似鳥鶏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
青春ミステリーですね。
日常の謎。とびきりのパズルが散りばめられています。
似鳥さんのお得意の学園物語とは少し趣が異なりますが、高校生が主役の物語です。
似鳥さんは(未だに男性が女性か不明ですが)自分の分身を作品に仕立てたように思います。
博識が必ずしも『何かの役に立つ』とは限らない。そんなジレンマと好奇心の塊のような、何でも知りたがる性質の人間《実は私も同類なのですが》の一夏の物語です。
似鳥さんの語り口は軽妙で、それでいて出てくる豊富な蘊蓄がたまりませんね。本文に*のマークを置いて、説明文が入る等と云うのは、漱石先生の本か?と思わせる位、親切丁寧ですね。誤植が多い事も、漱石先生と同じようで -
購入済み
サンプルとしてとても良い試み
今まで読んだことのない作家の作風、特に文体を知るのには、とても良い試みである。サンプルなのでミステリーに必須の伏線関係、特にオチの部分のどんでん返し は当然入っていないので評価できないが、文章そのものが読みやすいか文体が気に入るか の評価はできる。三津田信三 さんが苦手だ と言うのはよくわかった。
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Posted by ブクログ
第16回鮎川哲也賞佳作入選デビュー作。連作短編のような体であるが、実は一つ一つは本当には完結しておらず、最後まで読んで初めて完結するうまい構成の作品だった。
相前後して読んだ相沢沙呼と類似点が多く、鮎川賞デビュー作、学園もの、ワトソン役は平凡な男子高校生、日常の謎、とかなり共通しているのだが、語り口がこちらの方が好みである。語り手にも美術部員というキャラ設定がちゃんとあり、それを反映した地の文になっているのが読みやすいのだと思われる。冬に「出る」ものの正体が二転三転する終盤は見事。
でも実はあとがきが一番面白かった。ということでこれはホクホクと続編を読むことにしました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ相変わらず読みやすくて面白い作者。忙しかったせいで手を付けるまでが長引いてしまったが、夏の間に読んでおきたかったなと思う。
本の主人公に本を読むような人種の内心を語らせたり、別人種への理解を深めさせるのはなかなか面白い読書体験。登場する暗号はほとんど部分的にしか解けず。出題者の正体は早めに予想できたが、動機だけがわからずに読み進み、余命が出てきて少しがっかり。そうとわかって読み返せば得心の行く描写はいくつかあったし、夜の湖あたりは露骨にほのめかされていたが、病室の映像あたりはまだこれが引っ掛けで平和に落着するのではとも思った(病院の近くに高圧電線ってどうなの? というのもあり)。
別に読後感が