川端康成のレビュー一覧
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令和四年五月に新装発行となった名作。一卵性双生児と思われる、生き別れた姉妹の奇跡的な出会いと、生まれ育った環境の違いから生じるそのお互いの心境や生き方について京都を舞台として見事なまでに描いている作品。
祇園祭、葵祭、時代祭、北山杉、高雄の紅葉、鞍馬の竹伐り、南禅寺、京都植物園などなど他にも色々と京都の情景、風物を知ることができ、作品に深みを増すと同時に、この作品によって、さらに京都という都市自体が色彩を帯び、更なる歴史へと誘われる。
作品全体を通しては、登場人物の京言葉で、円やかで優美さに包まれており、これが睡眠剤を飲み、文章の狂いがあるという作品かと疑われるほどに明晰さすらも感じる。 -
Posted by ブクログ
古都は主人公千重子の実家の庭のもみじの描写から始まるのだが、その描写が良い。まだ千重子に関する情報はほとんどないのだが、その古木は執拗に千重子を秤に描写される。
幹は千重子の腰回りよりも太い。古びてあらい膚は、青く苔むしており、千重子の初々しいからだとくらべられるものではない。幹は、千重子の腰ほどのところで、少し右によじれ、千重子の頭より高いところで、右に大きく曲がっている。
何なんでしょう?もうこの段階で千重子に心奪われている。身長は標準よりちょっと小柄。色白で痩せ型、頭も小さい。僕が勝手に妄想した千重子像ですが皆さんはどうでしょう?もみじの古木との対比だけで勝手に若くてしなやかな女性 -
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驚きの訳者!
えっ⁉️訳者が、川端康成⁉️
ビックリして、読んでみた。昭和35年刊行なので、金銭的な物に関しては、少し古いなと思ったのと、名前とかの表示が、ちょっと違和感が有ったけれど、原文に忠実に訳そうという気持ちが伝わってきて、面白く読めた。 -
Posted by ブクログ
有名な『伊豆の踊り子』を早速読んだ。語彙が時代を感じさせるが、文体は瑞々しく、大正期の作品とは思えないほど映像的な文章で驚いた。
当時の高校生は今の大学生に当たるだろうか。勉学に励むなかで、青少年にありがちな自意識による若さが何となく共感できる。やっぱり、女の子の気を引きたいけど躊躇してしまうことあるよね、的な。
温泉宿巡りの旅も、どこか感傷的な衝動から始まり、その途中で出会った旅芸人達の一行と道を共にし、情が移っていき、なんとかしてやらなければという心で動く彼は、お人好し以外の何物でもないが、愛すべき人である。
その繊細さ故に、彼は旅芸人一行と別れるとき、例の踊り子と別れるとき、静かに泣く