川端康成のレビュー一覧

  • 虹いくたび(新潮文庫)

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    ネタバレ

    (以下コピペ)
    建築家水原のそれぞれ母の違う三人の娘、自殺した母の悲劇と戦争に恋人を奪われた心の傷(いた)みのために次々と年下の美少年を愛する姉百子、京都の芸者の子である妹若子、全く性格の違う姉や妹をはらはらと見守る優しい麻子。大徳寺、都踊、四条から桂離宮――雅(みやび)やかな京風俗を背景に、琵琶の湖面に浮かんだ虹のはかなさ美しさにも似た三姉妹の愛と生命(いのち)の哀しみを詩情豊かに描く名作。
    (コピペ以上)

    とあらすじにあるので三姉妹に平等にスポットが当たるかと思いきや、
    三女・若子はちょっと絡んでくる程度。
    前半のメインはイイコチャンの次女・麻子。
    後半は魔的な長女・百子がメインになる。

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    2023年01月31日
  • 少年(新潮文庫)

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    神奈川近代文学館「没後50年 川端康成展 虹をつむぐ人」に足を運び、この方の人となりに強く興味を持った。
    悲しいけれど今までまともに読んだことがなかったのが、
    先入観なく、かえって良かったのかもしれない。
    この作品も小説というよりも随想のような感じなのが好ましく、彼に抱いた印象がますます色濃くなったように思う。
    今年は川端康成を沢山読みたい。

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    2023年01月27日
  • 雪国

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    難しい・・・。文学とは物語のドラマチックさではい別の何かで魅せるものだというが、この作品はそういうものだった。日本語ならではの曖昧な表現の妙味とか、愛や生活の無常さとか、それらが寂れた景色に沈んでいく様とか、そういうのなのかなぁ?巻末の、英国人による解説が秀逸だ。作品についての講義でも受けないと、魅力を知り尽くすのは難しそうだ。

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    2022年12月31日
  • 伊豆の踊子(新潮文庫)

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    「雪国」に次いで川端康成第二弾。
    書店で文庫を購入してあったのを読む。多分、初読。
    帯には「時を超え読み継がれる永遠の青春小説」と書かれている。
    「伊豆の踊子」ほか3編が収録。

    読み終えて無性に夏目漱石の「三四郎」を読み返したくなる。多分私のなかでは「永遠の青春小説」は「三四郎」なのだ。

    男性の読者ならば共感できるのかもしれないが、私にはこの作品の中の踊子の描写は無理みたいだ。

    ひたすら残念。
    とはいえ、ノーベル賞作家の作品だし、読んで良かった。

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    2022年12月28日
  • 古都(新潮文庫)

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    たゆやかで美しき日本語。
    後半「幻」にこだわるシーンがあったのは
    川端康成が当時ゆめうつつであったからだろうか。

    近くにいる。
    されど、交わることはない2人。

    それもまた美しいのである。

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    2022年11月29日
  • 小公子(新潮文庫)

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    名前は知っていたが読んだことのなかった「小公子」児童向けの小説と思っていた。少年セドリックの優しさや清らかな心、意地悪な伯爵に心からぶつかっていく姿。シンプルなストーリーだけど、読みやすいのでぐいぐい読めました。人に親切にすれば自分も幸せになる。読んでるとなんか心が洗われます。

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    2022年10月18日
  • 少年(新潮文庫)

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    小説というより随筆だった。川端康成が生まれ育ちから人とは異なる自分を後ろめたく思っていた頃に、寄宿舎でであった少年がその自分を受け入れてくれたことから自分を認められるようになった原点の話。心の中では性的な思いも抱えていたらしい描写もあったが、少年とのふれあいは純粋なもので、ただ乾いた紙に湿った手で触れるような、そういう微妙な湿度があった。書簡のやりとりが本文の大半を占めていて、少年の頃のあどけない言葉が微笑ましくて、そして少し羞恥を煽られた。あんな、世界が君だけみたいな時代、たしかに自分にもあったなぁという。

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    2022年09月28日
  • 現代語訳 竹取物語

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    ネタバレ

    ノーベル賞作家の川端康成による現代語訳の本編と、川端本人による解説からなる一冊。
    子供の頃に『かぐや姫』の絵本は読んだけど、『竹取物語』の全編を読むのは初めてです。

    結婚をしたくないため、かぐや姫は5人の貴公子それぞれにある品を持ってくるように言い渡しますが、これがこの世に存在しない(と思われる)代物。貴公子たちはお題の品物を探しますが、インチキしたり、騙されて偽物を掴まされたり、或いは品物を求めるにあたって怪我をしてしまったり…。
    結局、この5人はかぐや姫の婿にはなれず。
    かぐや姫の勝ちです。

    かぐや姫が帝と相対したときに消えて影のようになってしまうのにはびっくりしました。人間ではない存

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    2022年08月29日
  • 掌の小説(新潮文庫)

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    ネタバレ

    ここへ来る汽車の窓に、曼珠沙華(まんじゅしゃげ)が一ぱい咲いていたわ。
    あら曼珠沙華をごぞんじないの?あすこのあの花よ。
    葉が枯れてから、花茎が生えるのよ。
    別れる男に、花の名を一つは教えておきなさい。
    花は毎年必ず咲きます。

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    2022年08月09日
  • 伊豆の旅

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    4月のGuruGuruBooks読書会で使用
    伊豆の踊子を課題図書にしたので、伊豆の踊子を読むからにはセットで読みたいこの本の中からも、いろいろと紹介をして読書会を進めた。
    担当より

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    2022年08月07日
  • 少年(新潮文庫)

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    恥ずかしながら、源氏物語を愛読されていた事をこの本を読んで知りました。
    かな文学のような、やわらかな美しさがあると感じていたので納得。
    文章が静かでとてもきれい。
    やはり思春期には生い立ちや孤独、人への希求があったんだなぁ。

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    2022年07月21日
  • 小公子(新潮文庫)

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    最初から、最後まで、素晴らしい翻訳でした。

    少年セドリックは、イギリス人の父とアメリカ人の母、家族三人慎ましくも愛情溢れる生活を送っていた。美しく、愛らしく、賢いヒューマニティの宝石箱の様な少年は、周囲の人たちにも愛されていく。
    父親の死後、突然、父の祖父から伯爵家の後継としてイギリスに迎えられる。
    小公子となったセドリックは、慈愛溢れる言動で、頑なな祖父伯爵の心を、領民の信頼を得ていく。
    川端康成の名訳(共訳で後に改修もあるらしいけど)の小公子セドリックに、すっかり癒されます。

    私は「少年少女世界の文学・アメリカ編」で、小公女・小公子をはじめ読みましたので、川端訳だったようです。
    そして

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    2022年07月04日
  • 少年(新潮文庫)

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    帯には『旧制中学。寄宿舎。美しい後輩との<少年愛>』とあり、巻末にエッセイを寄せている宇能鴻一郎さんもその面を強調していますが、その美しい後輩の清野が入信していた大本教の影が非常に濃く、単なる少年愛小説ではなく、当時の新興宗教に一家で没入している後輩との恋愛を振り返った作品であると感じました。大本教の教義を信じきっている清野はそれ故に純粋で無垢であり、それが川端の彼に対する欲望と幻想を呼び起こしているように読めます。川端の作り出した清野の虚像と、実際の清野の内面とのすれ違いの連続が物悲しいです。

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    2023年06月16日
  • 少年(新潮文庫)

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    日本語が美しくてうっとりした。

    下級生への一途な純愛かと思いきや、他の美少年(複数)に見惚れたり少女にも興味があったりと、川端先生は自分の欲望に素直すぎます。

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    2022年05月29日
  • 雪国

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    高橋一生と奈緒のドラマ『雪国』を見て読んでみようと。

    情景描写が美しい。日本語、言葉が美しい。うつくしいなあ、だけでも読んでいられる。

    雪国という別世界で、徒労感や無力感やある種のあこがれを持って(つまり優しいような、でも、どこかシラーっとしたような目で)、情熱や必死さ哀しさを、ただみてる。

    乾いて言ってしまうと、情熱や主体性を取り戻したいと思ってる男の話?

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    2022年05月07日
  • 愛する人達

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     1941(昭和16)年刊。川端42歳の頃に雑誌『婦人公論』に連載された、9編から成る連作短編小説集。
     川端康成については、高校生の頃新潮文庫のを11冊買って何となく読み、成人してからは読み返すこともなかったので、かなり久しぶりである。さすがに日本初のノーベル文学賞作家というだけあって、廃版の多い新潮文庫でも、現在もラインナップは残り版を重ねているようだ。
     新感覚派の旗を担ったこともある川端の文章は、時折常態とは異なる新鮮な語の選択を見せ、それはよくスパイスのきいた文学的なものであり、大きな起伏も、骨太なストーリーらしきものも欠きつつさりげなく編み出されるこの小説ストリームは、やはり純粋芸

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    2022年03月20日
  • 美しい日本の私

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    川端康成のノーベル賞記念講演を中心にまとめた1冊。
    古典、四季、芸術など様々な視点から日本人が持つ美意識を振り返っている。
    こういった心の豊かさが筆を走らせている源となっているのかと感じた。
    読み返したくなる1冊。

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    2022年03月19日
  • 雪国

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    有名な冒頭以外に一度も読んだことがなかったので今更ながら読んでみました。ストーリーとして云々よりも描写が美しくて忘れられません。芸者駒子のか弱さと強さを共に持ち合わせたひたむきな生き様が静かに深く胸に染み渡ってくるようでした。しかしながら最初から最後まで駒子の情熱に対してしまむらは冷静すぎて、なんと罪作りな男のだろうと腹立たしくも感じました。妻子ある島村が何故に駒子に惹かれたのだろうと思うとそれはまさしく雪に晒すとより白くなる縮と同じで、彼は駒子を通して自分の中の濁った部分を浄化しようとしてたのではないか?と思います。駒子はそれを知って泣いたのでしょうね。ラストシーンが冒頭に増して良かったです

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    2022年01月18日
  • 山の音

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    老人と、その息子の嫁が、プラトニックな恋をする
    といったような話
    老人は、かつて好きだった女(義理の姉)の面影を嫁に重ねており
    嫁は嫁で、ファザコンの気を老人に向けているらしい

    子供たちは、それぞれ夫婦生活に問題を抱えている
    兄の修一は外に女を作っており
    また妹の房子は夫と別居して
    二人の孫と共に実家に帰ってきている
    老いたりとはいえ、まだ現役で働いている老人は
    どうしても房子夫婦の問題に手が回せず
    修一夫婦のことばかりに気をとられてしまうのだが
    それはあるいは要するに
    実の娘より嫁の菊子が可愛いから依怙贔屓してるだけ
    なのかもしれない
    そんな自分に老醜を感じて、嫌な気持になることはあっても

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    2021年07月27日
  • 美しい日本の私

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    ネタバレ

    (2021-04-07 3h)

    実は未だ川端康成さんの本は読んだことがありません。ただ、タイトルに惹かれて、この本を手に取りました。
    『花は眠らない』。「花は眠らないと気がついて、私はおどろいた。」この一節からぐぐいと惹き付けられました。最高です。
    『源氏物語』『枕草子』への思い入れも強く書かれています。

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    2021年04月07日