った母親は派手になっていて、嫌悪する心境がわかる。
知らず知らずのうちに少年が成長していくさまが、文章上でわかり、嬉しくなった。そして五年生の夏休みは静かに過ぎてゆく…。
最終章では大人になった少年の回想があるけど、これは個人的には蛇足だった気がするなぁ…少年期のまま終わるほうがよかったかも。
ああ、孫が欲しくなった。
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再読。たしか最初は小学生のときで、中高でも読んだけど、ここ数年は読んでいなかったなあ。改めて読み返して、やっぱり好きだ、すごく好きだと思った。 個人的には『夏の庭(湯本香津美)』と並んで夏の代名詞。小学生のほのぼのとした夏休みを描いた物語かと思いきや、不穏な違和感が散りばめられていて、実は彼の人生をかなり左右するできごとが描かれていると分かる。でも『しずかな日々』のタイトルどおり、生活はただ静かに過ぎていき、ドラマのようなどんでん返しは起こらない。それがすごく好き。ラストの一文を読むと、背筋が伸びる。
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まただけど直ぐにやづきさん読みたいと手に取る もう相当な数だけどタイトル読んで内容が出てこないのが悲しすぎて、まあ昔からなんだが、それを思うと新刊を買う必要があるのかと自分に問うのです。小5の夏休みの、これほどワクワクするのないね、ゲームはやらないが僕の夏休みを文章化した感じ 最後のお泊まり会なんか一生の思い出になるってこと お爺さんも粋だね。85で老人ホームに自ら入るのは頂けないよう。
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悲しいわけでもないのに、読んでいる途中何度か涙が出た。ただただ温かい気持ちになって、心の中にあったわだかまりが解けていくような感覚。
私には経験のないことなのになぜか懐かしく、少し切なくなった。大人になった今だからこそじーんとくるんだろうな。
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ほんとうにだいすきな本。
ぜんたいに淡いグリーンのような感覚。
やわらかい。子が正しく大人にあいされる様子のようなものを感じる。子らの感覚もすごくすき。
いつ読んでもすき。
いつでも戻れる
ページを繰る毎に逝った日々!あ~そうだった!に包まれる。台所の木製の長椅子に寝転び 蝉の鳴き声を聞きながら
読み 最後の一行で泪が流れた
(人生は劇的ではない 僕はこれからも生きていく)
劇的だった人生をずった生きてきた もう終わる
いつでもあの頃に戻れる
少年時代
井上陽水の少年時代の歌を思い出した。
小学5年生の夏休みを中心とした日々を淡々としたし確かな筆致で描き出している。日常生活の出来事 身近な周辺の人たち 祖父 母 友人たち そうだったよな と自分自身の小学5年生の頃を思い浮かべてしまった。このような日常の出来事のみで物語を作り上げた作者の力量に敬服した。
敢えて難を言うと、題名と、最終章が少し書きすぎの感があるとことぐらいか。
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ほんのひと時でも、心を落ちつけてすこやかに過ごせた日々があるならば、その先でどんなことがあっても受け入れながら生きていけるんだろう。
主人公がおじいさんと暮らして成長していく夏の日々を、時に自分の子供時代を重ねながら読む時間はとても愛おしく、豊かなものだった。
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青い鳥文庫にもなっている作品ということで
読む前はわたし向きじゃないかな?とも思ったけど
懐かしくノスタルジーがあり、じんわりと良い話だった。
自分が小学生だった頃、
友達と自転車で遠く(当時の感覚)に行った時の冒険気分を思い出したりした。
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まゆかがくれた本
小学5年生の主人公の夏休みを回想するのが本編
いやー、いいすね
て感じでした
上京した自分の心のどこかにずっと地元への郷愁があって、ノスタルジーを感じているというか
就活が始まったので将来子供が出来た時にどんな環境でどの様に育てたらいいのか、そこまで考えてとても頭を悩ませている
正直全くこの小説と同じような環境で育てたいなと思っていたので、「コレコレコレ!」と思いながら読み進めた
自分の理想と重なる部分があって良かったのもあるけど、単純に小説として主人公(小学5年生子ども)の心理描写の解像度が高すぎてとても良かった。
子供の頃に読んだらあんまり刺さらなかったと思う。いま大人になってから読めて良かった。
Posted by ブクログ
友人の昨年のマイベストの一冊。ミステリーやエッセイ推しの友人がこんな優しい本を選書してくるとは。
小学校5年生の時のことを大人になった僕が回想する。彼にとって5年生は確かに忘れられない1年だ。私が彼でもそうだと思う。縮こまった心と体を解放し、大切な友人と出会い、おじいちゃんのでっかい愛に包まれて。そして、お母さんとの距離感にとまどったりね。
登場人物目線で読むと色々と切なくなる本だな。親目線で読むと子育てってほんと難しいし。子供目線で読むと自立して生きるまでの間に保護してくれる大人がいなくなってしまう事がどんなに大変なことかって。学校の先生目線なら、、おじいちゃん目線なら、、、
誰しも自分以外の誰かを気遣い、手を差しのべてあげる世界になったらなと思う。回りの人との関係を大切にしたいよね。
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穏やかに過ぎてゆく夏休みの日々がとてもうつくしくて、眩しくて、愛しくて、だというのに少し切ないと感じた自分に、もう子どもじゃなくなったんだなあと思った。変化や成長がさみしいなんて、贅沢だよね。おとなになっても空き地で草野球をして、誰かの家でお泊りをして、手持ち花火でばか騒ぎして…なんて出来っこないのに、どうしてかそのことが無性に悲しくなった。でもそれはきっと、そのときにしかできなかったことだから、こんなふうに尊く感じるんだろうな。この本を読んでいると、子どものころの記憶がすごくリアルに蘇って、あのころは楽しかったなあって思いながら、自分がおとなになっちゃったことのさみしさも感じる。小学生のころの、祖母の家に通っていた夏休みを思い出して懐かしかった。本書と違って、エアコンの効いた祖母の家でわたしはポケモンをしていたけど、それも良い夏休みだったなあ。
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夏のジリジリとした暑さに水をまくひんやりとした空気、自分の田舎を思い出して懐かしくなった。
「人生は劇的ではない」とえだいちが言うのであれば劇的では無いのかもしれない、ただ着実に前へ進む人生をこれからも続けられるよう祈る
Posted by ブクログ
少年に、おじいさんがいてよかったと心の底から思った。と同時に、少年自身が優しくて周りに気遣いができて、我慢強く真面目な子だからおじいさんとの生活も楽しめたし、推野やヤマ、じゃらしみたいないい子とも友達になれたんだと思う。母親がああなったことも、最終的には俯瞰的に見ることができて仕方ないと思える寛大さがすごい。私ならずっと許せないと思う。
Posted by ブクログ
夏の空、庭の緑、縁側、自転車、スイカ。
それぞれのシーンが目の前に浮かんできて、匂いや味まで感じさせてくれたように思えた。押野やおじいさんとのやり取りも好きだけど、細かい情景描写に共感できるところが多かった。
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小学校5年で運動も勉強もダメな枝田光輝。引っ込み思案も手伝って友達もいなかったのだが、後ろの席になった押野がちょっかいを出してきたところから野球友達ができ始めた。夏休み直前、母親の転職に伴い引っ越しの危機に。しかし、小学校で初めてできた友達を失いたくなかった光輝は、母と離れて母方のおじいさんの家に住むことになった。
小学校5年の夏休みを中心に、おじいさんと2人で過ごすスローライフと友達との交流を描いたゆったりした日常系の作品。
一冊前の瀬尾まいこもだが、丁寧だが一文一文がみじかめのわかりやすい文章で児童文学の印象。「〇〇した」「〇〇した」と細かく同じ語尾で続くので、ちょっとくどいと思う人もいるかも知れないが、あまり文が長すぎて肯定なのか否定なのかわからない話も多いため、こういうのも良いのではないかな。
話自体は、最後まで特に大きな事件が起こるわけでもなく、小さな出来事の積み重ねで描かれる。最近の漫画アニメでいうところの「日常系」という感じで、的確でお手軽な単語ができたのは説明が少なくて良いので助かる。かといって、芥川賞的な暗喩に直喩もないので、気軽に読める作品だ。
解説に(帯にも)傑作傑作とくどく書かれているも、そこまででもないだろう。ただ、2000年代以降の小説の方向性というのはこういうものではないかと感じさせる何かは有る作品だ。
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ただのしずかな日々ではない感じがずうっとうっすらある。
おとなしい小学生が祖父の家で暮らすことになり友達ができて楽しい夏休みがすごせた話、ではあるんだけど母親の様子がずうっと気になる。
表面上はしずかな日々だけど、ずっと必死で穏やかでしずかにあろうと自分の気持ちに予防線を張って生きている感じがあり、小学生のうちから親に気を遣っているのが痛々しい。
最後あっという間に大人になってから語られる母との関係がやっぱりそうだったのかと思わされる。しずかではいられなかった中で、祖父と過ごせたことでえだいちは彼の境遇の中では最大限のしずかな生活ができていたんだな。祖父がかっこよすぎるな。
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夏の間に読みたかった本。
近くの本屋さん数件を巡るも置いておらず、「また来年の夏かなぁ」と思っていた所、旅先の本屋さんで発見。嬉しい。
大人しくていつもひとりぼっちだった少年「えだいち」が、お祖父さんの家で居候をはじめた夏の日々のお話。
こういうの大好きだ!
庭の水撒きできらきら光る草花、お祖父さんの握るでっかいおにぎり。
はじめて出来た親友との夏休み。
ラジオ体操、プール、花火、スイカの種飛ばし、お風呂ではしゃぎ回ったお泊まりの日。
なんでもない夏の日々がなんとも眩しい。
えだいちが暮らしの中で抱くモヤモヤした気持ちや、逆に浮き立つような喜びから、小学4年生らしい純粋さを感じてそれも眩しい。
はじめてできた友達との日々を心から楽しむえだいちがとても可愛らしくて、自分の子供の頃の夏を思い出したり。読んでいてとても楽しかった。
じゃらしをからかう押野の「トウヒニシゲキ!」は笑ってしまった。
穏やかなお話だけど、突然仕事を辞めて占いにのめり込むお母さんの様子など不穏な雰囲気が全体的にずっと漂っている。
えだいちの、変わっていく母親を受け入れられない気持ちや、それでも母親を恋しく思う気持ちとの向き合い方が子供らしくて、そっと背中を撫でたくなる。
お母さんにはモヤモヤしたけど、
押野、じゃらし、ヤマ、押野のお姉さん、学校の先生と、素敵な人たちばかりのお話。
中でも漬物と熱いお茶をおやつに出す「シブい」お祖父さんがとっても好きだった。
夏が終わる前に読めて良かった!
また夏が来たら読み返したい。
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昔観た映画「アメリカングラフィティ」を思い起こさせる。もう少し幼く淡いけれど、人生の転換点となった出会いから自立への決して静かではない「しずかな日々」。
やや理想郷的にやさしい集団、隠されていた母の仕事などミステリー要素の設定の甘さがあるけれど、暖かな視点で振り返っている作品で自分も若い頃を思い起こさせてくれた。
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何もかもが憂鬱で毎日こたつで一時間半しか眠れない日々に救いを求めて、一晩で読んだ。
静かに暮らすことがどれだけ難しい事か知りすぎてしまった大人である僕は、最後の一行まで「どうかこの子に不幸なことが何も起きませんように」と思いながら。
どうかおじいさんが死にませんように。
押野と喧嘩したり、押野が急に転校したりしませんように、と。
子供らしい瑞々しさを含んでいて、ちょっと眩しい物語だった。
おじいさんがいたら「そんな難しく考えんでも自然にしてたらいい」って言ってくれるんだろうな。
そしたら僕はきっと泣いてしまう。
Posted by ブクログ
読み終えて とてもきれいな気持ちになった。小学校5年生っていうのが 絶妙な存在感で しかも男子というのが とても愛おしい。そして 季節は夏休み。もうこれ以上の 舞台はない。事件もなにもおきてないんだけど 一生懸命考えて 真剣に感じて 大人になる準備を ゆっくりしている毎日。確かに自分にも そんな日々があったはず。えだいちとその友人たち、大人になって再開した時、どんな話をするんだろう。
Posted by ブクログ
小学5年生の田舎の夏休み。
公園で遊ぶ子供たちの声が聞こえる。
青空が見える。
セミの鳴く声が聞こえる。
子供たちを優しく見つめる祖父の顔が見える。
懐かしい昔にタイムスリップしたような感覚。
リアルな今は二月末の寒波に世間が騒いでいるのにね笑。そんなギャップがとても良かった。
Posted by ブクログ
小学校5年生のえだいちがおじいちゃんと過ごす夏休みを描く。縁側、麦茶、スイカ、梅干しのおにぎり、漬物、プール、友達とのお泊まり。こっそり工場に忍び込んだり…。子どものときすごした「夏休み」の情景が浮かび上がってくる、ノスタルジックな物語である。特段、大きな事件が起こるわけではないのだが、タイトル通りの日常が心地よい。押野がいい奴すぎて最後まで何かあるのではと疑ってしまう。なぜあんなにも女性を嫌がる設定にしたのだろう。