川端康成のレビュー一覧

  • 古都(新潮文庫)

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    ネタバレ

    双子の姉妹の話だと聞いて読みたくなった。初めての川端康成である。思っていたより読みやすかった。京の人に校正してもらったという京言葉は本当に美しく感じた。舞子さんが使っているイメージが強いが、一般の人でもこんな雅な言葉遣いだったんだなぁ。四季折々の京の描写があり行きたくなった。北山杉の森に行きたい。
    苗子が千恵子を好きすぎて可愛い。尊い姉妹愛。
    苗子千恵子、秀男、大問屋の兄弟の五角関係だと思うのだが、終わり方が良くも悪くもスパッと中途半端に終わるのでとても気になる。最後に姉妹2人の夜で終わらせたのはいいと思う。物語の完結が目的ではなく、京という箱庭の中で行き合う人々の物語…かな?

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    2023年10月26日
  • 古都(新潮文庫)

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    一文一文、一行一行が美麗で気持ち良し。
    睡眠薬で頭がイカれた狂人が書いたものとは思えない程である。
    著者本人が認める「私の異常な所産」意外なにものでもない。
    読後は甚だ清涼感に包まれ、暖かさが胸に宿っている。
    京言葉に少々難儀はするものの、双子の出会いから織り成す四季折々の情景は美しく描写され、京都民への羨望がでてくる。天才のセンスっておそろしい。

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    2023年10月25日
  • 古都(新潮文庫)

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    美しい京都の街並みが静謐な文章によって描かれており、実際に旅をしているかのようだった。
    始めは京言葉に慣れず読みにくく感じたが、途中から全く気にならなくなり、むしろ京言葉に親しみを感じるようになる。

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    2023年09月25日
  • 伊豆の踊子(新潮文庫)

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    表題他、「温泉宿」「抒情歌」「禽獣」を収録。
    「伊豆の踊子」読後にこの三篇が続き、あまりの違いに驚いた。
    「抒情歌」は死んだ元恋人への独り言。捨てきれぬ恋しさ、妬みを夢うつつで語る。その執着が気持ち悪いけど、紅梅のせいか美しく纏っており、読後急に現実に戻ってくる不思議な感覚。
    「禽獣」は人嫌いで鳥や犬を愛する主人公。果たしてペットを可愛がっているのか非常に怪しい。彼は可愛がってるのだろうが、ペットにしてみれば悲愴。不気味な話であった。
    「温泉宿」の感想を書いてる人がいない。なぜならよく分からない話だからだと思う。一言でいうと、じっとりとした生が描かれていた。本当にこのような生活があったのだろう

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    2023年08月19日
  • 虹いくたび(新潮文庫)

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    京都の嵯峨野や嵐山、渡月橋などの風流な情景が表されていて優しい表現が多かった。
    宮ちゃんと百子の物語、『僕を捨てるの?』

    百子が相手に任せてしまう性格だと青木の父が指摘する所などが頭に残っている。

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    2023年07月28日
  • 掌の小説(新潮文庫)

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    掌編小説がなんと122編も入っているボリューミーな一冊。
    キュンとする話あり、人妻の大群の話あり、望遠鏡で病院の屋上での密会を覗く話あり、実に幅広い。
    小川洋子さんの解説も、とても読みごたえあります。

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    2023年06月18日
  • 雪国

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    正直、物語はよく分からなかったのですが、悉く表現が美しく情景が綺麗なので、こんなにも雪が美しいものだということを、初めて知った一冊になりました。

    いい感じに物語がよく分からないから、余計にいいのかもしれないとか、思います。

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    2023年06月18日
  • 雪国(新潮文庫)

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    無為徒食な島村が新潟の温泉に出かけそこで芸者の駒子と出会う。駒子は島村のことが好きになるも、島村は駒子の許嫁を看病していた葉子に惹かれていた。駒子がすごく島村のことを愛しているが、島村はどこか冷静で雪国のように冷たか対応する。最後の天の川の描写は織姫と彦星の関係のように二人の関係も結ばれないことを示してるそう。後半の麻織物について島村が語っているのは織姫となんか関係あるのか

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    2024年11月19日
  • 古都(新潮文庫)

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    景色は花の描写が多く、読みながら想像するのが楽しかった。ストーリーは昔の話なので今読むと逆に新鮮でした。
    川端康成の他の本も読んでみたいです。

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    2023年06月08日
  • 山の音

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    今の時代とは違う
    価値観や文化

    よくも悪くも
    日本人の家族関係が
    ウエットなものから
    ドライなものに
    変わったなぁと
    しみじみ思った

    現代だったら
    スパーンと
    離婚とか別居とかに
    なりそう

    機微も情緒もないか...

    鈴虫ブックスにて購入

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    2023年05月31日
  • 少年(新潮文庫)

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    川端康成作品の中でもあまり整理されていない(いい意味で)、直球の表現が多い感じがする
    でもその表現が好きだった

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    2023年05月21日
  • 伊豆の踊子・温泉宿 他4篇

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    デビュー作を含む、川端康成の初期の作品集である。
    若さ故か、私の読解力不足か、所々で話者や情景がわかりにくい箇所があった。
    しかし、それでも後の文豪となる片鱗を見せ、毒のないサッパリとした文章でありながら、森や温泉の匂いが鼻先にツンと香ってくるような、艶かしい表現を併せ持っている。

    特に印象的だったのが『青い海黒い海』だ。自殺をした男の手記である。揺れ動く人間情緒を追った他作品とは一線を画した短編になっており、別の作家の作品だと勘違いしてしまいそうなほどだ。かなり哲学的な内容で、ハマる人はとことんハマるだろう。

    日本で2人しかいないノーベル文学賞受賞者は伊達じゃない。しかし、ここまで美しい

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    2023年05月16日
  • 山の音

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    読み始めたときは登場人物のことも、状況もわからないせいで何が言いたいのか分からない情景描写ばかりが続いて面白くないーーー!と思ったけど、話が進んできて展開がどんどん先へ先へと行く所まで読むと逆にそれが面白いと思った。
    慣れてきたのか、読み解けるようになったのかは分からないけども、時間置いてまたじっくり読み直したいなと思うくらいには面白かった。

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    2023年05月12日
  • 古都(新潮文庫)

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    川端康成文学忌 1899.6.14 ー1972.4.15
    川端忌 又は 康成忌

    川端康成が、京都の風景・伝統行事・四季折々の木花を美しく描き、京都弁を文字で読めます。(京都弁に関しては、手が加えられているとのこと)
    生き別れとなり、全く別の人生をたどった双子の姉妹の出会と別れの物語。
    捨て子だが、大切に育てられ呉服問屋の一人娘となった千恵子。親元に残されたが、早くに両親を亡くし家も失い山仕事で生計を立てる姉・苗子。
    二人は、祇園祭で偶然に出会う。二人は心通じ互いの幸せを願う。姉苗子は、自分の境遇が妹の幸せに影を落とすことを恐れて、一人山に戻っていく。
    メインのストーリーは、姉妹の互いを思いや

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    2023年04月16日
  • 伊豆の旅

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    伊豆旅行のお供にぴったりの1冊だった。

    竹西寛子は『川端康成 人と作品』で、「それらの作品を観光小説風に扱う冒瀆はまことに耐え難い。」と書いてはいるが、こちらのアンソロジーは「伊豆へ旅するひとにも 伊豆を旅したひとにも 伊豆の旅を想う人にも なつかしい愉しい本」。

    名作のもととなったエピソードが多く読めて面白い。たとえば『伊豆の踊子』で踊子が「私」を評する「いい人」という言葉について。私たちは「いい人どまり」などと言うように、「いい人」をあまり字面どおりに取れなくなっている。孤児根性をこじらせていた川端康成はこの「いい人」という言葉に心から救われたという。

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    2023年04月08日
  • 雪国

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    雪国
    川端康成

    物語の舞台は新潟県湯沢温泉
    無為徒食の男「島村」と雪国で芸者をしている「駒子」の物語。
    「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。…」の一文で始まる有名な作品ですが、初めて最後まで読みました。

    駒子が自分に好意を寄せているのを知りながら、最後まではぐらかし続ける島村。物語が進んで、関係が近づけば近づくほど、結びつかない二人の描写は読んでいてヤキモキしました。芸者という駒子の設定から少し大人びた表現もありますが、心情や動作、周囲の情景の変化などを文字だけで描写する川端康成の表現力に、文学の奥深さを感じました。
    学生時代に授業か何かで読んだ時はよく分からず食わず嫌いをしていま

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    2023年03月22日
  • 古都(新潮文庫)

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    "もみじの古木の幹に、すみれの花が開いたのを、千重子は見つけた。
    「ああ、今年も咲いた。」と、千重子は春のやさしさに出会った。

    シンプルで美しい書き出しですね。
    京都の四季、自然の美しさ、祭りを背景にストーリーが進んでいきます。
    セリフが全て京都弁なのも味があります。
    京都を訪れる前に読んでおくと、いいかなと思います。

    川端康成は、この美しい文章の作品を
    睡眠薬を常飲しており、自分でも何を書いたのかよく憶えていないと自身のあとがきに記しています。
    天才は凄いな!

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    2023年03月09日
  • 古都(新潮文庫)

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    川端康成の本は初めて読んだけど、想像してたより読みやすかった!

    京都の風景、行事の描写が本当に美しくてその空気感に引き込まれた。性格が悪い人も出てこなくてとても気持ちよく読めた。

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    2023年03月06日
  • 少年(新潮文庫)

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    50歳で、日記や手紙や小説で、10代後半から20代前半にかけての自身を紐解き振り返る。川端康成が幼い頃から両親や祖父母や兄弟との別離を繰り返していたことを知らなかった。美しい年下の少年が、孤独を癒しあるがままに受け入れ側にいることは、どんなに必要なことだったのだろう。どこかに別れや死を感じさせる既読の小説が、腑に落ちた。

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    2023年03月04日
  • 伊豆の踊子・温泉宿 他4篇

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    『十六歳の日記』
    奇を衒う表現がないので読みやすく、表現が簡素であるためか却って表現以上のものを感じる。

    『招魂祭一景』
    正直、情景が全く浮かばなかった。わざとわかり難く書いているのか、狙い通りに書くとわかりにくくなってしまうのか、それとも当時の著者に表現力が足りないのか。単純に若いだけとも感じられる。

    『伊豆の踊子』
    大学の頃に一度読んで「だから何なんだ」と感じた以来で二度目。『雪国』ほどの胸一杯感はなかったが、それでも今回は、踊子の駆け引きのない少女らしい言動にキュンキュンした。踊子は結局主人公に惚れていたのだろうか。少女から女性への成長の途中といった感じで、場面によって言動に揺れがあ

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    2023年03月04日