川端康成のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
古都は主人公千重子の実家の庭のもみじの描写から始まるのだが、その描写が良い。まだ千重子に関する情報はほとんどないのだが、その古木は執拗に千重子を秤に描写される。
幹は千重子の腰回りよりも太い。古びてあらい膚は、青く苔むしており、千重子の初々しいからだとくらべられるものではない。幹は、千重子の腰ほどのところで、少し右によじれ、千重子の頭より高いところで、右に大きく曲がっている。
何なんでしょう?もうこの段階で千重子に心奪われている。身長は標準よりちょっと小柄。色白で痩せ型、頭も小さい。僕が勝手に妄想した千重子像ですが皆さんはどうでしょう?もみじの古木との対比だけで勝手に若くてしなやかな女性 -
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驚きの訳者!
えっ⁉️訳者が、川端康成⁉️
ビックリして、読んでみた。昭和35年刊行なので、金銭的な物に関しては、少し古いなと思ったのと、名前とかの表示が、ちょっと違和感が有ったけれど、原文に忠実に訳そうという気持ちが伝わってきて、面白く読めた。 -
Posted by ブクログ
有名な『伊豆の踊り子』を早速読んだ。語彙が時代を感じさせるが、文体は瑞々しく、大正期の作品とは思えないほど映像的な文章で驚いた。
当時の高校生は今の大学生に当たるだろうか。勉学に励むなかで、青少年にありがちな自意識による若さが何となく共感できる。やっぱり、女の子の気を引きたいけど躊躇してしまうことあるよね、的な。
温泉宿巡りの旅も、どこか感傷的な衝動から始まり、その途中で出会った旅芸人達の一行と道を共にし、情が移っていき、なんとかしてやらなければという心で動く彼は、お人好し以外の何物でもないが、愛すべき人である。
その繊細さ故に、彼は旅芸人一行と別れるとき、例の踊り子と別れるとき、静かに泣く