川端康成のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
川端康成という人と表現力に魅了される1冊。
『伊豆の踊子』
平たく言うと、身分の高い内気な学生坊ちゃんが一人旅の途中で旅芸人一行のうちの美しい踊子に惚れ、お近づきになりたい一心で追いかける話。川端康成本人の実体験が元になっているらしい。
内容のキモさは一旦置いておいて、表現力に心底驚かされた。綺麗な女にドギマギするその緊張感がひしひしと伝わってくるうえ、主人公の額に流れる汗までもが目に浮かぶような文章だった。
「私は冷淡な風に女達を追い越してしまった。」
「(話しかけられると)私はほっとして(一行の)男と並んで歩き始めた。」
このたった二行で主人公の非モテ感が面白いほど伝わってくる。本当 -
Posted by ブクログ
染みた。切なさなのか、それとも別の何かなのか分からないが、確かに心に染み渡った。
読み進めるうちに、私の頭の中には北山杉のまっすぐな情景が浮かんでいた。序盤では、北山杉のように真っすぐで、親の言いなりに生きる娘なのだろうかと想像していたが、そこに描かれていたのは、静かでありながら力強く生きる女性だった。
登場人物たちの心情は痛いほどに伝わってきて、日本人特有の感情の機微が丁寧に表現されている。良いか悪いかは別として、こうした心情は少しずつ失われつつあるのかもしれない。そう思うと、この物語そのものが、まさに「古都」のように感じられた。
伊豆、雪国、古都と読み進めてきて、古都が一番好みかも! -
Posted by ブクログ
ネタバレ「伊豆の踊子」は行間と空白に満ちていて、自分で埋めていくのがたまらなく心地よい。静かで、切なくて、胸が締めつけられる美しさ。一方、「死体紹介人」は……え、同じ人が書いたの!
死体を運ぶ話がこんなに不気味でいて、ページをめくる手が止まらないってどういうこと!この振れ幅が異常。
”美の極致に達したから次はわざと壊す”みたいな挑戦をずっと繰り返していたんだろうな、と震えた。
自らのスタイルを破壊し続けることでしか到達できない境地がここにある。
さすがノーベル賞……ただただ恐れ入る。正直、意味が掴みきれないところも多かったけど、それでも不思議と苦にならず、夢のなかを漂っているような読書体験だった。
巻