あらすじ
国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。「無為の孤独」を非情に守る青年・島村と、雪国の芸者・駒子の純情。魂が触れあう様を具に描き、人生の哀しさ美しさをうたったノーベル文学賞作家の名作。(C)KAMAWANU CO.,LTD.All Rights Reserved
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Posted by ブクログ
米津玄師のorionに、真白な陶器みたいな声という歌詞があるが、雪国の白い陶器に薄紅を刷いたような皮膚というのを連想させた。
スキィ、ヴェエル、ポスタア、ウィスキィ、カアテン、クリイム、ストオヴ、大正や昭和初期らしい表記で、宮沢賢治感もあって、好き。
濃深縹色、玉蜀黍(とうもろこし)色、檜皮(ひわだ)色、桑染(くわぞめ)色、紅葉の銹(さび)色、、、日本の伝統色による表現が多かった。
表現がこれまで読んだどんな作品よりも深くて素敵で驚いた。読んでよかった。
Posted by ブクログ
序盤の、汽車の場面の描写がとても良かったです。寒さで曇った窓ガラスを手で拭くと、向かい側の席に座る女性の顔が反射して浮かび上がり、窓の外の風景と重なり合う。その顔に野山の灯火が映し出されたところが美しかったです。
中盤〜後半も随所にある風景描写は好きでしたが、全体的に時代設定や雪国の文化に馴染みがなく想像しづらい部分があり、難解に感じました。
川端康成の他の作品も読んでみようと思います。
Posted by ブクログ
無為徒食でニヒルな島村と、不器用だが素直で純粋な駒子との愛のかたちが描かれた本。
徒労を嫌い蔑み、虚無でもあり事実をそのまま受け取るような島村と、熱を帯びた情念で素直に生きる芸妓の駒子の対比が、特に最後の火事の場面において印象的に書かれている。
「徒労とは」
人々は無駄を嫌うが無駄をしない人などおらず、駒子のような徒労を続ける、続けることができる強い人間を逆説的に肯定している作品だと感じた。