10歳の日々の思い出。栞は「き」と「ち」の発音がうまくいかず、言葉を発することに苦手意識を持っていた。そんな栞が通うようになった「言葉の教室」。そこで佐山先生と過ごした時間は、栞にとってかけがえのないものとなっていた。
大きな事件は起こりません。でも小学4年生の子どもにとっては、その時その時が大き
...続きを読むな出来事の連続なのです。
校庭のセコイヤの木が伐採されるという噂、スイミーの広場から聞こえてくるという声、運動場で拾った光る石(隕石?)、集めた空き缶のプルタブ、セコイヤ伐採反対の署名、そしてクリスマスの次の日に佐山先生から受け取った想い。
いつでも佐山先生は話を聞いてくれた。さあ考えてごらんと栞に問いかけた、そんな佐山先生との思い出。
クリスマスに1日遅れてプレゼントを開ける日ボクシング・デイ。全ての人にプレゼントを開ける権利がある。全ての子どもにプレゼントを渡すため先生になった。
しあわせや不幸の感覚は人それぞれ。佐山先生にありがとうを伝えるために思い起こされた10歳の日々。佐山先生の想いは読み手にも受け渡される。
読み終えた時に、胸の奥にすとんと温かいものが納まっています。