あらすじ
アメリカに生まれた少年・セドリックは、大好きな母や周囲の人々の細やかな愛情に包まれ幸せに暮らしていたが、名も知らぬ貴族の祖父の跡継ぎになるためイギリスへ渡ることとなった。祖父は意地悪で傲慢で、アメリカという国を嫌っていたが、セドリックの純真さに心動かされ、次第に変化していく。だがそこへ真の跡取りを名乗る者が現れて――。川端康成の名訳でよみがえる児童文学の傑作。(解説・鴻巣友希子)
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・名作の持つパワーのようなものを感じながら一息に読む。読んでいる間中すごく楽しかった。
・丁寧でやや古風、上品な訳文がストーリーに合っている。
・川端康成が子どもへ向けて書いた「この物語を読む前に」という文章も、優しい眼差しが感じられてとてもよい。川端康成のイメージがちょっと変わった(笑)
・巻末の解説(鴻巣友季子)は、バーネットに関することから「文豪翻訳」についてまで、とても興味深い内容でよかった。
(2022.1.19)
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読後にほっこりとしたいい気分が残る作品だった。親切な行い、心根の優しさの重要性を、セドリックを通して学ぶことの出来る、子供だけならず大人にも良書。
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小野不由美さんが帯を書いていて買ったけど、買ってよかったと思えた本。主人公のセドリックが可愛い、心が綺麗、癒やされる。元気がない時、やさぐれてる時にもまた読みたい。苦しくなる場面がほぼないので安心して読める。
驚きの訳者!
えっ⁉️訳者が、川端康成⁉️
ビックリして、読んでみた。昭和35年刊行なので、金銭的な物に関しては、少し古いなと思ったのと、名前とかの表示が、ちょっと違和感が有ったけれど、原文に忠実に訳そうという気持ちが伝わってきて、面白く読めた。
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川端康成さんの訳、ということで読んでみました。物語そのものの魅力で、がっちり惹き付けられます。「川端康成」を忘れるほどに、没頭しました。児童書とのことですが、名作です。
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小学生の頃、このお話を祖母に教えてもらって、
図書室の隅にある古くて分厚い本(少年少女世界の名作文学でした…!)を読んでから、
本が大好きになった思い出がひとつ!
昔から変わらない、暖炉みたいにホッとする素敵なお話。
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「十二国記」の小さい泰麒は小公子セドリックの影響を受けていますの帯に、山田章博の装画、川端康成訳とくれば、手に取らずにいられないでしょう。子供の頃アニメでみた記憶がありますが、本を読むのは初めてかもしれない。
セドリックの純粋さ、そして信じる心にとても感動し、何度もグッときて泣きそうになりました。大切な事を思い出させてくれる名作ですね。事あるごとに読み返したい一冊です。「2020新潮文庫の100冊」
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子供の頃に読んではいるけれど、川端訳を読んだのは初めて。美しい日本語で綴られた、美しい物語。
心が弱っているとき、ささくれ立っているときに、温かい気持ちにさせてくれる、優しく元気を与えてくれる本。
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とてもよかった
セドリックの健気さとそれを育んだエロル夫人の誠実さでこんなにも人を優しくできるなんて
伯爵が徐々に他人に関心を持っていく描写がよかった
読み進めていてこれどんな展開になるんだと思ったらこう来たかと
ハッピーエンドで良かった
小公子がどんな領主になるか夢見ちゃうね
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セドリックの心の清らかさが頑固な伯爵の心をも溶かしていく様が、気持ちがよかったです!
あんなに親切で人を疑わない、優しくフレンドリーなセドリックのまま成長してほしいと願わずにいられないです…
疲れた心に効く、いいお話でした。
これを機に、世界や日本の名作も読んでいきたいと思いました!
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小野不由美さんの帯を見て購入しました。セドリックが本当に可愛くて可愛くて!彼が大好きになりむした。その真っ直ぐ美しい心によって、周りの人たちが、世界がどんどん優しくなっていくのがとても良かったです。
綺麗な心を取り戻したくなる。そんな温かいお話でした。
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名前は知っていたが読んだことのなかった「小公子」児童向けの小説と思っていた。少年セドリックの優しさや清らかな心、意地悪な伯爵に心からぶつかっていく姿。シンプルなストーリーだけど、読みやすいのでぐいぐい読めました。人に親切にすれば自分も幸せになる。読んでるとなんか心が洗われます。
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最初から、最後まで、素晴らしい翻訳でした。
少年セドリックは、イギリス人の父とアメリカ人の母、家族三人慎ましくも愛情溢れる生活を送っていた。美しく、愛らしく、賢いヒューマニティの宝石箱の様な少年は、周囲の人たちにも愛されていく。
父親の死後、突然、父の祖父から伯爵家の後継としてイギリスに迎えられる。
小公子となったセドリックは、慈愛溢れる言動で、頑なな祖父伯爵の心を、領民の信頼を得ていく。
川端康成の名訳(共訳で後に改修もあるらしいけど)の小公子セドリックに、すっかり癒されます。
私は「少年少女世界の文学・アメリカ編」で、小公女・小公子をはじめ読みましたので、川端訳だったようです。
そして、贅沢に川端康成から子供達へ「小公子」の本を読む前にという言葉が掲載されています。(なぜか、最後に)セドリック愛に溢れた文章です。
そして、優しい先生のような文章です。
ほんと、児童文学の名作です。
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十二国記の泰麒のキャラクターに影響を与えたという小公子セドリック。表紙は十二国記の山田章博さん。
バーネットといえば秘密の花園と小公女。小公子のお話は読んだような知らないような忘れたような…という感じだったのでちゃんと読んでみました。
無邪気で愛らしく優しく見た目も天使のような美しさで誰からも愛されるセドリックが、ワガママで嫌われ者の伯爵の祖父の心を溶かし、周りの人たちをも幸せにする読後も優しい気持ちになれる有名なストーリーですが、川端康成訳の日本語もとても美しいです。確かに、十二国記の泰麒と似ているところが多いと思います。
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『小公子』(1886)は、『小公女』(1905)と並び、フランシス・ホジソン・バーネット(1849-1924)の代表作です(もう1つ、よく知られている作品に『秘密の花園』もありますが)。
金髪の巻き毛で人懐こいかわいい男の子、セドリック。父を亡くし、母と一緒にニューヨークで暮らしています。質素な暮らしですが、素直なセドリックは、優しく美しい母、多くの親しい人々に囲まれ、幸せな日々を送っています。
ある時、イギリスから驚くような知らせが届きます。セドリックはドリンコート伯爵である祖父の跡継ぎとなり、イギリスのお城に迎え入れられるというのです。セドリックの父は伯爵の三男でした。若くしてアメリカに渡った父は、祖父の知らぬ間に母と結婚していました。アメリカ嫌いだった祖父は激怒し、親子の縁を切ってしまいました。しかし、長男・次男が不慮の事故で亡くなった今、伯爵家を継ぐのはセドリックしかいないというのでした。セドリックは伯爵家の次期当主、フォントルロイ小公子となるのです。
セドリックと母は戸惑いながらもイギリスへと渡ります。しかし、いまだに母のことを認めていない祖父は、セドリックのみを家に迎え入れ、母は近くの別の家に住まわせます。セドリックは大好きな母と離れて淋しくてなりませんでしたが、持ち前の素直さと明るさで、頑固で自分勝手な祖父の心を徐々に溶かしていきます。
どんな人にも分け隔てなく接するセドリックは、貧しい人たちにも親切にして彼らを助け、領地の人々もそんなセドリックを愛するようになります。ケチで尊大だった伯爵もセドリックのやさしさに触れ、困っている人たちを援助するようになっていきます。
ところがそんなある時、伯爵の長男の嫁とその息子と称する親子が現れ、こちらが正統のフォントルロイ小公子だと主張します。もしそうであれば、セドリックは伯爵にはなれないことになります。さぁどうなるのでしょうか。
古くから親しまれている「小公子」の物語、こうして読み返してみると、起伏のあるおもしろいストーリー展開です。
伯爵は頑固で癇癪持ちです。3人の息子のうち、長男・次男は今一つ出来が悪く、三男を愛していたのにちょっとしたすれ違いで縁を切ったまま死に別れてしまいます。初めて会う孫は本当に愛らしく素直で、頑なな老伯爵の心もほぐれていくのです。このままめでたしめでたしとなるのかと思うと、もう一山、というのもおもしろいところです。
紆余曲折がありながらもハッピーエンドに落ち着く全体の構成も安心感があり、ああよかったねと誰もが胸をなでおろすことでしょう。
三人兄弟、思わぬ幸運と何だかおとぎ話のような趣もあります。
セドリックがちょっとよい子過ぎて、いささか現実味がないようにも思うのですが、ここは素直にほほえましい彼の魅力を受け入れるべきなのでしょう。
何せ、フォントルロイ小公子は読者の心も射抜き、挿絵に描かれた黒のベルベット製で白いレースの襟のついた服は、フォントルロイ・スーツとして大流行、母親たちはこぞって自らの幼い息子に着せたといいます。また、英語でFauntleroyというと、一般名詞として「(過度に)丁寧で身なりのよい子」を指すようで、その大ヒットぶりがしのばれます。
バーネットはもともとイギリス生まれですが、10代でアメリカに渡ります。本作はアメリカで爆発的にヒットし、のち、イギリスでもよく売れたようです。
セドリックのニューヨークの友人がイギリスの貴族についてやや偏見を持っていたり、伯爵がアメリカを見下していたり、といった描写もあるのですが、当時のアメリカとイギリスの距離感を想像させておもしろいところです。
各国語に訳された本作、邦訳もさまざま出ていますが、新潮文庫版は川端康成訳を採用しています。川端名義ですが、実際のところ、共訳者とされている野上彰が大部分を手掛けたといってよいようです。
「小公子」という絶妙の訳は川端・野上のオリジナルではなく、元々は、原作刊行のわずか4年後(明治23年)に邦訳の連載を始めた若松賤子(しずこ)によるものです。原題はLittle Lord Fauntleroyですが、これをすぱっと「小公子」としたセンスはすばらしいと思います。のちの「小公女」(Little Princess)と対になるところもよいですね。
こうした時代背景や翻訳事情にも触れた巻末の鴻巣友季子の解説も読みごたえがあり、作品世界が広がります。
*以下、蛇足ですが。
おじいさんはドリンコート伯爵(Earl of Dorincourt)ですが、セドリックはドリンコート小公子ではなく、フォントルロイ小公子(卿)(Lord Fauntleroy)と呼ばれます。イギリスの爵位はいろいろ細かい決まりがあり、跡継ぎになる人には儀礼上の爵位が与えられるもののようです(英王室のウィリアム王子もケンブリッジ公爵の称号も持ちますし)。これは当主の副次的な爵位名を使うもののようで、そのため呼び名が異なるのかと思います。
本作の場合、ドリンコートは苗字というより地名であるのかもしれません。お城の名前もドリンコート城ですし、ofが入っていてドリンコート「の」伯爵となっていますし(紅茶の名前の元になっているグレイ伯爵(アール・グレイ)はEarl of Greyではなく、Earl Greyです。これは姓なのかな・・・?)。
バーネットの記述がどこまで正しいのかよくわからないのですが。
いずれにしてもドリンコートもフォントルロイも何となく高貴そうな感じはしますね。
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有名な児童文学だけど
子どもの頃読んでなかったか
読んだけど忘れてしまったのか
こんな話だったんだと
気持ち良く楽しめた
こんなふうに顔も綺麗で心も美しく
無邪気で勇気もある完璧な子どもなんていないよ
と言ってしまえばそれまでだけど
いつも笑顔で人に親切にすれば
周りも自分も幸せになれる
とは思うよね
小野不由美さんの
小さい麒麟がこの物語の影響を受けていると聞いて
なるほど〜と思った
川端康成の翻訳は
多少古くさい日本語のところもあったけど(笑)
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「老人の凍った心をも溶かす幼児の真心」というのは児童文学として良い。礼儀正しさ、思いやり、高貴なる義務は誰しも子どもに教えたいものだから。
しかし、そもそも貧しい人々を生み出す構造の問題に踏み込んだ展開にならないのは書かれた時代の、上流階級の出身である作者の限界か。
Posted by ブクログ
アメリカに生まれた少年・セドリックは、大好きな母や周囲の人々の細やかな愛情に包まれ幸せに暮らしていたが、名も知らぬ貴族の祖父の跡継ぎになるためイギリスへ渡ることとなった。祖父は意地悪で傲慢で、アメリカという国を嫌っていたが、セドリックの純真さに心動かされ、次第に変化していく。だがそこへ真の跡取りを名乗る者が現れて──。川端康成の名訳でよみがえる児童文学の傑作。
子供の頃に読んだ名作。小公女は結構序盤がお先真っ暗なイメージでしたが、こちらは比較的前向きに進んでいくので、穏やかな気持ちで読み進められました。セドリックが泰麒のキャラクターに影響を与えていたなんて!確かにそういう目線で見るととても似ている・・・!!そして何よりびっくりしたのが、翻訳が川端康成!?どうやらもう一人、実質翻訳した方がいたとあとがきで知ったけれど、それにしてもすごいな。自分で名作を書くだけでなく英語力もあったのか。硬い文章を書いている印象だったので、ここまで読みやすくて現代文学と変わらない言葉遣いや自然な言い回しに驚いた。彼がバーネットの作品を子供たちに紹介したいと思うくらい気に入ったんだなと思うと、何だか微笑ましく思える。
Posted by ブクログ
皆さん多分一度はよんでますよね。私も小学生の頃読んで、子ども達が小さい頃買ったのを再び読んで、今度は川端先生の訳で読み返しました。
気難しいおじいさまがセドリックの無邪気さややさしさにほだされて、やさしいおじいさんに変わっていく。最後は嫌っていたアメリカ人の嫁の良さも認めて一緒に暮らす…というストーリーの主軸は覚えていたのですが、偽者が出てきたのは記憶になかった。
たぶん子どもの頃は省略されてる本を読んだのかもしれないですね。そして、偽者事件を解決するのにセドリックのニューヨークのお友達が一役買っていたのも面白かった。あの二人のお友達、なかなか味がありますね。
解説を読むと、実際に翻訳したのは野上彰って人だったようですね。川端先生はおそらく…翻訳された日本語を編集したのかな?と思います。川端先生の名前のほうが本が売れるからでしょうね。その証拠に印税はすべて野上さんに渡していたようです。
翻訳で一つ引っかかったのは、使用人達がセドリックを「小公子さま」と呼び掛ける点。タイトルとしては定着しているので変える必要はないと思うけど、小公子ということばが日本語の文章の中に紛れているのが、何か不自然に思える。原文がどうなっているのかわからないけど、(Lordかな?)他に何かいい表現はないのかなと思う。