【感想・ネタバレ】雪国のレビュー

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Posted by ブクログ

非現実と現実の狭間のような世界を持っていて好き。駒子の言葉には強い生命力とか弱い女の部分とが入り交じっていて、何とも人間臭くて惹かれた。

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2024年01月28日

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大傑作
鏡を使うなどの視覚描写の巧みさは言わずもがな、
台詞における引き算の美学も大好き。

さながら極寒で無機質な雪国が魅せる自然の美しさのよう、過酷な状況で逞しく生きる女たち。

男に熱があまりないのが、よい比較になっている。

主要な4名の具体的な描写があるわけではないが、関係性や台詞や行動で、感情が浮かび上がってくる。
このように余白が私たちに妄想を促してくれるので、読むのが楽しくなる。

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2023年08月18日

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「駒子の愛情は彼に向けられたものであるにもかかわらず、それを美しい徒労であるかのように思う彼自身の虚しさがあって、けれども反ってそれにつれて、駒子の生きようとしている命が裸の肌のように触れて来もするのだった。彼は駒子を哀れみながら、自らを哀れんだ。」

「そう言って、気のゆるみか、少し濡れた目で彼を見上げた葉子に、島村は奇怪な魅力を感じると、どうしてか反って、駒子に対する愛情が荒々しく燃えて来るようであった。為体の知れない娘と駈落ちのように帰ってしまうことは、駒子への激しい謝罪の方法であるかとも思われた。またなにかしら刑罰のようであった。」

雪国の温泉旅館に通う主人公の藤村と、駒子・葉子という二人の女性を描く。駒子は藤村に深い恋慕を抱いていて、それは藤村も理解しているのだが、藤村には駒子とどうこうなろうという気はない。これは駒子を愛していないから、というわけではない。その描写が上記した文の引用であり、この複雑な心情の機微がこの物語の一番の魅力なのだと思う。
葉子はどこかミステリアスな女性として描かれており、感情を表に出す駒子とは対照的だ。藤村は葉子にも惹かれているのだが、それは駒子に対しての感情とは全く別物であり、むしろ葉子を通じて駒子を見ている、とまで言えるのかも知れない。これは二つ目の引用で描いている。
藤村の心情は、理解不能なようでとても共感できる。彼の達観した諦念のようなものが、上品に心に響いた。

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2023年08月15日

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ネタバレ

米津玄師のorionに、真白な陶器みたいな声という歌詞があるが、雪国の白い陶器に薄紅を刷いたような皮膚というのを連想させた。

スキィ、ヴェエル、ポスタア、ウィスキィ、カアテン、クリイム、ストオヴ、大正や昭和初期らしい表記で、宮沢賢治感もあって、好き。

濃深縹色、玉蜀黍(とうもろこし)色、檜皮(ひわだ)色、桑染(くわぞめ)色、紅葉の銹(さび)色、、、日本の伝統色による表現が多かった。

表現がこれまで読んだどんな作品よりも深くて素敵で驚いた。読んでよかった。

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2022年02月12日

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この年で読んで良かったと思わされた。
愛の虚しさ、報われなさを突きつけられ、切なく、苦しい気持ちになった。
印象に残った文→p131 ほんとうに人を好きになれるのは、もう女だけなんですから
愛だけでない。人生はどうしても虚しく、つらいと思ってしまう時がある。そういう厳しさを、雪国の寒さでむしろ和らげているかのような小説だった。
川端康成の文章は何が起こるということが大事なのではない。淡々とした日々の中に、静の中に刻々と動が流れていて、諸行無常の人生の哀愁を淡々と描いているのである。

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2022年01月03日

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好きな小説トップ10に入る。
最後の「あの子、気が違うわ。気が違うわ」的なセリフ(細かい言い回しは忘れた)が忘れられない。小説で「狂気を残しつつフェードアウト」する描写って結構難しくないですか、最高難度とは言わないけど…書く側で想像したら卒倒しそう。(限りなく透明に近いブルーとかも狂気のフェードアウトだったかも)
「透明」「不安」「恍惚」「死」「陰影」このあたりの表現が神がかってる気がする。好きすぎる。

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2021年04月22日

Posted by ブクログ

めちゃよかった
情景描写と心情描写が丁寧で世界観がしっかりしてた
最後にはは入り込んでて大きな動きはないんだけど一つ一つのセリフが心にくる

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2021年01月19日

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初読。課題本。
タイトルと冒頭と粗筋は聞いたことがあったが、思っているのと若干違う話だった。正直近代文学は表現を追うのに必死で話が入って来ながち。
主人公である都会人の富裕層島村と、若い温泉芸者駒子、そして美しい声の娘葉子が中心人物。
島村は本人も言っている通り親の遺産を食い潰して無為徒食の日々を送っているとの事だったので、対照的に温泉街で必死に生きる駒子や葉子を俯瞰するには丁度良い位置なのかもしれない。文中で頻繁に出て来る、駒子に向けた 離れている時は恋しく思うのに、近付いた途端突き放すような言動は、彼が「バレエの論文を書いていながら、バレエを直に見たことがない」という人物像に象徴されていると思う。
クライマックスである火事のシーンはやや唐突気味であるが、それまで再三描写されていた雪国の非日常的に静かな美しさと、そこに日常生きている人々の生々しい騒々しさとを対比させることで、雪国での非日常が終わる=島村と駒子の関係性が終わることを暗示しているのでは?と考えた。
あと女性の肉感的な描写が執拗なくらいあるわりに嫌な感じはせず、寧ろ綺麗なように感じさせるのは作者の妙だなーと思う。
考えさせる余地があり、文脈を読み取らないと筆者の真意が分からないあたり、文学だなーといった感じ。ただ、解説でも駒子が純真ながら自堕落で~みたいなこと言っていたが、どっちかと言うと仕事もせずに妻子放って温泉街で女はべらせてる島村の方がよっぽど自堕落ではないか?と思った。

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2024年04月02日

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1回目は全く理解できなくて数年ぶりにこの本をとって読んでみました。日本語ってこんなに綺麗なんだなと思わせてくれる文章でした。どうやって生きたらこのように描写や感情を美しく言語化できるのでしょうか。

ただ相変わらずストーリーが面白いかと言われるとよく分からなくて、何がオチなのかなと疑問です。

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2023年12月18日

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正直、物語はよく分からなかったのですが、悉く表現が美しく情景が綺麗なので、こんなにも雪が美しいものだということを、初めて知った一冊になりました。

いい感じに物語がよく分からないから、余計にいいのかもしれないとか、思います。

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2023年06月18日

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雪国
川端康成

物語の舞台は新潟県湯沢温泉
無為徒食の男「島村」と雪国で芸者をしている「駒子」の物語。
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。…」の一文で始まる有名な作品ですが、初めて最後まで読みました。

駒子が自分に好意を寄せているのを知りながら、最後まではぐらかし続ける島村。物語が進んで、関係が近づけば近づくほど、結びつかない二人の描写は読んでいてヤキモキしました。芸者という駒子の設定から少し大人びた表現もありますが、心情や動作、周囲の情景の変化などを文字だけで描写する川端康成の表現力に、文学の奥深さを感じました。
学生時代に授業か何かで読んだ時はよく分からず食わず嫌いをしていましたが、改めて読むと名作といわれるものは、やはり名作なんだと再認識です。
また自分がこういう作品を多少は味わえるようになったことに少し感動しました。

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2023年03月22日

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難しい・・・。文学とは物語のドラマチックさではい別の何かで魅せるものだというが、この作品はそういうものだった。日本語ならではの曖昧な表現の妙味とか、愛や生活の無常さとか、それらが寂れた景色に沈んでいく様とか、そういうのなのかなぁ?巻末の、英国人による解説が秀逸だ。作品についての講義でも受けないと、魅力を知り尽くすのは難しそうだ。

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2022年12月31日

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高橋一生と奈緒のドラマ『雪国』を見て読んでみようと。

情景描写が美しい。日本語、言葉が美しい。うつくしいなあ、だけでも読んでいられる。

雪国という別世界で、徒労感や無力感やある種のあこがれを持って(つまり優しいような、でも、どこかシラーっとしたような目で)、情熱や必死さ哀しさを、ただみてる。乾いて言ってしまうと、情熱や主体性を取り戻したいと思ってる男の話?

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2022年05月07日

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 トンネルを越えることで、主人公島村にとっての別世界が立ち現れる。それが「雪国」である。そこには仮初めの出逢いがあり、駒子、葉子というふたりの女とこちら側にいる妻との間を揺れ動いている
。そして、島村は、妻に対する罪の意識もなく、夢の中にいるようである。最近の仮想現実とよく似ている。テクノロジーがどれだけ進歩しようが、ヒトという種の本質は変わらないのかもしれない。

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2022年03月18日

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有名な冒頭以外に一度も読んだことがなかったので今更ながら読んでみました。ストーリーとして云々よりも描写が美しくて忘れられません。芸者駒子のか弱さと強さを共に持ち合わせたひたむきな生き様が静かに深く胸に染み渡ってくるようでした。しかしながら最初から最後まで駒子の情熱に対してしまむらは冷静すぎて、なんと罪作りな男のだろうと腹立たしくも感じました。妻子ある島村が何故に駒子に惹かれたのだろうと思うとそれはまさしく雪に晒すとより白くなる縮と同じで、彼は駒子を通して自分の中の濁った部分を浄化しようとしてたのではないか?と思います。駒子はそれを知って泣いたのでしょうね。ラストシーンが冒頭に増して良かったです。

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2022年01月18日

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有名な冒頭部分しか知らなかったので読んでみた。
もちろん小説なので文字だけだが、綺麗な風景が頭に浮かんでくる。

ページ数は多くないが、含意があらゆるところにあるように感じた。
その分、本のボリューム以上に面白さがあった。

また、駒子も島村も言ってることがコロコロ変わることが多いので着いていくのが大変だった。

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2020年11月01日

Posted by ブクログ

雪国を舞台に、温泉芸者と無為徒食の男の恋愛が描かれている。その雪国の描写や電車から見える風景の描写が繊細に美しく描かれており、またそれが主人公の心模様と重なるのがとても美しく、傑作だと感じた。駒子の不幸な境遇ながらもいきいきと生きていこうとする様子と、島村のどこか空虚でふらふらしている感じが対照的に描かれており、それがより一層駒子の一途さを引き立てるようであり、読んでいて引き込まれていくのを感じた。

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2019年10月13日

Posted by ブクログ

トンネルを抜けると、雪国であった。の書き出しがとっても有名だけれど、お話自体はぼんやりとしか知らなかったので。雪国のほの暗い雰囲気と、それをおこす描写はほんとうにきれいで、うっとりするのに、どうしても空虚な感じがするのは、島村と駒子のなんともつかない関係のせいかなあ。心情についての描写は多くないので台詞で推し量るしかないのですが、日本語ならではというか、そういう曖昧なぼんやりと含みのある言い方がすきでした。わたしは葉子さんのもうどうしようもない、そういう雰囲気に惹かれていたので、島村ももしかしたらこんな気持ちなのかなーと勝手に考えてみたり。駒子も葉子もふらっと雪に消えてしまいそうな、そんな儚さをかんじる美しさでした。

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2019年02月04日

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伊豆の踊り子からの雪国でした。
何故、雪国がノーベル文学賞じゃないのか…。
芸者とあり、出てくる女たちが警戒しているのか、それとも駆け引きなのか、判別が付きにくい。
が、冷たく読者までも振り回されるの必須。
私には少し難しかったです。
でも、景色の描写の美しさ、しいんとしていて底冷えする感覚は、もの凄く伝わってきました。
また読み直したいです。

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2019年01月16日

Posted by ブクログ

名著と言われているから読んでみたが、
物語の内容としては平坦で少し退屈に感じる場面もあった。
だが、それを許容して読み進められるほど、描写、特に情景の描写が丁寧かつ美しく、雪国出身の自分にはありありと想像できて旅の哀愁を感じられて心地よかった。

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2023年06月30日

Posted by ブクログ

読むのに難しい本でした。

途中まで読み進めて、なんとなく消化できず、もう一度最初から噛み砕くように読んでみました。
ところどころ登場人物の感情がむき出しになり熱量が上がる場面はあれど、物語としては終始淡々としていて、主人公たちの心理描写と同じくらい(もしかしたらそれ以上に)風景の描写が挟み込まれるので、どちらかというと小説を読むよりは絵を鑑賞するという感覚に近かったです。

というか、当たり前にさらっと書かれてるけど主人公が嫁と子供を置いて何日も旅館に泊まり掛けるのとか、今の感覚じゃ普通じゃないよねー。笑
いつか機会があれば物語の舞台である湯沢町に行ってみたいと思いました。

p85
「君が東京へ売られて行く時、ただ一人見送ってくれた人じゃないか。(中略)その人の命の一番終りのペエジに、君を書きに行くんだ」
このセリフ好きです。

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2023年02月26日

Posted by ブクログ

文学的評価が定まっていて、さらにノーベル文学賞を獲っているから読み通せたのだけれど、もしこれが無名の作品だったら、きっととてもではないが最後まで読み通すことはできなかってだろう、と思う。

「結局この指だけが、これから会いに行く女をなまなましく覚えている~この指だけは女の触感で今も濡れていて~鼻につけて匂いを嗅いでみたりしていたが」この箇所は色々な人が取り上げているけれども、こういった清潔な色っぽさの描写にはっとさせられる。他にも、「人間は薄く滑らかな皮膚を愛し合っているのだ」「島村は死骸を捨てようとして指で拾いながら、家に残して来た子供達をふと思い出すこともあった」「そうして駒子がせつなく迫って来れば来るほど、島村は自分が生きていないかのような苛責がつのった。いわば自分のさびしさを見ながら、ただじっとたたずんでいるのだった」という表現に、ああ、こういう表現もあるのか、と、感心した。

どこかで感じたことがあるような、名状し難い感情の揺れ動く瞬間、しかも数時間も経てば忘れてしまうような感情の僅かなさざなみに、こうも的確な言葉を与えられるのかと思うと、その表現手法に驚いた。

あと、駒子と葉子の話しぶりや身振りや台詞回しが妙に生々しく、確かに男女の会話ってこんな感じだよなあ、と思わせられる部分が多かった。そういう男女の交わりを品格を損ねないで描ききるのはすごいな、と思った。

けれども、じゃあ、話として面白かったかと言われると、別にそうでもない。いや、別に不倫がダメとか、主人公がクズだから嫌だったとか、人格者ぶりたいわけでもなく、ストーリーラインがずっと平坦でなだらかで気怠い感じがどうも性に合わない感じがした。

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2023年02月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

無為徒食でニヒルな島村と、不器用だが素直で純粋な駒子との愛のかたちが描かれた本。
徒労を嫌い蔑み、虚無でもあり事実をそのまま受け取るような島村と、熱を帯びた情念で素直に生きる芸妓の駒子の対比が、特に最後の火事の場面において印象的に書かれている。
「徒労とは」
人々は無駄を嫌うが無駄をしない人などおらず、駒子のような徒労を続ける、続けることができる強い人間を逆説的に肯定している作品だと感じた。

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2023年02月04日

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ネタバレ

駒子に対する島村の細かい感情の描写が秀逸。というか島村自身が文学的。これこそ耽美だわあと思わされる。雪国って寂しいんだよなあ。でもそこで火が起きた時の力強さとのコントラストはすごく良いね。分からない単語がたくさんあって、読み進めるのに結構時間がかかってしまった。駒子、迫りすぎ感は否めないけれど彼女の気持ちを考えると切ないー。島村もうやめてえー

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2022年08月17日

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純文学。妻子がいながら、雪国の温泉宿で芸者の駒子と過ごす主人公。さらに葉子にまで興味を持つ。色に乱れたシーンは無いが、内容はエロに近い。うーん、よくわからない。

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2022年07月01日

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面白くはなかった。文は綺麗だと思った。語り手に景色がどう見えるのか、それにしかなしえないイメージの伝え方があるのだと思った。漫画や映像では表現出来ないもっと原初的な思い出に則したイメージだ。物語はあまりよく分からなかったというのが正直な感想だが、時代背景や風俗をもっと知っていれば楽しめたのかなと思う。省略が唐突でイメージを追い遅れたが、島村にとって大切でない場面がまるまる切り取られているのだと解説を読んで納得した。

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2022年06月02日

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ネタバレ

すべてを文にして語らない、それが川端康成の作風だと思うし『雪国』ではそれが特に顕著だと思う。

寒々とした風景の描写はひたすら美しい。
星空の描写が特に好きです。

自分にとっては意味の内容なことが他人からすると生きていく理由になるというのは今でも通じるテーマ。
小説なのに、文豪なのに『書かないこと』を徹底して必要最低限な言葉で構成された作品なので、一から十まで説明してほしい人からすれば読み取るのが難しい。
文章からいかに『察する』かが求められる。

すべてを咀嚼できているとは思えないのでまた時間を空けて読んでみます。
駒子は一生懸命で哀れでかわいい。

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2021年01月10日

Posted by ブクログ

島村には虚しい徒労と思われる、遠い憧憬とも哀れまれる、駒子の生き方が、彼女自身への価値で、凛と撥の音に溢れ出るのであろう。
日頃無駄だと思われることも、積み重なればその人の生き様、価値になるのだと感じた。
景色の、特に星空の描写が臨場感があって素敵だと思った。
駒子がうざったく感じた。
2人の会話が難しくてすごく考えてしまったりした。話が前後で全く違ったり、飛び飛びで理解するのに苦労した。

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2020年12月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

生々しい心理描写に、ドキッとさせられた。駒子にも、葉子にも、惹かれてしまった島村のどうしようもない姿に、何とも言えない気持ちになった。

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2020年07月06日

Posted by ブクログ

難しい。大筋は単純な話ではあるけれど、何度か読み込まないと、理解できないな。ただ描写は本当に綺麗。風景描写が美しい。

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2019年12月31日

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