あらすじ
国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。「無為の孤独」を非情に守る青年・島村と、雪国の芸者・駒子の純情。魂が触れあう様を具に描き、人生の哀しさ美しさをうたったノーベル文学賞作家の名作。(C)KAMAWANU CO.,LTD.All Rights Reserved
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Posted by ブクログ
も生きるのに困らず、東京に妻子を持ちながら安全な場所から「遊び」として雪国を訪れる島村。それに対し、借金という泥臭い夜の世界に縛られながらも、異常なほどの清潔さを保ち、健気で甲斐甲斐しく生きる駒子。この残酷なまでの対比が凄まじい。
駒子が狂ったように書き留める日記や、一人で弾き鳴らす三味線の熱情。それらを、越後縮を雪に晒して漂白する「雪晒し」になぞらえ、ただ自分の目を一瞬楽しませるだけの美しい「徒労」として消費する島村のクソ男っぷりには反吐が出る。しかし、報われない熱をぶつけ続ける駒子が、次第に感情を制御できず現代でいう「メンヘラ」へと変貌していく姿は恐ろしいほどリアルだ。そしてその生々しさは、かつて島村が出会った頃の「清潔な駒子」の幻影であるミステリアスな少女・葉子と、完璧な光と影の対比を生み出している。
だが、この小説の真髄はなんといっても、狂気じみた美しさを持つ情景描写だ。真っ白な雪景色の中に浮かび上がる駒子の頬や唇の「赤」。まるで映画のワンカットのように鮮烈な色彩のコントラストには衝撃を受けた。
「虚しい壁に突き当たるこだまに似た音を、胸の底に雪が降りつむように聞いた」
島村の虚無感を表現したこの一文には震えた。駒子の燃えるような愛情も、結局は島村の心の空洞に降る雪に吸い込まれ、形を残さず溶けて消えていく運命だったのだ。
そして迎える、火事と天の川のラストシーン。燃え盛る炎の中で葉子を抱き抱え、生々しい狂気と悲哀を叫ぶ駒子の圧倒的な「熱」を前にして、島村は自分自身がすでに心を持たない空っぽの人間であることに気づく。人間のドロドロとした情熱や悲劇すらも一瞬で飲み込んでしまう、冷酷で巨大な大自然の象徴である「天の川」。そこへ意識を溶かし、現実の重さから完全に逃避して終わる結末は、虚しく、残酷で、言葉を失うほど美しい。
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雪深い温泉町を舞台に、男女の儚い関係と美しい情景を描いた作品です。
雪や温泉街の描写がとても幻想的で、美しいけれどどこか寂しい、独特の余韻が残る小説。
恋愛だけでなく、人と人との距離感やすれ違いも印象的でした。
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日本語って綺麗だー!アンビエントを聴いているときのような気分になった。川端康成は初めて読んだけど、今まで読んだ本の中でセリフがいちばんイキイキしていた。駒子が本当に魅力的!個人的には終わり方もとてもいいと思った。
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純文学というものなのか。にわかだが読んでみた。
主人公の男ははっきりとした言葉と意志を持っている。だがどこか心ここに在らずふわふわとしている。そんな男に恋したのは駒子、芸者のような女。いい女だと島村は言うが、私には可哀想な女としか思えない。叶わぬ恋を島村に寄せ、大切な人間が亡くなっていく。虚しさや侘しさを全面に散りばめたような雰囲気だ。所々の場面の描写がとてつもなく綺麗でよくもまあこんなに言葉が思いつくなと思った。
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駒子の愛情は彼に向けられたものであるにもかかわらず、それを美しい徒労であるかのように思う彼自身の虚しさがあって、けれどもかえってそれにつれて、駒子の生きようとしている命が裸の肌のように触れて来もするのだった。彼は駒子を哀れみながら、自らを哀れんだ。そのようなありさまを無心に刺し透す光に似た目が、葉子にありそうな気がして、島村はこの女にも惹かれるのだった。
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とりあえず読んでください。
情景、心、感覚全てを言葉で、理路整然とそうあるべく所に置かれるように説明されている。
幾何学的な美しさを持つ文章でありながら、あまりにもある種人工的な美しさの文章でありながら、確実に僕らの中に経験があるクオリアの種みたいなものを精密に描写されることで他人事ですまさない、一人称的な読み方をさせる書き口。
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日本語の美しさをすごく感じられた。
登場人物の誰にも共感などはできないどころか、気持ち悪さも感じられたけど、それも含めてこのくらいの時代の小説の面白さかなと思った。
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さすがノーベル文学賞を受賞した川端先生。文章が美しく、ページを捲る手が止まらなかったし、気付けば読み終えていました。
個人的にはもっと話の展開の落胆がある方が好きなので、読み終えた時に「あっこれで終わりなんだ」と思いましたが小説の世界に潜り込めて本当に楽しかったです!
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美しい話だなーと感じました。
正直、漢字が苦手で辞書を引きながらの読書で時間がかかりましたが、日本語の美しさみたいなものに惹かれました。
登場する女性たちの言葉が綺麗(現代に生きる女性の話し言葉とのギャップ?的な)だったり、仕草の温かさだったり、想像する作中の情景が雪国で…日本家屋で…静かで…という東京育ちの私にはあまりにも現実離れしすぎた「THE・NIPPON」文化の設定で、憧れみたいなものを感じつつ読んでいました。
また読みなおしたい!心の奥底の、目を閉じた先に微かに見える憧憬のワンシーンとして刻みたい!そんな小説でした。
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水のようにスッと入り、音楽を奏でるような文章。やっぱり、私は川端康成の文章が好きだ。
ただ、内容はあらためて読むと、なんだこのおやじ、という感はある。
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久しぶりに純文学を読んで、ああ読みにくいなと思った。面白くないということではなくて、一文一文を咀嚼するのに時間がかかるという意味で。むしろ味はしっかりとある。日頃食べやすく切られたSNSや動画ばっかり消費していたんだなと気づかされた。難しいなと思ったのはセリフ回し。駒子や島村ら登場人物たちの発言には目的語や詳しい説明が語られないことが多く、いかにも日本語らしい。解釈の余地も大きい。翻訳者は苦労するだろうなと思った。
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30歳を手前に古典文学を改めて読みたいと思い拝読。
日本語の美しさを感じる文章で、感性を刺激された。ただ最近の作品を多く読む自分には、文脈や言葉がスッと入ってこない部分もあり、やや苦戦しつつ読破。個人的には縮の表現が美しく、実際に見てみたいと感じた。
また歳を重ねてから雪国で読み直してみたい。
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国境の長いトンネルをぬけるとそこは雪国であった。
ここしか知らない「雪国」。学校では作者とタイトルと有名な一節を丸暗記して終わっていたが、もったいなかった!
特殊な状況や登場人物は登場しない、ありふれた人物のやり取りや心情が、情景とともに流れ込んでくる様子に、飽きる事なく一気に読めてしまった。
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登場人物の心情と特定の状況、景色をマッチさせて綺麗に文章化されてて読み応えがあった。駒子の純粋で繊細な心と島村、、気持ちはわかるけどもさぁ……と。わがままですよ、わかってるならケジメつけましょうよ、と。終盤は少し展開が早くて理解が追いつかなかったが、再読しようと思う。モデルになった湯沢温泉にも是非行きたいですね。
Posted by ブクログ
初読。課題本。
タイトルと冒頭と粗筋は聞いたことがあったが、思っているのと若干違う話だった。正直近代文学は表現を追うのに必死で話が入って来ながち。
主人公である都会人の富裕層島村と、若い温泉芸者駒子、そして美しい声の娘葉子が中心人物。
島村は本人も言っている通り親の遺産を食い潰して無為徒食の日々を送っているとの事だったので、対照的に温泉街で必死に生きる駒子や葉子を俯瞰するには丁度良い位置なのかもしれない。文中で頻繁に出て来る、駒子に向けた 離れている時は恋しく思うのに、近付いた途端突き放すような言動は、彼が「バレエの論文を書いていながら、バレエを直に見たことがない」という人物像に象徴されていると思う。
クライマックスである火事のシーンはやや唐突気味であるが、それまで再三描写されていた雪国の非日常的に静かな美しさと、そこに日常生きている人々の生々しい騒々しさとを対比させることで、雪国での非日常が終わる=島村と駒子の関係性が終わることを暗示しているのでは?と考えた。
あと女性の肉感的な描写が執拗なくらいあるわりに嫌な感じはせず、寧ろ綺麗なように感じさせるのは作者の妙だなーと思う。
考えさせる余地があり、文脈を読み取らないと筆者の真意が分からないあたり、文学だなーといった感じ。ただ、解説でも駒子が純真ながら自堕落で~みたいなこと言っていたが、どっちかと言うと仕事もせずに妻子放って温泉街で女はべらせてる島村の方がよっぽど自堕落ではないか?と思った。
Posted by ブクログ
1回目は全く理解できなくて数年ぶりにこの本をとって読んでみました。日本語ってこんなに綺麗なんだなと思わせてくれる文章でした。どうやって生きたらこのように描写や感情を美しく言語化できるのでしょうか。
ただ相変わらずストーリーが面白いかと言われるとよく分からなくて、何がオチなのかなと疑問です。
Posted by ブクログ
高橋一生と奈緒のドラマ『雪国』を見て読んでみようと。
情景描写が美しい。日本語、言葉が美しい。うつくしいなあ、だけでも読んでいられる。
雪国という別世界で、徒労感や無力感やある種のあこがれを持って(つまり優しいような、でも、どこかシラーっとしたような目で)、情熱や必死さ哀しさを、ただみてる。
乾いて言ってしまうと、情熱や主体性を取り戻したいと思ってる男の話?
Posted by ブクログ
文章に省略が多いから登場人物の心情を読み取りにくかったし、昔の事物が出てくるから情景がイメージしづらかった。
もう少し日本の歴史や古典への理解を深めてから読み直したい。
Posted by ブクログ
確かに情景描写は凄いかもしれないけど、正直この文章に日を感じる感性が自分にはないのかもしれない…
なぜ島村は既婚子持ちの無職おじさんなのに、駒子から行為を寄せられてたんだろう…
あと島村と葉子の関係性もよくわからない…
Posted by ブクログ
美しい情景描写。雪はすべてを覆い隠して真っ白にするのに、雪景色ってこんなに多彩に表現できるのか。外の寒々しさと対照的な温泉宿の温かさ、そこで聴こえてくる音、視覚だけでなく温度感や聴覚も文章だけで伝わる。もし、これだけの語彙力と表現力を多くの人が持っていたら、ビデオカメラは発明されなかったかも。
それはそうと、この島村という男のどこにそんな魅力があるのかが疑問だった。島村目線でしか語られないから、駒子がどうしてそんなに惚れ込んでいるのかが分からない。超絶顔が良いとか?
それでも私が駒子の友だちなら「そいつはやめとけ」と言いたくなるタイプ。彼女に見送られて電車に乗り込んで、物理的な距離ができた途端に、「遠く感じる」とか言ってのける薄情さ。彼女の気持ちを徒労だと叩きつけることで、彼女の思いの純粋さを眺めようとする、自分本位な傲慢さ。
駒子の気持ちは、他者にやめとけと言われるほど燃えそうではあるけど。
ただ、恋愛が楽しむことそのものを目的とするものであるなら、駒子のようにいつ来るか分からない男に翻弄されて、乱れた心をそのまま明け渡してしまう恋も悪くないのかも。
苦しければ苦しいほどその人を好きだと実感する。返ってこなかった愛ほど一生もの。
駒子の叶わぬ恋を、頭ごなしに"不幸"と決めつけることはできない。
だけどやっぱり解せない。個人的にはちゃんと返ってくる愛が良いし、やっぱり友だちなら止めたくなる。幸せなんてみんな自己満足だけど、自分についた傷を愛でるような幸せはなんかちょっと違うよ、と言ってやりたくなった。
Posted by ブクログ
情景が目に浮かぶ、艶かしい作品だった。
自分用メモ:東京のお金持ちのおじさんが、湯沢温泉まで旅行に行って駒子という19歳くらいの芸者を特別気にいる。あまりに清潔で美しいから性的なことはしないでいたが、女の子の方が惚れ込んでしまう。だからもう来るのやめよ、って思って終わり
蜻蛉トンボ
Posted by ブクログ
2年前から、#雪国リトリート というプロジェクトをお手伝いさせていただいております。関わり始めて以来、何度となく、”国境の長いトンネル”を抜けて雪国に行っております。
湯沢あたりでは、そこかしこで「川端康成」の面影を感じており、いつか読んでみようと思っていた、こちらの名作。
私自身、純文学というものにあまり馴染みがなく、どういう気持ちで読んだら良いのか、まだ掴めないでおります。ただそれでも、登場人物それぞれの人間らしい弱さは、すぐそこに感じるようなリアルさがあり、胸を締め付けるものがありました。
そして、どこか醸し出される情景や心情の雪国らしさ。南国のような突き抜けた優しさではなく、どこか一歩引いた奥ゆかしい優しさが感じられます。それが太陽の優しさと雪の優しさの違いなのでしょうか。
作品中、”縮(ちぢみ)”や”雪晒し(ゆきさらし)”についての記述があり、ちょうど塩沢紬について話を聞いた後だったので、新潟と着物文化がまた少しつながった感覚がありました。
おそらくまた読み返したくなる気がする、そっと本棚にしまっておこうと思うようなそんな小説でした。
Posted by ブクログ
主人公の何をしているかわからない日常と、その割に奥さんをほおって温泉宿で浮気をしている生活にどうにも感情移入ができないと思って、人に話したら、それが「高等遊民」というもんだと説明された。この時代のあるインテリ男子の憧れの生活スタイルだったようだ。それが学べる小説とも言える。
Posted by ブクログ
生きていることの儚さとか意味のなさとか、そのなかでの虚ろな戯れの美しさを感じる物語。曇天の北海道旅行には最適な本だった。日本語の繊細さを噛み締めにまた戻ってきたい。
Posted by ブクログ
序盤の、汽車の場面の描写がとても良かったです。寒さで曇った窓ガラスを手で拭くと、向かい側の席に座る女性の顔が反射して浮かび上がり、窓の外の風景と重なり合う。その顔に野山の灯火が映し出されたところが美しかったです。
中盤〜後半も随所にある風景描写は好きでしたが、全体的に時代設定や雪国の文化に馴染みがなく想像しづらい部分があり、難解に感じました。
川端康成の他の作品も読んでみようと思います。