川端康成のレビュー一覧

  • 伊豆の踊子(新潮文庫)

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    孤独に悩む若者の、数日間の伊豆への一人旅を描いた名作。清純無垢な踊子へ想いをつのらせ、主人公の「孤児根性」がほぐれるさまがとてもエモい。
    切り取られる瞬間のすべてが美しい、究極の青春小説。

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    2025年04月18日
  • 雪国(新潮文庫)

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    2025年2月の1ヶ月を新潟の南魚沼で過ごしたので、この機会にと思って読んだ。冒頭の一節しか知らなかったが、川端康成の描く雪国の描写が、南魚沼での生活を思い出させた。雪というものの神秘とそれに対する畏怖は、東京の雪のイメージとは大きく違う。雪国に生きた作者による雪の描写は繊細かつ日本的で、凝り固まった語彙を柔らかく解きほぐして新たな空気を送り込んでくれる。堀江敏幸による「寒さを共有すること」の解説を読んで、ヴァレリーやマラルメの言葉を引きつつ、最後の「空中で水平だった」という一節によってすべてを表現する美しさに感銘を受けた。この繊細な文章に対して私はまだまだ読みが甘いので、今後何度も読み返した

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    2025年04月03日
  • 伊豆の踊子(新潮文庫)

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    青春物語でもあり恋愛小説でもあった。高校2年生の自分にも当てはまる節があったり、主人公に共感できるような部分が多く見られる親しみやすいストーリーだった。自分にとってお気に入りの描写がたくさんあった。

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    2025年03月24日
  • 名人(新潮文庫)

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    読書は娯楽。なので教科書で名を知った作家さんには手を出さずにいました。将棋にはまったときに、河口俊彦「一局の将棋一回の人生」を読み、そこにこの川端康成「名人」が紹介されております。
    いつか読んでみようと思ってから30年経ってます。我ながらよく覚えていたなと感心します。

    囲碁の知識はないですが、名人と七段の引退戦に惹き込まれました。囲碁の中身は分からずとも一手にかける棋士の凄みが淡々と書かれています。
    明治ー昭和初期の時代背景があり、現代とはまるで別の世のようです。

    あとがき解説を読み、この作品が作者の人生に於いても重い意味のある作品であったのではと思います。
    川端康成という人物への興味が深

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    2025年03月23日
  • 伊豆の踊子・温泉宿 他4篇

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    伊豆の踊子がとにかく好き。文書も内容も軽やかな美しさがあった。その他の作品については、やや難解に感じたが、楽しめた。最後の温泉宿は何か濃厚な空気の群像劇で印象的だった。

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    2025年03月20日
  • 掌の小説(新潮文庫)

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    くらくらする
     この掌篇――ショートショート――集は、はじめの「骨拾い」からくらくらする。譬えも擬音も、独特のいろけが分ちがたく結びついて、ギッと音をたてそうだった。

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    2025年04月28日
  • 伊豆の踊子(新潮文庫)

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    抒情歌がとても美しかった…
    西洋の香を感じたところ、好き。咲く花にあなたを感じるのも好き。主人公の女性がとんでもなく美人だと想像してしまう文章…

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    2025年02月20日
  • 雪国

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    とりあえず読んでください。
    情景、心、感覚全てを言葉で、理路整然とそうあるべく所に置かれるように説明されている。
    幾何学的な美しさを持つ文章でありながら、あまりにもある種人工的な美しさの文章でありながら、確実に僕らの中に経験があるクオリアの種みたいなものを精密に描写されることで他人事ですまさない、一人称的な読み方をさせる書き口。

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    2025年02月18日
  • 雪国(新潮文庫)

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    一面では純文学の典型的な「読みづらさ」を抱えた作品であり、普通の文章を読むように話の筋やら趣旨やらを探していたら読み進めがたい。そこの点の折り合いについて、解説にあった「現象から省略という手法によって、美の頂上を抽出する」という表現がしっくり来た。

    島村と駒子の挙動を逐一記録したプロットがまずはじめに存在し、その中から「美の頂上」を抽出して出来上がったものが小説『雪国』である。ぼく自身、わざわざ自分の中でそう観念することで、ようやく抽象さに辻褄を合わせて読み進めることができた。そうだからこそ、全体としてどういう話だったかについては語りがたく、個々の描写の妙ばかりが思い出されるのだろう。

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    2025年03月13日
  • 伊豆の踊子(新潮文庫)

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    踊り子の幼いが故の純粋無垢ないじらしい様子と少し恥じらいも出る女性の面も踊り子の薫が非常に愛らしい。はじめは恋で見ていたが、兄の様に感じてきたのではないかと思った。

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    2025年02月05日
  • 雪国(新潮文庫)

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    ネタバレ

    「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」
    で有名な川端康成の「雪国」を読んでみました!

    最後突然火事になって突然物語が終わるんです。
    本当に唐突なおしまい。
    新潮文庫の素晴らしい配慮なのか、
    解説やあとがきがすごーーーく長くて、
    「まだページたくさんあるし、火事になって一悶着起きるんだろうな」と思って気を抜いて読んでいたら唐突に終わったのでハッとしました。

    読み終わった直後は正直意味がわからなかった!
    でもあとから解説を調べて、
    再び読み直してみるとゾクゾク。

    徐々に背景がわかってくる作品なので、
    最初らへんは「よくわからないけど物語が進んでいく」感じだから、読み落としがかなりあって

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    2025年01月06日
  • 雪国(新潮文庫)

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    小学生で読んだ時、いくら間接的とはいえまさか文豪が情交を描くとは思っていなかったため、「この指が君を一番覚えていたよ」のところで何を言っているのか全く分からず、読み始め早々に紆余曲折した表現で理解不能とレッテルを貼り読み進めず。それから20年程経ち、高半旅館へ宿泊した際に雪国の映画を見た。映画にしてしまうと内容はとてもくだらない。駒子の甲高い声と言動に苛立ちを覚えるシーンさえある。ただ、高半旅館に宿泊し、映画を見てから本を読むという2段階を経ると懐かしい気持ちと共に全てがリンクする。
    本で読むからこその表現の美しさと豊かさが感じ取れ、どう生きたらこの表現ができるのかと不思議に思う。お気に入りの

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    2024年12月31日
  • みずうみ(新潮文庫)

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    主人公(もしかして川端自身?)の異様な性癖とも言える行動を追体験できる面白さもありつつ、現実と空想が入り交じる世界観の不思議さもあり読んでいて複雑な心持になる作品であった。
    とりわけ、主人公の醜さと女性の美しさの対比を面白く読むことができた。

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    2024年12月30日
  • 伊豆の踊子(新潮文庫)

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    ネタバレ

    なんとも「抒情歌」が好きすぎて、最後の1ページで涙が出てきた。なんの涙かよくわからないけど。

    こんなに通じ合えて、生まれ変わってもまた会うんだろうなって思える人、いるんだろうかと思ってしまうほど、2人の愛が美しかった。

    彼は、この世での別れは永遠の別れではないと思っていたから、彼女に死んだことを知られないようにしたのかな。

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    2024年11月11日
  • 雪国(新潮文庫)

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     20代で読んでも意味がわからなかったが、40代で再挑戦。
     話の内容ではなく、文章表現そのもの、情景描写そのものに心が動いた。最後まで(文そのものに)飽きずに読み切りました。

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    2024年10月16日
  • 古都(新潮文庫)

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    川端康成の名前はもちろん知っていたけど、なんとなく難しそうだと勝手に思って読んだことが今までなかったが面白かった!異常な作品だと後書きに書いてあったけど他の本とは全然違う一冊なのかな。他のものもぜひ読んでみたいと思う。

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    2024年09月28日
  • 伊豆の踊子(新潮文庫)

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    表題作だけ
    本人の生立ち知ってると⭐︎5をつけざるを得ない
    今だと偏愛に当たるのかもしれないけれど透き通った恋愛にしてしまう著者の素晴らしさ
    1人温泉旅に行って新しい人と出逢いたくなるね

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    2024年09月16日
  • 古都(新潮文庫)

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    定期的に京都が恋しくなった時に何度も読み返す名作。情景描写から人物描写まで、日本の美を凝縮した作品。

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    2024年12月17日
  • 伊豆の踊子(新潮文庫)

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    郷里が舞台にもかかわらず、恥ずかしながら通読したことがなかった。はじめ、色の小説かと思ったが、芸者一行との同道で主人公が社会と和合していく小説であった。
    その和合も、具体的な描写を挙げるのは難しいが、どちらかといえば一方的・独善的に見える。栄吉をはじめとする一向の内面に含みを持たせつつもそれがなかなか見えず、悩めるエリートの精神的再起ばかりを捉えてしまうからかもしれない。

    船に乗り合わせた少年の飯を食って学生マントに潜り込むのは、最早図々しいだろうと思い笑ってしまった。

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    2024年07月15日
  • みずうみ(新潮文庫)

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    現実の世界に唐突にはさまれる主人公の見る幻、無意識の世界は、彼が危うい世界に片足、いや、ほとんど両足を突っ込んでいるのを感じさせる。発表当時でも嫌悪を示す読者がいたようだが、今の若い世代はどうだろうか。

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    2024年06月21日