川端康成のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
すごく好みの作品でした。川端康成さん特有の美しく惹かれる文章や世界観がすごく好きです。新潟を舞台にした銀世界の広がるしんしんとした風景が川端康成さんの文章から伝わってきます。なにより、本作に出てくる女性が言葉遣いが柔らかく丁寧で、女性の面倒臭い部分(失礼にあたる言動ですがご了承ください)が忠実に表現されて流石だなと感嘆しました。文章もすごく読みやすく世界観に惹き込まれやすくなっていて万人におすすめできます。ただ、島村という主人公が妻子持ちなのにも関わらず2人の女性と恋をしているというお話なので、主人公がクズなのは嫌という人にはおすすめし難いです。
ご興味あればご一読ください。 -
Posted by ブクログ
ええ……待って……凄い……というのが正直な感想。
ストーリーはともかく、日本画のようであり、読む人の頭の中から山の景色を引っ張り出す、あまりに美しい情景描写。
視線の動きを追うので、まるで一緒に旅をしているようだった。肌に当たる熱や、寒さ、田舎の景色や湿度、山の匂いを感じるようだ。そして、文字というものは、言語というものは、こんなにも美しく天の河を描けるのかと、他人の脳裏に映し出せるのかと、純粋に驚いた。
それと、久しぶりに田舎に帰ったような気にもなった。
杉林の前の蜻蛉の群れや、淡い翅を持つ蛾たち。冬に向かうにつれて居間にやってきては力尽きる虫たち、部屋に迷い込んでよろめく蜂。私も掘り炬燵に -
Posted by ブクログ
ネタバレ「老人」と「眠っている年若い美女」という断片的な情報のみで興味を惹かれて読み始めたが、話の設定は当初の想像を超えていた。
まず、「眠っている」のは強い薬で「眠らされている」からだったし、その美女は何も身につけていなくて、老人は同じ布団で眠ることができるという「サービス」だった。
老いにより男として不能となった老人たちは、娘に危害を加えない「安心できるお客さま」だからこそ成り立つサービスというが、そう見くびられては困ると内心憤る主人公という構図の面白さに恐れ入った。
老いのみにくさと対照的な娘たちの艶かしさを描写する川端康成の技術に感嘆しっぱなしだった。