川端康成のレビュー一覧
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初読。課題本。
タイトルと冒頭と粗筋は聞いたことがあったが、思っているのと若干違う話だった。正直近代文学は表現を追うのに必死で話が入って来ながち。
主人公である都会人の富裕層島村と、若い温泉芸者駒子、そして美しい声の娘葉子が中心人物。
島村は本人も言っている通り親の遺産を食い潰して無為徒食の日々を送っているとの事だったので、対照的に温泉街で必死に生きる駒子や葉子を俯瞰するには丁度良い位置なのかもしれない。文中で頻繁に出て来る、駒子に向けた 離れている時は恋しく思うのに、近付いた途端突き放すような言動は、彼が「バレエの論文を書いていながら、バレエを直に見たことがない」という人物像に象徴されている -
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ネタバレ文章も構成も確かに美しい。複雑でないものを陳腐というのは浅薄だが、しかし、画期的とまでは言えない気がする。伊豆の踊り子以外の篇を未だ読んでいないので、悪しからず。
薫に投影される、無垢で潔白な女性像というのは、愛情とか神秘を描くのに一役買っているのかもしれない。しかし、時代背景の理解が浅いのかもしれないが、気持ち悪いと感じてしまった。『草枕』の女は神秘的でエロティックで不快感も感じなかったが、それだと温度のある愛情を表現できないから、やりたいことは成功してるのかもしれない。
というのが今の自分のファーストインプレッションで、文学を味わい、学んでいく過程で変わっていく価値観かもしれません(と -
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美しい四季折々の鎌倉を舞台に、初老の尾形信吾目線で、悩ましい家族のあれこれや死への恐れと哀愁が、情緒豊かに描かれていた。
『雪国』の時も感じたが、川端康成は人の心の機微を、情景に写し込むのが本当に上手い。
例えば、信吾が栄螺を3つ買うシーン。
自分と妻・保子と嫁・菊子の分で、ここに息子・修一の分は含まれていない。
息子は別の女の元へ通っているのだ。
『…三つの貝の身が入りまざって、それぞれの貝の身が元通りの貝殻にはかえらないだろうと、信吾は妙に細かいことに気がついた』
私には三つの貝の身が三人のことに重なり、もう元の鞘には収まらないだろうことの暗示に思えた。
また、信吾が急にポツンと人肌 -
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川端の鹿屋における「海軍報道班員」経験が下敷きになっていると
考えられえる小説ということで読む。
鹿屋を訪ねたときのお供でもある。
久しぶり、おそらく20年ぶりくらいの川端ワールド。
あいかわらず美しくて不気味。
なんか露悪的というか変態的というか・・・
そういう部分が必ずあるんだよね、川端。
建築家の父をもつ美しい三姉妹は、それぞれ母親が違う。
長女は特攻兵として恋人が戦死して以後、少年愛に走り・・・
次女は優しい娘として心を砕き・・・
三女は一人芸妓の母の元、ひっそりと生きて・・・
ところが、運命のいたずらで・・・
という小説。
結末の終わり方がいい。
川端が愛した「美しい日本」ら -
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ネタバレ双子の姉妹の話だと聞いて読みたくなった。初めての川端康成である。思っていたより読みやすかった。京の人に校正してもらったという京言葉は本当に美しく感じた。舞子さんが使っているイメージが強いが、一般の人でもこんな雅な言葉遣いだったんだなぁ。四季折々の京の描写があり行きたくなった。北山杉の森に行きたい。
苗子が千恵子を好きすぎて可愛い。尊い姉妹愛。
苗子千恵子、秀男、大問屋の兄弟の五角関係だと思うのだが、終わり方が良くも悪くもスパッと中途半端に終わるのでとても気になる。最後に姉妹2人の夜で終わらせたのはいいと思う。物語の完結が目的ではなく、京という箱庭の中で行き合う人々の物語…かな? -
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表題他、「温泉宿」「抒情歌」「禽獣」を収録。
「伊豆の踊子」読後にこの三篇が続き、あまりの違いに驚いた。
「抒情歌」は死んだ元恋人への独り言。捨てきれぬ恋しさ、妬みを夢うつつで語る。その執着が気持ち悪いけど、紅梅のせいか美しく纏っており、読後急に現実に戻ってくる不思議な感覚。
「禽獣」は人嫌いで鳥や犬を愛する主人公。果たしてペットを可愛がっているのか非常に怪しい。彼は可愛がってるのだろうが、ペットにしてみれば悲愴。不気味な話であった。
「温泉宿」の感想を書いてる人がいない。なぜならよく分からない話だからだと思う。一言でいうと、じっとりとした生が描かれていた。本当にこのような生活があったのだろう