川端康成のレビュー一覧
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ネタバレ双子の姉妹の話だと聞いて読みたくなった。初めての川端康成である。思っていたより読みやすかった。京の人に校正してもらったという京言葉は本当に美しく感じた。舞子さんが使っているイメージが強いが、一般の人でもこんな雅な言葉遣いだったんだなぁ。四季折々の京の描写があり行きたくなった。北山杉の森に行きたい。
苗子が千恵子を好きすぎて可愛い。尊い姉妹愛。
苗子千恵子、秀男、大問屋の兄弟の五角関係だと思うのだが、終わり方が良くも悪くもスパッと中途半端に終わるのでとても気になる。最後に姉妹2人の夜で終わらせたのはいいと思う。物語の完結が目的ではなく、京という箱庭の中で行き合う人々の物語…かな? -
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表題他、「温泉宿」「抒情歌」「禽獣」を収録。
「伊豆の踊子」読後にこの三篇が続き、あまりの違いに驚いた。
「抒情歌」は死んだ元恋人への独り言。捨てきれぬ恋しさ、妬みを夢うつつで語る。その執着が気持ち悪いけど、紅梅のせいか美しく纏っており、読後急に現実に戻ってくる不思議な感覚。
「禽獣」は人嫌いで鳥や犬を愛する主人公。果たしてペットを可愛がっているのか非常に怪しい。彼は可愛がってるのだろうが、ペットにしてみれば悲愴。不気味な話であった。
「温泉宿」の感想を書いてる人がいない。なぜならよく分からない話だからだと思う。一言でいうと、じっとりとした生が描かれていた。本当にこのような生活があったのだろう -
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デビュー作を含む、川端康成の初期の作品集である。
若さ故か、私の読解力不足か、所々で話者や情景がわかりにくい箇所があった。
しかし、それでも後の文豪となる片鱗を見せ、毒のないサッパリとした文章でありながら、森や温泉の匂いが鼻先にツンと香ってくるような、艶かしい表現を併せ持っている。
特に印象的だったのが『青い海黒い海』だ。自殺をした男の手記である。揺れ動く人間情緒を追った他作品とは一線を画した短編になっており、別の作家の作品だと勘違いしてしまいそうなほどだ。かなり哲学的な内容で、ハマる人はとことんハマるだろう。
日本で2人しかいないノーベル文学賞受賞者は伊達じゃない。しかし、ここまで美しい -
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川端康成文学忌 1899.6.14 ー1972.4.15
川端忌 又は 康成忌
川端康成が、京都の風景・伝統行事・四季折々の木花を美しく描き、京都弁を文字で読めます。(京都弁に関しては、手が加えられているとのこと)
生き別れとなり、全く別の人生をたどった双子の姉妹の出会と別れの物語。
捨て子だが、大切に育てられ呉服問屋の一人娘となった千恵子。親元に残されたが、早くに両親を亡くし家も失い山仕事で生計を立てる姉・苗子。
二人は、祇園祭で偶然に出会う。二人は心通じ互いの幸せを願う。姉苗子は、自分の境遇が妹の幸せに影を落とすことを恐れて、一人山に戻っていく。
メインのストーリーは、姉妹の互いを思いや -
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伊豆旅行のお供にぴったりの1冊だった。
竹西寛子は『川端康成 人と作品』で、「それらの作品を観光小説風に扱う冒瀆はまことに耐え難い。」と書いてはいるが、こちらのアンソロジーは「伊豆へ旅するひとにも 伊豆を旅したひとにも 伊豆の旅を想う人にも なつかしい愉しい本」。
名作のもととなったエピソードが多く読めて面白い。たとえば『伊豆の踊子』で踊子が「私」を評する「いい人」という言葉について。私たちは「いい人どまり」などと言うように、「いい人」をあまり字面どおりに取れなくなっている。孤児根性をこじらせていた川端康成はこの「いい人」という言葉に心から救われたという。 -
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雪国
川端康成
物語の舞台は新潟県湯沢温泉
無為徒食の男「島村」と雪国で芸者をしている「駒子」の物語。
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。…」の一文で始まる有名な作品ですが、初めて最後まで読みました。
駒子が自分に好意を寄せているのを知りながら、最後まではぐらかし続ける島村。物語が進んで、関係が近づけば近づくほど、結びつかない二人の描写は読んでいてヤキモキしました。芸者という駒子の設定から少し大人びた表現もありますが、心情や動作、周囲の情景の変化などを文字だけで描写する川端康成の表現力に、文学の奥深さを感じました。
学生時代に授業か何かで読んだ時はよく分からず食わず嫌いをしていま -
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『十六歳の日記』
奇を衒う表現がないので読みやすく、表現が簡素であるためか却って表現以上のものを感じる。
『招魂祭一景』
正直、情景が全く浮かばなかった。わざとわかり難く書いているのか、狙い通りに書くとわかりにくくなってしまうのか、それとも当時の著者に表現力が足りないのか。単純に若いだけとも感じられる。
『伊豆の踊子』
大学の頃に一度読んで「だから何なんだ」と感じた以来で二度目。『雪国』ほどの胸一杯感はなかったが、それでも今回は、踊子の駆け引きのない少女らしい言動にキュンキュンした。踊子は結局主人公に惚れていたのだろうか。少女から女性への成長の途中といった感じで、場面によって言動に揺れがあ