川端康成のレビュー一覧
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ネタバレ(以下コピペ)
建築家水原のそれぞれ母の違う三人の娘、自殺した母の悲劇と戦争に恋人を奪われた心の傷(いた)みのために次々と年下の美少年を愛する姉百子、京都の芸者の子である妹若子、全く性格の違う姉や妹をはらはらと見守る優しい麻子。大徳寺、都踊、四条から桂離宮――雅(みやび)やかな京風俗を背景に、琵琶の湖面に浮かんだ虹のはかなさ美しさにも似た三姉妹の愛と生命(いのち)の哀しみを詩情豊かに描く名作。
(コピペ以上)
とあらすじにあるので三姉妹に平等にスポットが当たるかと思いきや、
三女・若子はちょっと絡んでくる程度。
前半のメインはイイコチャンの次女・麻子。
後半は魔的な長女・百子がメインになる。 -
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ネタバレノーベル賞作家の川端康成による現代語訳の本編と、川端本人による解説からなる一冊。
子供の頃に『かぐや姫』の絵本は読んだけど、『竹取物語』の全編を読むのは初めてです。
結婚をしたくないため、かぐや姫は5人の貴公子それぞれにある品を持ってくるように言い渡しますが、これがこの世に存在しない(と思われる)代物。貴公子たちはお題の品物を探しますが、インチキしたり、騙されて偽物を掴まされたり、或いは品物を求めるにあたって怪我をしてしまったり…。
結局、この5人はかぐや姫の婿にはなれず。
かぐや姫の勝ちです。
かぐや姫が帝と相対したときに消えて影のようになってしまうのにはびっくりしました。人間ではない存 -
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最初から、最後まで、素晴らしい翻訳でした。
少年セドリックは、イギリス人の父とアメリカ人の母、家族三人慎ましくも愛情溢れる生活を送っていた。美しく、愛らしく、賢いヒューマニティの宝石箱の様な少年は、周囲の人たちにも愛されていく。
父親の死後、突然、父の祖父から伯爵家の後継としてイギリスに迎えられる。
小公子となったセドリックは、慈愛溢れる言動で、頑なな祖父伯爵の心を、領民の信頼を得ていく。
川端康成の名訳(共訳で後に改修もあるらしいけど)の小公子セドリックに、すっかり癒されます。
私は「少年少女世界の文学・アメリカ編」で、小公女・小公子をはじめ読みましたので、川端訳だったようです。
そして -
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1941(昭和16)年刊。川端42歳の頃に雑誌『婦人公論』に連載された、9編から成る連作短編小説集。
川端康成については、高校生の頃新潮文庫のを11冊買って何となく読み、成人してからは読み返すこともなかったので、かなり久しぶりである。さすがに日本初のノーベル文学賞作家というだけあって、廃版の多い新潮文庫でも、現在もラインナップは残り版を重ねているようだ。
新感覚派の旗を担ったこともある川端の文章は、時折常態とは異なる新鮮な語の選択を見せ、それはよくスパイスのきいた文学的なものであり、大きな起伏も、骨太なストーリーらしきものも欠きつつさりげなく編み出されるこの小説ストリームは、やはり純粋芸 -
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有名な冒頭以外に一度も読んだことがなかったので今更ながら読んでみました。ストーリーとして云々よりも描写が美しくて忘れられません。芸者駒子のか弱さと強さを共に持ち合わせたひたむきな生き様が静かに深く胸に染み渡ってくるようでした。しかしながら最初から最後まで駒子の情熱に対してしまむらは冷静すぎて、なんと罪作りな男のだろうと腹立たしくも感じました。妻子ある島村が何故に駒子に惹かれたのだろうと思うとそれはまさしく雪に晒すとより白くなる縮と同じで、彼は駒子を通して自分の中の濁った部分を浄化しようとしてたのではないか?と思います。駒子はそれを知って泣いたのでしょうね。ラストシーンが冒頭に増して良かったです
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老人と、その息子の嫁が、プラトニックな恋をする
といったような話
老人は、かつて好きだった女(義理の姉)の面影を嫁に重ねており
嫁は嫁で、ファザコンの気を老人に向けているらしい
子供たちは、それぞれ夫婦生活に問題を抱えている
兄の修一は外に女を作っており
また妹の房子は夫と別居して
二人の孫と共に実家に帰ってきている
老いたりとはいえ、まだ現役で働いている老人は
どうしても房子夫婦の問題に手が回せず
修一夫婦のことばかりに気をとられてしまうのだが
それはあるいは要するに
実の娘より嫁の菊子が可愛いから依怙贔屓してるだけ
なのかもしれない
そんな自分に老醜を感じて、嫌な気持になることはあっても