川端康成のレビュー一覧

  • 虹いくたび(新潮文庫)

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    死と不在が色濃く漂う戦後の空気の下、姉妹は悲哀を抱えながらも気丈に生きている。しがらみの中で自由な生を探す姿は強く美しい。とらえどころがなく、はかなくも、希望がひらめき、ほのかに色づく。「雪国」の川端が描く、虹のような汽車の旅へ。

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    2026年01月25日
  • みずうみ(新潮文庫)

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    入り組んだ現実と、記憶の閃きや幻想を1:1でまぜたような作品。描かれるのはプロットではなく、主人公の意識の流れだ。何の前触れもなく過去の光景や実際には聴こえていない幻聴が飛び交う映像的な進行は現代でも新しく、小説の可能性にめまいがする。

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    2026年01月24日
  • 掌の小説(新潮文庫)

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    2026年ベストどころか、一生大切にしたい本に出会った。
    私は銀ねず、撫子色、白つるばみなど日本の伝統色の名前が大好きなのだが、そんな色がたくさん詰まった短編集だった。
    題材もけして古くなく、今でいうフレネミー、毒親、不倫、キャリアウーマン(広義の)、離婚にまつわる話なども登場する。
    個人的には戦前に書かれた話が好き。「舞踊靴」「神います」「妹の着物」に特に衝撃を受けた。

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    2026年01月22日
  • みずうみ(新潮文庫)

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    一言でまとめると、中年ストーカー男の執着と妄想を描いただけ、
    の話なのだが、川端が書くと一流の文学作品になってしまう。
    上手さに唸るしかない。

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    2026年01月20日
  • 山の音(新潮文庫)

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    ぐいぐいと読ませるのに、何が描かれていたのかは簡単に言葉にできない。
    人は皆、心の奥底に、言葉にできない、あるいは言葉にしてはいけない“もの”を抱えながら生きているのだと感じた。
    死や恋、愛について、正解を探すこと自体が無意味なのかもしれない。
    家族の問題に、家の長として向き合おうと奮闘する姿がリアルで良かった。
    静かな作品だが読みやすく、一話一話が独立しているようにも感じられた。

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    2026年01月12日
  • 伊豆の踊子(新潮文庫)

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    川端康成という人と表現力に魅了される1冊。

    『伊豆の踊子』
    平たく言うと、身分の高い内気な学生坊ちゃんが一人旅の途中で旅芸人一行のうちの美しい踊子に惚れ、お近づきになりたい一心で追いかける話。川端康成本人の実体験が元になっているらしい。

    内容のキモさは一旦置いておいて、表現力に心底驚かされた。綺麗な女にドギマギするその緊張感がひしひしと伝わってくるうえ、主人公の額に流れる汗までもが目に浮かぶような文章だった。

    「私は冷淡な風に女達を追い越してしまった。」
    「(話しかけられると)私はほっとして(一行の)男と並んで歩き始めた。」
    このたった二行で主人公の非モテ感が面白いほど伝わってくる。本当

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    2026年01月07日
  • みずうみ(新潮文庫)

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    人間の内部にひっそりと沈んでいる欲望が、誰にも止められず、ついに形を持ってしまう瞬間を描いた物語だと感じた。 その“内部”を、みずうみの描写によって表現することで、言葉にできないイメージが静かに膨らみ、気づけば一気に読み進めてしまっていた。

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    2025年12月20日
  • 雪国(新潮文庫)

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    『雪国』を読んで気づいたんだ。 愛って、いつも劇的に実るものばかりじゃなくて、ただ相手を見つめることだったり、言わないまま胸にしまっておくひと言だったり、冬の夜に並んで歩く足音みたいなものでもあるんだなって

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    2025年12月18日
  • 古都(新潮文庫)

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    染みた。切なさなのか、それとも別の何かなのか分からないが、確かに心に染み渡った。

    読み進めるうちに、私の頭の中には北山杉のまっすぐな情景が浮かんでいた。序盤では、北山杉のように真っすぐで、親の言いなりに生きる娘なのだろうかと想像していたが、そこに描かれていたのは、静かでありながら力強く生きる女性だった。

    登場人物たちの心情は痛いほどに伝わってきて、日本人特有の感情の機微が丁寧に表現されている。良いか悪いかは別として、こうした心情は少しずつ失われつつあるのかもしれない。そう思うと、この物語そのものが、まさに「古都」のように感じられた。
    伊豆、雪国、古都と読み進めてきて、古都が一番好みかも!

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    2025年12月13日
  • 伊豆の踊子

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    ネタバレ

    「伊豆の踊子」は行間と空白に満ちていて、自分で埋めていくのがたまらなく心地よい。静かで、切なくて、胸が締めつけられる美しさ。一方、「死体紹介人」は……え、同じ人が書いたの!
    死体を運ぶ話がこんなに不気味でいて、ページをめくる手が止まらないってどういうこと!この振れ幅が異常。
    ”美の極致に達したから次はわざと壊す”みたいな挑戦をずっと繰り返していたんだろうな、と震えた。
    自らのスタイルを破壊し続けることでしか到達できない境地がここにある。
    さすがノーベル賞……ただただ恐れ入る。正直、意味が掴みきれないところも多かったけど、それでも不思議と苦にならず、夢のなかを漂っているような読書体験だった。

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    2025年12月05日
  • 美しい日本の私

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    ノーベル賞の記念講演が読みたかったので読んでみました。日本語でも分かりやすく、英語でもそれほど難しい単語は使われていませんでした。川端文学の優雅さ、色っぽさがここから来ているのかなと思えるような講演でした。

    ノーベル賞を取って良かったということと取って困ったということがこの本の中に一緒に書かれているのもまた面白かったです。

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    2025年11月03日
  • 山の音

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    不倫や堕胎など男女のドロっとした愛憎劇になるような話を、老境に入った主人公が儚い息子の嫁に抱く淡い想いや古都鎌倉の自然の移り変わりを通して、そこはかとなく様式美さえ感じさせる物語へと昇華させたその芸術性の高さは戦後日本文学の一つの到達点と言っていい。

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    2025年10月30日
  • 千羽鶴(新潮文庫)

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    未亡人の中年女性って、咽ぶような色気があるよね。という話だった。川端康成は自死しているけれど、図太くしたたかに生きる女性を卑しく醜い生き物として書いて、儚く辞世し消えゆく女性を美しく書いているあたり、恥知らずに生きることを凄く嫌悪していたんだろうなあと察する作品だった。

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    2025年10月09日
  • 少年(新潮文庫)

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    こんな事されたら誰だって好きになってしまうよ…。恋なのか愛なのか信仰なのか性なのかはっきりしない感じが良い。

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    2025年09月21日
  • 眠れる美女(新潮文庫)

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    匂いまで伝わりそうな 衝撃的な作品

    これは ずっと語り継がれる 小説だと
    思った エロスが伝わる素晴らしい文体!

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    2025年09月19日
  • 雪国(新潮文庫)

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    初川端康成
    これほど日本語を巧みに操り、情感溢れる表現の文章は読んだことがない。ただひたすらに美しい。

    映画や絵画や懐かしい記憶からふと蘇る、匂いや空気をともなう鮮明な記憶。そういうものを届けてくれる文章。

    例として一文引用
    弱い光の日が落ちてからは寒気が星を磨き出すように冴えて来た。

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    2025年09月17日
  • 古都(新潮文庫)

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    まだ10代の頃に読んだ古都。読書会の方に貸していただいて時を経て20年ぶりの再読。
    20年経っても美しい話だった。
    京都の祭りの賑やかさと反するように双子と彼女らを取り巻く青年たちの静かで熱い心情が描かれている。
    捨てられた娘と、捨てられなかった故に山で両親を亡くしながらも強く生きた娘。
    どちらの娘も遺伝子だろうか、それぞれに心根優しく芯のある美しい人だ。
    苗子はきっと二度と戻らないのだろう。
    美しくも寂しい最後だった。

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    2025年09月16日
  • 雪国

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    うつくしい 文体が麗しく心地よかった
    うつくしい日本語に触れたいときにとても良い
    日本語ってきれいなんだなあ

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    2025年09月12日
  • 雪国(新潮文庫)

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    川端がみていた世界は、柔らかく繊細な飴細工のような世界だったのかなと思った。
    2人の女性の間で揺れる男性の心情が描かれていたのに、優しい気持ちになった。現実世界だったら嫌なやつと思うはずなのに、不思議。

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    2025年09月09日
  • 名人(新潮文庫)

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    最後の名人・本因坊秀哉の引退碁の模様を小説の形に仕上げた一作。

    淡々とした筆致が、逆に名人の芸道を極め勝負に生きる姿を強烈に映し出している。引退碁に挑む孤高の姿に、思わず胸が熱くなった。

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    2025年09月03日