川端康成のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
荒木飛呂彦がカバー画を描いていたので買ってしまいました。
ま、完全にやりすぎでしたが。
孤独な生涯を送ってきた20歳の主人公が旅先で出会う14歳の旅芸人の踊り子に恋をしてしまう、題名作「伊豆の踊子」。
若さゆえの淡い恋心に揺れる主人公の行動がいじらしい。
が、時代が違いすぎて感情移入できなかったため、★ひとつ減。
それよりも注目すべきは収録されている他4篇の短編。
川端康成の表現力に圧倒される。
川端が15歳のときに書いた日記を、のちに自身で注釈を付けくわえた「16歳の日記」。
そのスタイルだけでも新鮮だが、死の間際にいる祖父との会話を【この世の声ではない】と表現するな -
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美しい情景描写。雪はすべてを覆い隠して真っ白にするのに、雪景色ってこんなに多彩に表現できるのか。外の寒々しさと対照的な温泉宿の温かさ、そこで聴こえてくる音、視覚だけでなく温度感や聴覚も文章だけで伝わる。もし、これだけの語彙力と表現力を多くの人が持っていたら、ビデオカメラは発明されなかったかも。
それはそうと、この島村という男のどこにそんな魅力があるのかが疑問だった。島村目線でしか語られないから、駒子がどうしてそんなに惚れ込んでいるのかが分からない。超絶顔が良いとか?
それでも私が駒子の友だちなら「そいつはやめとけ」と言いたくなるタイプ。彼女に見送られて電車に乗り込んで、物理的な距離ができた途 -
Posted by ブクログ
小説なので何を書いても良いとはいえ、3篇のどれもなかなかに背徳的で反社会的な要素に満ちている。
「眠れる美女」は情景を想像すると絵面の気持ち悪さが先に立ち、細かな描写が入ってこない。「片腕」にも共通するが、あまり抑揚のない話であり、どこで終わっても良さそうなのに結末だけが突出しているようにみえてしまう。
「散りぬるを」は事件に題材を借りたフィクションなのだが、被害者が実在する以上、今だと何かと物議を醸すことになりそうだ。「狂気による犯罪のほうが正気の犯罪よりも悪である」等の認識は通常の法理を突き抜けているが、今もこうした理由のよくわからない事件は度々起り、真実や動機も結局は裁判の作文の中で片付 -
Posted by ブクログ
以前山の音を読み、その日本的感性美に惹かれて雪国を読み始めた。はいいものの、正直にいうと令和を生きる私にはなかなかそもそもの情景把握が難しく、寝落ち本となってしまい…サクッと読める分量のはずなのに、珍しく1週間ぐらいかかった。
心理描写が少なくて情景描写が多いことは分かっていたけど、注釈を読んでも背景知識の不足により全体像は分からないまま読み終わっちゃった印象。だしむしろ注釈が邪魔してしまったかも
最後の解説で和歌的だという言葉が一番納得したしもはや印象的になってしまったまである。なんか当たり前だけど当時の時代を生きていた人が知っている花も作家も古典も知らないわけで、それが哀しい。もっと色 -
Posted by ブクログ
この作品は全編主人公の一人称視点で展開されながらも、当の主人公の想念や哲学については余り書かれず、人格の主張が極力抑えられている。これにより、主人公は、雪国に住む2人の女性の性状を映す視点を読者に提供する装置としての役割を果たす。この視座に立つと、冒頭のあの印象的な場面、雪国行の汽車の中で、主人公が窓の反射越しに女を眺めるあの構造は、これから展開する、読者が主人公という鏡の反射通して女性達を見るという構造に合致する。又、窓の反射越しの女性と、窓の向こう側の灯火が重なるというのも印象的に描かれる訳だが、火というのは殊雪国故に生活に必要不可欠で、されども雪国故に気温や湿度によってより不安定なのであ